大ヒットした前作『テルマエ・ロマエ』とは
前作『テルマエ・ロマエ』の舞台は、紀元130年頃の古代ローマ。時代にそぐわず失職した浴場設計士ルシウス・モデストゥスが、現代日本の銭湯にタイムスリップ。平たい顔族の「風呂」文明にヒントを得て、皇帝ハドリアヌスのお抱え技師にまで出世する姿を描いた。日本の風呂文化に驚く主人公のコミカルなリアクションと、風呂文化を古代ローマに取り入れる展開が話題を呼び、2012年1月(フジテレビ)と2022年3月(Netflix『テルマエ・ロマエ ノヴァエ』)にアニメ化されたほか、阿部寛主演で実写映画化(第1作・2012年4月、第2作・2014年4月公開)される大ヒット作品となった。また、書店員の選ぶ「マンガ大賞2010」受賞、第14回「手塚治虫文化賞」短編賞受賞、「このマンガがすごい!2011」オトコ編2位、第6回(2011年)「全国書店員が選んだおすすめコミック」で3位入選など、数々の漫画賞を受賞している。
前作から20年後のローマが舞台
本作の舞台となるのは、紀元158年の古代ローマ。前作の最終話でアントニウス・ピウス帝が即位し、ルシウスと妻・さつきの間に男の子(マリウス・モデストゥス)が誕生してから20年後の世界である。さつきは、5年前にトライアヌスの浴場に出かけたまま行方不明になっており、腰痛を抱える58歳になったルシウスは、息子・マリウスと二人で暮らしている。節操のない派手なだけの浴場に辟易としていたルシウスは、体調を崩したアントニウス・ピウス帝に、彼の故郷にある浴場の修繕を依頼された。予想以上に荒れ果てた浴場を前に途方に暮れていたルシウスは、温泉で足を滑らせて約20年ぶりに、現代日本へのタイムスリップを経験。これをきっかけに、かつてのように日本の風呂文化からインスピレーションを得て、ローマの浴場を改善していくことになる。
日本全国の温泉地にタイムスリップ
前作では、銭湯や個人宅などさまざまな風呂へタイムスリップしたルシウスだが、今作の行き先は「温泉地」に限定されている。日本三大美人の湯の一つとして知られる和歌山県の龍神温泉や、秋田県鹿角市の後生掛温泉、和歌山県田辺市にある湯の峰温泉・伊せやなど、有名温泉地から秘湯に至るまで、日本全国に点在する温泉が舞台となる。また、各話の最後には、エピソードに登場した温泉地に関する作者のコラムと、所在地や連絡先、ホームページ、泉質や効能といったデータが掲載されている。
登場人物・キャラクター
ルシウス・モデストゥス
ローマ在住、58歳の浴場設計士。前皇帝ハドリアヌスのお抱え設計技師として多くの浴場の建設に携わり名声を得た。かつてタイムスリップ先で出会った日本人女性・さつきと結婚し、息子マリウス・モデストゥスをもうけるが、妻は5年前に行方不明になっている。娯楽と快楽だけを求める世間についていけず、仕事の依頼も断っていたが、20年ぶりに現代日本へタイムスリップしたことがきっかけで、再び浴場建設を手掛けるようになる。
マリウス・モデストゥス
ルシウス・モデストゥスとさつきの間に生まれた男子。時代の流れを受け入れない頑固な父としばしば対立するが、アレクサンドリアで学んだ知識と教養を生かし、設計技師として父を手伝う。さつきから教わった日本語を話すことができる。また、両親が経験したというタイムスリップを妄想だと断定していたが、自身も不思議な経験をし、母と再会したことで考えを少し変える。
前作
テルマエ・ロマエ (てるまえ ろまえ)
作者のヤマザキマリにとって初の青年誌連載作品。古代ローマの浴場設計技師ルシウス・モデストゥスが、ふとしたきっかけで現代日本の銭湯にタイムスリップ。それまで見たことのない風呂文化に触れたルシウスは、大き... 関連ページ:テルマエ・ロマエ