銭華

1980年代前半、空前の好景気に沸く日本を舞台に、株の仕手戦を主題とした漫画。憎き山之内家に復讐するため、坂本千尋が女相場師として成り上がっていくさまを描く。2006年には、日本テレビ系列にて『銭華 ~銀座ホステス株バトル~』のタイトルで、国仲涼子が主演でドラマ化もされている。

正式名称
銭華
作画
原作
ジャンル
経済・金融
レーベル
芳文社コミックス(芳文社)
巻数
全3巻
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概要・あらすじ

千尋の母は土佐の大富豪である山之内の大旦那の妾にされ、不遇な暮らしのうちに生涯を閉じた。坂本千尋は、父親を殺したとも噂される山之内家に対する復讐を誓い、まずは大金を得ようと、相場師になることを決意する。そして東京に出た千尋は、伝説の相場師と呼ばれる片山鉄造に師事し、ついには「兜町の女帝」と呼ばれるまでにのし上がっていく。

登場人物・キャラクター

坂本 千尋

高知県出身の若い女性。山之内隆一から得た1000万円を資金として旭一の仕手戦を勝ち抜き、一躍女相場師として名を馳せる。近しい一部の人間には「伝説の女相場師」とも呼ばれている。さらに自ら仕掛けた北辰精器の仕手戦にも勝利を収め、「兜町の女帝」とまで呼ばれるようになる。両親の仇である山之内の大旦那をはじめとする山之内家に復讐を誓っており、そのためなら一切手段を選ばない。

千尋の母

坂本千尋の母親。山之内家の使用人で、山之内の大旦那の妾である40代の女性。重いがんを患っているが、山之内の大旦那には必要な治療を受けさせてもらえずにいた。やっと入院できた時には既に末期がんで手遅れの状態にあり、しばらくして息を引き取った。

山之内の大旦那

土佐の大富豪の中年男性で、千尋の母を妾として囲っている。真偽は不詳だが、千尋の母親を我が物にするために千尋の父親を交通事故に見せかけて殺したと噂されている。坂本千尋に対しても情欲を抱いており、歳を取った千尋の母親の代わりに新しい妾にするつもりでいた。そのために、千尋の母親が重い病気であることを知りながら放置していた非道な人物。

山之内 隆一

山之内の大旦那の息子。坂本千尋に恋愛感情を抱いていた。千尋の母が末期がんで入院した時、山之内の大旦那が不在だったため当主代理をしていたこともあり、千尋の母親に十分な治療を受けさせることを約束し、代償として千尋の処女を奪った。その直後に千尋の母親が病死すると、わずかな慰謝料を千尋に渡そうとした。しかし怒った千尋に「長年、山之内家が千尋の母親を愛人にしてきた代価と、自身の処女の代価」を要求され、1000万円を支払うことになる。

片山 鉄造

兜町の相場師の老人で、「伝説の相場師」と呼ばれるほどの大物。日本橋経済研究所の社長を務めているが、それは片山鉄造にとって隠れ蓑的な表の顔に過ぎず、本業は仕手筋である。東京に出てきたばかりの坂本千尋に株のイロハを教えた師でもある。のちに旭一の仕手戦で自分を出し抜いた千尋に憎しみを抱くようになり、北辰精器の仕手戦においては千尋を破滅させようと策を弄する。

洋子

日本橋経済研究所の社員であり、片山鉄造の愛人でもある女性。年齢は不詳。鉄造からは便利な女として利用されている立場に過ぎないが、洋子自身は鉄造を愛している。若い坂本千尋に対し、女として嫉妬心を抱いている。

尾崎 透

日本橋経済研究所で働く、28歳の営業マン。生き馬の目を抜くような株の世界の住人としては比較的お人好しな性格。下心があってのことながら、東京に出て来たばかりの坂本千尋に、同僚としてさまざまなアドバイスを送る。

波島 隆造

北海道は網走の漁業を取り仕切る網元の男性。網元グループのリーダーということもあり、地元では名の知れた人物で、株式投資も行なっている。片山鉄造に対しては、金の亡者に過ぎないと軽蔑心を抱いており、鉄造に命じられて色仕掛けのために自分のもとにやって来た坂本千尋に対しても、当初は好意的ではなかった。そこで消防ポンプという過激なお座敷遊びで千尋を追い返そうとしたが、その素性と復讐の意思を確認し、千尋に協力を申し出た。

諸星

兜町の外れにある、金海証券という小さな証券会社の若い営業マン。当初は客としてやって来た坂本千尋を素人の小娘と侮っていたが、早い段階でその真の才覚を見抜いた。以降は千尋を兜町の女相場師に育て上げようと考え、忠実な協力者となる。

高橋社長

証券担保金融を手がけている中年男性。諸星と組み、坂本千尋を兜町の女相場師に育て上げようと考え、その実質的なブレーンとなる。その魂胆には助平根性もあり、千尋の若い肉体も狙っている。旭一の仕手戦に際しては、自分が仕手戦に参加するために入手していた巨額の旭一株を、その将来性に投資する意図から千尋に譲った。

的場

株式経済新報という業界紙の新聞記者をしている中年男性。一介の記者ではあるが、同紙編集長からも一目置かれる腕利き。諸星、高橋社長らとともに坂本千尋の協力者となり、株価操作のための提灯記事を意のままに書くなど、強力に千尋をバックアップする。

磯崎 貴弘

政党「民自党」の若手グループのリーダーの1人と目される、若手男性政治家。既に女相場師として名を知られるようになっていた坂本千尋に、政治資金とするために20億円の資金を30億円まで増やすよう依頼し、北辰精器の仕手戦が始まるきっかけを作った。千尋から恋愛感情を抱かれていることを薄々気づいているが、その気持ちに応えることはなかった。

集団・組織

日本橋経済研究所

坂本千尋が東京に出て来て最初に入社した投資顧問会社で、片山鉄造が社長を務めている。株投資に関するアドバイスをして投資家から資金を引き出すことを目的としているが、そのためならどのような虚言を弄することも厭わず、実質的にやっていることは詐欺そのもの。ただし、鉄造の真の目的は投資詐欺による金儲けではなく、投資家たちの中から、仕手戦に利用できる有力な投資家を見つけ出すことである。

網元グループ

北海道は網走の投資家グループ。全員が海の男であり、リーダーは波島隆造が務めている。坂本千尋の心意気に感服し、旭一の仕手戦に参加するが、千尋に出し抜かれ大損をする。しかし、株の世界では騙すも騙されるも当然のことだと説く隆造の言葉に納得し、千尋に恨みを抱くようなことはなかった。

場所

兜町

東京証券取引所があり、証券会社が集中している日本の金融街。自転車で10分で回れる程度の広さしかなく、色々な意味で狭い世界である。株がらみの情報はひとたび表に出ればあっという間に町中に知れ渡り、秘密裏にことを進めようとしても他社などに情報が漏れやすい。

鎧橋

赤坂にある料亭。片山鉄造は若い頃、株で大失敗をして鎧橋という橋から飛び降り自殺をしようとして、たまたま通りがかった芸者に止められたことがある。その芸者はのちに鉄造の愛人となり、赤坂の高級料亭を買い与えられて女将となり、店を「鎧橋」と名付けた。店の奥に布団を敷くことのできる部屋があり、坂本千尋はそこで初めて鉄造にその身を捧げた。

イベント・出来事

旭一の仕手戦

片山鉄造が旭一物産という企業の株で仕込んだ仕手戦。仕込みが始まったのは、坂本千尋が東京にやって来る前からであるが、その重要な過程として網走の網元グループを仕手戦に参加させる必要があり、鉄造はそのために千尋を波島隆造のもとに送りこんだ。踏み上げも済み、ほとんどの株を鉄造が掌握したかと思われたその矢先、千尋が密かに高橋社長から入手していた20万株を売り抜け、鉄造と網元グループは大損害をこうむった。 千尋は1000万円の資金を数億に増やし、この成功によって兜町の女相場師として名を馳せるようになる。

北辰精器の仕手戦

坂本千尋が磯崎貴弘の依頼を受け、20億円の資金でスタートさせた仕手戦。片山鉄造は妨害に乗り出したが、逆に自分の得意技であった踏み上げを千尋に使われて大損害を受け、その地位を失うこととなった。千尋はこの仕手戦の成功により、並ぶ者なき「兜町の女帝」と呼ばれるまでに成り上がる。

その他キーワード

仕手戦

投資用語の一種で、株価を意図的に釣り上げ、高くなったところで株を売り抜けることで大儲けする、という手法。理論上は簡単な仕組みながら、どのタイミングでどうやって売り抜けるかなど、実際に仕掛けるのは非常に難しい。これを仕切る者のことを仕手筋という。

仕手筋

投資家の一種で、仕手戦を仕切る中心人物。「本尊」もしくは「仕手本尊」とも呼ばれる。仕手戦の性質上、表立って自らが仕手筋であると公言して公の場に出る者は基本的にいない。片山鉄造や坂本千尋など、仕手筋を生業とする人間は基本的にその素性を隠して活動している。

消防ポンプ

北海道の漁師たちが好む御座敷遊び。大勢の芸者を呼んで、座敷で漁師たちが性行に興じる、という乱交パーティーの一種であるが、最初に射精したものには賞金が出る。名前の由来は、参加する女性の立ち姿を消防ポンプに見立ててのもの。

踏み上げ

片山鉄造が得意としている、仕手戦における買い占めのためのテクニック。基本的に仕手戦は、値上がりさせたい株を多く買うことで値上がりさせていくもので、その過程において、他の投資家も値上がり中の株を買うことが多くなる。これを提灯買いと呼び、その投資家を提灯と呼ぶ。これらの株を提灯たちから買い集めるために、いったん仕手銘柄の株価を意図的に暴落させ、彼らがそれを手放した時に買い占める。 この手法を「踏み上げ」「提灯殺し」「地獄の逆落とし」などと呼ぶ。坂本千尋は北辰精器の仕手戦においてこの手法を使い、鉄造との相場勝負に勝利した。

書誌情報

銭華 全3巻 芳文社〈芳文社コミックス〉 完結

第1巻

(2002年11月15日発行、 978-4832229143)

第2巻

(2003年4月発行、 978-4832229396)

第3巻

(2003年8月18日発行、 978-4832229556)

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