花は咲く、修羅の如く

花は咲く、修羅の如く

人口600人の小さな島に育った少女・春山花奈。彼女はテレビで見た天才子役の朗読に憧れ、小4の頃から子供たち向けに朗読会を開催していた。島外の高校に通うことになった花奈は、彼女の才能に惚れた薄頼瑞希の強引な勧誘を受け、放送部に入部する。恵まれた声質を持ちながら前向きになれなかった花奈が、放送部への入部をきっかけに前進していく姿を描いた青春物語。『響け!ユーフォニアム』シリーズの武田綾乃が、初めて漫画原作を担当。集英社「ウルトラジャンプ」2021年7月号より連載を開始。

正式名称
花は咲く、修羅の如く
ふりがな
はなはさく しゅらのごとく
原作者
武田 綾乃
漫画
ジャンル
その他芸能・音楽
 
部活動
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊6巻
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概要・あらすじ

人口600人の小さな島・十鳴島(となきじま)に生まれた春山花奈。小学4年生の頃、テレビで見た天才子役・西園寺修羅の朗読に魅せられた花奈は、島の子供たちに向けた朗読会を企画。以来6年間、月イチで開催し続けた朗読会は、島の子供たちの楽しみとなっていた。そんなある日、いつもの朗読会が終わると、一人の少女が声をかけてきた。彼女の名前は薄頼瑞希。すももが丘高校の放送部部長だという。すももが丘高校は島外の高校で、明日から花奈が通う学校だ。花奈の朗読を聞いた瑞希は、放送部に勧誘するが断られる。フェリー通学の花奈は、部活に入ると17時のフェリー最終便に間に合わないのだ。「それでも花奈が入部するまで勧誘し続ける」。瑞希は笑顔でそういった。翌日、入学式を終えた花奈が、島に戻るフェリーに乗っていると瑞希が現れた。花奈と話すためにこっそり乗っていたらしいが、それは平日の最終便だった。本土に戻れなくなった瑞希は、花奈の家に泊めてもらうことになる。食事のあと、花奈の母と話す瑞希。母によると、島には花奈と同世代の子供がいないため、花奈はいつもお姉さんの役割だという。花奈がワガママを言うと子供たちがまねをするため、いつからか自分を抑える癖がついてしまったらしい。花奈も本当は放送部に入りたいのだが、自分がワガママを言うわけにはいかないと考えていたのだ。その夜、花奈と瑞希は同じ部屋で寝ていたが、早朝になり、花奈が一人で部屋を出ていった。瑞希が後をつけてみると、花奈は海辺まで行き、雨の中傘もささずに、宮沢賢治『春と修羅』を暗唱しだした。それを聞いた瑞希の頭には鮮やかな情景が勝手に浮かぶ。花奈の「読み」には人を惹き付ける力がある。それを再認識した瑞希は、花奈の腕をつかんで「お前の本当の願いを言え」「アタシが叶えてやる」と強く迫る。すると花奈は「放送部に入りたい」と、涙を浮かべながらやっと本心を明かした。問題はフェリーの件だが、瑞希はとっくに手配していた。平日の最終便を19時にしてもらうよう、フェリーを運行するおじさんに交渉済みだったのだ。こうして花奈は放送部に入部。瑞希をはじめとする放送部員の仲間たちと、大好きな朗読にますますのめり込んでいく。

登場人物・キャラクター

春山 花奈 (はるやま かな)

すももが丘高校1年生の女子。放送部員。人口600人の小さな島・十鳴島(となきじま)からフェリーで通学している。気が弱く自己肯定感が低い。小学生の頃、テレビで、天才子役・西園寺修羅の『春と修羅』の朗読を視聴。彼女に憧れて、朗読が大好きになる。小学4年生から6年間、島の子供に向けた朗読会を月イチで主催する。人を引き込む天性の声質を持っており、その才能に惚れた、すももが丘高校放送部部長・薄頼瑞希の勧誘を受け、放送部員になる。

薄頼 瑞希 (うすらい みずき)

すももが丘高校2年生の女子。放送部部長。金髪のショートカットが特徴で、威勢のよい姉御肌タイプ。海の近くのマンションで一人暮らしをしている。『ジョーズ』『メン・イン・ブラック』といった、自分が生まれる前の古い映画が好き。NHK杯全国高校放送コンテストの全国決勝出場に情熱を燃やす。人を惹き付ける力を持つ、春山花奈の朗読に惚れ込み、放送部に引き入れる。

整井 良子 (ととのい りょうこ)

すももが丘高校2年生。放送部副部長。物腰の柔らかいメガネ女子で、柔らかく弾力のある、マシュマロのような声の持ち主。後輩たちの心情、能力を冷静に分析してフォローしようとする。

箱山 瀬太郎 (はこやま せたろう)

すももが丘高校2年生の男子。放送部員。ボサボサ頭と黒縁メガネ、高身長が特徴。船のエンジン音のような、超低音の声の持ち主で、超人見知りな性格をしている。昨年のNHK杯全国高校放送コンテストも、薄頼瑞希に無理やり出場させられた。

冬賀 萩大 (とうが しゅうだい)

すももが丘高校1年生の男子。放送部員。春山花奈のクラスメートで、ツーブロックのミディアムヘアが特徴。第三中学校放送部出身。映像作品やラジオ作品の効果音作りを得意としている。顧問同士が犬猿の仲という第二中学校放送部出身の夏江杏とは仲が悪い。

夏江 杏 (なつえ あん)

すももが丘高校1年生の女子。放送部員。秋山松雪のクラスメートで、ツインテールが特徴。第二中学校放送部出身。プライドが高く負けず嫌い。中学1、2年時に「朗読部門」で大会に参加するが結果が出せず、3年時は「アナウンス部門」に変更。その結果、全国大会への出場を果たす。顧問同士が犬猿の仲という第三中学校放送部出身の冬賀萩大とは仲が悪い。

秋山 松雪 (あきやま まつゆき)

すももが丘高校1年生。放送部員。夏江杏のクラスメートで、学年1位で入学したメガネ男子。得意教科は国語で、特に中島敦の『山月記』が好き。入学式の式辞を聞いた、薄頼瑞希に熱烈にスカウトされて放送部に入部した。

吉祥寺 博美 (きちじょうじ ひろみ)

すももが丘高校の国語教師。放送部顧問と演劇部副顧問を兼任する。美しいものが好きなナルシスト。ポニーテールとスリーピーススーツが特徴で、京都弁を話す。高校時代、NHK杯全国高校放送コンテスト(Nコン)で優勝しており、前の学校でも放送部を全国決勝に導いた実力者。

西園寺 修羅 (さいおんじ しゅら)

高校生で、幼少時より天才子役として活躍する女優。ロングヘアが特徴。昨年のNHK杯全国高校放送コンテスト(Nコン)・朗読部門の優勝者。Nコン優勝後、朗読CDや朗読劇を大々的に展開したため、「部活動を商業利用している」「Nコンを愚弄した」とSNSなどで炎上した。春山花奈が小学生の時に、テレビで彼女の朗読を視聴。花奈が朗読を好きになるきっかけをつくった。

クレジット

原作

武田 綾乃

書誌情報

花は咲く、修羅の如く 6巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第3巻

(2022-09-16発行、 978-4088924458)

第4巻

(2023-02-17発行、 978-4088926087)

第5巻

(2023-07-19発行、 978-4088927640)

第6巻

(2023-12-19発行、 978-4088930619)

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