あらすじ
第七王子に転生しました
魔術の実力が重視される世界で、サルーム王国の男性、貧乏魔術師は、上級魔術師との決闘であっけなく敗北した。重傷を負ったことで死の時を迎えた彼は、魔術を極めたいとの願望を胸に命を落とす。だが、貧乏魔術師が目覚めると、生前の記憶を持ったまま王国の第七王子、ロイド=ディ=サルームに転生していた。それから10年後、周囲からバカにされ凡夫呼ばわりされた貧しい庶民でしかなかった前世とは異なり、ロイドとしての人生は有り余る財力と使いきれぬ時間で満ちあふれていた。そして何よりも読み切れないほどの大量の魔導書に歓喜するロイドは、最上の実家で圧倒的な勝ち組人生を歩み出していた。第七王子という立場から王位継承権に関係がなく、家族からも好きに生きろと言われたロイドは、前世では満足にできなかった魔術を極める研究に励むことになる。潤沢な時間や資産、前世で得た知識と恵まれた環境のおかげもあり、ロイドは恐るべきスピードで魔術を次々と習得していく。その一方でロイドは、その力を戦闘に使おうとせず、あくまでも知的好奇心を優先して実験と研究に熱中する。その結果、ロイドの周囲からの評価は急上昇するが、彼はそんなことには興味がなく、城にある魔導書を漁(あさ)りながら気ままに魔術を極めていく。魔術の研究に明け暮れていたある日、ロイドは城の地下には危険な魔導書や禁書、恐ろしい魔人が封印された本もあるという噂(うわさ)を耳にする。興味を抱いたロイドはさっそく、誰にも告げずに地下書庫を目指す。そこで出会ったのは、かつてサルームを滅亡寸前まで追い込んだ、恐ろしい魔人のグリモワールだった。ロイドによって封印が解かれて早々、古代の魔術の知識をエサに彼の身体を乗っ取ろうとしたグリモワールだったが、彼の強大な魔力の前にひれ伏し、結局は使い魔として付き従う羽目になる。いずれは再びロイドを乗っ取ってやろうと目論むグリモワールだったが、彼と過ごすたびに明らかになるのは、驚異的な実力と果てない魔術への探求心だった。そんなある日、グリモワールを連れてダンジョンに挑んだロイドは、魔術とは異なる「気術」をあやつる武術家のタオと出会う。
魔獣狩りに向かいます
魔術マニアのロイド=ディ=サルームは、庶民から第七王子に転生し、桁外れの魔力と家柄でお気楽な無双ライフを送っていた。そんなロイドは、王城の地下に封印されていたグリモワールを従えるほどの実力を持ちながらも、目立つことなく魔術の研究に没頭する生活を目指していた。グリモワールと共に向かったダンジョンで、手に入れた武器に封じられていた「魔髄液」を利用して、「付与魔術」を施した武器を作り上げたロイドは、量産した強力な武器を携えて第二王子のアルベルト、メイドのシルファと共に「魔獣狩り」に挑むことになる。予想以上に強力に仕上がった武器により、近衛兵たちの武器も強化され、魔獣に襲われても余裕の戦闘で魔獣狩りは順調に進んでいた。だが、復活した魔獣たちの奥で待ち受けていたのは想像を超える強敵で、グリモワールと同様に封印されていた魔人のパズズであった。複数の魔獣に寄生し、魔力を送ることで直接強化するパズズは、自らの瘴気(しょうき)によってアルベルトとシルファの動きを封じ、気術を使いこなしたおかげで唯一動ける状態だったタオすらも倒されてしまう。仲間たちのピンチを感じ取ったロイドは、傀儡(かいらい)としてあやつられていた魔獣たちを自らの魔力を変質させることで支配から解放し、さらには強大な魔術でパズズを返り討ちにする。多数の魔術を何重にもかけられたパズズの気配はあっという間に消滅し、アルベルトたちが目を覚ましたことに気づいたロイドは、ロベルトという魔術師がパズズを倒したとごまかす。仲間たちと共に無事に王城に戻ったロイドは、アルベルトの提案で王位継承権を与えられることになるが、王位にまったく興味がないロイドはその申し出を断る。ますます周囲から注目されるロイドは、パズズから解放した魔獣に懐かれ、新たな相棒のシロとして共に暮らすことになる。魔獣を手なづけることに興味を持ったロイドは、シルファの提案で第六王女のアリーゼ=ディ=サルームから魔獣の扱いについて教わることになる。さらに、アルベルトを通して第四王子のディアンと久しぶりに再会し、より強力な武器を作るために彼の工房へ向かう。
暗殺者たちとバトルします
魔獣狩りや武器作りに大活躍するロイド=ディ=サルームは、隠そうとしても隠しきれない魔術の実力を注目されるが、ディアンと共に付与魔術を超えた「魔剣」制作に挑んだりして、意外に忙しい日々を送っていた。そんなある日の夜、自室で寝ていたロイドは城への侵入者を察知する。気配すらなく自分を襲おうとする異質な侵入者の正体を突き止めるべく、夜の街中に繰り出したロイドは侵入者を追い詰めるが、その相手は冒険者たちのあいだで噂されていた「暗殺者ギルド」の一員、レンで、「毒蛾のレン」の異名を持っていた。ロイドですら浄化が難しい毒の能力をあやつるレンに苦戦するが、ある秘策によって彼女に反撃する。ふだんはローブで体を隠しているレンは、生まれつき魔力に関する特異体質を持つ「ノロワレ」の少女でもあった。ノロワレに興味を持ったロイドは、その場から離れたレンをひそかに尾行し、暗殺者ギルドのアジトにたどり着く。そこでロイドは、暗殺者ギルドのメンバーでありレンの昔からの仲間であるクロウ、ガリレア、タリア、バビロンと対峙(たいじ)する。一度は各々の能力に苦戦させられるも、彼らを蹴散らしたロイドは、レンたちが特異体質から生じる魔力をうまく制御できず、苦しんでいることを知る。それを知ったロイドは、すぐにガリレアたちの体に術式を刻み込み、あふれ出る魔力を制御可能にする。そんなロイドに恩義を感じたガリレアたちは、暗殺者ギルドができた過程と、リーダーであるジェイドとの過去を語り出す。瞬間転移のノロワレであるジェイドは、実家の領地であるロードストの問題を解決すると言い残してアジトを離れて以降、音信不通の行方(ゆくえ)知れずとなっていた。そんな中、ジェイドから意味深な手紙が届き、幼少期から兄のように慕うジェイドを信じるレンのため、ガリレアたちはロードストへ向かうことになる。ジェイドの能力に興味を持ったロイドも、その旅に同行することになるが、彼らを待ち受けていたのは過酷な運命と予想以上の強敵であった。
魔族ギザルムの脅威
魔術を極めようとするロイド=ディ=サルームは、暗殺ギルドのリーダーのジェイドに会うため、レンたちに連れられてロードストの街に向かうことになった。だが、そこで待ち受けていたのはジェイドの体と、ロードストを乗っ取った最強最悪の魔族、ギザルムだった。魔人が束になっても敵わないほどに強力な力を持ち、魔界の王侯貴族でもあるギザルムは、ロイドが使役するグリモワールを遥(はる)かに上回る強さを見せ、ロイドの魔術防壁を打ち破る。魔術すら通用せず、これまでにないほどの凶敵を相手に戦う術を探すロイドは、土人形を囮(おとり)にして猛攻から逃れ、そのスキをついて魔剣を繰り出す。一方、ギザルムが従える魔人たちに囲まれたガリレアとタリアは、レンたちを逃がすために二人でその場に残り、強敵に立ち向かおうとしていた。そんな中、ロイドの危機を察知したアルベルト、シルファ、アリーゼ=ディ=サルーム、ディアンが援軍を連れて駆けつける。ロイドから彼の戦闘力を隠すよう言われていたレンたちは、必死にごまかしながらもなんとかアルベルトたちの信用を得て、魔人相手に連携して戦うことになる。高度な剣術を使用する魔人と対峙したシルファは、以前にロイドとディアンにもらった「魔人殺し」の魔剣で立ち向かう。一方、アルベルトたちのもとを離れるために上空に場所を移したロイドは、再度ギザルムとの死闘を開始し、ロイドは特殊な「吸魔の剣」の力で敵の能力を解析しながら戦いを続ける。ロイドの強大な力の前に徐々に追い詰められたギザルムは、奥の手の「黒死玉」を使い、万物万象を無に帰す一撃を放つ。ロイドは黒死玉と似たような力を持つ空間系統魔術「虚空」を繰り出し、黒死玉は虚空とぶつかったことで消し飛ばされる。黒死玉を使ったことで魔力を使い果たし、消耗するギザルムの体にはロイドが生み出した無数の虚空がせまり、それに飲み込まれたギザルムはついに消滅。魔族に支配されていた長き夜は終わりを告げ、ロードストには平和が戻ったかと思われたが、暗殺業を生業としていた暗殺者ギルドの面々はアルベルトによって捕らえられる。ロイドに一生仕えたいと懇願するガリレアたち、そしてロイド自身の意思と覚悟を問うために、アルベルトは剣を向ける。
神聖魔術を覚えよう
魔人のグリモワールを従えながら付与魔術の魔剣を量産し、さらには魔人を超えた存在「魔族」を倒してロードストを救ったロイド=ディ=サルームは、功績の数々の褒美としてロードストの統治権を与えられる。領地に興味がないロイドはロードストの領主をガリレアに任せ、新たなメイドとして迎えたレンや、仲間たちと共に平穏な生活を送っていた。そんなロイドが次に興味を持ったのは、魔人や魔族への対抗手段として有効な「神聖魔術」だった。神聖魔術は神の奇跡を術式で再現して行使し、神に仕えるものだけが使用できる特殊な魔術でもあった。だが、ロイドは幼い頃に神聖魔術を学ぼうと教会に入信し、ある事件を起こして教会出入り禁止の処分を受けていた。改めて神聖魔術を学ぶためにレン、バビロンを連れて教会を訪れたロイドは、シロやシスターのイーシャの助けもあってなんとか神父を説得し、再び教会に入信することに成功する。さらに、教会との親交が深い第四王女のサリア=ディ=サルームとも再会し、近いうちに彼女とイーシャによる演奏会が開かれることを知る。実際に演奏や歌声を聞いたロイドは、二人の魔力の解析を通して、儀式で発動させている神聖魔術への興味がますます強まっていく。そんな中、演奏中に奇妙な視線を感じ取ったロイドとグリモワールは、視線の主を追ううちに天界に到着していた。そこで出会った天使のジリエルは、天界からサリアとイーシャのことをのぞき見していた。ジリエルから問答無用の攻撃を受けたロイドは、彼の神聖魔術「光武」に興味を持ち、実験を兼ねた反撃を開始する。ジェイドが使用する「影狼」をもとにした魔術を使いこなすロイドは、当初は偉そうにしていたジリエルをあっという間に返り討ちにして服従させ、魔力を使い果たして存在が薄くなっていた彼に自らの魔力をわけ与える。神聖魔術を教わろうとするロイドは、魔力で太ったジリエルと契約を交わして地上へ戻ることになる。一方、教会では演奏会が開かれ、ロイドに頼まれて教会の調査をしていたバビロンは、謎神父から怪しい気配と亡者の腐敗臭を感じ取る。ジリエルを手のひらに収めて地上へ戻って来たロイドは、仲間たちと共に教会の恐ろしい陰謀に巻き込まれていく。そして教会主催の「大聖誕祭」がせまる中、ロイドは魔術のさらなる研究のためにグール退治に向かうことになり、レンやサリアたちと共に大好物のパンケーキを食べながら束(つか)の間の休息を楽しむ。
中庭を探れ
聖職者が天使の力を得ることで使用する「神聖魔術」をさらに極めようとするロイド=ディ=サルームは、シルファとレンを連れて地下下水道に出現したグール退治へと向かう。そこでタオと再会を果たし、彼女とシルファとレンはロイドとのデート権を巡ってグール退治競争を始める。順調にグール狩りが進む中で現れたのは、特殊な力を持つノロワレのグールであるシビル・ウォーだった。シルファすら苦戦する強敵を前に、ロイドは一人でシビルを圧倒する。一方、地上では以前から暗躍していた謎神父がとうとう動き出し、教会の者たちを襲撃し始める。謎神父に遭遇したバビロンは、ロイドたちに教わった新たな魔術を武器に死闘を繰り広げていた。だが、能力を最大限に活かした反撃もむなしく、バビロンは謎神父が繰り出した「光武」によって返り討ちにされ、重傷を負って倒れてしまう。グールとの戦いを通して、グールをあやつっている黒幕が神聖魔術を扱えることがわかり、シビルの主に興味が湧いたロイドは地上へと急行する。バビロンのために助けを呼ぼうとさまよっていたイーシャと再会したロイドは教会へと急ぐが、謎神父の姿はそこにはなく、倒れたバビロンの姿があった。目を覚ましたバビロンから謎神父が体を魔物のように変形させて光武をあやつり、さらに浄化の魔術が利かないという情報を得たロイドは、教会の中庭が怪しいとにらみ、仲間たちと共に調査を開始する。謎神父の情報、そして数日後にせまった大聖誕祭にせまる危機で教会本部にも緊張が走る中、立ち込める腐臭を追って、シロやシルファたちを連れて調査のために地下に潜ったロイドたちは、謎神父が使用していると思われる研究所を発見。そこにはおびただしい数のグールのほかにも、魔獣と人間を合成させた「合成獣」が存在し、下水道に出現した大量のグールの謎はこの研究所へとつながっていく。そこに突如現れたのは人間と蛇の魔獣を合成させたラミアの女性で、恐怖と絶望を覚悟して調査に同行していたイーシャは、聖歌の力で暴走したラミアの鎮静化を試みる。
大聖誕祭
魔術を極めるべく研究に没頭するあまり魔人と天使を両手に宿し、高度な神聖魔術をも身につけたロイド=ディ=サルームは、神の誕生を盛大に祝う「大聖誕祭」で新たな戦いに挑む。国王や教皇も出席する教会の一大イベントで、騒乱を巻き起こそうと企む謎神父は、本格的に教会と敵対し、ロイドたちだけでなく教会幹部の「十二神官」をも動き出す事態となっていた。次々と判明していく疑惑とトラブルの予兆に頭を悩ますアルベルトの努力もむなしく、大聖誕祭は予定どおり開催されることになり、彼は部下たちにチャールズの護衛と最大限の警戒を命じる。そして大聖誕祭開始直後、謎神父の正体が教皇のギタンであることが判明し、満を持して放たれる合成獣の群れによって、聖なる祝祭の場は阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄絵図と化していく。危険な人体実験も厭(いと)わないギタンの恐ろしい陰謀を阻止すべく、各教会に散ったシルファ、タオ、レン、バビロンたちは、狂騒の中でギタンの手下である大神官や人間のレイスを宿した合成獣と死闘を繰り広げる。十二神官の中に潜む黒幕の正体が明かされた時、事態は最悪の展開につき進もうとしていた。地上に舞い戻ったグリモワールとジリエルはギタンを止めようとするが、魔術を極めたギタンの力はすでにジリエルすら敵わぬ領域に達していた。姿を見せぬままだったロイドは、追い詰められたジリエルとギタンの前に現れ、会場の上空で魔術合戦を繰り広げる。戦いの中で開かれた地獄の釜、そして街を蹂躙(じゅうりん)する偽りの聖者たちを前にそれぞれが戦いに挑む中、姿を変えたグリモワールは謎の魔竜と激突する。一方、ギタンに従う月皇のアナスタシアと対峙して剣戟無双で立ち向かうシルファ、同じ武道家のレイスを宿した合成獣と拳を交えるタオもそれぞれの戦いを終わらせ、仲間との合流を目指す。そして呪われた祭は、ギタンとロイドの天上決戦にまで発展する。
関連作品
小説
本作『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』は、謙虚なサークルの小説『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』を原作としている。原作小説版は講談社「講談社ラノベ文庫」から刊行され、イラストはメル。が担当している。
登場人物・キャラクター
ロイド=ディ=サルーム
サルーム王国の第七王子。年齢は10歳。紺色のロングヘアを首の後ろで一つにまとめ、青いリボンを結んでいる。小柄な体型で中性的な容姿を持つ美少年で、その愛らしい見た目もあって王宮のメイドや兄姉たちからとてもかわいがられている。愛称は「ロディ坊」。魔術への探求心が強く、好奇心旺盛な性格をしている。前世はサルーム一般国民の貧乏魔術師で、運よく魔力の才能に恵まれた王家に転生し、前世の記憶や経験を保持しつつも一から魔術や魔力について学んでいる。魔術をこよなく愛すると共に、すべての人間は魔術にまつわる可能性を秘めていると考え、基本的には魔術以外の物事に興味がない。王家の人間でありながら王位継承権から遠いために家族から好きに生きるよう言われており、あり余る時間と資金、そして自分の身分を利用して魔術を極めたいと思っている。赤ん坊の頃から言葉を話し、成長と共に魔術においてさまざまな才能を発揮したため、周囲から注目を浴びている。一方で、面倒事を嫌うところがあり、平和的に魔術を極めるために周囲には自分の真の実力を極力隠すようにしている。また、数々の功績を認められて王位継承権を授けられるも、王位に興味がないため断っている。魔人が封じられている禁書の封印を解いたことでグリモワールを従えるようになり、使い魔となった彼と行動を共にしている。お忍びで行動する際は、ロイド=ディ=サルーム自身の容姿とサルーム王国第三王子で兄のアルベルトの容姿を混ぜて作り出した「ロベルト」という青年魔術師の姿に変身している。グリモワールに出会ったあとは自らの容姿をコピーした「木形代(きかたしろ)」という人形を作り、単純な動きなら自動でこなせる木形代に雑用係を任せたり、グリモワールを憑依(ひょうい)させて影武者をやらせたりしている。魔術にしか興味がないように見えるが、大好物のパンケーキには特別なこだわりがある。8歳の頃に神聖魔術目当てで教会に入信していたが、とある事件を起こしてからは出入りを禁じられ、一部の教会関係者からは悪魔の子として警戒されている。魔術の研究のためであればどんな危険な状況や戦いにも挑戦し、特に魔獣や魔人のことは容赦なく実験台にしている。レンとの出会いをきっかけにロードストに赴き、魔人の遥か上位種である魔族をも倒した。
貧乏魔術師 (びんぼうまじゅつし)
サルーム王国の一般国民である男性で、ロイド=ディ=サルームの前世。サルーム魔術学園に通っていたが、周囲が貴族ばかりだったために唯一の庶民としてよくも悪くも注目され、魔術が血統が重んじられる術であるため、周囲から蔑まされ馬鹿にされることが多かった。魔術にあこがれを抱くも才能がなく、魔力もまともに使えなかったことから周囲に「凡夫」呼ばわりされていたうえに、貧乏なために魔術書を1冊しか買えずに学費もギリギリの生活を送っていた。ある日、公爵家の魔術書が盗まれた事件で犯人として疑惑をかけられ、リンチも同然の決闘で上級魔術師に殺された挙句、その魔力の強さに感激するという最期を迎えた。魔術書を盗んだ犯人ではなかったが、貴族の魔術を近くで拝めるチャンスを逃さぬためにあえて決闘に挑み、相手の魔術に見惚(みほ)れながら命を落としてしまったほどに魔術を愛している。魔術を極めたいと強く願いながら命を落としたが、同時期に生まれた第七王子のロイドに運よく転生し、過去の記憶も保持したままで第2の人生を歩んでいる。
グリモワール
王宮の地下書庫に封印されていた禁書の魔人。黒い悪魔の男性のような姿で、額に五芒星(ごぼうせい)の紋章が刻まれている。かつてはサルームを滅亡寸前まで追い込み、王宮の地下にある魔導書に封じられていた。興味を持ったロイド=ディ=サルームに封印を解かせて彼の体を乗っ取ろうとしたが、彼の強大な魔力の前に一瞬でひれ伏し、そのまま使い魔となった。愛称は「グリモ」で、魔人としての階級は3級。元は立派なツノが生えた巨大な悪魔のような姿をしていたが、ロイドの頼みで目立たないように小さな姿で行動しており、変身すると小さな子ヤギのようなかわいらしい姿になる。ふだんはロイドの片手の手のひらに宿る形でいっしょに行動していることが多く、衣服や彼が作った魔剣を体内に収納して出し入れもできる。また、ロイドの作った木形代に宿って影武者を務めることもある。魔人でありながらロイド以上に人情深いところがあり、魔族に支配されていたジェイドや彼の仲間たちには同情したり、イーシャの聖歌に感動していたこともある。出会った当初からロイドのことを恐れながらも、なんだかんだで信頼している。
アルベルト
サルーム王国第三王子で、ロイド=ディ=サルームの兄。長髪を首の後ろにまとめ、リボンを結んだ爽やかな容姿をしている。王位継承権を持ち、立場はロイドより上だが、王族の立場を鼻にかけることなく周囲からの人望も厚い。次期国王という噂が立つほどに文武両道で、魔術や剣術にも優れており、国内のさまざまな施設の利用など強い権限を持つ。愛弟であるロイドの才能を見抜いて目をかけ、将来にも期待している。ロイドのことは昔から溺愛しており、彼を守るためであればどんな危険にも挑み、彼が危険な目に逢っていると知ると時には暴走することもある。一方でロイドが巻き込まれる厄介な事件の数々に頭を悩ませることが多く、それらの報告や後処理など苦労や心配事が絶えず、特に教会で起こった事件には頭を抱えていた。
シルファ
サルーム城に仕えるメイド。ロイド=ディ=サルームの教育係を務めている。青みがかった銀髪のロングヘアをポニーテールにまとめ、メイド服をまとった巨乳美女。ふだんは敬語で話しているが、慇懃(いんぎん)無礼な一面もある。優れた剣術の使い手で、嗅覚を中心とする感覚にも優れている。時おりロイドに剣術の稽古をつけており、立場上剣術の稽古が不要だと思っている彼に熱心に指導している。ロイドのことを溺愛・敬愛し、強い忠誠を誓っている。彼を侮辱する者や気安く近づく者には容赦がなく、何かと彼に近づいて来るタオに嫌悪感を抱いており、いつもケンカしている。ラングリス流という高度な剣術を使用し、メイド服の下にはいつも剣を仕込んでいる。ふだんはサルーム城でロイドの世話をしているが、魔獣狩りやロイドが危険な地に赴く際は護衛として同行することがある。ロイドの付与魔術によってさらなる戦闘力を得て、「魔人殺し」という魔剣を武器に戦うようになる。かつては上級冒険者として活躍していた頃があり、優れた剣術の腕を活かして次々とレベル・ランクを上げ、ギルドや冒険者たちから大きな注目を集めていた。その驚異的な強さと冒険者としての功績から、冒険者時代は「剣姫」の異名で呼ばれており、現在も冒険者たちのあいだで伝説的な人物として知られている。
チャールズ
サルーム王国の国王を務める老齢の男性で、ロイド=ディ=サルームたちの父親。長髪で長いヒゲを生やしている。第七王子で王位継承権から遠いロイドには好きに生きるよう勧めており、彼を非常にかわいがっている。しかし成長と共に、魔術の才能を発揮している彼には驚かされており、その将来性と才能に期待している。予想外の功績を上げるロイドにはしばしば褒美を与えている。
タオ
武術家の少女。冒険者としての階級はBランク。桃色のロングヘアを二つのお団子状にまとめ、白いチャイナ風の衣装を身につけている。明るく快活な性格の持ち主。かなりのイケメン好きで、昔からイケメンにモテたい一心で武術を極め続けていた。語尾に「~ある」を付けるなど、エセ中国語で話す。ダンジョンに挑戦するため城を抜け出して来たロイド=ディ=サルームと出会うが、彼が正体がばれないようにすぐにロベルトに変身したため、その正体が第七王子だとは知らぬままでロベルトに一目惚れしていた。武器などは持たず拳と脚を武器に戦う武術家で、呼吸によって魔術とは異なる効果をもたらす「気術」を使いこなせる。気術が気になったロベルトに気術の基本を伝授した。ダンジョンで別れたあとはなかなかロベルトに会えずにいたため、ダンジョンで修行するうちにいつの間にかレベルアップを果たしていた。森の魔獣狩りの際にロイド一行と再会を果たし、共にパズズにあやつられた魔獣たちと戦う。ロイドに忠誠を誓うシルファに嫌悪感を抱いており、会うたびに罵り合っている。のちに下水道にグール退治に来たロイドたちと再会を果たし、シルファたちとグール退治競争を繰り広げた。ロベルトの正体がロイドであることは知らぬままで、まだ幼いロイドには興味がないと豪語しているが、ロイドといっしょにいればロベルトに会えると感じている。このため、何かとロイドの前に現れては行動を共にしており、事件の解決や強敵との戦いにも協力している。
アリーゼ=ディ=サルーム
サルーム王国第六王女で、ロイド=ディ=サルームの姉。ウェーブのかかったロングヘアで、小柄な体型のおっとりした天然系美少女。ふだんは専属メイドのエリスと共に、サルーム城の「箱庭の塔」で過ごしている。生来の動物好きであり、レッサーフェンリルのリルをはじめとする魔獣を多数従えている。弟のロイドを溺愛しており、会うたびにキスをしたり抱きついたりしている。魔力や魔術についてはあまり理解しておらず、生来の動物好きな性格と愛情で魔獣を使役していると言い張っている。実際はノロワレに近い体質であり、無意識に魔力で魔獣とリンクする形で意識やイメージを共有することで、魔獣たちを従えている。魔獣狩りから帰還したロイドと久々に再会し、シロの扱いに悩むロイドに魔獣との付き合い方について教えた。
ディアン
サルーム王国第四王子で、ロイド=ディ=サルームの兄。褐色肌で額にバンダナを巻いた、三白眼が特徴の青年。幼少期から魔術が好きだったが魔術の才能はなかったため、魔術が使えない者でも戦える武器を作ろうと鍛冶師(かじし)に転向した。ディアンだけの鍛冶工房で強力な魔剣を作り、どんな国にも負けない魔剣兵団を作り出すことを夢見ている。魔獣狩りから帰ったロイドと久々に再会したあとは、彼と協力し自らの鍛冶工房でロイドの付与魔術を活用した魔剣作りを始める。その結果、ロイドの新たな魔剣が完成し、シルファはもちろんサルーム王国に仕える兵士たちの武器も大幅に強化されていく。
パズズ
森に封印されていた魔人の男性。魔人としての階級は8級。狼型の魔獣「ベアウルフ」たちの体に侵入して支配し、意のままにあやつって森を訪れた人々を襲っていた。魔獣を乗っ取る瘴気をあやつり、これを吸い込んだ者は人間も動けなくなる。魔獣狩りにやって来たロイド=ディ=サルーム一行と交戦し、シルファやタオの動きを封じたあとはロイドと一対一の死闘を繰り広げる。しかし、ロイドの圧倒的な魔力の前に意識が消滅し、あやつられていたシロたちもロイドの魔力によって浄化・解放された。
シロ
森に住む狼型の魔獣「ベアウルフ」の子供。パズズに親を殺された挙句、体をあやつられておぞましいモンスターの姿に変わっていた。真っ白でふわふわな体毛を持つことから、ロイド=ディ=サルームに「シロ」と名づけられた。ロイドに救われて以来彼を慕い、いっしょに暮らすようになる。優れた直感と嗅覚を持つが、それが危険な匂いであるかどうかは判断ができない。大きな体ともふもふした体毛はボリュームがあり、時おりロイドやグリモワールの隠れ家になっている。
レン
ロイド=ディ=サルームの部屋に侵入した謎の暗殺者の少女。水色のショートヘアで褐色肌の小柄な体型の美少女。その正体は暗殺者ギルドの一員で、「毒蛾のレン」の異名を持つ。暗殺者ギルドの最年少でもあり、ほかのメンバーからも妹のようにかわいがられている。一人称は「ボク」。気配を感じさせない術「魔力遮断」を使い、ロイドでも浄化が難しい毒系魔術を使うなど、華奢(きゃしゃ)な見た目に反して暗殺者として高い実力を持つ。実は生まれつき毒の魔力を制御できず、厚着をしていないと体から無意識に毒があふれてしまうノロワレで、その力の影響で両親を死なせてしまった過去を持ち、今でもそれを悔やんでいる。一人でさまよっていた中で、ジェイドに拾われて暗殺者ギルドの仲間たちと出会ったため、彼のことを本当の兄のように慕っている。また、毒の漏出を防ぐための術式を施したローブをジェイドに作ってもらい、大切に愛用している。ふだんはこのローブをまとっているが、暗殺者として活動する際は効率よく毒を撒(ま)けるように露出度の高い恰好(かっこう)をしている。暗殺者ギルドのアジトに乗り込んで来たロイドとの戦いには敗れるが、彼の術式により魔力を制御できるようになった。ジェイドからの手紙を受け取り、仲間たちと共に彼の故郷であるロードストに向かう。ロイドがギザルムを倒したあとはアルベルトに捕えられそうになるも、ロイドの了承を得たうえで彼の専属メイドとして王宮で働くようになる。ギザルムを倒してくれたロイドには恩義を感じると共に、彼のことが気になっている。
クロウ
暗殺者ギルドに所属する青年。鳥型の仮面で顔を隠している。言葉に魔力を乗せることができる呪詛(じゅそ)「呪言(じゅごん)」をあやつるノロワレで、魔力を込めて発した言葉で攻撃や防御が可能。たとえば「沈め」と発した際には相手を沈めて動きを封じることができる。ふだんは味方への暴発を防ぐために発言を自ら縛っており、めったに言葉を発しない。アジトに侵入したロイド=ディ=サルームと交戦するも敗北し、彼の術式により魔力を制御できるようになった。ジェイドからの手紙を受け取り、仲間たちと共に彼の故郷であるロードストに向かう。ロイドがギザルムを倒したあとはアルベルトに捕えられそうになるも、ロイドの意向で彼に仕えることになり、ロードストの復興を手伝っている。ロイドのおかげで魔術が上達したあとは、カラスを使い魔代わりに使役することも可能になり、伝令や捜索などに活用している。
ガリレア
暗殺者ギルドに所属する男性。スキンヘッドの強面(こわもて)で、大柄で屈強な体格の持ち主。蜘蛛(くも)の糸柄のローブを身につけている。体にまとった魔力を粘液に変える形で蜘蛛の糸を出せるノロワレで、拘束から攻撃まで幅広く活かしているが、意図せずに味方を巻き込んでしまうことがある。レンのことを妹のようにかわいがり、行方(ゆくえ)知れずとなったジェイドの真似(まね)事をしようとする彼女を心配している。アジトに侵入したロイド=ディ=サルームと交戦するも敗北し、彼の術式により魔力を制御できるようになった。ジェイドからの手紙を受け取り、仲間たちと共に彼の故郷であるロードストへと向かう。ロイドがギザルムを倒したあとはアルベルトに捕えられそうになるも、ロイドの依頼で新たなロードスト領主となった。その後は仲間の協力を得ながら、蜘蛛の糸の能力を活かして街の復興に従事している。
タリア
暗殺者ギルドに所属する若い女性。ロングヘアで体のあちこちに包帯を巻いた巨乳美女。傷のノロワレで対象を見つめながら自傷すると、魔力越しに体をリンクさせてまったく同じ傷を相手に与えることができる。また、傷だけでなく酒に酔った時も自分の酔いを対象と共有できる。アジトに侵入したロイド=ディ=サルームと交戦するも敗北し、彼の術式により魔力を制御できるようになった。ジェイドからの手紙を受け取り、仲間たちと共に彼の故郷であるロードストへと向かう。ロイドがギザルムを倒したあとはアルベルトに捕えられそうになるも、ロイドの意向で彼に仕えることになり、ロードストの復興を手伝っている。過去の経験から聖職者が嫌いだが、優しく健気なイーシャのことは認めている。
バビロン
暗殺者ギルドに所属する青年。緑色の短髪で糸目が特徴。一人称は「私」。生まれつきの軟体を持つノロワレで、全身を捻(ねじ)曲げてネズミのように小さな隙間も出入りでき、防御や攻撃にも応用できる。アジトに侵入したロイド=ディ=サルームと交戦するも敗北し、彼の術式により魔力を制御できるようになった。鋭い嗅覚で、勘にも優れている。ジェイドからの手紙を受け取り、仲間たちと共に彼の故郷であるロードストへと向かう。ロイドがギザルムを倒したあとはアルベルトに捕えられそうになるも、ロイドの意向で彼に仕えることになり、ロードストの復興を手伝っている。ロイド専属のメイドとなったレンと共に、彼の教会訪問に同行する中で謎神父に遭遇する。
ジェイド
暗殺者ギルドのリーダーを務める青年。黒色のロングヘアにしている。陽気で楽天家ながら非常に仲間思いな性格をしている。瞬間転移のノロワレで、能力が暴走すると意思とは関係なく勝手に移動し、場合によっては知らない場所に飛ばされて行方知れずになっている。自分と同様にノロワレ体質に悩んで孤独に陥った同胞を集め、ガリレア、タリア、クロウ、バビロン、レンと共に暗殺者ギルドを結成した。特にギルド最年少のレンのことは、本当の妹のようにかわいがっており、彼女からも兄のように慕われている。もとはロードストという領地の貴族であり、戦争の危機にあった故郷のロードストで家族を説得しようと一人で戻っていたが、その先で肉体をギザルムに乗っ取られ、彼に意識とロードストを奪われてしまう。ギザルムに肉体や能力を悪用されることに耐えられず、わずかなスキを見て何度も自殺を試みていたが、死ねずに苦しんでいた。苦悩するうちに意識が消えていき、その頃には自らの瞬間転移の力を「影狼」としてあやつれるようになっていた。ロイド=ディ=サルームがギザルムを倒したあとは、影狼はロイドの魔術として引き継がれている。
ギザルム
魔界から現れた魔族の男性。話し合いのために実家へ戻ったジェイドの体を乗っ取ってロードストの領主となり、多数の魔人を従えている。グリモワールを遥かに上回る強さを誇り、ロイドの魔術防壁をも打ち破るなど魔術が通用しない。魔術には興味がなく、魔力操作によって攻撃や防御をこなしている。1級の魔神が100人いても手に負えないほどで、ジェイドの瞬間転移能力を使いこなし、膨大な魔力を活かした「影狼」として使用する。ジェイドを連れ戻しに来たロイド=ディ=サルームたちと交戦し、ロイドと一対一の死闘を繰り広げ、影狼で圧倒するもロイドの反撃で追い詰められる。すべてを飲み込む「黒死玉」を繰り出して反撃を試みるも、それを上回るロイドの魔術「虚空」のもとに敗れ、ジェイドの体もろとも消滅した。
イーシャ
教会でシスターをしている若い女性。ウェーブのかかった金髪のロングヘアで、紺色の修道服をまとった巨乳美女。信心深く穏やかな性格で、昔からロイド=ディ=サルームのことをかわいがっている。サリア=ディ=サルームとは友人同士で、彼女のピアノ演奏で歌を歌うと最高の歌声を出せる。魔力量は決して多くないが、歌を通して儀式の神聖魔法を使っており、その歌声は人々を癒す力がある。しかし争いを嫌っているため、神聖魔術は人々を癒すためにしか使っておらず、本当の悪人以外には使うべきではないと考えている慈悲深い人物。演奏会や大聖誕祭を通して謎神父の陰謀に巻き込まれていくが、危険に怯(おび)えながらも聖歌の力でケガをしたバビロンを癒したり、ラミィを正気に戻したりしている。
サリア=ディ=サルーム
サルーム王国第四王子で、ロイド=ディ=サルームの姉。黒色のショートヘアで眼鏡をかけており、いつも楽器を持ち歩いている。音楽や楽器にしか興味がなく、音楽に携わっていない人には興味がない。容姿・性格共にロイドとよく似ており、彼と同様にパンケーキが大好物。イーシャとは友人同士で、彼女を通じて教会との親交が深い。楽器演奏の腕は天才的で、そのピアノ演奏ではイーシャの美しい歌声を引き出すことができるため、教会の演奏会などでは彼女とコンビを組んでいる。
ジリエル
天界で暮らす天使。金髪のロングヘアで美青年の姿をしている。光を放つ十字架を多数展開して武器とする具現化神聖魔術「光武(こうぶ)」を使用する。無類の女好きで、地上で美しい歌と演奏を披露するサリア=ディ=サルームとイーシャのことをのぞき見していた。視線の気配を追って天界まで来たロイド=ディ=サルームに見つかり、彼を一方的に蹂躙しようとするもあっさり敗北した。彼に神聖魔術を教えるよう頼まれ、契約を交わして地上へ降りることになる。契約後はグリモワールと同様にロイドの手のひらに宿り、美青年の姿や小鳥の姿に化けながら行動している。人々に神聖魔術を授ける神の御使いでもあり、ジリエルが認めた人間はいわゆる「顔パス」によって特別な神聖魔術を行使できる。ロイドだけでなく、かつては教会の教皇に神聖魔術を授けており、教皇を通してほかの十二神官たちも神聖魔術を授けられている。地上に降りたあとは、ロイドの依頼でガリレアたちにも光武を伝授した。グリモワールからは「アホ天使」呼ばわりされ、からかわれることが多い。
謎神父 (なぞしんぷ)
教会の中庭に現れた謎の神父。黒い神父服をまとっている。長身の老齢な男性で、短髪をオールバックにしている。ふだんは新品のロザリオを持ち歩いているが、それとは別に純金のロザリオを所有している。通常の銀製ではなく純金のロザリオを持つのは教皇を含めた「十二神官」のみで、のちにこの情報から教会に背信した元・十二神官であった事実が判明する。地下の研究所ではグールや合成獣を作り出しており、ラミィのように人間も巻き込んだ残酷な人体実験を続けている。また、「レイス」と呼ばれている霊体を合成獣に憑依させることで、強力なグールや合成獣を作り出して従えている。自らの肉体を合成獣で強化しているほか、ジリエルが使用する「光武」を含む十二神官が使用できる高度な神聖魔術をあやつれる。その正体は教会本部の教皇のギタンであり、ふだんは魔術で神父の姿に化けていた。サルーム国王のチャールズとは旧友同士。大神官のアナスタシアをはじめとする一部の神官や、実験の末に作り出した合成獣を多数従えており、大聖誕祭を通して国をも巻き込む騒動を巻き起こし、その力はかつて神聖魔術を与えてくれたジリエルすらも超えている。正体を現したあとは、街の上空にてロイド=ディ=サルームと一対一の死闘を繰り広げる。
シビル・ウォー
街の下水道に出現した謎のグール。ほかのグールとは比べ物にならないほどの戦闘力を誇り、シルファやタオすら圧倒するほど。生前は人間の男性であったが、ろくでもない人生の末に死亡し、幽霊のような存在「レイス」と化した。レイスの状態で謎神父と出会い、彼の人体実験によって強力なグールとなった。このため謎神父には恩義を感じており、彼の命令であればどんなことにも従っている。
ラミィ
教会の地下で作られたラミアの女性。上半身は人間だが、下半身が大蛇の姿をしている。ロイド=ディ=サルームに「ラミィ」と名づけられた。その正体は謎神父の実験で生まれた合成獣(キメラ)で、もとはふつうの人間だった。神父の実験場にやって来たイーシャたちを襲うが、彼女の歌声に癒されて正気を取り戻した。人間だった時の記憶をなくしているものの、これ以降はイーシャたちに連れられて地上に戻り、ロードストの住人として生きることになる。
その他キーワード
ノロワレ
特異な魔力を持って生まれた特異体質や、それを持つ者の通称。生まれ持ったノロワレの力をコントロールできず、中には能力の被害を自分自身が受けて命を落とす者もいる。特に周囲に害をなすほどの力を持った者たちは、能力の発動に悪意がないにもかかわらず、人々に忌み嫌われて迫害されている。瞬間転移のノロワレ体質に悩んでいたジェイドは、似たようなノロワレたちが身を寄せ合うための「暗殺者ギルド」を結成した。
クレジット
- 原作
-
謙虚なサークル
- キャラクター原案
-
メル。
書誌情報
転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます 17巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2020-11-09発行、 978-4065212981)
第2巻
(2021-02-09発行、 978-4065223499)
第3巻
(2021-05-07発行、 978-4065231517)
第4巻
(2021-08-06発行、 978-4065244739)
第5巻
(2021-11-09発行、 978-4065259825)
第6巻
(2022-02-09発行、 978-4065269053)
第7巻
(2022-05-09発行、 978-4065278307)
第8巻
(2022-08-09発行、 978-4065286524)
第9巻
(2022-11-09発行、 978-4065296431)
第10巻
(2023-02-09発行、 978-4065305232)
第11巻
(2023-05-09発行、 978-4065315538)
第12巻
(2023-08-08発行、 978-4065325964)
第13巻
(2023-11-09発行、 978-4065335024)
第14巻
(2024-02-08発行、 978-4065345504)
第15巻
(2024-04-09発行、 978-4065351529)
第16巻
(2024-08-07発行、 978-4065365090)
第17巻
(2024-11-08発行、 978-4065374160)
転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます セミカラー版 3巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2022-11-09発行、 978-4065296424)
第2巻
(2023-03-09発行、 978-4065309193)
第3巻
(2023-12-07発行、 978-4065328422)