ダメドルと世界に1人だけのファン

本作のヒロインは、売れない地下アイドルの「うるみん」。歌もダンスもパフォーマンスも苦手なポンコツアイドルだが、そんな彼女を熱烈に応援する唯一のファンが君也。そんな二人に、交流を通じて恋が芽生えていく様子をテンポのよいショートギャグ形式で描いた日常ラブコメディ。特定のアイドルを応援する「推し活」にまつわるあるあるネタも盛り込まれており、アイドルオタクなら思わずニヤリとする小ネタや専門用語が随所に散りばめられている。

マイナーな地下アイドルユニット「めりー☆ゆにばーす」のメンバー、うるみん。歌もダンスも苦手なうえに、ひねくれた性格が災いして、努力しても空回りばかりの“ダメドル”。そんな彼女を世界でただ一人、君也だけが熱狂的に応援していた。彼はうるみんの欠点さえも「それが魅力だ」とすべて肯定する、少し変わった人物である。ダメアイドルと唯一のファンという奇妙な関係の二人は、握手会などのイベントを通じて交流を重ね、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも、次第に親しくなっていく。

相変わらずダメダメなアイドルのうるみんと君也のあいだには、穏やかな日常が流れていた。しかし、その平和な日々は、うるみんを執拗に狙う迷惑なストーカーの出現によって一変する。事態を察知し警戒していた君也は、うるみんを絶体絶命の危機から守り抜く。この出来事をきっかけに、うるみんは君也に特別な感情を抱き始める。ポンコツながらも一生懸命努力するうるみんの姿は、時にコミカルに、時に愛おしく描かれ、読者の応援したい気持ちを掻き立てる。本当は素直になりたいのに不器用なうるみんと、あくまでファンの立場を守ろうとする鈍感な君也とのあいだで生まれるすれ違いやコミカルな掛け合いが見どころとなっている。物語が進むにつれて、個性豊かなユニットメンバーなど、新たなアイドルたちが次々と登場し、二人の日常はさらににぎやかになっていく。