こもれ陽の下で…

こもれ陽の下で…

花や木々など植物を題材にしたSF作品。作者の北条司は、「植物の美しさに気づいていない人に読んで欲しい」という思いをこの作品に込めている。「週刊少年ジャンプ」平成5年31号から平成6年5・6号で連載された。

正式名称
こもれ陽の下で…
ふりがな
こもれびのもとで
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

西九条紗羅西九条隼人は、トレーラーハウスで各地を移動しながら花屋を営む親子。そんな紗羅たちが新しく店を構えようとした場所では、立っていた立派なエゴノキを伐り倒すため、今まさに北崎達也がノコギリを構えたところであった。その場面を目撃した紗羅は、激怒して達也につめよる。初対面ではお互いに最悪の印象を与えた紗羅と達也だったが、2人は植物に関わる出来事により友好を深めていくこととなる。

登場人物・キャラクター

西九条 紗羅 (にしくじょう さら)

トレーラーハウスで各地を転々としながら、移動先で花屋を営む少女。外見は10歳前後の小学生だが、体が成長しない状態になっていて実年齢はもっと上。そのため精神面は大人と変わらない。また植物と心を通わす特殊な能力があり、植物や植物に関わる人の気持ちなどを確認できる。普段は父親の西九条隼人の言いつけで小学校に通っているものの、サボることが多い。

北崎 達也 (きたざき たつや)

市立泉台小学校4年3組に通う少年で、西九条紗羅のクラスメイト。妹である北崎さつきの怪我の原因となったエゴノキを伐ろうとしたところ、邪魔されたことで紗羅と知り合う。最初は植物に人間と同じ心や感情があることを信じていなかったが、紗羅が植物と心を通わす場面を見て認識を改める。妹を想う優しい兄であるが、少しシスターコンプレックス気味。 自分の持ち物には名前をしっかりと書く几帳面な性格をしている。

北崎 さつき (きたざき さつき)

北崎達也の妹。登ったエゴノキから落下した時に負った怪我が原因で歩けなくなる。そのことで達也はエゴノキを伐ろうとした。実際は落下した時にエゴノキの枝がなければ、さつきは道路に叩き付けられもっとひどい怪我をしていた。医者からは「再び歩けるようになるのは絶望的」と宣告されても、自分を守ってくれたエゴノキに勇気づけられてリハビリを始める。

西九条 隼人 (にしくじょう はやと)

西九条紗羅の父親で、フラワーショップ「こもれび」の店主。スキンヘッドと髭にサングラスと強面のうえに、体型は大柄。そのため初対面の人間には必ず悲鳴を上げて逃げられてしまい、客が西九条隼人に慣れるまで1か月かかる。ちなみに素顔になると普段以上に怖い見た目になる。性格は外見とは反対に穏やかで、体の成長が止まった紗羅を優しく見守っている。 桜井真樹とは10年前に会っているが隼人はそのことを忘れており、初対面と思っている桜井が自分と普通に接してくれたことに感涙する。

大城 玄一郎 (おおき げんいちろう)

市立泉台小学校で図画工作を教える32歳の男性教師。北崎達也と同じマンションに住む。少女の美を追求する趣味があり、美少女を撮っている。自室には大量の写真を年代やクラスごとにファイリングしている。7年前に築田小学校に勤務している時に西九条紗羅と出会っており、紗羅の不思議な魅力により少女の美を追求する趣味に目覚める。 大人の女性は苦手。

小西 (こにし)

市立泉台小学校に通う女生徒。学校の花壇にたくさんの花を植えて1人で育てている。園芸の腕は西九条紗羅も認めるほど高い。いじめられていたところを助けてくれた北崎達也のことが好きで、達也の好きな花のタマスダレを花壇いっぱいに植えている。

鹿島 みずき (かしま みずき)

喫茶店「花ことば」の店主で、多数の独身男性に人気がある美女。西九条隼人の花に対する心遣いを聞いて、フラワーショップ「こもれび」の常連となる。

梶原 和紀 (かじわら かずき)

北崎さつきがリハビリセンターで知り合った少年。自身も歩けるようにつらいリハビリをしている身でありながら、1人で心細かったさつきを励ます。常に笑顔を絶やさない頑張り屋で、さつきからは好意を持たれている。

桜井 真樹 (さくらい まさき)

西九条紗羅や北崎達也のいる4年3組に来た教育実習生。10年前に紗羅に出会い、その時に紗羅の特殊な力で実家の桜や自分の命を救ってもらった過去を持つ。その経験で植物の心に興味を持ち、友人に変人扱いされながらも大学では研究を続け、植物の素晴らしさを教えるために教師を目指している。

志垣 岳彦 (しがき たけひこ)

市立泉台小学校に通っていた男子生徒で、祖父である志垣治五郎の仕事の関係で長野の学校に転校している。育つ見込みのないシイノキの若木を励まし、見事な葉が茂るまで育てた優しい心の持ち主。転校した先で倉田や治五郎が所有する森を狙う人間に誘拐されてしまう。

志垣 治五郎 (しがき ごろう)

志垣岳彦の祖父で、「山林王」とも呼ばれる。森林を伐採して宅地などを作ることを第一に考えており、その結果発生した土砂崩れで自分の息子夫婦を死亡させてしまう。その後は自然維持に努め、両親を失った岳彦の幸せだけを考えて生きてきた。そのため、山を切り開いて一大レジャー施設を作る会社に対して自分が持つ山を売ることを拒み続けている。

倉田 (くらた)

志垣治五郎の秘書のような存在。開発会社の人間と共謀して志垣岳彦の誘拐を企み、身代金を持って1人で逃亡しようとする。しかし逃げ出した直後に土砂崩れに飲み込まれる。

鬼塚 (おにづか)

大学病院の医者。最愛の娘「結女」を放火で亡くした原因が、仕事に没頭する自分にあったと思い込み、仕事を投げ出し周囲との関わりも断って、娘が好きだったコルチカムを育てるだけの生活を送っている。そのため小学生の間では「人殺し」や「夜な夜な手術用のメスを持って歩き回っている」という根も葉もない噂が広がる。

谷口 梨花 (たにぐち りか)

大城玄一郎が毎朝写真コンクールで佳作を受賞した写真を見て、大城に弟子入り、そして求婚してきた女子大生。芸大で写真を専攻しており、カメラマンを目指している。大城のために弁当を作ってきたり、部屋に押しかけるなど積極的な性格。ただし料理すれば食材は黒コゲ、片付けをすれば皿を落として割るなど家事は苦手。

エゴノキ

西九条紗羅と西九条隼人の店が現在ある空き地に立つ大きな木。空き地で遊ぶ子供たちを優しい気持ちで見守り、北崎さつきが落下した時も枝を使って被害が抑えられるように必死に守る。

タマスダレ

小西が学校の花壇で育てている花の一種。普通なら花壇の縁どりや前付けにされて、他の花の引き立て役にされやすい。小西は、北崎達也がタマスダレを好きという理由で花壇一杯に植えている。

クスノキ

市立泉台小学校の裏にある墓地の中心にある巨木。登った人間は祟られて死亡するという噂がある。普通の人間でも感じ取れるくらいの非常に強力な念を出して、人を拒絶し続けている。

光る花 (ひかるはな)

「見た人は幸せになれる」「どんな願いもかなう」と言われている花。北崎達也と北崎さつきは祖母から光る花のことを教えてもらう。

シイノキの若木 (しいのきのわかぎ)

志垣治五郎の屋敷に植えてある若木。育つ見込みのない状態だったが、志垣岳彦が丹精込めて育てた結果、立派な葉が茂るまでに回復する。自分を救ってくれた岳彦に感謝と好意を持つ。

コルチカム

鬼塚の娘である「結女」が好きだった花。結女を亡くして悲しみ続ける鬼塚の心を癒したいと思っている。

カンヒザクラ

市立泉台小学校の20年前の卒業生が記念植樹した桜。卒業生の2人がこのカンヒザクラを友情の印としていることを知った北崎達也は、自分と西九条紗羅の友情の木になれる願いを込めて、クラスの木としての植樹を提案する。

SHARE
EC
Amazon
logo