秘密探偵JA

秘密探偵JA

秘密機関J機関で大佐の指令の下、さまざまな団体から日本を守るためJAと呼ばれる腕利きの秘密探偵の少年飛鳥次郎が、仲間のSナンバーたちとともに、世界を舞台に極秘任務に当たるスパイアクション漫画。訪れる国々ではその国の特色や珍しい風習を紹介し、作戦ではガンアクションとともに、敵を欺く頭脳戦を展開する。また潜水空母シー・アルプス号といったスーパーメカであったり、自転車やライターなどに見せかけた秘密兵器が数々登場する。連載終了後に描かれた短編として『帰ってきたガンマン』がある。望月三起也の代表作。

正式名称
秘密探偵JA
ふりがな
ひみつたんていじぇいえー
作者
ジャンル
アクション
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概要・あらすじ

戦争や犯罪を目論む様々な国や組織から、日本を守るために設立された日本秘密防衛組織、通称J機関。そこで働く秘密探偵たちの中でトップ3の実力を持つエースはJAと呼ばれ、その一人はまだ少年の飛鳥次郎だった。大佐と呼ばれる謎の司令から下される極秘任務により、ときに甲斐武らSナンバーと呼ばれる仲間の探偵たちと力を合わせ、知恵と秘密兵器を駆使しながら、怪事件の捜査、凶悪兵器の破壊、機密書類の入手、アジト潜入、要人警護、といった様々な難事件に挑んでいく。

次郎を慕う幼い少女オンブが、ユーモラスに物語に華を添えるだけでなく、たびたび事件に巻き込まれピンチを招くことになる。

登場人物・キャラクター

飛鳥 次郎 (あすか じろう)

J機関に所属する秘密探偵で、階級はエースに当たるJAの少年。世界を股にかけ、仲間にすらその正体を隠して任務に当たる。香港では、密輸団のボスとも親しくなるほど顔が広く、街の用心棒として住民たちからも頼りにされていたため、悪人相手に喧嘩をしては警察署長の計らいで出入り自由な特別待遇の留置場で暮らしていた。 銃の扱いに長けており、愛用銃はコルトウッズマン、ワルサーPPK、南部十四年式など。戦闘用に、暗視装置つきの赤いベレー帽、黄色いマフラー、サングラスと、裾に各種武器を仕込んだ黒いユニフォームがある。リストバンドは、右に追跡装置、左に火薬が装着されている。かつての任務で、犯人を娘の前で射殺してしまった事が迷いとなり、犯人を前に撃つのをためらってしまうことがあった。 シー・アルプス号でのテスト時のコードネームはフナ。

山伏 太十郎 (やまぶし たじゅうろう)

J機関の最高司令。普段は厳しい司令だが、飛鳥次郎の事を自分の息子のように思い、私用でジェット機を貸したり、任務を後回しにして休暇の延長を認めるなど甘い所もある。スペード・ワンに危険な松田乱風博士の身代わりを頼む時には、熱心に電車の窓やアパート、ベッドの中まで押しかけた。 通常、探偵たちには本部で指令を下しているが、流血兵団との戦いのように血の気多く最前線で攻撃に加わることもある。半次郎という弟が、終戦の時に行方不明になっていたが、敵組織黒い手の幹部となって再会する。

オンブ

香港の貧民街で両親がいないひとりぼっちのため、観光客の背中に乗って街を案内しながら暮らしていた幼い女の子。飛鳥次郎を慕っており、任務を終えた次郎が香港から去ってしまった後は、ハワイの金持ちにもらわれ物乞いを強いられていた。その後バケットの娘ミリーに引き取られ、やがてバケットたち一団が逃亡で乗った旅客機の中で再び次郎と巡り合い、日本で暮らすようになる。 次郎を探している内に来日していたサーカス団員に騙されインドまで連れ去られ、列車襲撃事件に巻き込まれてしまう。任務の邪魔をする事も多いが、行き詰って前が見えなくなった次郎に水を浴びせて頭を冷やしてやることもあった。

甲斐 武 (かい たけし)

J機関に所属するSナンバーの探偵。香港での事件では、現地のS3号からの要請でJAとは知らずに飛鳥次郎に協力を求める。任務に疲れ休暇を取った療養先で毒ガス事件に巻き込まれ、一旦はJ機関をやめるが、ミサイル事件の時に大佐から声がかかりS.Mとしてチームに参戦、その後あらためてS16号として復帰する。 J機関に入る前の10歳の頃からコックをしていて、その腕前は食通が唸るほど。次郎とは親しく心の支えとして相談を受ける事もある。大佐に秘密で次郎が黒い手の幹部を連れて逃亡した際には、次郎の抹殺を命じられる。

朝日 五郎 (あさひ ごろう)

鋼鉄製のトランプを指で弾いて敵を倒す少年探偵。カードの角をちぎって自由にコントロールすることができる。自衛隊機に潜り込み強引に飛鳥次郎の任務に同行する。また本来のJ機関メンバーが不慮の死を遂げてしまったために、代わりとして赤い天使に狙われた博士に化けて敵国に潜入したこともある。 普段は横浜で警部のヨタを助けながら事件を解決している。スピンオフ作品の『スペード・ワン』で主役をしている。

桑村 (くわむら)

J機関で技術開発担当をしている兵器室長。飛鳥次郎が愛用しているコルトウッズマンをはじめとした銃だけでなく、TVカーを装いロケット砲や攻撃用の円盤を搭載してレースカー並みのスピードを出せる特殊車両や、裁縫道具に見せかけた追跡・脱出アイテム、あるいは鉄骨工事の鋲のような監視カメラなど、さまざまな秘密兵器を提供する。

バケット

黒人による内乱を戦争に発展させるために、黒人殺害計画を企てる武器商人。子供でも騙して殺してしまうほどの非情な男だが、自分の娘ミリーに対しては良き父親で、娘の前では子分たちが殺しの話をする事も許さない。

カード

バケットのボディガードで、3人貫くほど強固な鋼鉄製のトランプを弾いて敵を倒すカード使い。女のような容姿で医者やCAに変装して飛鳥次郎を欺く。逃亡途中で娘のために仲間を見捨てたバケットを裏切り、次郎と対決する。

バッキー平方 (ばっきーひらかた)

望月三起也の作品『最前線』の中で442部隊に所属していたキャラクターで、終戦後は戦友らとともにハワイに戻り、自動車工場の社長としてハワイ一の大金持ちとなる。次の州知事と噂されるほど成功している。同様に『最前線』のキャラクターで医者になったビー玉、ホノルル警察署長の野牛も共演している。 ミッキー熊本は、母と一緒に日本に帰ったということで写真のみの登場。次郎を見かけて、仲間だったミッキー熊本に似ていたことからピンチを救う。バケットに捕えられた時に屋敷でオンブを発見し、次郎がハワイに来ていることを知らせる。

大和 清二郎 (やまと せいじろう)

シーアルプス号で行われたJA昇進試験にテスト生として参加しながら、妨害工作を狙う赤い天使の密偵を調査していたもう一人のJA。飛鳥次郎とはお互いがJAである事を知らされていなかった。無類の将棋好きで、敵の正体を将棋に例えて次郎に知らせる。

ジム・キラー

赤い天使が松田博士誘拐のために本国から日本に派遣させた大尉。日本支部長のクーラー大尉とは仲が悪く、対抗意識が強いため、クーラー大尉が捕らえてきた松田博士を偽物と疑い、見破ろうと画策する。

神代 (じんだい)

元J機関員で飛鳥次郎や探偵で拳銃の名手である元S3号こと大六の教官。58歳。子供好きで、死と隣り合わせの生活が嫌になり、子供たちの笑顔に囲まれる暮らしを選んでJ機関を引退した。連続誘拐事件現場近くの遊園地でショーを開く道化手品師をしている。手品を手伝った子供にはトッポ人形を渡す。

スパーク・滝 (すぱーく・たき)

タイでチャンピオンのソム・バンブンとの世界戦に挑戦するボクサー。乱暴な所があり、分からず屋で意地っ張りとトレーナーからも心配されるほどの性格だが、町の不良からボクサーに仕込んでくれた会長は温かく見守ってくれている。何者かに命を狙われるが、会長からは試合に影響しないようにとボディガードをしている飛鳥次郎の正体とともに知らされていない。 施設の出身で、世界中の孤児たちからは希望の星とされている。東南アジアのどこかに父親がいる。

クマドリ

文明から隔絶した山奥の犬神の里で、身軽な特殊能力を持った部族の男。命よりも大切にしている小刀を常に身に着けて武器にしている。外部の人間を極端に嫌い、当初は飛鳥次郎を敵視していたが、クーデターに巻き込まれ村を追われた事がきっかけとなり次郎と共闘する。幼い弟のタウロがいる。

黒ヒョウ (くろひょう)

金になれば善悪の見境なく情報を売るため、これまで何度か飛鳥次郎とは敵にも味方にもなったことがあるという関係。失業していて何日も食事を抜き、タバコも買えないような暮らしをしていた。銃の名手で、ユーモアと知恵の回る友人と次郎も認めているが、同時にとぼけていて信用の置けない奴とも思われている。

荘司

まだ任務経験のない見習いのJ機関員。初めの内は新聞に載るような派手で荒々しい任務に憧れていたが、脱出不可能となった金白島の中で何度も命を脅かされていく中で、徐々に気が参っていってしまう。足手まといにならないように、敵に寝返るふりをして飛鳥次郎を救おうと考える。

プリンス・ジョー

白人で東洋人の村人たちを恐怖で制圧している赤い骨の支部長。金白島の屋敷に住み、人間狩りを好む男。一流のハンターとしてライフルをまるで体の一部のように扱い、揺れている船の上からでも遠くの人間が持っている銃を正確に打ち抜く。自信家で敵とは全力の勝負を望む。

将元鬼 (しょうげんき)

香港では有名な決闘マニアで、未公認だが37人射殺の記録保持者として飛鳥次郎もその名を知っていた。拳銃を抜けば必ず相手を殺すため、その腕前を見たものはほとんどいないという実戦派。

集団・組織

J機関 (じぇいきかん)

『秘密探偵JA』に登場する組織。正式名称は日本秘密防衛組織。日本を狙うあらゆる団体から戦争を食い止めるために設立された。最高司令は大佐と呼ばれる謎の男で、その配下に3人のJA、さらにその下にSナンバーの隊員が100名いて秘密任務に就いている。J機関の任務は常に極秘で、その正体は例え警察に捕えられたとしても明かしてはならない決まりになっている。 J機関には探偵の他に、小型艇で下水道を使って目的地まで急行し証拠隠滅を図る処理班や、武力に秀でた50名が敵の施設を徹底的に片付ける破壊班、現場に残されたわずかな証拠から犯行を特定する調査部といった専門部署がある。本部は出版社を装ったビルの中にあり、各種専門部署やジェット機の滑走路の他、爆発物や進入者対策も施されている。 JAになるためには、10人の敵を4発の弾で一瞬のうちに倒す雷鳴うちができる事のほかに、語学や格闘など厳しいテストに合格しなければならない。JAに欠員が出た場合は、シーアルプス号内で優秀な10名を集め昇格試験が実施される。

赤い天使 (あかいてんし)

『秘密探偵JA』に登場する組織。大金を手に入れる事を目的とした国際ギャング団で、その為には人殺しから戦争までやってのける。メンバーは手のひらにダイヤのエースの入れ墨をしているのが特徴。その勢力は全正解に広がり革命を起こして国を潰すほどだが、CIA、FBIの調査でも本部は明らかになっていない。支配下のルシアン国で、あらゆるエンジンを無力化させる機会を開発し、人工衛星に組み込みテロを起こそうとした。 合言葉に「赤」のキーワードを用いる。

流血兵団 (りゅうけつへいだん)

『秘密探偵JA』に登場する組織。ゲリラ戦用に金で雇える外人部隊の兵士を訓練し、世界各地の戦争が起きている国へ売るための組織。日本では本部は横浜にあり、訓練場が関門海峡付近に存在する。訓練内容は常に命懸けで厳しく、耐えられなかった者は家畜以下の環境下に置かれ容赦なく他の訓練生の殺人の練習台にされてしまう。 飛鳥次郎は爆破事件の脱走犯として警察から逃れるために訓練志願生になったという事にして潜入捜査をした。

スパイキラー

『秘密探偵JA』に登場する組織。流血兵団の本部から来たスパイを探し出して殺す3人組の専門家たち。お互いを白キツネ、キツネ1号、キツネ3号と呼び合っている。火炎放射器、無線機拳銃などの仕掛けがあるライターや毒針つきの棍棒を武器に使う。

ハンギングツリー

『秘密探偵JA』に登場する組織。しばり首の木と呼ばれるスパイキャッチャー組織。ボスは日本が立ち入りできない米軍基地を億万長者の沖玄佐衛門と共同でミサイル基地にして、原爆を憎むあまりアメリカ艦隊に向けて核を撃ち込もうとした。メンバーには頭が切れて銃の腕前に秀でた5人がボスに選ばれている。 その実力は、首に巻いたロープを何台ものトラックに引かれた1号と壁に吊るされた2号が、それぞれナイフと銃でお互いを救う死の訓練をデモンストレーションとして行うほど。3号は鞭使い。4号は専用のコックを雇うほど食い物にうるさい。5号は次郎たちの策略で裏切り者として扱われてしまう。ミサイル事件で生き残ったメンバーたちは復讐のため、次の任務に当たっていた飛鳥次郎を追って香港までやってきた。

S・M (すぺしゃるめんばー)

『秘密探偵JA』に登場する組織。J機関員であるが探偵ではない各界の専門家たちで、普段は日の当たる場所で活躍しているが、ひとたび指令が下れば秘密活動につく。映画スターやプロ野球選手など、有名な人物も登録されている。皆川は力持ちで普段は歯科医をしている予科練出身の飛行機のベテラン。ケーシー油井はサーカス団に所属し高所やアクロバットが得意だが、花形になろうとしてスタンドプレーが目立つ。 糸皮博士は、通訳が必要なほどどもりが強くロケット研究が専門で、見かけに寄らず特技は空手という老人。

黒い手 (ぶらっくはんど)

『秘密探偵JA』に登場する組織。世界中に紛争を起こさせ、陰で儲ける武器商人の組織。東洋支局長は大学講師で、メンバーはJ機関の中にも潜り込んでいる。中国大使に化けてソ連との間に争いを起こそうとした。建設中の万国博で、各国のガードマンとして治外法権を利用して密かに武器を持たせた二千人を雇わせていた。

幻の卐 (まぼろしのはーけんくろいつ)

『秘密探偵JA』に登場する組織。ナチスの軍服を着用しドイツのUボートやキングタイガー戦車でイタリア各地に現れては暴動を起こすが、中身は第二次大戦中、同盟国ながらイタリアが降伏すると占領してきたドイツへの復讐を狙うイタリア人たちの集団。ヒットラーの遺産3兆マルクの行方を探るため、ハリスと名乗る元ナチ親衛隊将校ヒスラーに、今が戦時中と思い込むように仕向け、爆撃で死んだ娘アンネに瓜二つのオンブを人質に脅迫をする。

その他キーワード

コルトウッズマン

飛鳥次郎の愛用銃。銃身を切り詰めて握りも短く、グリップの部分にはイニシャルが入り高圧処理したゴムで、叩きつけると弾ませる事が出来るように桑村技師が改造した。その他にも自由にアタッチメントが取り付けられ、小型ロケット弾発射器や、銃身を長くして遠くを狙えるようにしたり、機関銃用にストック型の弾倉には50発装填できるようになっている。

シーアルプス号

『秘密探偵JA』に登場する航空母艦。J機関が所有する大型空母で、甲板を外すと潜水艦にもなる。厚さ15mの氷でも破って浮上が可能。魚雷のように発射され、地中を進み目的の場所に地震を発生させるM弾(M35震動弾)を装備している。遠心力を利用して、30秒以内に滑走路から一度に3機飛び立たせることができる。 艦内には訓練施設があり、JA昇格テストはここで実施している。

マングス

『秘密探偵JA』に登場する戦車。流血兵団が所有する大型地底用戦車。前方に掘削用の大型ドリルが回転し、上下左右に付いているキャタピラを動かしながら地中を移動する。後方に攻撃用の衝撃派砲が2門付いている。高性能だが中は蒸し風呂のように暑い。

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