概要・あらすじ
高名な腹話術師として鳴らした男の息子ジョン。父の死を見届けた後、彼は腹話術で身を立てるべく旅立つ。周囲の物を何でもしゃべらせるその腹話術は見事なものだった。しかし、興行主の親方には認められず、街角に立って披露してもおひねりは貰えない。疲弊したジョンは雪の降る街頭で座り込む。やがて朝が来て、浮浪者が死んでいるジョンを見つけた。
その時街中のすべての物が、哀悼の祈りを捧げた。
登場人物・キャラクター
ジョン
有名な腹話術師を父親に持つ少年。様々な声色を使い分け、周囲にある人形、パイプ、鳥、街灯など、指をさした物を喋らせることができる。父親が死んだ後、希望をもって旅に出るが、その技を認めてもらえず、都会の街角で息を引き取った。
親方 (おやかた)
見世物興行をしているやせぎすで鷲鼻の男性。ジョンの技量は認めたものの、人形を持っていない、若くて話題が少なそう、すでに腹話術師を雇っている、という3つの点から雇うのをやめている。
ガッポ
親方に雇われている中年の太った腹話術師。名人ガッポと異名を取り、詩を吟じることからエロ小話まで広い話芸を持つ。『宵闇通りのブン』においてコミカルになってはいるが、同名の腹話術師が登場している。
お嬢さん (おじょうさん)
ジョンが旅の途中、森の中で見かけた裕福そうな少女。チョウチョに話しかけているのを見て、ジョンは陰に隠れたままチョウチョの受け答えを演じてみせた。