概要・あらすじ
高千穂架南は、ある日幼なじみの錐十アキと再会し、彼が実は吸血鬼であることを告げられる。あまりのことに戸惑う架南だったが、そんななか、子供を助けようとしてトラックに轢かれ、重傷を負ってしまう。アキは、架南を隷属にすることで彼女を救うが、その時から、純血の吸血鬼たるアキとその隷属となった架南の関係は変わっていく。
登場人物・キャラクター
高千穂 架南 (たかちほ かな)
陸上競技の推薦で、聖アガタ学園にスポーツ入学した女子高校生。しかし、あの事件の怪我がもとで陸上部を辞めてしまい、部の人間からはイヤミを言われている。幼なじみの錐十アキと再会してからは、彼を自宅に泊めている。アキのことを意識しながらも、吸血鬼と隷属という関係性に壁を感じており、彼に完全に心を許すことができないでいる。
錐十 アキ (きりと あき)
「傲慢」のSTIGMAを持つ、高千穂架南の幼なじみ。衿夜の双子の兄でもある。純血の吸血鬼の当主として育てられたが、当主の座は元々衿夜のものだった。架南に再会した後、彼女を隷属にし、彼女と同じ聖アガタ学園に催眠を用いて入り込む。架南のことを隷属にはしたものの、彼女に好意を抱いており、吸血鬼の世界に近づけたくないと思っている。
不知火 迅 (しらぬい じん)
聖アガタ学園2年クラスCに所属する男子高校生で、不良として知られている。高千穂架南が陸上を辞めざるを得なくなった怪我の原因となった、あの事件を起こした人物。「強欲」のSTIGMAを持ち、架南と錐十アキと共に行動している。実は狼男の血を引いており、その力でSTIGMAを抑えている。
スワロ
錐十アキに付いている刑吏の男性。力が弱まるとペンギンの姿になってしまうが、普段は長い髪を1つに束ねた男性の姿をしている。ちなみに力が弱まった時の姿は、本人によればペンギンではなく天狗であるという。自らを紳士的と評しているが、アキ以外には紳士的な姿があまり見られない。
高千穂 真雪 (たかちほ まさゆき)
高千穂架南の弟。引きこもりで、1年近くも顔を見せていない。根暗な気質ではあるが、架南のことは大切に思っている。「N」というハンドルネームを使って学校裏サイト「聖アガタの噂」にハッキングをし、架南の悪口を消そうと奔走していた。
衿夜 (えりや)
錐十アキの双子の弟で、穏やかな性格の男性。幼い頃にアキの手によって体が壊され、現在は首だけの存在となっている。アキは衿夜の体を壊してしまった罪悪感からSTIGMAを集め、彼の体を復活させようとしている。幼い頃に高千穂架南と出会っており、彼女を隷属にしようとした過去がある。
胡桃戸 りえ (くるみど りえ)
聖アガタ学園の2年クラスCに所属する女子高校生で、高千穂架南の親友。勝気で強気な性格。「架南の事務所」を自称しており、周囲には架南に用がある場合は自分を通すように言っている。架南からも信頼されている。
宮縞 氷滝 (みやじま ひたき)
聖アガタ学園の3年生の男子高校生。生徒会役員を務めており、生徒会長の五十鹿・ベルンシュタインにいつも付き従っている。実は天使であり、吸血鬼や狼男など闇の生き物と相対する存在。まるでヤクザのような強面だが、寡黙なだけで五十鹿に対しては優しい。五十鹿の主で、「怠惰」のSTIGMAを持っている。
五十鹿・ベルンシュタイン (いすかべるんしゅたいん)
聖アガタ学園の3年生の男子高校生。学園の生徒会長を務めており、生徒会役員の宮縞氷滝とともにいることが多い。実は天使であり、吸血鬼や狼男など闇の生き物と相対する存在。高千穂架南の男装や、錐十アキの女装を見て喜ぶなど少々変わった性癖の持ち主。実は氷滝に付いている刑吏である。
椿鬼院 イヴ (つばきいん いゔ)
吸精鬼(サキュバス)の女の子。錐十アキの婚約者で、椿鬼院家の令嬢。アキを追って、聖アガタ学園に入学してきた。自分の家柄を誇り、アキには自分こそが相応しいと考えており、隷属である高千穂架南を邪険にしている。
男爵 (ばろん)
錐十アキの血を欲している男性。アキの血を求め、吸血鬼の間で開かれる夜会で儀式を仕掛ける。椿鬼院翁に逆らうことはできないが、自分の地位を上げるための労力は惜しまない。姑息で野蛮な性格だが、吸血鬼の中では高い地位にいる。「大食」のSTIGMAを持っていたが、アキに奪われる。
椿鬼院翁 (つばきいんおう)
吸血鬼の間で開かれる夜会を主催する老人で、椿鬼院イヴの保護者。錐十アキを吸血鬼の当主として育てた人物でもある。その正体は衿夜で、首だけになった衿夜が表舞台に立つ時の姿。アキのことをずっと観察していた。
鈴蘭 (すずらん)
吸血鬼の少女。君影の妹で、吸血鬼なのに血が吸えないため、病院に入院して輸血パックから血を得ている。兄と同じく穏やかな性格の持ち主。「色欲」のSTIGMAをその身に有しており、兄が鈴蘭の体を治すためにSTIGMAを集めようとしていることを知っていたが、自らSTIGMAを錐十アキに受け渡した。
君影 (きみかげ)
鈴蘭の兄で、無数の人間を殺した「怪人」と呼ばれる殺人鬼でもある。普段は穏やかな性格で、鈴蘭のことを第一に考え、彼女のためならなんでもできると豪語している。腕にSTIGMAのような模様があるがこれは偽物で、STIGMAを持っていないのにゲームに参加した咎で刑吏であるスワロに殺されかける。
観汐 (みしお)
衿夜の隷属の1人で、衿夜に忠実に従う冷徹な性格の男性。錐十アキの血で椿鬼院翁の体調が回復するため、観汐は椿鬼院の隠れ里にアキが来るたびに、アキに同意のうえで彼の血を抜いている。
祈 (いのり)
椿鬼院翁に仕える薬師であり、高千穂架南に力の使い方を教えた妖狐。誰に対しても、物腰やわらかな青年。衿夜の最初の隷属でもある。衿夜に付き従いながらもスワロを助けたりと、錐十アキ陣営にも力を貸している。
エミール・フロレスク (えみーるふろれすく)
椿鬼院イヴに付いている刑吏の少年。イヴとともに聖アガタ学園に転入してきた。幻影を実体にする力を持ち、「千里眼のエミール」と呼ばれる。千里眼は見通すだけではなく、眼にまつわることならなんでも意のままにできる。優しげに見えるが、内心腹黒い性格。
場所
聖アガタ学園 (せいあがたがくえん)
高千穂架南たちが通っている学園。全生徒が部活動に所属することが必須となっている。錐十アキは吸血鬼の催眠の力を使って、この学園に入り込んだ。その後、架南と同じクラスに所属している。
椿鬼院の隠れ里 (つばきいんのかくれざと)
椿鬼院翁の住む隠れ里で、錐十アキや衿夜もここに住んでいた。かつて衿夜の隷属を選ぶために高千穂架南がここに連れてこられ、住んでいたことがある。架南はここで衿夜とアキと出会って、友達となった。
イベント・出来事
あの事件 (あのじけん)
高千穂架南がインターハイの選手選考に参加している時に起こったボヤ騒ぎ。架南の走っているコースのすぐ隣の倉庫でボヤがあり、架南は転んで怪我をしてしまった。これにより架南は靭帯を断裂し、陸上部にはいられなくなってしまった。このボヤ騒ぎは不知火迅が喫煙未遂で起こしたのではないかと言われている。
その他キーワード
十字架 (くろす)
錐十アキが身に着けているネックレス。胸元を飾る十字架は吸血鬼には似つかわしくないが、アキは大事にしている。実は幼い頃に高千穂架南にもらったもので、アキにとって唯一、衿夜よりも可南と強く結びついていることを感じられるもの。
狂月病 (るなてぃくす)
心の闇を持った人間が、月の光と純血の吸血鬼である錐十アキの血の匂いにより発症する。発症するとアキの血を求めるようになり、アキを襲う。ドラッグ「エレクトラ」を使うと、誰でもこの病を発症する。
隷属 (れいぞく)
噛まれた吸血鬼に仕え、血を与える存在。不老不死で、吸血鬼からは「糧」と呼ばれることもある。錐十アキは高千穂架南を隷属にしている。衿夜は幼い頃に架南を隷属にしようとしたが、失敗している。
催眠 (さいみん)
人と人との隙間に入り込んで、記憶や意識を作り替える能力。錐十アキは聖アガタ学園に通うためにこの能力を使った。しかし、稀に催眠がかからない人間もいる。また、人間以外に対しては効果がない。
STIGMA (すてぃぐま)
純血の吸血鬼たちが代々所有する「悪魔の力」が宿った徴(しるし)。7つの大罪になぞらえた7つが存在し、そのすべてを集めることができれば世界征服も可能と言われている。錐十アキはこの7つのSTIGMAを集めることによって、衿夜を助けようとしている。
ゲーム
散ってしまった7つのSTIGMAを集める者たちによる、STIGMAを奪うための殺し合いのこと。錐十アキは衿夜を助けるため、このゲームに志願した。なお、STIGMAを持つ者は高千穂架南たちが住む街に集まっている。
刑吏 (でぃーらー)
ゲームの監視人で、ゲーム参加者の監視、審判、そして違反があれば処刑をする役割を担う。錐十アキにはスワロが付いており、他のゲームの参加者にもそれぞれ刑吏が付いている。
聖アガタの噂 (せいあがたのうわさ)
聖アガタ学園の学校裏サイト。2か月前から突然「N」というユーザーが連続して書き込みを始め、独特の文章によってサイト内で「予言者N」と呼ばれるようになった。五十鹿・ベルンシュタインがこのサイトと「N」について調べてほしいと高千穂架南たちに依頼をした。
儀式 (ばぷてすま)
純血の吸血鬼である錐十アキの血を求める吸血鬼の紳士淑女が集い、アキの血を流すために行われるショー。アキの血が流れるような中世の拷問や殺し合いなどを見て、血の香りを楽しんだりアキの姿を崇めたりする。
エレクトラ
錐十アキの血を用いて作った新型ドラッグ。狂月病を疑似的に作り出すことのできるドラッグで、月の満ち欠けによって効き方が変わる。満月に飲むともっとも強い効力が得られるが、新月に飲んだ場合は効果が薄い。
神隠し (かみかくし)
高千穂架南らが温泉に行った際に聞いた昔話。林が鳴くのは鬼の走る音、山から鬼が降りてきて、子供を1人食らうためにさらっていくという。昔は鬼が子供をさらうのではなく、山の神の仕業だと信じられていた。