すご腕エージェントの中学生活
本作は、暗殺組織「Z.O.O」のエージェントだった大狼十三が、ハチ型の生物兵器に刺されて若返ったところから物語が始まる。10代前半の姿になってしまったため、任務の継続が困難になった大狼は、Z.O.Oの長官から自分の娘が通っている中学校に潜入するように命じられ、報酬目当てでこの申し出を引き受ける。大神は長いあいだ裏社会で生きてきたことから、幼い頃からロクに学校教育を受けておらず、まったく違う環境で生活する自信がなかった。だが、実際に体験する学び舎は刺激的なことばかりで、勉強やクラスメートとの触れ合いを心から楽しむようになる。
大狼を取り巻く、個性的なクラスメートたち
学校生活のノウハウをまるで知らないまま私立中学校に通うことになった大神十三は、当初は身分を偽って目立たないように生活しようと考えていた。だが、相棒の猫田コタツのサポートもあり、医師を目指す優等生の白石遼や、高田、馬場と親交を結ぶことに成功。さらに、男嫌いの令嬢・蜜岡ノレンを暗殺組織から救い出し、ラーメン好きという共通点から彼女と親しくなる。一方、古並鮫シンをはじめとしたミツオカ製薬を手中に収めるため、ノレンに近づく裏社会の工作員や、「幻獣組(ユニコーン)」と呼ばれる特殊学級の生徒たちと対立および共闘し、よくも悪くも波乱の様相を呈していく。
謎の生物兵器とミツオカ製薬
物語が進むにつれて、大神十三が若返る原因となった生物兵器が、業界最大手の製薬会社「ミツオカ製薬」のものであることが判明。だが、生物兵器と十三の体の異変についてはZ.O.Oの科学力をもってしても解明できず、さらなる調査のためにミツオカ製薬の内部に潜り込む必要性が生じる。そんな中、ミツオカ製薬の社長が、娘の蜜岡ノレンと婚約した男性にミツオカ製薬の経営権を譲ると言い出したことから、大神は彼女の同級生であることを利用して婚約者になる任務を言い渡される。しかし大神は、娘と同じくらいの年齢のノレンに恋愛感情を抱くことは考えられず、その任務は難航を極める。
登場人物・キャラクター
大狼 十三 (おおがみ じゅうぞう)
暗殺組織「Z.O.O」に所属しているエージェントの男性。年齢は39歳。Z.O.Oの化学部門チーフを務める鰐淵瑛理と離婚しており、一人娘・鰐淵梢の親権も瑛理に譲っている。冷静沈着な性格で正義感も強いが、人付き合いを苦手としている。好物はラーメンで、ヒマがあればよくラーメンを食べている。裏社会でも名が知られたすご腕のスナイパーで、SIGのP210を愛用している。その腕前に加え、悪党以外は決して殺さないというポリシーを持つことから、相棒の猫田コタツをはじめ、多くの仲間から慕われている。ある日、敵対組織のアジトに落ちていたハチの巣にいたハチ型の生物兵器に刺され、体が10代前半まで若返る。そして、Z.O.Oの長官から私立中学校に通う任務を課せられ、中学生活を送る傍らで体を元に戻す方法を模索している。インカムとカメラ付きの黒縁眼鏡をかけている。殺し屋になる前は中学校に通ったことがなかったため、クラスメートとの交流や勉強を心の底から楽しんでいる。同級生の高田や馬場からは「オガー」のあだ名で呼ばれている。
蜜岡 ノレン (みつおか のれん)
大狼十三が潜入した私立中学校に通う1年生の女子。大狼を若返らせた生物兵器を開発した「ミツオカ製薬」の令嬢。その出生とカナダ人である母親譲りの容貌から、思春期を迎える前に多くの男性に言い寄られた経験がある。だが、蜜岡ノレン自身にとっては気持ち悪いことでしかなく、現在は男性からの告白そのものに嫌悪感を抱いている。また、社長令嬢という立場や、それにふさわしい女性であることを強要する父親を窮屈に感じており、ひそかに叔父の経営するラーメン屋を継ぎたいと考えている。大神を若返らせた生物兵器となんらかのかかわりを持ち、その情報を狙う裏社会の組織から身柄を狙われている。ラーメン好きという共通点があるうえ、色眼鏡で自分を見ない大神を友人として頼もしく思うようになるが、互いに恋愛感情は持っていない。
書誌情報
キルアオ 7巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2023-09-04発行、 978-4088836867)
第2巻
(2023-11-02発行、 978-4088837376)
第3巻
(2024-01-04発行、 978-4088837970)
第4巻
(2024-04-04発行、 978-4088838816)
第5巻
(2024-06-04発行、 978-4088841090)
第6巻
(2024-08-02発行、 978-4088841298)
第7巻
(2024-11-01発行、 978-4088842523)