概要・あらすじ
小学生の頃、野球クラブでエースを目指していた吉沢修二は、いとこの吉沢空にその座を奪われたことをきっかけに、野球を止めてしまう。それから数年、県立玄石高校に入学した修二は、海外へ留学していたはずの空と再会する。高校生になり、178cmになった修二に比べ、空は身長160cmに満たない、女子のような小柄で華奢な体型をしていた。
野球部に一緒に入部しようと、空に誘われた修二は、「今の自分なら空に野球で勝てる」と確信し、再び野球を始めることになる。
登場人物・キャラクター
吉沢 修二 (よしざわ しゅうじ)
県立玄石高校1年生の男子。野球部に所属している。178cmと長身。父親は、学生時代にキャッチャーとして吉沢空の父親とバッテリーを組んでいたが、3年前に他界。現在は母親と妹の吉沢亜子と3人で生活している。空とはいとこ同士で、小学生の頃に野球クラブのエースの座を奪われたため、空に対して劣等感を抱いている。 それ以来野球を止め、中学時代は柔道部に入部していた。高校で再会した空が小柄で華奢な体型をしていたので、今の自分なら空に野球で勝てると確信し、再び野球を始めることになる。小学生の頃は明るく、スポーツ万能で、誰からも好かれる性格をしていたが、野球を止めたのをきっかけに、暗く陰気な性格になってしまった。また、小学生の頃に空から受けた屈辱のため、空には密かに嫌悪感を抱いている。 朝早起きが苦手で、妹の亜子に起こしてもらうこともある。左利きで、野球では左投げ左打ち。
吉沢 空 (よしざわ そら)
県立玄石高校1年生の男子。野球部に所属している。栗色の髪で、身長は157cmと女子のような小柄で華奢な体型をしている。父親は、学生時代にピッチャーとして吉沢修二の父親とバッテリーを組んでいた。小学生の頃に、いとこの修二に誘われて野球を始めた。修二と同じ野球クラブに入り、ピッチャーとしてエースの座にまで上り詰めた。 その後、父親の仕事の都合でロンドンへ行くことになり日本を離れたが、ロンドンでも野球の練習を欠かすことなく続けていた。明るく純粋な性格で、いつかまた修二とともに野球をしたいと、強く希望していた。そのため、中学卒業を機に両親のもとを離れて日本に戻り、祖母の家で生活をすることになった。その後、修二と同じ高校を受験し、トップの成績で合格する。 中性的で女子受けの良い外見をしているが、クラス内では無愛想な人物として有名。しかし、野球のことになると性格が一変し、明るく饒舌になる。左利きで、野球では左投げ左打ち。
角ケ谷 尚志 (つのがや なおし)
県立玄石高校1年生の男子。野球部に所属している。黒髪で、前髪を中分けにし、眼鏡をかけている。人見知りで、おとなしい性格をしており、中学生の時にクラスメイトだった吉沢修二にシンパシーを感じ、自然と仲が良くなった。その後は同じ高校に入学し、クラスメイトとなる。特技は野球で、高校でも野球部に入部している。中学時代は鈴木と同じ「井綿リトルリーグ」に所属していたので面識があり、鈴木からは野球のセンスを高く買われている。 右利きで、野球では右投げ右打ち。
兼子 (かねこ)
県立玄石高校3年生の男子。野球部に所属している。茶髪で、引き締まった体型をしている。野球部ではキャプテンを務めており、副キャプテンの鈴木とは特に仲が良く、良好な信頼関係を築いている。真面目で責任感が強く、特に部活動に対しては、非常に厳しい姿勢で部員たちを指導している。実は野球を始めたのは高校からで、それまではまったくの素人だった。
鈴木 (すずき)
県立玄石高校3年生の男子。野球部に所属している。髪型は茶髪のロングヘア。野球部では副キャプテンを務めており、キャプテンの兼子とは特に仲が良く、良好な信頼関係を築いている。容姿端麗で、クールな性格のため異性に人気があるが、鈴木自身はあまり異性に興味がない。中学時代には「井綿リトルリーグ」に所属していて、当時同じチームに所属していた角ケ谷尚志の野球センスを非常に高く買っている。 部ではセカンドを守っているが、実は中学時代まではピッチャーで、守屋宙樹とバッテリーを組んでいた過去を持つ。
寺田 (てらだ)
県立玄石高校2年生の男子。野球部に所属している。黒髪のショートカットの髪型で背が高く、筋肉質な体型をしている。強面で目つきが悪く、普段は無口なので第一印象で誤解されやすいが、実際は優しく思いやりのある人物。同学年の玉井と仲が良く、行動をともにすることが多い。吉沢修二ら1年生が入部してくるまでは、キャッチャーを任されていたが、現在はファーストを守っている。
玉井 (たまい)
県立玄石高校2年生の男子。野球部に所属している。長い黒髪で、小柄で華奢な体型をしている。思いやりがあり、また人懐こく、誰からも愛される性格のため、部内では「玉ちゃん」という愛称で親しまれている。キャッチャーになりたくて野球を始めた。しかし、運動神経が悪く、逸材の1年生が入部して来たこともあり、マネージャーとしての仕事を行いながら、試合では代打や代走、ベースコーチとして野球部を支えていくことを決意する。 料理が得意で、お菓子作りもお手の物。
溝口 (みぞぐち)
県立玄石高校1年生の男子。野球部に所属している。黒髪のショートカットの髪型で、小柄な体型をしている。中学時代に野球部に所属し、ショートを守っていた。その経験に目をつけられ、寺田と玉井に野球部に勧誘された。明るく単純なお調子者で、寺田と玉井の「美人な女子マネージャーが、毎日クッキーを焼いて持って来てくれる」という言葉にまんまと騙されて野球部に入部した。 実は第一志望の高校は私立丈陽学園だった。
浅羽 (あさば)
県立玄石高校2年生の男子。野球部に所属している。栗色のベリーショートの髪型で、小柄な体型をしている。小学4年生の頃に野球を始めて、それ以来ずっとショートを守っていた。角ケ谷が入部して来たため、ショートのポジションを奪われてしまった。その後、足の速さを監督の蓜島に評価され、現在はセンターを守っている。お調子者に見えるが、実は負けず嫌いで、練習試合でも勝ちに拘(こだわ)る。
蓜島 (はいじま)
県立玄石高校の男性教師。黒髪のロングヘアで、顎に無精ひげを生やしている。野球部の監督を務めている。目つきが悪く、寡黙でやる気のない態度や言動が多いため、部員たちからはミステリアスな存在として距離を置かれている。しかし、実は日々の練習や試合から部員たちの特性を分析し、それぞれに相応しいポジションを与えることのできる明晰さを持つ。
戸倉 (とくら)
県立玄石高校の男性教師。浅羽のクラスの担任で、県立玄石高校のOBでもある。黒髪で、黒縁の眼鏡をかけており、白いワイシャツにネクタイを締め、スラックスを穿いている。野球の経験や知識はないが、野球部の部長を務めており、主に部費や備品の管理、各部員の父母との連絡などを行っている。明るく温和な性格なので、生徒にも慕われている。
守屋 宙樹 (もりや ひろき)
私立丈陽学園3年生の男子。野球部に所属し、主将で4番打者を務めている。黒髪のベリーショートの髪型をしている。県下No.1のキャッチャーとして全国的に有名な高校球児で、礼儀正しく真面目な性格をしている。また、選手を分析する力にも長けている。県立玄石高校との練習試合後には自ら直々に出向き、部の練習に参加させて欲しいと申し出て、吉沢修二や吉沢空にアドバイスも送った。 実は中学時代までは「井綿リトルリーグ」で鈴木とバッテリーを組んでいた。
釘崎 (くぎざき)
私立丈陽学園3年生の男子。野球部に所属している。黒髪で、毛先を全体的に無造作にはねさせており、目が細い。私立丈陽学園のエースピッチャーではあるが、我儘で気分屋なため、気分が乗らない時には試合で投げることを拒否することもあり、気難しい性格をしている。また、物事に甘い考え方を持っている者を嫌悪し、時には手厳しい言葉を放つこともある。
一柳 (いちやなぎ)
私立丈陽学園1年の男子高校生。野球部に所属している。茶髪で、目つきが鋭い。選手層の厚い野球強豪校において、1年にしてスタメンでセンターを任されている。周囲からも、今後の私立丈陽学園を担う逸材と期待されている。しかし、ビッグマウスで調子の良い性格ということもあり、部内では問題児としても有名。玄石高校との練習試合でピッチャーの吉沢空のピッチングを見て以来、空に一目置いている。
吉沢 亜子 (よしざわ あこ)
玄石高校1年生の女子。黒髪のボブヘアの髪型をしている。吉沢修二の妹だが、生まれたのが3月だったため同学年で、同じ高校に通っている。3年前に父親が他界してからは、兄の修二と母親とともに3人で暮らしている。明るいしっかり者で、早起きが苦手な修二を起こしてあげることもある。一方で家事全般が苦手で、特に料理に関しては、味の保証ができるのは目玉焼きくらいというレベル。
修二の母 (しゅうじのはは)
吉沢修二の母親。黒髪のショートカットの髪型をしている。3年前に夫が他界してからは、女手一つで2人の子供を育てている。優しく温和な性格で、子供には、家計のことは気にせずに好きなことをして、のびのびと学校生活を送って欲しいと願っている。また、子供たちの栄養のことも考えて、牛乳屋に毎朝牛乳を配達してもらっている。
修二の祖母 (しゅうじのそぼ)
吉沢修二や吉沢空の祖母。茶色い短髪で、タートルネックのシャツの上からカーディガンを羽織っている。修二の家の近所に住んでおり、以前は一人暮らしをしていた。今はロンドン留学から帰って来た空と一緒に暮らしている。孫想いの優しい性格で、修二や吉沢亜子が遊びに来た時にも、手厚くもてなしている。
空の母 (そらのはは)
吉沢空の母親。茶髪のロングヘアで、白いブラウスとロングスカートを着用している。教育熱心で、過保護なので、空がスポーツをすることを極端に嫌がっている。夫婦間の仲が悪く、吉沢修二の影響で空が野球クラブに入ったことをきっかけに、野球クラブの監督と親密な関係になってしまう。
場所
県立玄石高校 (けんりつくろいしこうこう)
玄石市内にある共学の県立高校。吉沢修二たちが通っている。男子の制服は学ラン、女子の制服はブレザーと決まっている。市内にあるもう1つの高校、私立丈陽学園とは交流が盛んで、特に野球部は毎年春に、両校の親睦を目的とした公式試合を行なっている。しかし例年、県内ベスト4常連の選手層の厚い私立丈陽学園に比べると、格下の県立玄石高校はまったく相手にならない。
私立丈陽学園 (しりつじょうようがくえん)
玄石市内にある私立高校。制服はブレザー。野球部が県大会ベスト4常連の強豪校。特に、今年から野球部の主将を任されている守屋宙樹は、県内No.1のキャッチャー兼4番打者として全国的に有名。市内にあるもう1つの高校・県立玄石高校とは交流が盛んで、特に野球部は毎年春に、両校の親睦を目的とした公式試合を行なっている。