概要・あらすじ
県立東雲高校で注目を浴びる科学少年、水原誠は文化祭に向けた実験装置の製作に打ち込んでいた。しかし水原誠の失脚を目論む陣内克彦が装置を誤作動させようとした結果、暴走した装置が発生させた次元の穴に引き込まれてしまい、校内にいた水原誠と陣内克彦、陣内菜々美、藤沢真理の4人は突如異世界エルハザードへと迷い込む。
水原誠はそこで王女ルーン・ヴェーナスと出会い、元の世界に戻る方法を探しつつ、その世界に住む人類と昆虫型種族バグロムとの抗争に関わっていく。
登場人物・キャラクター
水原 誠 (みずはら まこと)
科学に情熱を注ぐ少年。県立東雲高校の3年生。頭脳明晰で身体能力も高く、人当たりも良い人気者だが、それを妬む陣内克彦からは目の敵にされている。文化祭で科学クラブの研究発表として実験装置を製作していたが、事故を仕立て上げようとする陣内克彦に装置を暴走させられた結果、次元の穴が発生してしまい、周囲の者を巻き込んで異世界エルハザードに引き込まれる。 そこで出会ったロシュタリア王女ルーン・ヴェーナス等の協力を得、元の世界へと帰るための方法を探す。 幼少時に関西地方に住んでいたため、関西弁混じりの言葉を話す。
ルーン・ヴェーナス
地球とは次元の異なる世界エルハザードで人間達の暮らす同盟国家群の盟主国ロシュタリアを治める王女。17歳。国王と王妃であった両親が既に他界しているため同国の元首にして実質的にエルハザード人類の統率者であり、民からの人望も厚いが、早くに両親を亡くした事もあって実際には心の内に寂しさを隠している。 地球から次元を越えてエルハザードに迷い込んできた水原誠達を王宮に迎え入れ、やがて彼の人柄に惹かれていく。 王家のみに伝わる力で古代文明の遺産を操る事ができる。
陣内 克彦 (じんない かつひこ)
県立東雲高校の3年生。昔から何事においても自分より優秀な幼馴染の水原誠を妬み続けた結果、性格が歪んでおり、どんな場所においても常に「支配者」になる事を夢見る。高校では不正な手段を通じて生徒会長となり、水原誠達と共に迷い込んだ異世界エルハザードではその世界に住む昆虫型種族バグロムを従えて人間領に攻め込み、エルハザードの征服を目指す。 目的のためにはあらゆる卑怯な手を使い、高笑いを欠かさない。 妹の陣内菜々美とは犬猿の仲。
陣内 菜々美 (じんない ななみ)
県立東雲高校の2年生。陣内克彦の妹。料理が上手で、なおかつ商魂たくましい性格のため高校では手作り弁当の手売りに精を出していた。幼馴染の水原誠達と共に迷い込んだ異世界エルハザードでもその腕を活かして身を立てる。 小学2年生の時に引っ越してきた水原誠と仲が良いが、彼が鈍い性格な事もあって中々それ以上の関係に踏み出せない。変人の兄とは犬猿の仲。
藤沢 真理 (ふじさわ まさみち)
県立東雲高校の歴史教師。31歳。部員のいない登山部の顧問を務める大の山好きで、酒豪。教え子の水原誠達と共に異世界エルハザードに迷い込む。次元を越えた影響で体に変化が起き、秒速50mで走れるほどの怪力を手に入れたが、その力は酒を飲んだ途端に失われてしまい、アルコールが抜けるまで戻らない。 色恋沙汰はめっぽう苦手だがいざという時には熱い昔気質な男。
アレーレ・レレライル
エルハザードの同盟国家群の盟主国ロシュタリアの王宮に仕える侍女。15歳。地球から次元を越えてエルハザードに迷い込み、元の世界に帰る方法を探す水原誠達の旅の案内役となる。幼い外見とは裏腹に博識でしっかり者。 人懐っこい性格だが、特に陣内菜々美やシェーラ・シェーラなど年上の若い美女には目がなく、異様に積極的になる。
シェーラ・シェーラ
エルハザードにおける全ての神官の頂点に立つ三人の大神官の一人、炎の大神官。19歳。炎を操る歴代の大神官の中でも最強と謳われる使い手。異世界の住人だがなぜか江戸っ子口調で男勝りな性格。 地球からエルハザードに迷い込み、元の世界に帰る方法を探して神殿を訪ねてきた水原誠に助けられた事から、彼にほのかな思いを抱く。風の大神官のアフラ・マーンとは修道院時代からのライバルで、喧嘩仲間。
ミーズ・ミシュタル
エルハザードにおける全ての神官の頂点に立つ三人の大神官の一人、水の大神官。29歳。水を操る力を持ち、ロシュタリア王国の水資源管理も担っている。地球からエルハザードに迷い込んできた水原誠達が元の世界に帰る方法を探して神殿を訪ねてくる。 仕事に追われて行き遅れている事を気にしており、水原誠と共に来た教師の藤沢真理を運命の相手と信じて熱烈に迫る。
アフラ・マーン
エルハザードにおける全ての神官の頂点に立つ三人の大神官の一人、風の大神官。18歳。風を操る力を持ち、空を飛ぶ事も可能。地球からエルハザードに迷い込んできた水原誠達が元の世界に帰る方法を探して神殿を訪ねてくる。 異世界の住民だがなぜか京都弁を話し、知性派でマイペースな性格。炎の大神官のシェーラ・シェーラとは修道院時代からのライバルで、喧嘩仲間。
ディーバ
エルハザードにおいて人間と対立する昆虫型種族バグロムの女王。バグロムの中では唯一人間に近い容姿をしている。地球からエルハザードに迷い込んできた所を捕獲した陣内克彦に逆にバグロム軍を掌握されてしまうが、それまで力だけの集団だったバグロムに知謀を授けた彼をむしろ歓迎して受け入れ、共にエルハザード征服を目指す。 陣内克彦と同じく高笑いを得意とするが、人柄は比較的穏やかで、あまり物事を深く考えない性格。
イフリータ
エルハザードの古代戦争において全てを滅ぼすべく造られた魔人と言われる女性型の兵器。古代文明が姿を消した現在のエルハザードでは聖地チャップイ・チャップイに封印されていたが、稀に見る異常気象により封印が解除される。 地球からエルハザードに迷い込み、その征服を目指す陣内克彦の手に渡るが、永い眠りの間に頭部のネジが緩んでおり、ドジで純真無垢な性格となっている。戦闘能力自体は絶大だが緊張に弱いため、肝心な時に役に立たない。 起き抜けの立ち上がりが悪い。
ウーラ
地球の猫に似た外見を持つ、異世界エルハザードの猫。人語を話す事ができる他、人間の体に巻きついて防御、攻撃、走行能力を併せ持ったプロテクターになる事も出来る。初登場時は野生だったが、怪我をしていた所を水原誠に助けられ、ルーン・ヴェーナスによって動物の神の名を付けられる。
ロンズ
エルハザードにおける同盟国家群の盟主国ロシュタリアの王宮の侍従長。48歳。両親を早くに亡くした王女ルーン・ヴェーナスの護衛及び教育役でもあった。地球から次元を越えてエルハザードに迷い込みルーン・ヴェーナスと出会ったという水原誠達の素性を疑い、怪しむ。
ストレルバウ
エルハザードにおける同盟国家群の盟主国ロシュタリア王宮の王室学術顧問。72歳。天文学や考古学など、あらゆる学問に精通した科学者。地球から次元を越えてエルハザードに迷い込み、元の世界に帰る方法を探す水原誠の良きアドバイス役となる。 老いてなお知的好奇心は旺盛。
バグロム
『神秘の世界エルハザード』に登場する生物。エルハザードに生息する昆虫のような生物。聖大河を挟んで対岸に住む人類とは遥か昔から対立している。女王ディーバが統率していたが、地球からエルハザードに迷い込んできた陣内克彦が知謀を授け、共に人間領に攻め込む。 地球の昆虫と同じサイズのものから非常に大型のものまで多種多様に存在し、力の強い者も多いが知能は低い。陣内克彦によって個々に名前が付けられており、彼の最も忠実な側近がカツオ、その他マスオ、ナミヘイ、ノリスケ、イクラ、ワカメなどがいる。
場所
エルハザード
『神秘の世界エルハザード』に登場する世界。水原誠達が地球から次元の穴を通じて迷い込んできた異世界。聖大河を境に、人間の暮らす領地と昆虫型種族バグロムの支配する領地に分かれている聖なる大地。 人間達の同盟諸国を統括するロシュタリア王国は、地球の中近東に似た文化様式を持っている。現在よりも遥かに高度な文明が太古に栄えていたが、兵器などを含む古代遺産を遺して消失しており、ロシュタリア王家がその子孫として古代遺産を動かす力を代々受け継いでいるほか、神官の持つ力にも古代の技術が利用されている。