女子高校生たちの残酷なスクールカースト
思春期において同性同士の無意識な格付けはどこの学校にも存在するが、本作は女子校ならではの嫉妬と羨望、本音と建前が交錯するスクールカーストをテーマにしている。容姿端麗でワガママながらスクールカーストのトップに君臨する高瀬理亜と、そんな理亜にあこがれを抱いている取り巻きの一人で冴えないクラスメート・小田嶋美優が主人公。また、八方美人な態度でグループ内で優位に立とうとする者や、スクールカースト上位の者にひたすら媚びへつらう者など、「女子校あるある」のエピソードやリアルなキャラクターたちが登場する。
スクールカーストの最上位から最底辺へ
楠波女子学園の2年3組の中心人物である理亜は、容姿端麗でスタイル抜群のために校内でもあこがれの存在で、女王様気質もあって中学時代からスクールカーストのトップに君臨していた。美優もそんな理亜にあこがれ、自らパシリを買って出ていたが、ある出来事が発端となって二人が衝突し、理亜は美優にケガを負わせてしまう。それをきっかけに、一斉に理亜の自己中心的な態度がクラスメートから非難され、スクールカーストの最底辺に落ちることになる。
思春期ならではの葛藤
スクールカーストの上位になった女子生徒たちは、最初は優越感に満たされる。しかし些細なことで非難されたり、誰からも注目されなくなったり、スクールカーストの下位の女子生徒から追い落とされたりするのではないかという、恐怖に駆られていく。また、本作はどこにでもいるふつうの女子高生たちが主人公で、際立った悪人も善人も登場しない。思春期ならではの閉じられた空間で効力を発揮するスクールカーストという序列の中で、嫉妬や羨望、そして友情と裏切りが交錯する。
登場人物・キャラクター
高瀬 理亜 (たかせ りあ)
楠波女子学園に通う女子高校生。2年3組に在籍している。年齢は17歳。茶髪のウエーブがかったロングヘアにしている。華やかな容姿に加えて女王様気質で、自他共に認めるスクールカーストのトップに君臨している。雑誌のモデルオーディションの常連ながら、結果が出ないことにあせりを感じている。取り巻きの一人である小田嶋美優を自分の信者として気に入っていたが、美優がクラスで存在感を増してからは嫉妬するようになる。さらに美優からモデル活動がうまくいっていないことを指摘されて逆上し、美優にケガを負わせたことでクラスメートから距離を置かれてしまう。だが、校内で孤立しても美優に負けたことを認めず、気丈に学校に通い続けている。
小田嶋 美優 (おだじま みゆ)
楠波女子学園に通う女子高校生。2年3組に在籍している。年齢は17歳。黒髪のショートボブで、眉毛が太くぽっちゃりとした体型をしている。中学生の頃から高瀬理亜にあこがれを抱き、彼女からパシリのような扱いを受けているが、彼女のために何かをすることに満足している。生真面目な性格で、誰に対しても優しいためにクラスメートから信頼されている。しかし、独自の交友関係を築くと理亜から無視されるようになり、自分から望んでやっていたパシリ役にも疑問を持つようになる。その後、理亜との関係を断ち、小田嶋美優自身がスクールカーストのトップに君臨するようになる。最初はその立場に優越感を感じていたが、次第にクラスメートから追い落とされる恐怖に駆られ自分を見失っていく。