華々しい業界の裏側を描いたサスペンス
武道館ライブも決まっていた実力派グループ「りりかるトリック(りりトリ)」のセンター・真宮アリカが失踪してから1年後が物語の始まり。熱狂的なアリカファンが犯人だという推測から、ファンとの交流を自粛していた「りりトリ」は、1年ぶりに接触イベントを解禁。さらに、延期していた第3期新メンバーオーディションの再開を発表する。オーディションの最終候補は6名。その中で異彩を放っていたのは、ぶっきらぼうな金髪少女・宮嶋ナナだった。アリカがドルオタにさらわれたと決めつける「りりトリ」のメンバーに、ナナは「犯人はファンではなく身近にいるのではないか」と疑問をぶつける。実は、ナナはアリカの中学時代の親友であり、アリカ失踪の謎を内部から探るため、素性を隠してオーディションに参加していたのだ。本作は、華々しい業界の裏側を舞台にした、謎解きと緊張感が大きな魅力となっている。
ナナを助けるドルオタ3人衆
まったくアイドルに向いていないナナの味方になっているのが、「ドルオタ3人衆」。ドルオタ歴23年の盛田厚郎、お金持ちでアリカのトップオタ・山本宗之、SNSに強い20代の高橋の3人で、ナナとはアリカ推し仲間である。1年前、アリカのファン限定ブログに「うらぎりたすけて」という隠されたメッセージを見つけたナナたちは、アリカと運営側のトラブルの可能性を訴えるが、警察は相手にしてくれなかった。そこでナナは、「りりトリ」に近づき、事件の真相を探る決意をした。第3期オーディションの最終候補6名の中で、新メンバーになれるのは上位3名だけである。ドルオタ3人衆は、まずはナナを正規メンバーに推し上げるために活動を開始する。
アイドルの魅力と成長を描く
メンバーオーディションは、候補生の自己紹介動画アップから始まり、「審査ライブ」へと続く。審査ライブは、2週間後と3か月後の計2回。審査ライブでの観客投票とライブ配信のオンライン投票、特設サイトで行われる人気投票の順位を総合して、上位3名の正規メンバー昇格が決まる。SNSを駆使して人気を獲得していく他メンバーにくらべ、ヤンキー体質のナナは、後れを取ってしまう。さらに、候補生の一人の策略でファンに嫌われ、執拗な嫌がらせにナナは心が折れかける。しかし、盛田たちの捨て身の応援に応え、圧倒的な存在感で観客を魅了した。本作は、アリカの失踪の謎を追うミステリーだが、音痴でぶっきらぼうのナナが、アリカが人生をかけたアイドルという職業の魅力を知り、成長していく物語でもある。
登場人物・キャラクター
宮嶋 ナナ (みやじま なな)
金髪で無愛想な少女。大分県出身。「りりかるトリック(りりトリ)」の元センター・真宮アリカとは中学時代の親友。正反対な性格ながら、なぜか馬が合い、アリカの歌と踊りの練習をいつもビデオ撮影していた。1年前、突然失踪してしまったアリカのことを調べるため、「りりトリ」の第3期メンバーオーディションに参加。同じアリカ推しの仲間「ドルオタ3人衆」の協力を得て、正規メンバーを目指す。ダンスは上々だが歌が致命的にヘタ。
真宮 アリカ (まみや ありか)
天性のカリスマ性を持つアイドルの少女。大分県出身で、宮嶋ナナは中学時代の親友。4年前に結成された地下アイドル的な存在だった「りりかるトリック(りりトリ)」の1期生。地道な営業を経て、次第に注目される存在となった「りりトリ」の中でも強烈なパフォーマンスでファンを魅了し、センターの地位を得た。1年前に失踪してしまい、現在もその行方はわからない。
クレジット
- 原作
書誌情報
私のアリカ 6巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2023-04-06発行、978-4065314319)
第2巻
(2023-07-06発行、978-4065323441)
第3巻
(2023-10-05発行、978-4065333884)
第4巻
(2024-01-09発行、978-4065343067)
第5巻
(2024-05-07発行、978-4065352588)
第6巻
(2024-10-18発行、978-4065368879)







