ヴァンパイアとアイドルが織りなすダークファンタジー
本作は「ヴァンパイア×アイドル」という異色のテーマを掲げたダークファンタジー。人間社会に潜み、人々を襲うヴァンパイアの存在は一般にもある程度知られており、芸能界では彼らを利用した巨大な陰謀が水面下で進行している。ある出来事をきっかけにヴァンパイアとなってしまった主人公の滾は、その秘密を抱えながらアイドル活動を続け、華やかな世界の裏に潜む闇に立ち向かっていく。物語はシリアスなサスペンスとコミカルな日常シーンを織り交ぜて展開される。
ヴァンパイア化と目覚める快感
我慢することに快感を見出す滾は、メンバーの翔や爆流と共に地下アイドルユニット「バンフレイム」として活動していた。彼らは念願の初ワンマンライブを開催し、ライブの中盤で滾が得意の客席ダイブを披露すると、ファンを装った者たちに囲まれ、全身を噛まれてしまう。彼らの正体は人の生き血を吸うヴァンパイアであり、その影響で滾の体はヴァンパイアと化してしまう。この事実をプロデューサーの神楽翼に知られた滾は、彼女に噛みつこうとするが、必死に吸血衝動を抑えることで、これまでにない快感に目覚める。こうして滾はヴァンパイアになったことを隠しつつ、吸血衝動を新たな快感へと昇華させ、翼のサポートを受けながらアイドル活動を続けていく。しかし、ヴァンパイア化によって得た超人的な身体能力は、同時に多くの危険性を孕(はら)む諸刃(もろは)の剣でもあった。
ヴァンパイア・アイドルとして生きていく
滾は、メンバーに心配をかけまいと、自分がヴァンパイアであることを隠しながらアイドル活動を続けていた。しかし、彼を襲ったヴァンパイアの謎や、自分を貶(おとし)めようとする何者かの陰謀はまだ解明されていない。そんな中、滾たちは敏腕プロデューサーの翼に強い執着を持つアイドル、愛洲氷嗎と出会い、彼の圧倒的なライブパフォーマンスに衝撃を受ける。氷嗎からの呼び出しに応じた滾がそこで目にしたのは、信じがたい光景だった。この出会いをきっかけに、ライバルである氷嗎の存在や芸能界の裏に潜む闇が、ヴァンパイア・アイドルとして生きる滾の運命に大きな影響を及ぼしていく。
登場人物・キャラクター
血潮 滾 (ちしお たぎる)
地下アイドルユニット「バンフレイム」に所属する青年。銀色の髪と赤い瞳が印象的なイケメンで、我慢することに快感を覚えるという独特な性癖を持つ。初のワンマンライブ中、何者かの策略に嵌(は)められ、客席へダイブした際に観客から全身を噛まれ、ヴァンパイア化してしまうが、医師からは健康と診断されている。その事実はメンバーにも隠しているため、滾がヴァンパイアであることを知るのは、プロデューサーの翼をはじめ、ごく一部の関係者だけである。
愛洲 氷嗎 (あいず ひょうま)
人気アイドルユニット「アイシング」のリーダーを務める青年。地下アイドルユニット「バンフレイム」のメンバーである滾の才能に惚れ込む翼に対して強い執着心を抱いている。歌唱力、パフォーマンス共に卓越しており、その実力は「バンフレイム」を遥かに凌駕している。得意技は、ピースサインで自分の目を指したあと、すかさず人差し指でファンの心を射抜く「ICE-ROCK-ON」。滾と出会った当初からその才能に驚嘆すると同時に、自身の地位を脅かす存在として強い危機感を抱いている。
神楽 翼 (かぐら つばさ)
地下アイドルユニット「バンフレイム」の敏腕プロデューサーの女性。黒髪のショートヘアで、抜群のスタイルを誇る巨乳の美女。かつてオーディションに落選したものの、ひたむきに努力を続ける滾に唯一無二の可能性を見出し、彼をセンターに据えて「バンフレイム」を結成した。滾の才能と将来性に深く惚れ込み、「限界オタク」を自称するほど心酔している。滾がヴァンパイアであることを知りながらも、献身的に彼を支え続けている。







