人魚と少女の奇妙な絆
八百歳比名子は、6歳の頃に家族を事故で亡くして以来、死を夢見て生きてきた。生きる希望を失い、ただ死を願う比名子を、いつも笑顔で励ます親友の社美胡。そんな美胡の支えを受けながら日々を過ごす中で、比名子は自分の血肉を狙う妖怪たちの存在を知る。ある日、比名子はそんな妖怪たちから守ってくれる人魚の少女・近江汐莉と出会う。深海からやってきたという汐莉は、人間とは異なる独特の雰囲気を持つ少女だった。比名子は「食べるつもりなら、すぐにでも食べてほしい」と願うが、汐莉は「比名子が一番おいしくなる瞬間まで育てたい」と語り、比名子たちの通う高校に転入してくる。
妖怪たちを惹きつける比名子の血肉
比名子はもともと、ごくふつうの人間であり、一人で外出しても妖怪たちに狙われたり襲われたりすることはなかった。しかし、比名子を生まれた時から見守り続けてきた美胡によれば、八百歳一家が事故に遭った日から、比名子の血肉は急激に変化したという。さらに、比名子の血肉の魅力は年々増しており、それに伴って比名子を狙う妖怪も増加の一途をたどっている。しかし、比名子の血肉が急変した理由については、美胡にもわかっていない。
汐莉が比名子に執着する本当の理由
高校の部活動で合宿に行った際、比名子はある妖怪に襲われる。その際、比名子はかつて近江汐莉から血をもらったことがあるという事実を知る。さらに、妖怪が「自分の血が混じった人間などまずくて食べられたものじゃない」と発言したことから、比名子は、汐莉が自分を食べるために育てているのではないかと疑問を抱き、彼女への信頼が揺らぎ始める。汐莉がなんのために比名子に執着し、ほかの妖怪たちから彼女を守っているのかが、物語を通しての大きな謎となっている。
登場人物・キャラクター
八百歳 比名子 (やおとせ ひなこ)
妖怪を惹きつける特異な血肉を持つ女子高校生。明るい茶髪をショートボブヘアにしている。6歳の時に、初めての家族旅行からの帰り道で事故に遭い、両親と兄を失う。家族の最期の願いは「生きて」というものであったため、八百歳比名子自身は死を望む気持ちを抱えながらも「死にたい」とは口にできず、無気力な日々を送っていた。そんな中、近江汐莉と出会い、彼女に自分の血肉を食べてもらうという新たな希望を見いだすようになる。また、幼い頃から支えてくれた親友の社美胡が、実は家族で詣でていた土地神兼妖怪であることには気づいていない。
近江 汐莉 (おうみ しおり)
八百歳比名子を食べようとしている人魚の少女。黒いロングヘアと、海のように深い青い目を持つ。ふだんは敬語を使って話すが、それはあくまで表面的なものであり、下等な妖怪に対しては露骨に見下す態度を見せるなど、その内面には冷酷さが潜んでいる。比名子や社美胡が通う高校に転入し、ほかの妖怪が比名子を傷つけようとするのを防ぎ、ひそかに彼女を護衛している。美胡とは比名子を守るという共通の目的を持ちながらも、考え方の違いからつねに牽制し合う関係にある。比名子は近江汐莉の優しさに触れ、徐々に友情を感じ始めるが、汐莉は比名子の気持ちを優しくも冷たく拒絶している。
書誌情報
私を喰べたい、ひとでなし 11巻 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉
第1巻
(2021-02-27発行、978-4049136586)
第2巻
(2021-06-25発行、978-4049138733)
第3巻
(2021-11-27発行、978-4049140798)
第4巻
(2022-05-27発行、978-4049144291)
第5巻
(2022-09-26発行、978-4049146066)
第6巻
(2023-03-27発行、978-4049149470)
第7巻
(2023-08-25発行、978-4049151961)
第8巻
(2024-02-26発行、978-4049155310)
第9巻
(2024-10-25発行、978-4049160659)
第10巻
(2025-05-27発行、978-4049164954)
第11巻
(2025-10-27発行、978-4049167436)







