熱血少年とゴミ子の出会い
物語の発端は、熱血空手少年・紫原ユウキと「ゴミ子」と呼ばれる汚い姿の同級生・朝倉さくらの出会いである。不良に絡まれた朝倉を助けた際、ユウキは不思議な石を拾った。じつは、この石は異世界(石の世界)で全知全能といわれる秘石「聖結晶」の破片(アイソトープ)で、朝倉の正体は石の世界の皇女アルバトロスであった。左手に聖結晶の破片を宿すことになったユウキは、アルバトロスとともに、聖結晶をめぐる壮大な戦いに巻き込まれていく。作者のブログによれば、本作のテーマの一つは「貴い生まれの人がある理由で身をやつして漂流する」物語だという。また、「二面性を持つヒロインによる萌え」も重要視されており、異世界のお姫様とゴミ子のギャップが、本作の大きな魅力となっている。
石の世界のモノバイルたち
アルバトロスたちは、一つの元素からなる素石(ジュエル)を燃やしたエネルギーで生きる「モノバイル」という種族である。素石を燃やす「炉」は、霊水(リキュール)という液体で満たされており、体に組み込まれていたり、外部の容器であったり、様々な形状がある。また、素石はモノバイルたちの姿や能力を決定し、元素表を逆さまにした「素石命図(ジュエル・インデックス)」で強さがわかるようになっている。素石命図の上と左に行くほど重い素石が並んでおり、モノバイルの強さは石の重さに比例するのだ。さらに、モノバイルは能力の高さによって分類されており、強い順に、レアクラス、エリートクラス、コモンクラスという階級が存在する。
聖結晶をめぐる善悪入り乱れた戦い
石の世界のモノバイルたちが人間界にやってきたのは、「大発火」と呼ばれる、とてつもない明るさの光が原因である。石の世界では、聖結晶をめぐる戦いが激化していたため、戦争終結のためにアルバトロスが「大発火」を起こしたのだという。しかし、その結果事態は悪化してしまう。モノバイルたちは人間界へ吹き飛ばされ、聖結晶は5つの破片に分かれて散らばった。アルバトロスは、聖結晶を集め、戦いを終わらせる使命を果たそうとしているのだ。人間界に来たエリートクラスのモノバイル・シュライクや、同じくエリートクラスが中心の組織「トライアッド」も、全能の力を求めて聖結晶を探している。ユウキとアルバトロスは、気の良いコモンクラスのモノバイルらと仲間になり、シュライクやトライアッドに対抗する。
登場人物・キャラクター
紫原 ユウキ (しのはら ゆうき)
中学2年生、14歳の男子。赤い髪が特徴。正義感が強い熱血少年。実家は紫道館空手道場。師範である母に、2歳の頃から毎日、厳しい稽古を強制されている。同級生の朝倉さくら(アルバトロス)を不良から助けたことをきっかけに、「聖結晶」の破片(アイソトープ)を入手。破片が左手に組み込まれ、聖結晶の力による炎の攻撃ができるようになる。なお、聖結晶の力は、アルバトロスの「炉」と連動している。
アルバトロス
異世界である石の国の皇女。モノバイルという種族の高位であるレアクラスで、美しい外見と空を飛ぶ能力を持つ。人間界では紫原ユウキと同じ中学に通う2年生、朝倉さくらとして生活している。朝倉のときは黒髪と眼鏡が特徴で、汚い衣服と情報収集のためのゴミ漁りのために「ゴミ子」と蔑まれている。なお、胸に下げた「炉」はユウキの持つ聖結晶の力と連動している。
書誌情報
聖結晶アルバトロス 全5巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2006-04-18発行、 978-4091203465)
第5巻
(2007-01-18発行、 978-4091208309)