Change!

Change!

名門女子高校に通う去年栞は、クラスメートの倉田造酒の存在がきっかけで、言葉を武器に戦う「フリースタイルラップ」のとりこになる。そんな栞と造酒が「高校生RAP選手権」の優勝を目指して周囲の選手たちと戦い、切磋琢磨する姿を描いた青春ラップバトル。「月刊少年マガジン」2017年12月号から連載の作品。

正式名称
Change!
ふりがな
ちぇんじ
作者
ジャンル
その他芸能・音楽
 
青春
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊6巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

高校1年生の去年栞は、お嬢様学校として知られる私立鐘鳴(しょうめい)館女子高校に通っていた。そんなある日、栞は同級生が渋谷にあるクラブ「FAMILY」で働いており、教師たちがこの現場を押さえて捕まえようとしていることを知る。そこで栞はその夜「FAMILY」へ向かい、そこで働いているクラスメートの倉田造酒にこの件を伝えようとする。こうして栞はフリースタイルラップバトルを開催中の会場で造酒を発見するが、造酒は栞の忠告に応じず、二人はケンカになってしまう。しかし造酒は、栞と話すうちに栞には口げんかの才能があり、フリースタイルラップ向きの性格ではないかと思うようになる。そこで造酒は、無理やり栞を「MCしおりん」と名付けて試合に出場させる。そして栞は、訳もわからぬままにオーボエと戦うことになってしまう。それでもどうにかラップバトルについていく栞だったが、途中で失言して敗北。栞はこれを深く落ち込むが、同時にフリースタイルラップに強く惹かれている自分に気づく。そんな栞の姿を見た造酒は、後日無理やり出場させたことを詫び、本格的にフリースタイルラップに取り組んでみないかと誘うのだった。

第2巻

MCとして活動することを決めた去年栞は、まずは倉田造酒と共に、オーボエにあやまりに行くことにした。栞は先日の戦いで言葉に詰まり、ラップそのものを否定する発言をしてしまったため、その場にいた全員にあやまりたいと思っていたのである。そんな栞の思いを知ったオーボエは、栞に「高校生RAP選手権」で優勝することを提案。オーボエは、栞が優勝できるほどラップに真剣に取り組む姿を見せれば、周囲も栞が本当はラップを愛していることを理解するはずだと考えたのである。栞はこの提案を受け入れ、さっそく練習のため、オーボエの友人たちが「サイファー」と呼ばれる形式でフリースタイルラップをしている場へと向かう。そこで魚住敬太と戦うことになった栞は、ラップを通じて今の思いを伝える。こうしてラップの勉強を始めた栞だったが、その直後に造酒から、先日のオーボエとの対戦動画がインターネットにアップされていることを聞かされる。栞は動画によって失言がさらに拡散されることに落ち込むが、さらに衝撃の事実を知る。それは週末行われる「戦極U-22」というMCバトル大会に、造酒が栞を勝手にエントリーしていたのだ。

第3巻

去年栞は「戦極U-22」の一回戦で、強敵の外道斬と戦うことになる。意外にも善戦する栞だったが、勝負は僅差で外道斬の勝利となり、栞と倉田造酒は悔しい思いをする。しかし二人は反省会で、とあることに気づく。外道斬は非常に優秀なMCで、本来なら余裕で栞に勝つことができたはずだったが、あえて栞を観客に紹介する時間を作ったり、栞が反撃しやすい言葉選びをしたりして、栞が戦いやすい雰囲気を作っていたのである。栞はそんな外道斬の姿勢に感激し、ますますフリースタイルラップへの思いを強くする。しかし「高校生RAP選手権」の予選は、すでに来週にせまっていた。そこで造酒とオーボエは、サイファーの仲間たちを集めて栞の特訓を開始するが、栞はなかなか思うような戦いができずにいた。そんな栞を案じた造酒は、栞がよく知らない相手だから「dis」つまり反撃の言葉を作りにくいのだろうと考え、対戦相手に立候補する。さらに造酒はこの戦いで、自分も「高校生RAP選手権」にエントリーしたこと、もしこれが学校にばれたら自分たちは退学になってしまうかもしれないが、その時はいっしょだと栞への熱い思いを伝える。こうして二人は、また一つ絆を深めるのだった。

第4巻

去年栞倉田造酒から、自分がDJ、栞がMCとしてユニットを組んで活動したいという夢を打ち明けられたものの、落ち込んでいた。栞は教師たちにオーボエとの対戦動画と「戦極U-22」の配信を見られてしまい、父親の去年春樹と共に呼び出されていたのだ。これを知った造酒は、自分が事情を説明すると申し出るが、栞は今後自分たちが堂々と活動するためにも、教師たちを説得しなければならないと拒否する。そこで当日栞は造酒抜きで説得を試みるが、失敗。しかし国文学者でもある春樹に、自分はフリースタイルラップに宮廷歌人の歌合と同じものを感じており、本気でラップに取り組んでいると強い思いを伝え、外道斬との対戦動画を送る。この動画を見た春樹は考えを改め、理事長を説得。その結果、栞は不問となり、栞と造酒は学校公認でラップ活動を許されるのだった。しかし、学年主任の梅木は栞と春樹が自分の前ではおとなしくしておいて、自分を無視して理事長に話を通したと誤解していた。これに腹を立てた梅木は、栞たちの担任である福岡と共に「高校生RAP選手権」の観戦を決意。予選当日、栞と造酒は二人が見ている前でラップをすることになってしまう。

第5巻

「高校生RAP選手権」の予選は、一対一で戦うが勝敗は付けず、審査員がいいと思った選手を選んで次の審査をする方式で始まった。魚住敬太伊勢谷潤は初戦から素晴らしい戦いを繰り広げ、続く去年栞やまじょうと対戦することになる。やまじょうはこれまでの対戦相手とは違い、大声で相手を威嚇して、ごり押していくタイプのラッパーだった。しかし栞は自分の豊富な語彙を生かして応戦。会場は大いに盛り上がり、最初はとまどっていた福岡も、気づけば栞を応援していたのだった。こうして栞とやまじょうの戦いは終わり、次は倉田造酒と女性ラッパーのPink99の試合となる。造酒は会場入りしてからずっと、Pink99の攻撃的な視線を感じており、造酒はPink99が敬太に思いを寄せているのではないかと考え、これを利用することにする。主に恋愛を題材にしたラップで戦う中で、二人は不思議な連帯感が生まれて試合後には連絡先を交換する仲になる。

登場人物・キャラクター

去年 栞 (こざと しおり)

私立鐘鳴(しょうめい)館女子高校1年C組に在籍する女子。前髪を目の上で切ってカールさせ、胸の下まで伸ばした黒のストレートロングヘアにしている。たれ目でたれ眉の、まつげの長い美少女。MCとして活動するときの名前は「しおりん」。平安時代から続く和歌の一族である去年家の出身で、国文学者の去年春樹を父親に持つ、超の付くお嬢様。きまじめな性格の優等生ながら、実は負けず嫌いで口げんかが強い。また語彙が豊富で、特に古典や歴史関係の言葉に強い。そのため、フリースタイルラップではその才能を生かした戦いをすることが多い。しかし、まじめ過ぎる性格が災いして、一度悩み出すと歯止めがきかなくなってしまうことがある。高校に入学したばかりのある日、規則違反の倉田造酒を注意するが、造酒にはルールに従うだけの存在だと馬鹿にされてしまう。これがきっかけで造酒のことを意識するようになるが、その直後に造酒が渋谷のクラブ「FAMILY」で働いているらしいこと、教師たちがこれを聞きつけて捕まえようとしていることを知り、造酒を助けようと決意。そして出向いた「FAMILY」でフリースタイルラップのイベントを目撃し、そのとりこになる。誕生日は3月。

倉田 造酒 (くらた みき)

私立鐘鳴(しょうめい)館女子高校1年C組に在籍する女子。前髪を目の上で切ってカールさせ、黒のふんわりとしたボブヘアにしている。あだ名やMC、DJとして活動するときの名前は「ミキティ」。実家は東京都のはずれにある「倉田屋造酒(株)」で、東京都渋谷にあるクラブ「FAMILY」でアルバイトをしている。他人に媚びない性格ながら、自分がまちがっていた場合はすぐに訂正し、謝罪することのできる潔さがある。私立鐘鳴館女子高校には、母親の強い希望と、卒業できる成績と生活態度を維持すれば、在学中は趣味に打ち込んでもいいという条件で受験、入学した。そのため入学後は友人を作らず、クラスメートの去年栞のことも、校則に従うだけの存在だと見下していた。しかしある日、栞が自分を助けるために「FAMILY」に来店し、さらにフリースタイルラップの才能を発揮したことで考えを改める。以来、ラップのとりことなった栞をサポートしながら、いっしょに活動するようになる。将来の夢は、栞がMC、倉田造酒がDJの二人組ユニットを組むこと。家族は両親と兄の四人暮らし。フリースタイルラップを行う際は、恋愛の話題を絡めて相手を挑発することを得意としている。

オーボエ

東京都でラッパーとして活動する若い男性。焼き肉店「ありさり亭」でアルバイトをしている。ニット帽をかぶり、釣り目でたれ眉。背が高く、やや太めでがっしりとした体形をしている。明るく親しみやすい性格のお調子者だが、ラップには真摯に取り組んでいる。また、複数で行うフリースタイルラップ「サイファー」の一つを主宰しており、参加者たちの兄貴分的な存在でもある。クラブ「FAMILY」で開催されたフリースタイルラップイベントに参加したところ、偶然来店していた去年栞と対戦することになり、知り合う。その際栞から、ラップができてもまったく意味がないという言葉を浴びせられるが、それは対戦中の反撃としての言葉「dis」であると考え、特に気にしていなかった。しかしその直後、栞が倉田造酒を伴って謝罪したことで、栞が今後もMCとして活動したいと思っていることを知る。そこで、謝罪の気持ちがあるなら、4か月後に開催される「高校生RAP選手権」に出場し、優勝しろと参加をうながした。日本語の言葉そのものを非常に愛しており、一つ一つの言葉の重みを大切にしている。

魚住 敬太 (うおずみ けいた)

東京都でラッパーとして活動している男子で、年齢は17歳。前髪を上げて額を全開にした、髪全体を後ろに流したふんわりした刈り上げにしている。釣り目で釣り眉の堀りが深い顔立ちで、背が高く瘦せている。MCとして活動するときの名前は「K-fisch」で、去年栞からは「Kさん」と呼ばれている。オーボエの弟子でもあり、ラッパーとしての主な戦歴は、前回の「高校生RAP選手権」でのベスト8、「U-22 MC BATTLE」のファイナリストになったこと。一見クールで近寄りがたい雰囲気を漂わせているが、面倒見がいい。また、ラップに対しては非常に強い情熱を抱いており、チャラチャラしたラッパーが大嫌い。栞とは、彼女が「FAMILY」に来店し、オーボエと対戦した姿を見たことがきっかけで知った。そのため、当初は栞がまじめにラップに取り組んでいるとは思えず、快く思っていなかった。しかし、その直後オーボエが主宰する「サイファー」で栞に再会してからは、栞の真剣さに触れ、考えを改めた。やがて栞に思いを寄せるようになるが、栞にはまったく気づかれていない。

外道斬 (げどうざん)

東京都でラッパーとして活動する男性で、年齢は21歳。ウルフカットにニット帽をかぶり、背が高くがっしりとした体形をしている。まじめでストイックな性格で、強面なために近寄りがたい雰囲気を漂わせている。意味を何重にも織り込んだ丁寧で完成度の高いラップを得意としており、ほかのラッパーの情報収集は欠かさない。また、一つ一つの対戦を大切にしており、初心者相手でも一方的にならないように、観客から見て楽しい戦いを心がけている。去年栞とは、「戦極U-22」の一回戦で対戦したのがきっかけで知り合った。その時も栞に配慮した戦いをして会場を沸かせ、対戦後も栞への礼儀を欠かさなかった。

伊勢谷 潤 (いせや じゅん)

埼玉県でラッパーとして活動する男子で、年齢は17歳。前髪を目の上で切ってカールさせたふんわりとした短髪で、ぎょろぎょろした大きな目をしている。ラッパーとして活動するときの名前は「NARDI」。ひねくれた性格で、まったく周囲となじもうとしない。ラップとは、恵まれない人間が手にした最後の武器であるととらえており、魚住敬太のような精神的に余裕のある者、充実した生活を送っている者がラッパーとして活動することに強い怒りを感じている。「高校生RAP選手権」の出場者ながら、このイベント自体もちゃらちゃらしたものであると嫌っている。そのため、「高校生RAP選手権」の予選で戦うことになった敬太に強いライバル意識を燃やした。

やまじょう

福井県でラッパーとして活動する高校3年生の男子。額を全開にしてリーゼントに固め、襟足を肩につくほどまで伸ばしている。たれ目でたれ眉で、両ほほにそばかすがいくつもある。非常に背が高く、がっしりとした体形が特徴。MC Nektonの弟子で、彼の経営する店「浜焼き屋」でアルバイトしている。ラッパーとしての主な戦歴は、「戦極MC BATTLE」東北予選で準優勝、「UMB」石川県予選でベスト4、「U-22 MC BATTLE」本選でベスト16入りしたこと。「ハードコアスタイル」という非常に硬派なスタイルを得意としており、大きな声で対戦相手を威嚇して、ごり押しで挑発する戦い方をする。最後の「高校生RAP選手権」で、もうあとがないことに強いプレッシャーを感じていた。最初の試合で去年栞と戦うことになり、相手が女性であるため戦いづらさを感じていたが、最終的には非常にいい戦いを展開し、栞と認め合う関係となる。

Pink99 (ぴんくきゅーきゅー)

千葉県でラッパーとして活動する女子で、年齢は16歳。前髪を目の上で切り、ストレートロングヘアを頭の右側に集めて一つに結ぶサイドテールにしている。釣り目釣り眉で背が高く、瘦せている。父親はトラックの運転手で、父親の助手として全国を回る際に、地方のイベントに出場していた。ラッパーとしての主な戦歴は、「UMB」の熊本予選でベスト16、群馬予選でベスト8、新潟予選でベスト4、「ENTER MC BATTLE」でベスト16入りしたこと。気の強い性格ながら恋愛には奥手で、魚住敬太に思いを寄せつつも、話し掛けることもできずにいた。そのため「高校生RAP選手権」では、敬太と親しげな倉田造酒に嫉妬し、会場入りしてからずっとにらみつけていた。そのため造酒に敬太への思いを見抜かれてしまい、造酒との対戦時にはこれを話題にされてしまう。しかし、これがきっかけで造酒とはすっかり親しくなり、試合後は連絡先を交換する関係になった。

福岡 (ふくおか)

私立鐘鳴(しょうめい)館女子高校で教師を務める中年女性。1年C組の担任を務めている。前髪を上げて額を全開にし、胸の下まで伸ばしたロングヘアを、首の付け根の位置で一つにまとめている。たれ目たれ眉で、瘦せており、つねに落ち着いている穏やかな性格の持ち主。去年栞のことはまじめでいい生徒だと認識しており、信頼していた。しかしある日、栞が学校に秘密でラッパーとして活動していることを動画サイトとインターネット配信番組で知る。そこで学年主任の梅木と話し合い、栞と父親の去年春樹を呼び出し、一度は栞を一週間の自宅謹慎処分にした。しかし春樹が理事長に掛け合い、最終的に栞は不問となった。福岡はこの決定に納得しており、栞が春樹を使って学校側を言いくるめたとも考えていなかった。のちに、納得できない梅木に付き添って「高校生RAP選手権」の予選に見学へ行き、栞と倉田造酒が真摯にフリースタイルラップに挑む姿を目撃し、それからは二人を応援するようになる。学生時代は春樹の本を読んで勉強していた。

梅木 (うめき)

私立鐘鳴(しょうめい)館女子高校で教師を務める中年女性。1年生の学年主任を務めている。前髪を上げて額を全開にし、ロングヘアを首の付け根の高さで一つのお団子にしてまとめている。体形はやや太めで、眼鏡をかけている。まじめで融通のきかない性格の持ち主。ある日、自分が担当している去年栞が、学校に秘密でラッパーとして活動していることを、動画サイトとインターネット配信番組で知る。そこで栞のクラスの担任教師である福岡と話し合い、栞と父親の去年春樹を呼び出し、一度は栞を一週間の自宅謹慎処分にした。しかし春樹が理事長に掛け合ったことで、最終的に栞は不問となった。この際、自分と話した時は反論一つしなかった春樹が、一日もたたぬうちに自分を無視して理事長を説得をしたことで、父娘に見下されていると感じるようになる。そこでラップがどのようなものなのか確かめるため、福岡を連れて栞の出場する「高校生RAP選手権」を見学した。栞とやまじょうの対戦を見てからも、気疲れするばかりで、途中で帰りたいと考えていたが、最後まで観戦した。

去年 春樹 (こざと はるき)

国文学教授を務める中年男性。平安時代から続く和歌の一族、去年家出身の歌人でもあり、去年栞の父親でもある。前髪を左寄りの位置で分けて額を見せた、撫で付け髪にしている。たれ目で太い釣り眉のイケメンで、周囲からは芸能人のようだと評されている。ある日、梅木と福岡に呼び出され、栞が学校に秘密でラッパーとして活動していることを知る。そこで一度は、栞の自宅謹慎処分を受け入れるが、栞からあらためてラップへの思いを聞かされ、栞と外道斬の対戦動画を見たことで考えを改める。そしてすぐに理事長に掛け合い、最終的に栞は不問となった。日本語にすべてを捧げる人生を送っており、ラッパーのことも知っていたが、日本人がラップをしても、外国人のまね事にしかならないととらえていた。しかし栞から、フリースタイルラップと宮廷歌人の歌合には通じるものがあると教えられて納得し、ラップにも魅力を感じるようになる。

クレジット

監修

晋 平太

その他

冨山 玖呂

書誌情報

Change! 6巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2018-03-16発行、 978-4065111444)

第2巻

(2018-07-17発行、 978-4065122136)

第3巻

(2018-11-16発行、 978-4065131978)

第4巻

(2019-03-15発行、 978-4065151273)

第5巻

(2019-08-16発行、 978-4065171318)

第6巻

(2019-12-17発行、 978-4065181201)

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