概要・あらすじ
魔王アーリマンは、魔界の頂点に君臨する最強の魔王。屈強な魔族たちを引き連れ、あらゆる世界を侵略し続けてきた。ところがある時、魔王はある悩みを抱え、侵略がピタリと止まってしまった。心配した側近のジャヒーが、その悩みを問い詰めたところ、それはまだ幼い魔王の娘、ドゥのことだった。彼女が優しすぎるというのだ。ドゥは、囚人の傷を治したり、奴隷の積荷を手伝ったり、川で流されていたトカゲを助けたりと、魔族にあるまじき振る舞いばかり。親として彼女が立派な魔族になれるかどうか心配で、侵略どころではないと魔王は言う。それを聞いたジャヒーは、ドゥを残虐非道の魔族に教育すると請け負う。幾千もの魔族を育ててきたジャヒーにとっては、魔王の娘の教育など造作もないこと。自信満々のジャヒーだったが、彼女の優しすぎるオーラは、凶悪な魔物すらほのぼのムードにしてしまうことに気づく。ドゥの力は「悪」そのものを破滅させかねない。ジャヒーは気を引き締め、ドゥに村の人間を脅し、食料を奪うという試練を与える。だが、野菜を売る店に向かったドゥは、店主のおばあさんに子供扱いされ、「はじめてのおつかい」状態。ジャヒーに教わった脅し文句を言うも、「魔族ごっこ」だとカンちがいされる始末だった。おばあさんは足が悪いため、あるだけのものを売って店を閉めようと考えていたため、「奪いにきた」というドゥに、お芋をあげることにした。するとドゥは魔法でおばあさんの足を治癒。そして、「これから毎日奪いに来るからずっと元気でいて」と笑顔で答えた。それを見ていたジャヒーは、脅して奪う方が効率的だとドゥを叱りつける。しかしドゥは「助け合ってももらえることがわかった」と返し、みんなを助ける魔族になりたいと明るく笑う。ドゥの予想外の行動とピュアな心に、ジャヒーは教育係としてやっていけるのだろうかと不安になるのであった。
登場人物・キャラクター
ドゥ
魔界の頂点に君臨する最強の魔王、アーリマンの幼い娘。大きな目と茶色のボブカットが特徴。二本の小さな角が生えている。囚人の傷を治すなど、困っている人を見ると放っておけない性格。度を越した優しさが、魔族としては欠点で、魔王の側近ジャヒーに英才教育を受けている。
アーリマン
魔界の頂点に君臨する最強の魔王。ドゥの父親。立派なあごひげ、口ひげ、二本の角が特徴。過保護で、娘のことになると目尻を下げ、フニャフニャになる。優しすぎる娘の将来が心配過ぎて、王としての責務を果たさず、世界侵略をストップしてしまう。
ジャヒー
魔王アーリマンの側近。金髪ロングヘアと、頭の左側に一本だけ生えた角が特徴の女性。魔王が世界侵略を止めてしまった原因が、「娘であるドゥが優しすぎる」ことにあると知り、ドゥの教育係を買って出る。数々の魔族を育て上げてきた自信から、ドゥに次々と試練を与える。しかし、ドゥの度を過ぎた優しさに振り回されて成功せず、毎回がっくりと肩を落とすことになる。
書誌情報
魔王の娘は優しすぎる!! 5巻 白泉社〈ヤングアニマルコミックス〉
第4巻
(2023-12-27発行、 978-4592164241)
第5巻
(2024-08-29発行、 978-4592164258)