非日常×日常のシェアハウスコメディ
現代日本では「周期性例外事象」、通称「バグ」と呼ばれる現象が連日発生しており、世界中のさまざまな場所で非日常的な事象が日常的に起こり、人々を大混乱に陥らせている。そんな状況の中でも好奇心旺盛な綿矢紺と、紺が暮らすシェアハウスの大家で大学教授の姫崎かさねは、周囲の人たちと協力してバグと共存しながらしたたかに暮らしていた。紺とかさねをはじめとする、シェアハウスの住人たちのにぎやかで不思議な共同生活が、SFやコメディを交えて展開される。エピソードごとに起こるバグの内容や影響は千差万別で、バグに右往左往したり、心躍らせたりする人々の姿が見どころとなっている。
不思議なバグと生きる日常
ほぼ毎日のように起きる「周期性例外事象」は、「室内外問わず植物が伸びてくる」「人間が空中散歩できるようになる」「ツチノコのような想像上の生物が出現する」「人の視覚が左右反転する」など多岐にわたり、一般的には「バグ」と呼ばれている。バグは数日から数週間続くこともあり、終わると次のバグが発生する。その内容や影響、周期も多種多様で、バグに対応するために政府には専用省庁の「例外庁」、各地の役所には「例外課」が設置されている。学校でもバグの予報や発表がされるため、一般人にとってもバグの存在は身近なものになりつつあり、冷静に対応したり面白がったりする人も存在する。バグによって生じた生き物や物質などは基本的にバグの終了と同時に消失するが、まれに「残留物」としてそのまま残存することもある。
とある秘密を抱えた中学生
主人公の紺は一見ふつうの中学生ながら、ある秘密を抱えている。紺は2か月ほど前にバグによって発生した人間であり、バグが消失したあとも残留物としてこの世界に残り続けていた。日常生活の中で自分の存在に違和感を覚えるようになった紺は、唯一彼の秘密を知るかさねから、バグで生まれた存在だと告げられる。かさねはバグの研究者でありながら、バグの影響を受けないという特異体質の持ち主だった。かさね以外の周囲の人々の認識を、無意識に書き換えていると自覚した紺は苦悩するが、唯一認識を書き換えられていないかさねに励まされる。そして紺は、シェアハウスメートたちと共にこれまでと変わらない生活を送りつつ、かさねの助手を務めることになる。その後も発生し続けるさまざまなバグに振り回されながらも、紺の秘密に気づいた人物が現れたことで、事態は急変する。
登場人物・キャラクター
綿矢 紺 (わたや こん)
生真面目で好奇心旺盛な性格の中学2年生の男子。黒のツンツンヘアで、小柄な体型をしている。両親の知り合いの娘で大学教授の姫崎かさねが管理するシェアハウスで暮らしている。明朗快活ながら子供っぽい一面があり、周期性例外事象(バグ)の調査をする一方、クラスメートと共にバグで遊ぶこともある。一見ふつうの少年に見えるが、実は数か月前にバグによって生まれた人間であり、家族も存在しない。過去の記憶の一部は曖昧で、違和感を覚えた頃にかさねからバグの残留物であることを知らされる。かさね以外の人間の認識を無意識に書き換えることで周囲に溶け込んでいるが、人を騙しているような罪悪感や葛藤を抱いており、かさねに励まされて彼女の助手になることを決意する。それからはかさねの研究に同行する機会が増え、自由奔放な彼女に振り回されることも多い。バグによって発生した人間であることは、かさね以外には秘密にしている。
姫崎 かさね (ひめさき かさね)
綿矢紺が住むシェアハウスの大家を務める女性。父親の影響で大学では周期性例外事象(バグ)の研究をしている。赤のロングヘアで、シェアハウスの住人たちや町の人々から慕われている。どんな状況でも明るくひょうひょうとした態度で、好奇心や探求心が非常に強い。実はバグの影響を受けない特異体質で、バグが発生しても自由に行動できることを便利に思う一方で、バグを実体験できないことに一抹の寂しさを覚えている。紺がシェアハウスに現れた初日に、彼がバグによって発生した特殊な人間だと見抜き、バグの消失後も彼の秘密を周囲には隠したままで、違和感を感じていた紺本人にその旨を伝えた。その後も紺を励ましつつ、両親がいない彼の家賃や生活費を肩代わりする代わりに助手になるように依頼し、たびたびバグの調査に連れ回している。
書誌情報
神さまがまちガえる 全4巻 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉
第1巻
(2022-05-27発行、 978-4049144352)
第2巻
(2022-11-25発行、 978-4049147216)
第3巻
(2023-06-27発行、 978-4049151008)
第4巻
(2024-01-26発行、 978-4049154894)