カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義

カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義

作者は『LIAR GAME』など多数のヒット作を持つ甲斐谷忍、原案はテレビドラマ化もされた『クロサギ』の夏原武が務める。コロナ禍で混乱する現代日本を舞台に、天才経済学者の加茂洋平が実地研究と称して、詐欺師たちを相手に大立ち回りを演じる、痛快エコノミックコミックス。独自の「カモリズム」理論を唱えつつ、コロナ禍という特殊な情勢でこそ起きた詐欺事件や、社会的弱者の現状を綿密に描いている。集英社「グランドジャンプ」2021年No.17に掲載されたのち、2022年No.5より連載の作品。

正式名称
カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義
ふりがな
かものねぎにはどくがある かもきょうじゅのにんげんけいざいがくこうぎ
作者
ジャンル
心理戦・頭脳戦
 
経済・金融
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊7巻
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現代日本の闇に触れるクライムサスペンス

本作は経済学をテーマにしたクライムサスペンスで、経済学者の加茂洋平が詐欺師たちを相手に実地研究(フィールドワーク)を駆使してさまざまな社会問題を解決していく。原作者の夏原武は裏社会に造詣の深いフリーライターで、詐欺やマルチ、闇金などの犯罪を専門に取り扱っており、その経験を活かしてリアリティにこだわっている。また、コロナをはじめ時事問題を扱っているのも大きな特徴で、コロナで混乱した社会で制度の抜け穴を悪用して暗躍する犯罪者の手口も明らかにしている。

加茂教授による華麗なる実地研究

そもそも経済学とは明治維新後、海外から「エコノミー」という概念が入ってきた際に、日本に適切な言葉がなかったため造られた造語で、中国の「経世済民」を語源とする。経世済民は「民が救われる世を作る学問」という意味があり、経済学者の加茂洋平もこの考えに則(のっと)り、経済学とはお金を研究する学問ではなく、「人を考える学問」という信念を抱いている。そのため加茂は経済的な弱者と、その弱みにつけ込んで搾取する詐欺師、両方の視点から実地研究を行なっている。加茂の実地研究により、結果的に被害者は救われることになるが、それは単なる正義感からくるものではなく、学者としての好奇心の方が優(まさ)っている。また、加茂も詐欺師たちを罠(わな)にはめるのを楽しんでいる節があり、時には詐欺師たち相手に堂々と経済学の講義を行っている。

カモリズム理論

経済学者の加茂洋平の唱える「カモリズム理論」とは、「カモが葱(ねぎ)をしょってくる」のことわざに例えた現在の経済状況を示した理論で、一部の要領のいい人間だけに利益が集中し、弱者である「カモ」が搾取され続けるシステムでもあると、加茂は解説している。現在の経済は複雑化しており、経済学を完全に理解している人間は非常に少なく、中途半端な知識を持つ者ほどカモになりやすいと警鐘を鳴らしている。本作では、その象徴として仮想通貨のリスクを挙げている。また、加茂はカモの中に強烈な毒を持つ者が現れたら、いずれ搾取する側もカモを狙わなくなるという持論を持っているため、詐欺師相手に日々実地研究を行っている。

登場人物・キャラクター

加茂 洋平 (かも ようへい)

髪をツーブロックにして束ねている経済学者の男性。「カモがネギをしょってくる」のことわざに例え、カモ(弱者)が食い物にされる経済理論「カモリズム」を唱え、世界的に注目を集めている。しかし同時に自他共に認める変人で、「この世で一番役に立たない職業は経済学者である」が口癖。現在は天平大学に招かれ、講義を受け持っているが、勤務態度は不真面目で課題を出すだけで休講ばかりしている。実地研究(フィールドワーク)が趣味で、カモを食い物にする詐欺師やペテン師を相手に、持論を証明しようとしている。また、加茂洋平自身がカモになって詐欺師たちをワナにはめ、彼らを壊滅させることが生きがい。カモリズム理論はカモが食い物になっている現状を唱えつつ、そのカモの中に強烈な毒を持っている者がいれば、いずれはカモが食い物にされる社会が変わるのではないかと考えている。実地研究には金も手間も惜しまず、必要であれば会社の買収すらいとわない。資産力もかなりのもので、「カネを稼げないヤツは経済学者を名乗る資格がない」が信条。

名取 美咲 (なとり みさき)

天平大学に通う2年生の女性。経済学を専攻している。実家は旅館を経営していたがコロナ禍によって経営が立ち行かず、大学を辞めようと考えている。橋で物思いにふけっていたところ、ホームレスに扮した加茂洋平に諭され、彼の講義を受けることになる。実家が加茂の実地研究の対象となったことで、実は両親が悪質な詐欺ファンドにだまされていることを知る。そして紆余曲折の末、加茂に救われて実家の旅館も窮地を脱する。加茂が決して善意だけで手を差し伸べたわけではないと知りつつも、彼の信念に共感してゼミ生となる。しかしゼミでは、ほとんど加茂の使い走りのような立ち位置で、時には体も張るなど不遇な扱いを受けている。

クレジット

原案

夏原 武

書誌情報

カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義 7巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第1巻

(2022-04-19発行、 978-4088922935)

第2巻

(2022-08-19発行、 978-4088924120)

第3巻

(2022-11-17発行、 978-4088925073)

第4巻

(2023-03-17発行、 978-4088926469)

第5巻

(2023-07-19発行、 978-4088927541)

第6巻

(2023-12-19発行、 978-4088928708)

第7巻

(2024-03-18発行、 978-4088931777)

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