概要・あらすじ
時代錯誤な皇国思想を基本理念とした学園・青嵐高校。その創立者の孫であり、青嵐の理想を体現したかのような超硬派の生徒会長・寺限城太郎は、学園のカリスマ的な存在だった。ある日、城太郎は生徒会役員総会の後、役員たちを自宅へ食事に招く。しかし家では市川桜丸が城太郎を待ち構えていた。3日前に不良に攫(さら)われそうになったのを城太郎に助けられた桜丸は、付きっ切りで城太郎の世話をさせてほしいと頼む。
桜丸は歌舞伎役者の家に生まれた女形の卵。女形の修行のため、素敵な男性と恋をしてみようと考えていた。そこに現れた「理想の男性」である城太郎に惚れこみ、人間国宝の祖父経由で城太郎の祖父に働きかけ、すでに同居の許可をもらってきていたのだ。
硬派一徹で生きてきた城太郎の日常は、明るくて天然な桜丸によって破壊されていく。
登場人物・キャラクター
寺限 城太郎 (じげん じょうたろう)
青嵐高校生徒会長。硬派一徹な性格で喧嘩も強く、高校生たちの間で高いカリスマ性を持つ少年。極右的皇国史観の持ち主だが、武力革命などではなく、青嵐の生徒たちが教師となって子供たちを指導し、国を変えていくのが良いと考えている。会社社長の父親と反りが合わず、政治家の祖父に手配してもらった邸宅に御付の爺やと二人暮らしをしている。 祖父のことは「おじじ殿」と呼んで慕っているようで、彼からの命令には逆らえない。その祖父の命で一緒に暮らすことになった市川桜丸に対しては、当初は軟弱者として忌み嫌っていたが、次第に心を開いていく。
市川 桜丸 (いちかわ さくらまる)
寺限城太郎の家に押しかけ居候をしてきた美少年。青嵐高校に転入する。歌舞伎の家の生まれで、女形となるべく女性のように育てられてきた。人間国宝の祖父に、「女形として形はできているが、心が入っていない」と言われ、素敵な男性に恋をしてみればどうか、と助言されていた。不良から助けてくれた寺限城太郎を理想の男性だと思い、彼の家に押しかけ居候を始める。 あっけらかんとした軽い性格だが、城太郎への思いは強く、彼のためであれば、腕力で敵わない相手にも立ち向かう。芸能界にも顔が広い。
書記長 (しょきちょう)
青嵐高校生徒会書記長。本名不明の少年。右目に眼帯をしている。生徒会長の寺限城太郎を慕う硬派な生徒だが、市川桜丸が転校してきてからはコメディリリーフの役を果たすことも多い。桜丸に頼まれて匿うことになった若手人気歌手の天園真理亜が初恋の相手だったが、後に男だと知って衝撃を受ける。
新聞部長 (しんぶんぶちょう)
青嵐高校生徒会直属の情報収集組織である新聞部の部長の男性。寺限城太郎の片腕。神出鬼没で、変身や透明になる術などといった妖術を操る忍者。細川勝元とは親友だったと語るなど、いつから生きているのかも不明。校舎の裏手の地下に新聞部の部室を作り、さらにその地下にある自室に住んでいる。
田丸 美鈴夫 (たまる みすお)
青嵐高校1年桜組の級長。小柄で優しい性格の少年。市川桜丸と友人になり、よく一緒に出かけたりするようになる。姉がいる模様。
寺限 小太郎之丞実継佐右門ノ守守歳予ノ助大夫山部ノ蔵人飛驒ノ赤影五郎十郎金次 (じげん こたろうのじょうさねつぐさえもんのかみもりとしよのすけだゆうやまべのくらんどひだのあかかげごろうじゅうろうかねつぐ)
寺限城太郎の祖父。大正末期から政財界に名を轟かせた傑物。終戦後の軟弱な風潮を憂い、青嵐高校を設立した。孫の城太郎を直々に教育する。自身も硬派な性格だが、柳橋に芸者を囲っており、そのことを息子に知られている。
城太郎の父 (じょうたろうのちち)
寺限城太郎の父。大会社である寺限産業の社長。父親や息子とは比べ物にならないほど開明的な人物。後々、城太郎に寺限産業を継いでほしいと考えているが、「おじじ殿」に育てられたおかげで、外国企業の接待もできないような、攘夷的な思考になってしまったことを憂えている。
鬼瓦 剛造 (おにがわら ごうぞう)
左翼の大立者。戦前から戦後を通じ、日本の社会主義運動の影のリーダーと呼ばれた男。文部大臣の顧問に選ばれ、青嵐高校を潰すべく視察に訪れる。
豪田 (ごうだ)
青嵐高校に転入してきた少年。中学生のころから各地の学校を転々としては、右翼思想を植えつけてきた。日本を軍国主義に戻すための軍事革命を画策している。青嵐をその根拠地とするべく乗っ取りを図り、寺限城太郎に「どっちがえらいかテスト」を挑む。
間 (はざま)
青嵐高校の教師。武道の達人の男性。青嵐の落ちこぼれを集めた「極当会系間組」というクラスの担任。しかし10数年間生徒たちと共に離れに隔離されたため野生化してしまい、寺限城太郎に放り込まれた市川桜丸を月の女神だと思い込んで崇める。
ロボット工学研究部長 (ろぼっとこうがくけんきゅうぶちょう)
青嵐高校ロボット工学研究部長の男性。核戦争後も日本人だけが生き残れるように、2千400万円の部費を投じて、放射能の中でも動けるリモコンロボット装置を開発した。
天園 真理亜 (あまぞの まりあ)
若手人気歌手。ヒットチャート連続トップの売れっ子で、市川桜丸の友人。プロダクションに「秘密をバラされたくなければ5000万円用意しろ」という脅迫状が届き、桜丸に相談をもちかける。書記長の家に匿われることになり、彼のために毎日おいしい料理を作った。実は男性だが、本人はそれを「秘密」だとは思っていない。
徳川 高宗 (とくがわ たかむね)
西城高校生徒会長の少年。世の中を騒がす盗賊「葵団」の団長で、奪った資金を徳川家再興のための活動に使っている。高校生の間でカリスマ性を持つ寺限城太郎を配下にするため、罠をしかける。
演劇部長 (えんげきぶちょう)
青嵐高校演劇部の部長。全国演劇コンクールで最優秀個人賞を受賞した才能を持つ少年。市川桜丸に惚れこむが、彼が自分とは正反対の、男らしい容姿・性格である寺限城太郎に片思いをしていると知り、絶望。しかし得意の演劇能力を生かし、城太郎に変装して桜丸をデートに誘う。
集団・組織
青嵐高校 (せいらんこうこう)
寺限城太郎の祖父、寺限小太郎之丞実継佐右門ノ守守歳予ノ助大夫山部ノ蔵人飛騨ノ赤影五郎十郎金次が設立した男子校。戦後の軟弱な風潮を叩きなおすという使命のもと、極右的な軍国主義を理念として掲げている。各教室にご真影が飾られ、修身が正規の教科となっている。
西城高校 (さいじょうこうこう)
徳川高宗が生徒会長を務めている高校。高宗の先祖代々の配下である伊賀忍者によって乗っ取られており、高宗を首謀者とした徳川家再興のための活動拠点となっている。