概要・あらすじ
世界を相次いで巨大な災害が襲い、荒廃が進んだ21世紀。たびたび起きる大地震により壊滅した北の町は、大富豪富三郎が一帯を買占め、そのため復興が進まずにいた。そんな荒れた土地でホームレスや仔犬の命をもてあそんでいた若者たちが、仔犬を助けにきた少女・真利阿に襲い掛かる。しかし真利阿は魔獣と化し、一瞬のうちに若者たちを殺した。
富三郎に命じられ真利阿を迎えに来た伝造・奇造に、真利阿は自分はいったい何者なのかと問う。
登場人物・キャラクター
来留間 慎一 (くるま しんいち)
体内に無数の獣を取り込んだ魔獣の青年。実父・来留間源三によって実験体とされ、また母をも殺された過去を持ち、その復讐のため源三の命を狙う。前作『魔獣戦線』で、神の血を引く少女・マリアを食って取り込んだ後、11年間眠りについていた。
真利阿 (まりあ)
魔獣の力を持つ、記憶喪失の少女。富三郎に育てられており、彼からは両親の事故のあと記憶喪失になったのを引き取ったとだけ教えられている。マリアによく似た面差しを持つが、同一人物であるかどうかは不明。慎一の記憶の一部と、魔獣の能力、そしてマリア同様に神の血を持つ。ノアと血を交わらせることで神の目覚めを促すことから、来留間源三に狙われる。
富三郎 (とみさぶろう)
大富豪の小男。ケチで小心者。前作『魔獣戦線』で来留間慎一がマリアを取り込むところを目撃したが、次の瞬間、気付くとドヤ街に倒れていた。慎一が持つ魔獣のDNAを金づるにして会社を興し、大金持ちになるまでのし上がった。サラリーマン兵士を雇う民間軍事会社を秘密裏に組織している。後にこれを発展させた人民解放救援隊赤龍社を作る。
来留間 源三 (くるま げんぞう)
来留間慎一の実父。神を目覚めさせ、世界の再創造を目論む十三使徒のリーダー格。いわゆるマッドサイエンティストで、慎一を実験体として魔獣に変え、妻も実験の犠牲とした。神を目覚めさせるため、神の血を持つマリア(真利阿)の血を必要としている。また自らも魔獣と化しており、慎一に匹敵する力を持っている。
ノア
トンスラ型に剃髪している少年。常に来留間源三の傍にいる。真利阿の血を取り込むことで、神の目覚めを促すキーとなることができる。
マリア
超能力を持つ天外一族の娘で、神の血を受け継ぐ。彼女の死によってスイッチが入り、神の使徒である軍神イブとアダムが現れ、世界を大災害が襲った。来留間慎一に取り込まれ、彼の一部となる。
神 (かみ)
十三使徒をはじめとするある種の人々によって「神」と呼ばれる存在。地底深くに悠久の昔より動き続ける「神」のDNAを目覚めさせる装置があり、バベルの塔はその装置の上に作られている。
伝造・奇造
富三郎のボディガードをしているスキンヘッドの男性二人組。真利阿の面倒も見ている。来留間慎一の魔獣の力を移植されている。
オルニ
十三使徒によって作り出された魔獣の力を持つ戦士。バベルの塔の魔獣戦士たちのリーダー格。冷静な性格の青年。来留間慎一に対抗するため、生体融合で動かし、戦闘によって進化するメカ「ゴモラ0(ゼロ)」に乗り込む。
バット魔獣 (ばっとまじゅう)
十三使徒によって作り出された蝙蝠の力を持つ戦士。全身を無数の蝙蝠に変化させることができる。来留間慎一のDNA奪取のため、オルニ、プテラたちと共に富三郎のビルを襲撃する。
ビーム
十三使徒によって作り出された蜂の力を持つ戦士。蜂を操っての索敵を得意とする。蜂は生命反応を感知すると殺戮モードとなり相手に襲いかかる。ドヤ街に逃げた来留間慎一や富三郎たちを追う。
プテラ
十三使徒によって作り出された魔獣の力を持つ戦士。プテラノドンに変身することができる女性。武装ヘリを乗っ取り、バベルの塔に侵入しようとする来留間慎一に襲いかかる。
エラス
十三使徒によって作り出された魔獣の力を持つ戦士。バベルの塔に侵入した来留間慎一に襲いかかり、丸呑みにしようとするが、逆に中から食われ取り込まれてしまう。
集団・組織
十三使徒 (じゅうさんしと)
神の復活と、それによる世界の再創造を目論む科学者たちの組織。来留間源三をリーダー格としている。11年前の地球規模の災害以来、世界を裏から操り超自然の力や科学技術によって15回もの巨大地震を起こしている。神の装置の上にバベルの塔を建設した。
人民解放救援隊赤龍社 (じんみんかいほうきゅうえんたいせきりゅうしゃ)
富三郎が組織していた、民間軍事会社をバックボーンにした傭兵集団。十三使徒がバベルの塔から送り出し、人間たちを殺戮する魔獣戦士たちから難民を有料で守る。
場所
バベルの塔 (ばべるのとう)
十三使徒が神の復活のために建設した塔。地底三千メートル地点に、悠久の昔より存在する神のDNAを再生させる装置がある。一度魔獣と化した来留間慎一に上層部分を破壊された。