監獄学園

監獄学園

生徒の男女比が1:200という元女子校で女子風呂覗き事件を引き起こし、特殊な監獄校舎に投獄された5人の男子生徒の学園生活とその脱獄計画を描いたギャグ・コメディ。閉鎖環境下での過剰な規律や脱獄というシリアスなテーマを扱いながらも、登場人物は性的倒錯者・暴力的・非常識など総じてどこかズレたキャラクターばかりで、真面目に全力で、バカで下品なことをするというシチュエーションコメディとなっている。「週刊ヤングマガジン」2011年第10号から連載の作品。内容から映像化は難しいとされていたものの、2015年にはTVアニメ化に加え、実写ドラマ化もされた人気作となっている。

正式名称
監獄学園
ふりがな
ぷりずんすくーる
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
下ネタ
関連商品
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世界観

舞台となる八光学園は、首都圏でも有数の進学実績と厳格な規律で知られる元お嬢様学校だった。しかし藤野清志らが入学する年度より、新たな理事長の体制のもと、共学となる。ところが、共学化したものの新入学の男子生徒は全1021名中たったの5名のみ。また学園では学園内の規律違反を厳しく取り締まる裏生徒会が幅を利かせており、男子生徒と女子生徒の交際を禁止するばかりか、日常会話すらも厳禁。これに反したものは懲罰棟に投獄されるという設定になっている。

あらすじ

収監(第1巻~第2巻)

全寮制の女子校だった私立八光学園は、新たに男子生徒の募集も行うようになり、五人の男子生徒の藤野清志諸葛岳人若本真吾根津譲二安堂麗治が入学して来るが、八光学園では裏生徒会と呼ばれる組織が男女の接触を厳しく規制していた。そのため入学以来、まったく女子生徒と会話のない状態が続いていた清志達だったが、ある日清志は授業中に消しゴムを落とした事がきっかけとなって、同じクラスの栗原千代となかよくなる。千代から土曜日に学生相撲の大会を見に行こうと誘われる清志だったが、その夜岳人や真吾から女子風呂のノゾキを提案されていた。だがそのノゾキは、栗原万里を会長とする裏生徒会の知るところとなる。清志達は裏生徒会の手によって学園内に設置された監獄に収監される事となり、監獄での学園生活を余儀なくされる。さらに清志は、千代と相撲デートに行く事が危ぶまれる事態となってしまう。

脱獄計画(第2巻~第4巻)

女子風呂のノゾキをしたために学園内の監獄に収監されてしまった藤野清志ら五人の男子生徒は、裏生徒会の課す刑務作業に日夜明け暮れていた。そんなある日、清志は裏生徒会の一員である緑川花が、校舎の裏でオシッコをしている現場を偶然目撃してしまう。花は自分の秘密を知った男として清志へのリベンジを誓うが、その事を知らない清志は、栗原千代との相撲デートにどうにかして行く方法はないか考え始める。その結果、脱獄するしかないと考えた清志に、諸葛岳人が協力を申し出る。岳人は相撲デートの日に開催されているイベントで、限定フィギュアを清志に買って来てもらうために清志に協力するという。岳人の立てた計画で、脱獄に成功した清志は千代と会って相撲デートを楽しむが、千代は裏生徒会の会長・栗原万里の妹であり、清志が脱獄した事は万里に筒抜けだった。清志は岳人以外の男子に脱獄する事を隠していたため友人だった若本真吾達から非難され、さらに万里からは退学を言い渡される。千代のおかげで退学は免れたものの、清志にはさらに過酷な学園生活が待っていた。

DTO計画(第4巻~第6巻)

脱獄した事で男子生徒からも仲間外れにされてしまった藤野清志だったが、自分をかばってくれた栗原千代のためにどんな事でも耐えると決意する。そんな中、裏生徒会の会長・栗原万里は清志達男子生徒を退学に追い込むための「DTO計画」を実行に移す。手始めに若本真吾に接触した裏生徒会の副会長・白木芽衣子は、真吾に外出許可などを与えて自分の密偵に仕立て上げる。芽衣子の策略にはまった真吾は、男子のさまざまな情報を芽衣子に与え、自身は外で出会った横山杏子との仲を深めていく。だがその杏子は、裏生徒会が真吾を陥れるために用意した駒だった。真吾は脱走とみなされてしまい、連帯責任として男子生徒達はついに退学処分を下される事となる。清志は、この退学が裏生徒会の策略ではないかと考え、その証拠を探すために一計を案じ、理事長の信任を得る事で退学の日数を延期してもらう事に成功する。

退学阻止(第7巻~第9巻)

藤野清志の機転によって退学が延期された男子生徒達だったが、延期はわずか1日しか認められなかった。それでも清志達は、自分達を陥れた裏生徒会の策略の証拠を見つけるために奔走する。その頃裏生徒会では、副会長の白木芽衣子に代わって書紀の緑川花が清志を狙って動き出していた。清志達は自身の退学を阻止するために栗原千代に協力を要請し、千代はそれを承諾する。さらに、若本真吾を陥れてしまった事に罪悪感を感じていた横山杏子も千代に協力を申し出る。清志は退学を阻止するために必要なデータを入手するために花と二人きりで対面し、千代や杏子をも巻き込んだ作戦に打って出る。数々の困難を乗り越え、ついに裏生徒会の策略の証拠を掴んだ清志は、その証拠を理事長に渡す。すべての事情を知った理事長の裁断により、清志達は自由の身となるのだった。

裏生徒会の収監(第9巻~第11巻)

晴れて自由の身となった藤野清志ら男子生徒達は、栗原千代横山杏子達と学園生活を満喫していた。中でも諸葛岳人は、横山みつ子という三国志好きの女子生徒となかよくなった事もあり、楽しい日々を過ごすようになっていた。その裏で、竹ノ宮ケイト率いる表生徒会は、栗原万里らの裏生徒会を陥れるための策略を練っていた。ケイトは清志達男子生徒を収監していた罪で万里と白木芽衣子緑川花の三人を収監する。さらに岳人と安堂麗治を看守につけ、裏生徒会を管理しようと目論む。そんな中、慣れない刑務作業と極度のストレスから芽衣子は幼児退行を起こしてしまい、さらに花はケイトの策略から万里達と引き離されてしまう。出所する花に代わって収監されたのは清志だった。清志は、千代に頼まれてケイト達表生徒会の陰謀を暴こうとするが失敗し、その罪で服役する事となっていた。こうして万里と芽衣子に清志を加えた三人での監獄学園生活が始まった。

新たな監獄生活(第12巻~第14巻)

藤野清志は、表生徒会の会長・竹ノ宮ケイトによって、裏生徒会の会長・栗原万里と副会長・白木芽衣子と共に再び監獄に入れられる事になった。だがケイトの目的は、あくまでも万里と彼女の率いる裏生徒会を倒す事にあった。その万里は、清志との学園生活に嫌悪感を抱きつつも、芽衣子が極度のストレスから幼児退行してしまったために、やむなく清志を頼る事となる。やがてケイトの目的が自分達を倒す事だと気づいた万里は、清志に脱獄する意思を告げる。そのためには清志と共に男子生徒の協力が不可欠だと語る万里だったが、清志はさまざまな事情から男子生徒達から嫌われてしまっていた。そんなある日、諸葛岳人は表生徒会が作った行事予定表を見て夏の「濡れTシャツコンテスト」が「潮干狩り」に変更されている事実に気づき、「濡れTシャツコンテスト」を実現させるためには裏生徒会の力が必要だと考え始める。岳人は男子生徒を集め、万里を脱獄させるための協力を取り付け、こうして万里の脱獄作戦が動き出す。

万里の脱獄作戦(第15巻~第17巻)

栗原万里に依頼され、藤野清志は諸葛岳人ら男子生徒と共に彼女の脱獄をサポートする。万里と共に収監されている清志は、外にいる男子生徒に指示を出し、脱獄に必要な物資は岳人達が用意して運び込むという方法で、万里の脱獄は少しずつ進行していく。だが、そんな動きを察知した表生徒会の会長・竹ノ宮ケイトは、万里の脱獄を阻止するために動き出す。清志が運び込んだ脱獄物資の中に手錠が含まれている事に気づいたケイトは、万里と自身の手を手錠でつなぐが、外の見回りをしていた表生徒会の副会長・別当リサから女子寮の異変を告げられ、慌てて自室へと引き返す。これは、万里の脱獄に合わせた男子生徒達の作戦であり、それを知った万里はさらにケイトに揺さぶりをかけるために、自分の部屋で二人きりで対峙する。万里の望みは、来る体育祭の騎馬戦で決着をつける事にあり、負けた方の生徒会が解散するというものだった。当初は拒否していたケイトだったが、万里の策略によって自身の恥ずかしい姿を写真に撮られてしまい、彼女の提案を飲まざるを得なくなってしまう。

体育祭開幕(第17巻~第19巻)

裏生徒会表生徒会の互いの存亡をかけた体育祭が始まった。表生徒会の会長・竹ノ宮ケイトは、四人一組の騎馬戦のメンバーとして安堂麗治を入れる事を告げ、裏生徒会側にも藤野清志を入れる事を許可する。万里を騎手として騎馬戦に臨む事が決まった清志だったが、裏生徒会の緑川花によって連れ出されてしまう。花は、清志にオシッコを見られた事を根に持っており、そのリベンジだと寮にある清志の部屋へと上がり込むが、そこへ偶然にも栗原千代が現れる。慌てて布団の中に隠れた清志と花は、かろうじて千代に見つからずにその場を切り抜ける事に成功するが、この時に互いの下着が入れ替わってしまう。そのまま花は自身が出場する障害物競走に出場し、表生徒会の別当リサとの対決に臨む。花は騎馬戦の前哨戦と意気込むものの、清志の下着を身につけている事から、本来のパフォーマンスを発揮できず苦戦する。それでも必死に食らいつく花は、なんとかリサと同着に持ち込み、表生徒会との決着をつけ騎馬戦に弾みをつけるのだった。

騎馬戦開始(第20巻~第22巻)

騎馬戦を前に、作戦を立てる裏生徒会と男子生徒達は、表生徒会が安堂麗治を味方につけている事に改めて脅威に感じていた。麗治に対抗するには、裏生徒会の副会長である白木芽衣子が必要だったが芽衣子は監獄での生活によって幼児退行したままの状態が続いていた。それでも炭酸飲料を飲む事で芽衣子が一時的に復活する事に気づいた万里は、男子生徒の一人・諸葛岳人に命じて騎馬戦中でも炭酸飲料を補給できる仕組みを作り上げる。こうして始まった騎馬戦だったが、対戦相手はそのほとんどが裏生徒会の敵に回ってしまっていた。裏生徒会側は岳人達男子生徒と、万里の妹である栗原千代のチームが味方につくが、それでも多勢に無勢の状態であり、万里達は苦戦を強いられる。そのうえ炭酸飲料の飲み過ぎで芽衣子の復活もできず、ますます苦境に追い込まれる万里達。これでは表生徒会竹ノ宮ケイトの所までたどり着けないと考えた万里は、藤野清志の男性としての能力に目をつける作戦に出る。清志は万里の指示によって男性器を勃起させ、さらに露出させる事で女子生徒を遠ざける事に成功し、ついにケイトのところまでたどり着くのだった。

表生徒会との決戦(第23巻~第25巻)

表生徒会裏生徒会は、体育祭の騎馬戦で互いの生徒会の存亡をかけて戦う事となった。藤野清志の捨て身の作戦によって竹ノ宮ケイトとの直接対決に臨む事になった栗原万里だったが、別当リサと一体となった馬・安堂麗治を崩す事ができない。しかしケイトもまた、男子生徒を味方につけた万里の騎馬を倒す事ができずにいた。一進一退の攻防の末に万里はケイトを崩すべく麗治の隙を突いて回りこむが、それでもケイトを倒す事はできなかった。麗治の攻撃を受けて服を破かれてしまった万里と芽衣子は、互いをかばうものの両手がふさがってしまい、ケイトに勝つ事は不可能となってしまう。しかし万里の窮地を悟った芽衣子が覚醒、幼児退行から復活し麗治を抑え込む事に成功する。芽衣子が復活した事で形勢逆転しケイトを追い詰める万里だったが、その直後に突如としてヘリコプターが落下して来る。そのヘリコプターは、八光学園理事長である万里の父親が体育祭のサプライズとしてチャーターしたものだった。

それぞれの決断(第26巻~第28巻)

ヘリコプターの墜落によって騎馬戦の勝敗がうやむやとなったため、表生徒会裏生徒会は両方とも存続する事が決定。体育祭が終了し、生徒達はそれぞれの日常へと戻ったが、男子生徒は完全に明暗が分かれる事となった。体育祭で活躍した諸葛岳人安堂麗治は女子生徒達のあいだで大人気となったが、逆に体育祭で局部を露出させた藤野清志は最悪の扱いを受けていた。それでも自身が思いを寄せる栗原千代を心の支えとして生きる清志は、体育祭の打ち上げと称して裏生徒会のメンバーも巻き込んだバーベキュー大会を開催する事を提案。そして、自分はその場で千代に告白しようと考えていた。そんな清志の気持ちを知った裏生徒会の緑川花は、自分が清志に対して複雑な感情を抱いている事を自覚し始めるのだった。

作風

懲罰棟からの脱獄、囚人(男子生徒)に対する懲罰といった一見シリアスな題材に、お色気描写やシチュエーションを加えてギャグ描写を交えるのが特徴。登場人物、主に男子生徒が女子生徒らから暴力を受ける表現が多数みられるものの、男子生徒はそのほとんどが変態であるため、それをご褒美として捉えており、バイオレンス描写というよりギャグ描写として成立している。また非常にくだらない出来事や下品なシーンにあえて美麗で繊細なタッチの大ゴマを使うなど、ナンセンスなギャグ表現を多用する。一方で物語の伏線などはかなり計算されており、思わず、過去のエピソードを読み返したくなる巧みなストーリー構成に定評がある。

作品におけるパロディ・もじり

各エピソードのサブタイトルには、映画を中心に、小説、漫画、アニメのタイトルをもじったものが付けられている。具体例として、第1話の「5人の男子」は映画『七人の侍』、第4話の「四つ葉と!」は漫画『よつばと!』、第6話の「カラスの巣の横で」は映画『カッコーの巣の上で』をもじったものである。

スピンオフ

スピンオフ作品として、「ヤングマガジンサード」vol.9(2016年8月6日発売号)から『副会長ガンバル。』が連載された。原作は平本アキラ、作画はReDropが担当。裏生徒会副会長の白木芽衣子を主人公にしたショートコメディで、頑張る方向がちょっとズレている芽衣子の日常をサイレント漫画風に描く。

関連作品

2016年3月4日に、コミックス『アニメ監獄学園を創った男たち』が刊行されている。原作は平本アキラ、作画はハナムラが担当。2015年に「ヤングマガジン」第35号から短期集中連載されたエピソードを収録したもので、TVアニメ版『監獄学園』の制作秘話を企画段階から描いたセミドキュメンタリー作品。制作に関わったスタッフたちがほぼ実名で登場しており、業界内のネタ話が満載。なお、発行元が提供するキャッチコピーにも「ほぼ実話」とあるが、実際にはかなりの脚色が加えられており、制作陣が全力で悪ふざけしたようなギャグ漫画となっている。

コラボレーション

アーケードゲーム「戦国大戦」コラボ

アーケードゲーム「戦国大戦」とのコラボレーション企画として、2013年6月20日から稼働したバージョン2.1「戦国大戦-1590 葵 関八州に起つ」の限定カードとして、白木芽衣子をモデルにしたSS(戦国数寄)五龍姫が実装された。作中にも登場するDTO作戦という計略を持つ。なお、五龍姫の声優は古川小百合が務めているが、のちに放送されたTVアニメ版の芽衣子は伊藤静が演じている。

ソーシャルゲーム「戦国やらいでか-乱舞伝-」コラボ

2016年3月3日から期間限定で、スマートフォン専用アプリ「戦国やらいでか-乱舞伝-」とのコラボレーションイベントが行われた。イベントでは、特定のアイテムを集めることでキヨシ(藤野清志)やガクト(諸葛岳人)の限定武将ユニットが入手できた。そのほか、万里(栗原万里)、芽衣子(白木芽衣子)、花(緑川花)、千代(栗原千代)、アンドレ(安堂麗治)、ジョー(根津譲二)、シンゴ(若本真吾)らの限定武将ユニットが期間限定ガチャやコラボパックに実装された。

スマートフォン専用アプリ「ウチの姫さまがいちばんカワイイ」コラボ

2016年4月17日から期間限定で、スマートフォン専用アプリ「ウチの姫さまがいちばんカワイイ」とのコラボレーションイベントが行われた。イベント期間中にログインすることで全員に緑川花のユニットを配布。また限定イベントミッションをクリアすることで白木芽衣子のユニットが獲得できた。期間限定ガチャには、ソーシャルゲーム「戦国やらいでか-乱舞伝-」とのコラボとはレアリティの異なる、緑川花、白木芽衣子の他、栗原万里栗原千代のユニットが実装された。

タイアップ

監獄レストラン「ザ・ロックアップ」

2015年8月3日から9月30日にかけて、監獄レストラン「ザ・ロックアップ」の池袋店、新宿店など主要14店舗でタイアップイベントが開催された。タイアップ期間中、『監獄学園』内に登場するエピソードや登場人物をモチーフにしたオリジナルメニューが提供された。またオリジナルメニューを注文すると、限定のオリジナルグッズを入手することができた。

「アニメガカフェ」

2015年9月4日から10月12日にかけて、「アニメガカフェ」ヴィーナスフォート店にて、タイアップイベントが開催された。タイアップ期間中は「理事長に埋められた脱獄の穴ケーキ」など、『監獄学園』内に登場するエピソードや登場人物をモチーフにしたオリジナルメニューが提供された。オリジナルメニューを注文すると描き下ろしの限定グッズが入手できた他、限定オリジナルグッズの販売も行われた。

メディアミックス

TVアニメ

2015年7月10日よりTOKYO MXほか各放送局で全12話のTVアニメ版が放送された。内容はコミックス10巻程度までのエピソードをなぞったもの。過激すぎて映像化が難しいといわれていた原作エピソードを忠実に再現し、アニメファン、並びに原作ファンからも多くの賞賛を浴びる作品となった。TVアニメ制作の裏話は『アニメ監獄学園を創った男たち』としてセミドキュメンタリー漫画化されている。主なキャスティングは藤野清志役を神谷浩史、栗原千代役を橋本ちなみ、栗原万里役を大原さやか、白木芽衣子役を伊藤静、緑川花役を花澤香菜が演じた。制作はJ.C.STAFF。監督は水島努、シリーズ構成・脚本は横手美智子、キャラクターデザイン・総作画監督を谷口淳一郎が務めた。

実写ドラマ

2015年10月28日よりMBS、TBSにて実写ドラマが放送された。内容はコミックス10巻程度までのエピソードをなぞったもので、かなり原作に忠実な展開。過激すぎてアニメ化すら難しいと言われていた原作エピソードに、放送禁止ギリギリのラインでチャレンジした意欲作となっている。また実写化の際に一番難しいとされるキャラクターイメージの再現度はかなり高いと言われており、出演者の迫真の演技も相まって高評価を得た。主なキャスティングは、藤野清志役を中川大志、栗原千代役を武田玲奈、栗原万里役を山崎紘菜、白木芽衣子役を護あさな、理事長役を高嶋政宏が演じた。

評価・受賞歴

本作『監獄学園』は2013年に第37回講談社漫画賞(一般部門)を受賞している。

作家情報

平本アキラは沖縄県出身の漫画家。1995年、「週刊ヤングマガジン」に「平本明」名義で描いた『その友達に疑問あり』が掲載されデビュー。1998年には現在の名義に変えて『アゴなしゲンとオレ物語』の連載を開始し、実に11年にわたる長期連載作品となった。その後、『俺と悪魔のブルーズ』『やりすぎコンパニオンとアタシ物語』などの連載を経て、2011年より『監獄学園』を連載。この作品はアニメ化、実写ドラマ化を果たし、平本アキラを代表する爆発的なヒット作となった。『やりすぎコンパニオンとアタシ物語』や『監獄学園』に代表される下ネタ中心のお下劣ギャグが中心の作風だが、『俺と悪魔のブルーズ』のようにシリアスで重厚な作品も手がける。また、デビューから『アゴなしゲンとオレ物語』連載開始当初まではいわゆる下手ウマな絵柄であったものの、『俺と悪魔のブルーズ』以降の作品では、一転、リアルな絵柄や緻密な描写を持ち味としており、ファンを驚愕させた。このことから「デビューしてから最も絵柄が進化した漫画家」として名前を挙げられることも多い。

登場人物・キャラクター

藤野 清志 (ふじの きよし)

八光学園に入学した男子生徒の1人。V字に分けた前髪が特徴。昨年まで女子校だった八光学園に入ればすぐに彼女ができるだろう、という邪な思いで入学したものの、蓋を開けてみると予想以上の男女比に少々尻込みしている。そんななか、たまたま母親から贈られた「雷電為右衛門消しゴム」をきっかけに栗原千代と交友を深めることになり、絶賛片思い中。 女風呂ノゾキ事件の際は、千代の裸を見られたくないという思いもあって、他の男子生徒を制止するなど、比較的まともな性格だと思われていたが、思春期の欲求には逆らえず、物語が進むごとに変態度も上昇している。また、一癖も二癖もある人間に囲まれながら、時折彼らを驚愕させるほど突拍子もない行動を取ったり、意外性のある人物。 緑川花と関係をこじらせるなど、周囲からの誤解を招きやすいトラブルメーカーでもある。

若本 真吾 (わかもと しんご)

八光学園に入学した男子生徒の1人。金色に染めた髪をソフトリーゼント風にセットした不良風の容姿をしている。しかし、内面はさほど悪くも暴力的でもなく、男子生徒の中では良くも悪くも一番普通の高校生らしい人物。藤野清志(キヨシ)とは中学時代からの知り合いで、互いに信頼を置いている。しかし、懲罰棟に入った後、特にキヨシの脱獄が判明した際には、信じていたぶん裏切られたショックが大きく、関係が悪化。 その心の弱さから裏生徒会に付け込まれてしまう。横山杏子とは知り合ってからいい雰囲気になっているものの、押しの弱さなどが原因でいまいち深い関係になりきれないでいる。

諸葛 岳人 (もろくず がくと)

八光学園に入学した男子生徒の1人。長髪をセンター分けにしてメガネをかけた外見に加え、自分のことを「小生」と呼び、敬称は「~殿」、語尾には「~ゴザル」を付けて話すという典型的なオタクキャラ。しかし男子生徒同士の絆を重んじる性格で、女風呂ノゾキ事件が発覚した際には、その場にいなかった藤野清志(キヨシ)をかばったり、その後も自らを犠牲にしてキヨシの脱獄を手助けするなど、男気を見せることもある。 「練馬一の知将」を自称するだけあり、発想力はピカイチ。しかし、それが明後日の方向に向かってしまうこともあるため、あまり当てにならない部分もある。のちに『三国志』好きが功を奏し、表生徒会に所属する横山みつ子と関係を深めるが、裏生徒会と男子生徒が共闘して表生徒会に立ち向かう展開になってしまったことで苦悩する。 男性生徒の中では安堂麗治に次いで身長が高い。

根津 譲二 (ねづ じょうじ)

八光学園に入学した男子生徒の1人。常にフードをかぶった姿が特徴で、このフードはプールに入る時にも着用しており、素顔は影に隠れてまったく分からない。いつも咳き込み喀血しているが、安堂麗治いわく口内炎がひどいだけで病弱なわけではない。とはいえ、懲罰棟での肉体労働を経てもなぜかガリガリの体をしているため、身体能力はあまり高くない。 性格は極めて内向的で、人の短所や過去の失態をネタにして笑ったり、また懲罰棟から解放された後、他の男子らが女生徒と仲良くしていることに嫉妬するなど陰湿。一方で、趣味でもあるアリの飼育や観察には余念がなく、裏生徒会の陰謀で傷害事件を起こそうとした際、身を挺してかばってくれた藤野清志に恩義を感じるなど、好きなことや理解してくれる人には一途な部分がある。

安堂 麗治 (あんどう れいじ)

八光学園に入学した男子生徒の1人。他の男子生徒に比べても頭ひとつ分高い身長に、アゴがなくなるほどの太った体、富士額でパーツが中央に寄った顔を持つ個性的な外見。またそれぞれクセのある男子生徒の中でも極度の変態であり、超被虐趣味(ドM)という性質を持つ。懲罰棟入りした時も獄長である白木芽衣子の体罰的指導を喜んでいる節があり、果てには芽衣子のことを自分の主人として慕うまでになる。 しかし、裏生徒会によるDTOが発動された際には芽衣子のお仕置きが受けられなくなってしまい、次第に精神が崩壊。廃人のように変貌する。

栗原 千代 (くりはら ちよ)

八光学園に通う女子生徒の1人で、藤野清志(キヨシ)のクラスメイト。髪型は肩にかかるぐらいの黒髪ミディアムボブ。八光学園の中でも可愛い子が多いとされるキヨシのクラスの中でもトップクラスの容姿を誇る。性格は明るく外交的で、人を疑うことを知らないお人好し。一方で相撲が趣味という、女子高生にしては変わった一面を持つ。 キヨシが「雷電為右衛門消しゴム」を持っていたことから、共通の趣味を持っていると勘違いして仲良くなり、ついにキヨシと2人で相撲観戦デートに行く約束を取り付ける。しかしその後、男子生徒らによる女風呂ノゾキ事件が発覚し、男子生徒らは懲罰棟入り。刑期とデートの日程が重なっていたため、キヨシが脱獄を決意することになった。 相撲好きに悪い人間がいないという思い込みに加え、キヨシが気まぐれにカラスの雛を助けているのを見たことなどから、完全にキヨシのことを信用している。なお、コンタクトを外すとほとんど何も見えなくなるほど視力が悪く、女風呂ノゾキ事件では女風呂に侵入したキヨシをルームメイトの田中マユミと間違えたこともある。誕生日は7月7日。

栗原 万里 (くりはら まり)

八光学園裏生徒会の第20代会長を務める女子生徒で、栗原千代の姉。美しいロングストレートの黒髪に抜群のプロポーションを誇る美女であり、明晰な頭脳と類まれなる統率力、あふれんばかりのカリスマ性から、学園の女子生徒に絶大な人気を誇る。しかし、自分の父親である理事長の特殊な性癖を憎むあまり、極度の男性不信に陥っており、男子生徒に対しては容赦のない一面を見せる。 八光学園の共学化や男子生徒が女子生徒に接触することを拒んでおり、自在に操ることのできるカラスを使役して学園中を見張るほどに神経を尖らせていた。そんななか発生した、女風呂ノゾキ事件を契機に、男子生徒を懲罰棟に送り込み、最終的には退学に追い込もうと画策する。

白木 芽衣子 (しらき めいこ)

八光学園裏生徒会の副会長を務める女子生徒。高い身長に豊満な肉体を持ち、長い金髪を頭頂部でお団子にまとめた髪型に、眼光鋭い目つき、オーバルタイプのメガネをかけた容姿が特徴。制服は胸元を大きく開け、超ミニスカートにピンヒールのロングブーツを履いた出で立ちで、まさに女王様といった風体をしている。見た目の強烈さ同様、性格は冷徹で容赦がなく、懲罰棟の看守を務める時には手に持った指し棒を振るい、男性生徒らに制裁を加える非情さを持つ。 しかし女性に免疫のない男子生徒らにとっては、性的魅力溢れる芽衣子の指導はもはやご褒美であり、最初は戸惑っていた藤野清志ですら、慣れてくると「悪くない」と言い出す始末。なお芽衣子は、現在でこそ女王様然とした性格だが、引っ込み思案で自己主張のない性格だった過去があり、自分が変わるきっかけになった栗原万里に心酔している。 隙あらばスタイル維持のために筋トレをしているのも万里のためであり、時折そんな思いが暴走して突拍子もない行動に出ることがある。好物はルートビアと柿の種。

緑川 花 (みどりかわ はな)

八光学園裏生徒会の書記を務める女子生徒。前髪パッツンで内巻きミディアムボブの髪型をした背の低い子で、ゆるふわ系の見た目をしている。しかし、実は空手でインターハイベスト4に入賞するほどの実力者で、性格は体育会系を地で行く。看守を務めるときは男子生徒に不条理な作業を押し付け、気に食わないと容赦のない一撃を食らわせるうえに、白木芽衣子と違ってスカートの下にジャージを着用しているため色気もなく、男子生徒からはかなりの不評を買っている。 乱暴な性格とはうらはらに、特技はオリジナルハーブティーを淹れること。しかしある時、タンポポ茶を飲みすぎたのがきっかけで、藤野清志と複雑な因縁を深めていくこととなる。

理事長 (りじちょう)

八光学園の理事長にして、栗原万里、栗原千代の父親。白髪まじりの髪をオールバックに整え、口ひげを蓄えたナイスミドル。しかしその内面は、紳士然とした外見とは程遠い変態である。尻に並々ならぬフェティシズムを持っており、特に南米の女性の尻にはめっぽう弱い。八光学園の理事長室では、勤務中に平然とアダルトサイトを閲覧し、お気に入りサイトとしてPCに登録しているほど。 また自身の尻にも強いこだわりを持っており、過去には家の中でTバック1枚の下半身をさらけ出したまま過ごし、それが当たり前だと、幼い頃の栗原万里に教育を施していた。これらの事実が積み重なったことで、万里からは嫌悪どころか侮蔑の悪感情を持たれてしまっている。ちなみに、変態的な部分ばかりが目立つが、尻に関すること以外であれば比較的まともな思考の持ち主で、困った人間を見て自身の危険を顧みずに助けに行くような正義感も持ち併せている。 セリフの最後に不自然なほど間を置き、語尾を強調する思わせぶりな話し方が特徴。

竹ノ宮 ケイト (たけのみや けいと)

八光学園表生徒会の会長を務める女子生徒。オレンジ色の長い髪を縦ロールに巻いた髪型と、毛先のカールしたまつ毛が特徴。裏生徒会が行ったDTOや、男子生徒が懲罰棟から解放される際に緑川花が起こした暴力行為の罰則として、裏生徒会の面々を懲罰棟に送り込むよう理事長に進言し、その看守として名乗りを上げる。 もともと、八光学園内において裏生徒会が表生徒会以上の権限を有していたことに恨みを持っており、懲罰棟では裏生徒会の面々に対し敵意を露わにした態度で厳しく接する。実は、栗原万里や白木芽衣子とは、表生徒会と裏生徒会としての関係のほか、小学校時代からの因縁があり、これが裏生徒会を糾弾した動機となっている。 特に万里には非常に強いライバル意識を持っている。しいたけとピーマンは見るのも嫌なほど大嫌い。名前の由来は漫画家の竹宮惠子から。

別当 リサ (べっとう りさ)

八光学園表生徒会の副会長を務める女子生徒。額を大きく見せたベリーショートの髪に、暗いアイシャドーをひいたようなきつい目つきを持つ、ゴシックパンク風の外見が特徴。裏生徒会が入っている懲罰棟の看守を務め、常に持ち歩いている竹刀で厳しい指導を行う。剣術の腕前は相当なもので、白木芽衣子と緑川花の同時攻撃を防ぎきったこともあるほど。 竹ノ宮ケイトの指示で裏生徒会の看守役を務めた安堂麗治(アンドレ)の仕事ぶりや対応を見て尊敬の念を抱いており、のちにさまざまな経緯を経てアンドレの想いに応えるべく女王様になろうと努力する。自分の容姿にコンプレックスを抱いており、特に胸部の話題には敏感。諸葛岳人らから「竹刀ブス」と呼ばれていたことを知った時には誰にも止められないほどに激昂した。 名前の由来は洋画『ドラゴン・タトゥーの女』の登場人物、リスベット・サランデルから。

横山 みつ子 (よこやま みつこ)

八光学園表生徒会の書記を務める女子生徒。高い位置でまとめたツインのお団子ヘアが特徴。生粋の『三国志』マニアであり、男子生徒らが懲罰棟から解放された後、図書室で『三国志』関連の本を探していた諸葛岳人(ガクト)と仲良くなる。授業中に失禁したことで学園中の女子生徒から敬遠されているガクトに対し、「自分も幼稚園の頃に同じ経験がある」とカミングアウトし、偏見なく接してくれるなど、おとなしく優しい性格を持つ。 一方でかなり複雑な人間性を持っており、その一部として、極度の「ドジっ娘」体質が挙げられる。引き起こした現象が徐々に周囲に影響を及ぼし、なぜか予想だにしなかった騒動につながるという特異体質の持ち主で、周囲から「ピタゴラドジっ娘」と揶揄される。 また、実は隠れ腐女子であり、BLが大好物。ガクトと根津譲二が仲良くしている場面を見て勘違いし、2人を『三国志』の武将に見立てたBL漫画を制作するなど、かなりコアな部分まで踏み込んでいる。名前の由来は『三国志』漫画の巨匠、横山光輝から。

横山 杏子 (よこやま あんず)

若本真吾(シンゴ)が白木芽衣子に指示されて買い出しに出かけた際に、近所のゲームセンターで出会った女の子。髪型は黒髪ストレートのミディアムロングヘア。元お嬢様学校である八光学園の生徒にしては珍しく、少し不良っぽい見た目と言動が特徴。買い出し中にゲームセンターに立ち寄ったシンゴの制服を見て、同じ学園生であったため声をかけた。 自身も格闘ゲームを得意としており、地元のゲームセンターではランキング1位の腕前を誇る。ゲームセンターでの出会いを通じて、シンゴが外出する際にはほぼ一緒に過ごすほどの仲になっていく。実は裏生徒会親衛隊の隊長。表生徒会の一員である横山みつ子とは従姉妹の関係にある。

佐藤 (さとう)

八光学園に通う女子生徒の1人で、根津譲二(ジョー)のクラスメイト。ストレートのおさげ髪にメガネをかけている。懲罰棟での刑期を終えて自由を手にしたものの、自分を失って凶行に走ろうとしていたジョーに対し、調理実習で作ったカップケーキを渡した。別にジョーの心境を見透かしたわけでもなく、またカップケーキもクラスの全員に配っていたもので特に他意はなかったが、この行為が結果としてジョーの気持ちを救うことになった。 非常に気さくで明るい性格をしており、通常の人間であれば落ち込んでしまいそうなアクシデントも笑って済ますポジティブな人柄。

田中 マユミ (たなか まゆみ)

八光学園に通う女子生徒の1人で、栗原千代の寮でのルームメイト。髪型はショートカットで前髪を斜めにヘアピンで留めているのが特徴。千代とは非常に仲が良く、女風呂ノゾキ事件を起こし懲罰棟に入った藤野清志(キヨシ)を信じる千代に対し、「人が良すぎる」としながらも応援してくれるほど。また千代がキヨシの脱獄計画の手助けをしようとした時にも協力した。 当初は千代の友人というポジションでしかなかったが、体育祭の表・裏生徒会対抗騎馬戦で重大な秘密が発覚。一転、非常に濃いキャラクターとなった。

クリーニング屋 (くりーにんぐや)

八光学園に出入りしているクリーニング屋のおじさん。八光学園は全寮制のため、毎週金曜日には制服をクリーニングに出す決まりがあり、これを受け取りに来る。髪をきれいに剃った禿頭に髭を生やした厳しい顔つきとゴツい体つきをしているが、見た目にそぐわず穏やかで優しい心の持ち主。脱獄を企てる藤野清志と諸葛岳人の計画に利用されてしまう。

ワタナベ、キヨタケ、エガワ

根津譲二(ジョー)が飼っているアリたち。傍目からはそれぞれの個体の違いは分からないが、ジョーには見分けがついている。ジョーの観察によればワタナベやキヨタケはみんなと仲良くやっているが、エガワだけ周りとの距離感を掴みかねている様子。

ハニー

八光学園で体育祭が行われる当日、路上でヒッチハイクしようとしていた女性。ブロンドの髪にカウボーイハットをかぶり、ホットパンツを履いている。車でどこかへ向かう途中の理事長が見つけるが、急いでいた理事長は一度はそのまま見過ごそうとする。しかし、サイドミラーに映った尻があまりに素晴らしかったため、彼女を車に乗せて目的の場所まで送り届けることになる。 その後、交通事故などのトラブルを経て記憶を失った理事長と再会。自分と理事長の関係を恋人同士であると言い聞かせ、行動をともにするようになる。

有力者 (ゆうりょくしゃ)

何らかの理由でハニーを付け狙う組織のボス。目の下に濃いクマがある厳しい目つきに、ひげを蓄えた威厳のある容姿をしている。部下に指令を下してハニーを連れ去ろうとするものの、理事長に阻止され激昂。彼らが山に逃げたという報告を聞き、猟銃を持って山狩りを行うように指示した。なお、実はただの地元の有力者であり、怒ると怖いが根は優しく、地元住民からも尊敬を受ける人物。 また、ハニーの本当の婚約者でもあり、飼い猫の子供に付ける名前が原因でハニーと仲違いし、仲直りするために連れ戻そうとしていただけである。山狩りを行って理事長とハニーを確保しようとしていたのも、ちょうど野生の熊が山に現れるという情報を聞いたためで、他意はない。

謎の女王様 (なぞのじょおうさま)

八光学園の周辺でボンテージショップ「巣犯王」を経営している女性。営業中もボンテージコスチュームを着て接客している。廃人のようになってしまった安堂麗治を助けたいという一心でボンテージを買いに来た別当リサに応対し、その真剣な姿に自分の過去を重ね合わせて、お古のボンテージを無料で譲り渡した。

マムシ

竹ノ宮ケイトの策略によって、栗原万里と藤野清志(キヨシ)が2人で閉じ込められた懲罰棟浴室内に放たれた蛇。少なくとも十数匹以上が無防備にゴミ袋の中に入れられており、袋から開放されて浴室内に散開し、万里とキヨシに牙を向けて傷を負わせた。実はその正体はマムシではなくアオダイショウの子供で、毒も持っていない。

少年 (しょうねん)

理事長が交通事故に遭った後、さまよっていた森のはずれにいた少年で、「ペス」という飼い犬を連れている。森の中で迷っていた理事長は、ペスが川に流されてしまった際の少年の泣き声を頼りに森から脱出。その後、ペスを助けるために川に飛び込んだ理事長は、ペスの救出と引き換えに右腕に傷を負い、さらに川下の滝から転落。この事故をきっかけに自分の素性も分からない記憶喪失に陥ってしまう。

(くま)

理事長とハニーが訳あって隠れ潜んでいる森や、地元の有力者が管理する山中に出没した野生の熊。有力者はこの熊を討伐するために猟友会の人間たちや消防隊を集めて山狩りを決行する。

鈴木 (すずき)

熊を討伐するため山狩りに駆り出された猟友会の男性。単独で熊を探していたところ、理事長とハニーに遭遇。自分たちを追っている組織の人間だと勘違いした理事長に殴られ昏倒してしまう。

豪轟獅子王丸 (ごーごーらいおんまる)

有力者が、新しく生まれてくる飼い猫の子供につけようとしていた名前。キラキラネームすぎるため、その名前を付けることは生命を冒涜する行為であるとハニーに指摘され、ハニーが婚約を破棄して飛び出す原因となった。ちなみに、有力者が提案した名前に対し、ハニーが付けようと提案した名前は「テキサスTボーン」。

アントワネット

別当リサが小学6年生になる頃まで飼っていた猫。どこに出掛けるにも一緒で、アントワネットがいればいつでも幸せを感じることができたというほど、かけがえのない友人だった。アントワネットが亡くなってから、リサにとって本当に友人と呼べる存在はできなかった。リサが体育祭の障害物競争中の「借り物競争」で、「友達」を借りてくるという指令の紙を引いた時に、ふいにそのことを思い出す。

先代裏生徒会長 (せんだいうらせいとかいちょう)

栗原万里の前に裏生徒会会長を務めた女子生徒。当時、駅前で八光学園の生徒を対象にしたナンパが急増していることに心を痛めており、裏生徒会親衛隊員であった栗原万里と緑川花を使った囮作戦を考案。わざとナンパされた後、ナンパしてきた人物に制裁を加えることで、のちの被害を少なくしようと試みた。なお、この作戦によって万里の致命的なファッションセンスのなさを花が知るようになる。

ビッチ

八光学園の女子生徒の1人。名前は登場しないが、つけまつげを付けて化粧を施したいわゆるギャル風の容姿に加え、他の生徒たちとは異なり、男性器を屹立させた男性の姿にも怯まない精神力を持つことからこのように呼ばれる。表・裏生徒会対抗騎馬戦において、藤野清志に対し性的な誘惑をして、裏生徒会の騎馬を崩すという高度な攻撃を仕掛けてくる。

天使達 (てんしたち)

表・裏生徒会対抗騎馬戦において藤野清志(キヨシ)の前に現れた者たち。ギンギンになった股間のモノを全校生徒の前にさらけ出したことにより、感情が不安定になったキヨシが憤死。死亡したキヨシを迎えに天上から降りて来た。非常に穏やかな笑顔を浮かべているが、キヨシはそれを「問答無用って顔をしている」と評する。のちに白木芽衣子が死亡した際にも再登場した。 なお、登場したはいいものの、キヨシは栗原万里の心臓マッサージによって、芽衣子は自身の驚異的な精神力によって復活しており、いずれも天上まで連れて行かれていない。

吉田 (よしだ)

法智大学に通っているという男子大学生。佐藤と2人で駅前を歩いているところを竹ノ宮ケイトが目撃しており、佐藤の彼氏なのではないかと問いかけた。その後、ケイトのコールによって、佐藤から「りょーまっち」という愛称で呼ばれていることが発覚する。しかしこの愛称の暴露によって、吉田が八光学園の他の女子生徒とも関係を持っていることがバレてしまう。

集団・組織

裏生徒会 (うらせいとかい)

20年前の事件がきっかけとなり、八光学園に発足した自治組織。メンバーは第20代会長の栗原万里を筆頭に、副会長は白木芽衣子、書記は緑川花が務める。主な活動内容は学園内における不純異性交遊の取り締まりであり、万里がいうには「公安警察みたいなもの」。しかし、実際には多くの生徒たちからの信望を集めており、学校行事などの予定を作成するほか、通常の学校の生徒会と同様もしくはそれ以上の権力を誇っている。

表生徒会 (おもてせいとかい)

八光学園で組織されている本来の生徒会。メンバーは会長の竹ノ宮ケイトを筆頭に、副会長は別当リサ、書記は横山みつ子が務める。いわゆる通常の生徒会で、本来学校行事を取りまとめ、仕切る立場にあるはずだが、八光学園においては裏生徒会が一般生徒たちからの羨望と支持を集めており、ほとんど意味をなさない存在になっていた。 しかし、裏生徒会が男子生徒を退学させる目的で強行したDTO(男子退学オペレーション)の存在などを知り、これを盾に裏生徒会の懲罰棟行きを理事長に直訴。裏生徒会の権威を失墜させて、学園内での立場を逆転させようと企む。

あんみつ

横山みつ子が同人誌を制作する際に使用しているペンネームおよび制作集団名。現在はみつ子のみのものとなっているが、本来は小学生の頃に横山杏子と合作で創作活動を行っていた際に付けた。それぞれの名前の頭文字からできている。

場所

八光学園 (はちみつがくえん)

東京都郊外にある全寮制の高等学校。創立50年の歴史を誇り、首都圏でも有数の進学校にして良家のお嬢様たちが通う女子校だったが、2011年に理事長が交代したことで共学となる。藤野清志らが入学したのは共学になった初年度だったが、制度が変わって日が浅かったためか、入学した男子生徒は全1026人中たったの5人しかいなかった。

懲罰棟 (ぷりずん)

規律の厳しい八光学園において、校則違反を犯したものが入れられる特殊な収容所。棟内には鉄格子で区切られた監獄のような生活スペースがあり、犯した罪の重さによって一定期間の懲役を受けなくてはならない。収容期間の目安は、女子生徒が男子生徒と接触した場合には1週間、女風呂ノゾキ事件を引き起こした男子生徒らは1か月。刑期中に脱獄やルール違反が認められた場合は、ペナルティが加えられ、脱走した際は初犯の場合、1か月の刑期延長、2回目は3か月の延長、3回目があった場合は退学となるのが基本ルール。 刑期中は一日中棟内で過ごすことになり、授業はモニターによって受け、外部生徒との接触は基本的に禁止。例外として土日のみ自由時間が与えられ、外出も可能となる。 なお、この懲役は学園伝統の生徒更生プログラムとして教師陣にも容認されている。作中では懲罰棟と呼ばれることがほとんどだが、場合によって「懲罰房」などの表記もみられる。

ゴミ捨て場 (ごみすてば)

八光学園の校舎裏にある場所。校舎の影になってなかなか陽が当たらないため、年中ジメジメした環境で、しかも約50年間まともに修理されていないため、敷地を隔てるコンクリート壁が老朽化してしまっている。藤野清志はこれに気づき、脱獄のための出入り口にしようと掘削を開始した。

巣犯王

八光学園の周辺に存在するボンテージショップ。白木芽衣子が幼児退行してしまったことにショックを受け、廃人同然となってしまった安堂麗治を助けるため、別当リサが女王様コスチュームを買いに行った。表のショーウィンドウに飾ってある女王様ボンテージは本革製ムチ付きの1点もので20万円。経営者は謎の女王様。

イベント・出来事

女風呂ノゾキ事件 (おんなぶろのぞきじけん)

八光学園に新入学した藤野清志(キヨシ)ら男子生徒5名が学園内の女風呂を覗いた事件。裏生徒会会長である栗原万里が操るカラスの監視によってノゾキの現場を押さえられ、全員が懲罰棟で1か月の懲役を受けることになった。なお、ノゾキの現場にはキヨシはいなかったものの、校舎裏に潜んでいたところを万里に押さえられ、同様の罪を犯したものとして扱われている。

20年前の事件 (にじゅうねんまえのじけん)

八光学園で20年前に起こった出来事。具体的な内容は明かされていないが、この事件をきっかけに八光学園では不純異性交遊を厳しく取り締まることとなり、裏生徒会が発足するきっかけとなった。

東日本学生相撲大会 (ひがしにほんがくせいすもうたいかい)

2011年5月7日に両国体育館で開催されることになっているイベント。大の相撲好きである栗原千代は、藤野清志(キヨシ)が雷電為右衛門消しゴムを持っていたことから相撲好きであると勘違いしており、一緒に見に行かないかと誘った。しかし、その後キヨシは懲罰棟入りしてしまう。それでも、当日は土曜日であり、本来は自由に外出できるはずだったが、懲役作業が終わらずに外出が禁止になった。 そのことが、キヨシが脱獄を決意するきっかけになった。

三国志フィギュア祭り (さんごくしふぃぎゅあまつり)

秋葉原で4年に1度だけ開催されるイベントで、藤野清志(キヨシ)らの懲罰棟服役期間中の2011年5月7日に開催が予定されている。本来であればこの日は土曜日であり、自由に外出できるはずであったが、懲役作業が終わらずに外出が禁止になる。このフィギュア祭りで販売される「限定版 関羽雲長&赤兎馬フィギュア」が欲しい諸葛岳人と、キヨシの利害関係が一致し、2人は共謀して脱獄を企てることになる。

臨海学校 (りんかいがっこう)

八光学園で8月に行われる学校行事。臨海学校では、生徒全員でキャンプファイヤーをしたり歌ったり、BBQをしたりする他、濡れTシャツコンテストが行われる予定になっている。

濡れTシャツコンテスト (ぬれてぃーしゃつこんてすと)

八光学園の行事・臨海学校の一環として行われる予定になっているイベント。具体的な内容は明らかになっていないが、男子生徒らはこの名称から「素肌にTシャツを着用した女子たちが水を浴びる」というイメージを膨らませている。一時はDTOによって退学させられそうになった男子生徒たちだったが、このイベントが夏に行われることを知り、なんとしても退学を免れようと立ち上がった。 のちに裏生徒会の面々が懲罰棟入りし、実権が表生徒会に移った際、八光学園の年間行事予定表からは濡れTシャツコンテストが消滅、代わりに潮干狩りが行われる予定になった。学園での自由を得てからはさまざまな事情で仲違いしていた男子たちだったが、この事実を目の当たりにし、再び集結。 裏生徒会を脱獄させ、体育祭での表生徒会との戦いを勝利に結びつけることを誓う。

潮干狩り (しおひがり)

裏生徒会に代わって学園の実権を握った表生徒会が組み上げた年間行事予定で、濡れTシャツコンテストに代わって行われる予定となった行事。濡れTシャツコンテストの代替行事としての潮干狩りは男子生徒らにとって最悪の展開であり、男子生徒らが表生徒会以上に裏生徒会を支持する理由になる。

最後の晩餐 (さいごのばんさん)

白木芽衣子によれば、かつてアメリカのフロリダ州の刑務所では、死刑執行前日に本人の望む食事が与えられたという。これにちなみ、男子生徒らが3度目の脱獄を図ったとして退学処分が下された際、その直前にせめてもの情けとして懲罰棟内で提供された食事。それぞれ思い思いの好きなものを頼んでいたが、諸葛岳人だけはこの時精神に異常をきたしており、「特上バッタのかき揚げ丼」というメニューを頼んでしまった。 なお、バッタは食材としては売られていないため、芽衣子が直々に校内で捕まえたものが使われた。

ボヤ騒ぎ (ぼやさわぎ)

白木芽衣子が起こしてしまった事件。懲罰棟での刑務作業の一環として、芽衣子には校舎裏にある木を剪定した時に出た落ち葉や枝を集め、燃やして処理をするという仕事が任された。この時の焚き火が異常に燃え上がってしまい、炎は校舎の2階の高さにまで燃え上がり、またフェンスで隔たれた敷地外に生えている一部の樹を焼いてしまった。 この焼けた樹の中には、まだ自力で飛べないカラスの雛たちがいる巣が確認されており、栗原万里はこの騒ぎを嗅ぎつけて脱獄してしまう。かつて自分をイジメていた竹ノ宮ケイトからの圧力に加え、敬愛する万里が大事にしていたカラスの雛を焼いてしまったかもしれないという自責の念に苛まれた芽衣子は、この事件をきっかけに自我を見失い、幼児退行してしまう。

体育祭 (たいいくさい)

6月30日に八光学園で行われた競技大会。これまでに48回を数え、キャッチコピーは「勇往猛進」。開催前から校内のビラで、表生徒会と裏生徒会が覇権をかけて表・裏生徒会対抗騎馬戦で戦うことが周知されており、体育祭の目玉となっている。

障害物競走 (しょうがいぶつきょうそう)

体育祭で行われた競技種目の1つ。緑川花と別当リサが参加することになっており、体育祭の最終種目である表・裏生徒会対抗騎馬戦の前哨戦として注目を集めた。横山杏子いわく、昨年の障害物競走でも同じく花とリサが争っており、その時には僅差で花の勝利に終わったものの、競技終了後に2人とも救急車で搬送されるほどの死闘を繰り広げたという。 昨年の成績から今年も花の優位が予想されていたが、ある事情により花は藤野清志(キヨシ)のパンツを履いており、それがなかなか馴染まずに本来の調子を出せない。

表・裏生徒会対抗騎馬戦 (おもてうらせいとかいたいこうきばせん)

八光学園体育祭のメインプログラムとして行われる競技種目。全校生徒が参加する種目となっており、生徒会に属さない生徒たちは表生徒会、もしくは裏生徒会のどちらに属するか自由に選択できる。騎馬戦は大将戦で行い、表生徒会と裏生徒会がそれぞれ大将騎となって、騎手のハチマキが取られるか、大将騎が崩されたほうが負けというルール。 負けた生徒会はその場で解散しなくてはならない。なお、一般生徒の自由選択の結果、裏生徒会側についたのは安堂麗治を除く男子生徒4人、それに栗原千代、田中マユミ、横山杏子、佐藤だけだった。

その他キーワード

DTO (だんしたいがくおぺれーしょん)

裏生徒会によって企てられた陰謀。女風呂ノゾキ事件によって懲罰棟に投獄された男子生徒らが、刑期満了を迎えようとしている状況を覆すため、さまざまな手練手管で男子に懲罰棟のルールを破らせ、退学に追い込もうというもの。なお、DTOは「Danshi Taigaku Operation」の頭文字を取った略称であるため、「DTO作戦」と呼ぶのは重複表現になる。 だが語呂の良さからか、発案者である栗原万里ですら何度か間違えたりしている。

メデューサ

目が合った者を石に変える力を持つとされる、無数の蛇でできた髪を持つ化物。作中で隠語として使用される言葉で、ありていに言えば女性器のこと。緑川花は藤野清志(キヨシ)に強いトラウマを植え付けられており、これを克服するため、またトラウマを植え付けられたことに復讐するため、キヨシと2人きりになる状況を作った。この際、互いに主導権を握ろうと白熱する2人のやり取りのなかでアクシデントが起き、花のメデューサがキヨシの前に露わになってしまう。

エリンギ

柄の部分は片手で握るのに適した太さと片手では余る程度の長さを持ち、指で押しても押し返すほどの弾力があるキノコ。また先端にはシイタケのように大きく広がったものではなく、柄の部分よりも少しだけ幅が広がったような傘を持つのが特徴。作中で隠語として使用される言葉で、ありていに言えば男性器のこと。藤野清志(キヨシ)と緑川花が保健室である行為を行おうとしていたところを栗原千代に見つかりそうになった際、2人で慌ててベッドの下に隠れた。 この時、向かい合い密着した状況の中で、キヨシがむくむくと肥大化したエリンギを花の股間に押し付けたことで、花がトラウマを抱えるに至った。

アンドレノミクス

裏生徒会が懲罰棟入りとなった際、表生徒会の指示によって看守に選ばれた安堂麗治が提唱した、独自の投資論。これまでは白木芽衣子のお仕置きというリターンを得るために、作業ミスなどの小さなリスクを重ねてはその度にリターンを得ていたが、看守側に回ってのアンドレノミクスでは、あえて理不尽な要求を積み重ねながらお仕置きを回収しないことで、のちに訪れるであろう大きなリターン(芽衣子による強烈な仕返し)を期待している。

ウロボロス

作中で隠語として使用される言葉。1匹あるいは2匹の蛇が互いの尻尾を噛んで輪になったもののこと。転じて閉鎖空間内でマムシに噛まれたと勘違いした藤野清志(キヨシ)と栗原万里が、互いの毒を吸い出すために、キヨシが万里の内腿に、万里がキヨシの尻に吸い付くような体位を指す。ありていに言えばシックスナインの体勢のこと。

復活のF (ふっかつのふくかいちょう)

とある事件をきっかけに幼児退行してしまった裏生徒会副会長の白木芽衣子を、元の性格に戻そうという作戦。裏生徒会と表生徒会は体育祭の競技種目の1つである表・裏生徒会対抗騎馬戦で決着をつけることになっていたが、裏生徒会側の主力である芽衣子は幼児退行したままで戦力にならない。一方、表生徒会側にはモンスターと化した安堂麗治(アンドレ)がついており、このままでは裏生徒会の敗色が濃厚だった。 この状況を覆すために、アンドレの唯一の弱点である厳しい性格の芽衣子を復活させることになる。芽衣子がかつての性格だった頃に特徴的だった行動パターンを試し、復活の手立てを探っていたところ、ルートビアがヒントになることが判明する。

グレート・リフト・バレー (ぐれーとりふとばれー)

表・裏生徒会対抗騎馬戦における藤野清志の決死の奮戦をサポートするため、栗原万里が口に出した言葉。別名「大地溝帯」。アフリカ大陸を立てに縦断するプレート境界であり、地上最大の割れ目と言われる。またこの場所から初期人類のものと思われる化石が出土しており、「人類が生まれでた場所」とされている。

雷電為右衛門消しゴム (らいでんためえもんけしごむ)

藤野清志(キヨシ)の母親が買ってきた大相撲文具の1種。消しゴムカバーに雷電為右衛門のイラストが描いてある。キヨシは大相撲が好きでもなんでもなかったが、これを授業中に落としたことをきっかけに、大の相撲好きである栗原千代と仲良くなることができた。なお、千代も同じ消しゴムを持っている。

限定版 関羽雲長&赤兎馬フィギュア (げんていばん かんううんちょうあんどせきとばふぃぎゅあ)

関羽雲長および赤兎馬フィギュアの各関節は可動式で、着脱可能な青龍偃月刀などの付属品も付く。『三国志』マニアである諸葛岳人がどうしても手に入れたいものであり、「三国志フィギュア祭り」開催当日である2011年5月7日に藤野清志が脱獄を企てていることを知り、脱獄に協力する見返りとして購入してきてほしいと依頼する。

ルートビア

白木芽衣子の好物の1つである炭酸飲料。ショックのために幼児退行してしまった芽衣子が、本来の姿を取り戻すためのアイテムとして重要な役割を果たす。なお、ルートビアは実在するA&Wブランドのものが描かれている。

柿の種 (かきのたね)

白木芽衣子の好物の1つ。特に魚沼産のもち米を使用した鶴田の柿の種を好んでいる。そのままつまむのはもちろん、鶏の唐揚げの衣に砕いて混ぜるなど、オリジナルレシピに使用することもある。

PBR (ぺっとぼとるろけっと)

藤野清志(キヨシ)を除く4人の男子生徒らがペットボトルで作ったロケット型のオブジェ。もともとはキヨシと栗原万里、白木芽衣子が脱獄するために、空気圧で勢い良く飛び出すロケット風玩具を作ってもらいたかったのだが、その意図に反して、ロケットの形に組み合わせただけのオブジェが作られた。当然飛ばないが、水には浮く。 脱獄に使えないゴミでしかないものの、さまざまな勘違いや希望的観測を経て、男子生徒らの中では臨海学校に持っていけばモテモテになるアイテムと見なされるに至った。「PBR様」と呼ばれ、信仰を集めるほど神格化されている。なお、正式名称としては「ペットボトルロケットハチミツ号」だが、作中でそう呼ばれることはほとんどない。

MTIHS (えむてぃーあいえいちえす)

復活のF作戦の要として開発された特殊装備。金属製の枠に2リットルのペットボトルを6本くくりつけ、マスク状に切り取ったペットボトルの飲み口にホースを繋いだもの。これにより、手を使わずに背中に背負った炭酸飲料を自由に飲むことができる。なお、ネーミングは「無限炭酸飲料補給システム」の頭文字を取ったもので、正式名称は「MTIHS feat.PBR With F・F(復活の副会長)」である。

Mマーク、クマのアップリケ

アルファベットの「M」は万里(Mari)の頭文字をとったもので、クマは万里が好きなモチーフの1つ。容姿を含めおよそ欠点の見当たらないほど完璧な万里だが、唯一、ファッションセンスだけは皆無であり、そのうえ私服にこれらのアイテムを縫い付けるため手に負えない。緑川花が初めて万里の弱点を認識し、守ってあげようと決めるに至った理由となっている。

うっかりお母さん (うっかりおかあさん)

安堂麗治が白木芽衣子にお仕置きをしてもらうために使った秘技。学校で先生などのことを誤って「お母さん」と呼んでしまう現象を応用したもので、まだ若い女性を相手に、しかも囚人と看守という緊迫した間柄でこれを発動させることで、相手を激昂させる効果を見込んだもの。なお、渾身の技であったが、空振りに終わってしまう。

Mプロファイリング (まぞぷろふぁいりんぐ)

安堂麗治が使用した特殊技術。自身のドMという変態的性質をもって、一見無関係なさまざまな事柄や特徴を結びつけ、変態が行うであろう行為を推測するもの。これにより、変態的な所業に及ぼうとする根津譲二の行動パターンを割り出し、その居場所を突き止めることができた。

コール

手拍子のリズムに乗せて単純な言葉を繰り返し、標的を精神的な極限状態に追い込む技。分かりやすく言えば飲み会での「一気飲みコール」もこのひとつ。表・裏生徒会対抗騎馬戦において、安堂麗治(アンドレ)に騎乗している表生徒会は圧倒的な戦力を誇っていたが、アンドレを操っている別当リサの弱点に気づいた根津譲二が、リサの精神状態を乱し、表生徒会の騎馬を崩すために使った。

バベル

表・裏生徒会対抗騎馬戦で、裏生徒会の面々が使った技。栗原万里を騎手とする騎馬を、さらに諸葛岳人らの組む騎馬の上に乗せる戦法。通常の騎馬のままでは安堂麗治の上に乗る騎手である竹ノ宮ケイトのハチマキに手が届かなかったが、バベル戦法を使用することでようやく高さの面で同等の戦いを可能にした。しかし、その作戦の性質上、機動力は著しく低下してしまう。

怒りの葡萄 (いかりのぶどう)

横山杏子と若本真吾が見に行った映画。杏子らは映画を観に行く前には、ブドウの化物が怒って人間を襲うB級映画を想像していたが、実際はかなり真面目な内容で、怒っているのは農家のおじさんだった。モデルは1940年にアメリカで作られた実在の同名映画で、資本主義の台頭や世界恐慌などの情勢に翻弄されながらも生き延びる、ある家族の人生を描いている。

ボクのどれい日記 (ぼくのどれいにっき)

安堂麗治(アンドレ)が懲罰棟に投獄されてから、白木芽衣子に受けたお仕置きの内容をイラストを添えて事細かに記したもの。裏生徒会はこれを利用してアンドレの行動を誘導し、故意に脱獄させるというDTOを企てる。

絶対に当たる三国志占い (ぜったいにあたるさんごくしうらない)

八光学園の図書室にある本。『三国志』マニアである諸葛岳人(ガクト)が以前から探していたものの見つからなかった超レア物。「クーラーとうちわならどちらを選ぶか」「喧嘩した友人に何回謝ってもらえば許せるか」などの質問に答えることで、回答者の性格を『三国志』の武将になぞらえて占う。なお、占いの結果によれば、ガクトは諸葛孔明タイプ。 図書室でガクトがようやく見つけたこの本に手を伸ばした時、偶然同じタイミングで手を伸ばした横山みつ子と知り合った。

呂布を待ちながら (りょふをまちながら)

横山みつ子が『三国志』を題材にし、「あんみつ」のペンネームで自主制作したBL漫画。みつ子は過去にBL趣味を理解しようと努力していた諸葛岳人(ガクト)と根津譲二(ジョー)のやり取りを目撃したことがあり、そのことで、「2人が友人以上の関係である」と勘違いしている。BLが趣味であるみつ子は創作意欲を刺激され、ガクトとジョーをモデルにしてしまった。

メイコの歌 (めいこのうた)

竹ノ宮ケイトが白木芽衣子をいじめていた幼少の頃に作った歌。「メイコのメはメートルのメ。メイコのおっぱい1メートル」という歌詞で始まる歌で、いじめられっ子だった当時の芽衣子のコンプレックスをあげつらったもの。普段は冷静沈着な芽衣子だが、この歌を聴くといじめられっ子だった頃の思い出がフラッシュバックしてしまい、精神的に不安定な状態になる。

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