あらすじ
第1巻
幼い頃に両親を事故で亡くした七瀬海は、自分の名前がずっと嫌いだった。ある日、海が父親の書斎を掃除していると、知らないどこかの海の写真と幼い自分の写真がポルトガルの本に挟まっているのを見つける。二枚の写真を見た海は、写真の海がどこなのかがわかれば両親が「海」という名前に込めた思いを知ることができると考え、本を頼りに単身ポルトガルに旅立つ。無事にポルトガルに着いた海だったが、初めての海外にとまどっているところを安藤りえに助けてもらう。その後、りえの案内でロカ岬に向かうものの写真とは違ったため、海は次の目的地であるスペイン行きの夜行列車に乗り込むのだった。
登場人物・キャラクター
七瀬 海 (ななせ うみ)
父親が遺した海の写真の場所を探すために、海外を旅する日本人の女性。誕生日は8月9日で、年齢は22歳。明るくて好奇心旺盛で、人を疑うことを知らない素直な性格の持ち主。日中は着物を着ている。幼い頃に両親は事故で他界している。ずっと自分の名前が嫌いだったが、名前のルーツになっていそうな海の写真を父親の書斎で見つけ、すぐにその海の場所を探すために行動を起こすが、計画性はあまりない。食欲旺盛なため、旅で訪れた先々でおいしいものを食べ歩いている。
安藤 りえ (あんどう りえ)
七瀬海が、ポルトガルで出会った日本人の少女。誕生日は12月25日で、年齢は17歳。面倒見がいい性格で、ポルトガルの空港で困っていた海を助けたことをきっかけに、海といっしょに各地を回るようになる。日本で注目され始めた将来有望な画家だが、金儲けばかりを考える大人が集まってくることや、感情的な批評ばかりされることで絵を描くことが苦痛になり、最後に海の絵を描いて画家を辞める決意をしてポルトガルを訪れる。しかし海と出会い、海の素直で純真な言葉を聞いているうちに、何も考えずに好きな絵を描いていた頃の気持ちを思い出す。
エマ
七瀬海と安藤りえが、スペインで出会ったスペイン人の女性。誕生日は12月9日。写真家としてスペインのさまざまな場所を巡っている。少しだけ日本の西荻窪に住んでいたことがあり、日本語をしゃべれる。日本滞在中、秋葉原でカメラレンズを買った帰りに、本屋で日本語の勉強のために買った漫画に影響され、女性が二人でなかよくしているとすぐ「百合」をイメージしてしまう。風景と笑顔を撮るのが好きなため、海とりえの写真を撮らせてもらうお礼としてスペインを案内する。
マリア・ロッシ
七瀬海と安藤りえが、イタリアで出会ったイタリア人の女性。誕生日は2月14日。日本の西荻窪に住んでいたことがあり、日本語をしゃべれる。その時のルームメイトがエマで、お互い帰国してからも連絡を取り合っており、海とりえがイタリアに向かう時にエマから案内役を頼まれる。人見知りで暗い性格をしている。幼い頃に親戚の結婚式でウエディングドレスを着た新婦の笑顔を見て、服には人を幸せにする力があると感じ、今はローマの大学で服飾のデザインを学んでいる。