義経鬼~陰陽師法眼の娘~

義経鬼~陰陽師法眼の娘~

歴史を題材にした漫画を多数執筆する碧也ぴんくの代表作の一つ。舞台は平安時代末期の京都。かつて栄華を誇った陰陽師・鬼一法眼の娘であり、兵法の秘伝を体内に宿す少女・皆鶴が、源九郎義経と一つの体を共有することになったのをきっかけに、平家との戦いに身を投じ、周囲との絆を深めていく姿を描いた歴史ファンタジー。秋田書店「プリンセスGOLD」2013年11月号から2018年2月号にかけて連載。

正式名称
義経鬼~陰陽師法眼の娘~
ふりがな
ぎけいき おんみょうじほうげんのむすめ
作者
ジャンル
ファンタジー
 
その他歴史・時代
レーベル
プリンセス・コミックス(秋田書店)
巻数
全6巻完結
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一つの体を共有する、瓜二つの男女

皆鶴の体内に宿る兵法の秘伝を求める源九郎義経は、鬼一法眼の術を用いて皆鶴を自らの体内に取り込むつもりだったが、雑念を抱いてしまったため、逆に皆鶴の体に取り込まれてしまう。もともと、二人は顔立ちが瓜二つであったが、皆鶴は武家としての教養や戦の知識が欠けており、一方の義経は体力や卓越した戦の指揮能力、武力が不足していた。二人が再び分離するための条件は、義経の宿願である「平家滅亡」を成し遂げること。その願いが成就するまでは、彼らは一つの体を共有し続けなければならなかった。二人は酒を飲んで皆鶴が眠ると、義経が前面に出てくる特性を利用して、さまざまな困難を乗り越えていく。その後、互いに大切に思う相手と出会うことで、二人はより強く体の分離を願うようになる。

皆鶴と義経、それぞれの愛

皆鶴は初めて「源九郎義経」と名乗り、奥州の藤原秀衡の領地を訪れた際に、無意識のうちに佐藤継信に好意を抱くようになり、継信と同じ空間にいることで静かな安らぎを感じるようになっていた。一方、皆鶴の中に宿る義経は、白拍子の静に一目惚れし、やがて静は義経の世話役となり、夫婦のような関係を築いていく。義経と静の絆が深まる中、皆鶴は継信への恋心を明確に自覚し、早い段階から皆鶴への好意を自覚していた継信は、彼女と穏やかに愛を育んでいく。

曲者ぞろいの家来と頼朝の不満

皆鶴と彼女の体内に宿る義経のもとには、個性的な曲者たちが集う。中でも異彩を放つのが、平家に父親と許嫁を惨殺されて仇討ちをもくろむ伊勢義盛で、派手好きで女性的な独特の口調で話す。かつては家来たちと共に山賊として身を隠し、一度は皆鶴たちを襲撃した過去を持つ。破戒僧や元山賊といった、常識にとらわれない彼らを従える皆鶴たちが戦で功績を上げるたびに、義経の兄であり棟梁でもある頼朝からは不興を買うことになってしまう。

登場人物・キャラクター

皆鶴 (みなつる)

かつて栄華を誇った陰陽師・鬼一法眼の娘で、兵法の秘伝を体内に宿す少女。髷を結わえず、稚児のような髪型をしており、源九郎義経と髪型以外は瓜二つの容姿を持っている。体が弱く非力な義経は、皆鶴の秘伝を求め、鬼一法眼の術によって彼女と一体化しようとするが、自分の心にあった雑念が原因で術は失敗し、皆鶴の体に取り込まれてしまう。二人が分離するための唯一の条件は、義経の宿願でもある「平家滅亡」を成し遂げること。しかし、その成就に時間がかかりすぎると、義経は皆鶴に完全に溶け込んでしまう危険を伴う。こうして、二人は「源九郎義経」として、平家との過酷な戦いに身を投じることになる。

武蔵坊弁慶 (むさしぼうべんけい)

皆鶴と、彼女の体内に宿る源九郎義経に仕える破戒僧の青年。皆鶴の体に九郎義経が封じ込まれていることを知り、好奇心から彼らの家来となった。伊勢義盛からは「犬のような気質」と評されている。源頼朝に対しては、初対面の際からその表情や言葉の端々から本質を見抜き、信用できない人物だと警戒心を抱いていた。また、佐藤継信とは折り合いが悪く、反目し合っているが、郎党としては深い信頼を寄せている。皆鶴と継信が両思いであることに誰よりも早く気づくなど、周囲の人間関係や状況を見抜く観察眼に長けている。

書誌情報

義経鬼~陰陽師法眼の娘~ 全6巻 秋田書店〈プリンセス・コミックス〉

第1巻

(2014-06-16発行、978-4253272315)

第6巻

(2018-02-16発行、978-4253272360)

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