復活した魔王と落ちぶれた勇者
勇者・マックスと仲間たちは冒険の果てに魔王を倒し、栄光を手にする。それから10年後に復活を果たした魔王は、かつて自分を倒したマックスに再戦を望むべく、彼のもとを訪れる。しかし、魔王が目にしたのはすっかり落ちぶれてニート中年化したマックスの姿だった。かつての凛々しい青年の姿は面影もなく、安アパートのワンルームで自堕落な生活を送っていたマックスに魔王は落胆するも、彼の奥底に秘めるものを感じ取った魔王は、マックスの部屋に住み着いて何かと面倒を見るようになり、魔族側への寝返りをうながす。
それぞれの道を選んだ勇者たち
自堕落な生活がたたり、見るも無残なおっさんに成り下がったマックスと違い、仲間たちはそれぞれの道を歩んでいた。戦士・レオは新たな仲間たちと共に、荒地を開墾する。そして魔鉱脈や温泉を発掘し、開拓地を大いに繁栄させる。しかし、王国上層部は莫大な利益に目がくらみ、レオたちが土地を不当に占拠していると言いがかりをつけ、彼らと対立する。レオたちは独立を勝ち取るため「ガンマ共和国」建国を宣言し、王国へのレジスタンス活動を始めていた。同じくマックスの仲間だった僧侶・フレッドは王国の要職に就いており、レオの問題にもかかわっていた。かつての仲間たちは10年のあいだに立場を変え、それぞれの正義を掲げた戦いが始まろうとしていた。
ニート勇者の憂鬱
落ちぶれた勇者のマックスだが、不摂生により全盛期には及ばないものの、その身体能力は未だ超人の域にあった。仲間たちが相争う中、マックスはそれぞれの陣営から勧誘されるものの、のらりくらりとその誘いをかわしていた。どちらかに肩入れして仲間同士の殺し合いに加担する状況に苦しみ、選択を先送りにしていたのだった。しかし、魔王との生活によって少しずつ考え方が変わっていき、マックスは自分なりのやり方で目を背け続けてきた問題に向き合うようになり、魔王との関係も大きく変化していく。
登場人物・キャラクター
マックス
かつて魔王を倒した勇者の男性。10年前は凛々しい青年だったが、現在はくたびれた中年男と化している。魔王を倒したあと、調子に乗りすぎて絵に描いたような転落人生を送ることとなる。貯金を切り崩しながら自堕落な生活を送っていたが、そこに復活した魔王がやって来て、紆余曲折の末、いっしょに生活することとなる。住んでいるのはこじんまりとしたごくふつうのアパートながら、実は部屋には女性の幽霊が取り憑いている。幽霊は時折マックスと魔王の生活を覗いているが、マックスはまったく気づいていない。
魔王 (まおう)
魔族を束ねる「魔王」。かつては筋骨隆々とした姿をしていた。激闘の果てに勇者の刃に敗れたが、勇者の力と魂を認め、彼の健闘を称えた。魔の眷属は七つの生を持つため、魔王は一度の死ならば復活することができる。そして勇者との再戦を望み、わずか10年で復活を果たした。しかし急いで復活したため、三つ目の角を生やした幼女と見紛う姿となり、力も往年のものには遠く及ばない。秘書のゼニアの趣味で、ふだんはセーラー服を身につけている。10年前に激戦を繰り広げた勇者が健在であることを知って驚喜し、そのテンションのまま彼のアパートにやって来るが、見る影もない落ちこぼれぶりに落胆する。しかし、かつての力がいまだ健在であることを知ると方針を転換し、彼を魔族にスカウトするため、アパートに居つくこととなる。家事が得意で意外に面倒見もよく、生活能力がまったくないマックスにとっては欠かせない存在となる。
書誌情報
Lv1魔王とワンルーム勇者 全11巻 芳文社〈芳文社コミックス〉
第1巻
(2020-03-02発行、 978-4832237216)
第7巻
(2022-10-03発行、 978-4832239463)
第8巻
(2023-07-03発行、 978-4832203051)
第9巻
(2023-08-01発行、 978-4832203136)
第10巻
(2024-02-01発行、 978-4832203617)
第11巻
(2024-07-01発行、 978-4832204133)