概要・あらすじ
ある日会社に出社した高野白湯子は、先輩の男性社員菱川の席に、大きな白黒猫が座って、菱川のふりをしていることに気づいた。ほかの社員にはいつもの菱川に見えているようだが、白湯子は昔から「化け」が見える体質だった。その白黒猫をつかまえて事情を聞いたところ、彼は菱川の飼い猫ゲバラであると名乗り、キューバへ旅行に行った菱川の代わりに化けて出社しているのだと語った。
登場人物・キャラクター
高野 白湯子 (たかの さゆこ)
デザイン事務所・白雪タイムスの女性社員。22歳。癖っ毛のため、髪をお下げにしている。白雪タイムスには勤めて2年と日が浅いため、社員の人となりにはそれほど詳しくない。子供のころから「化け」が見える体質で、小学4年生の頃には転入生が河童であることに気づいたこともあった。菱川に化けたゲバラに気づき、以降彼と親しくなる。
ゲバラ
白黒猫の化け猫。人間に化けることができる。元は野良猫だったが、菱川の家で餌をもらって懐くようになった。人間に化けている最中も、ねこじゃらし風の動きをするものや、小さな虫などには飛び掛ってしまう。
菱川 (ひしかわ)
デザイン事務所・白雪タイムスの男性社員。39歳。心臓に持病があるため、飲酒や激しい運動ができない。薬の副作用で髪の毛が赤くなっている。落ち着いた性格。母親の死後はずっと一人暮らしをしていた。
大塚 (おおつか)
デザイン事務所・白雪タイムスの女性社長。猫アレルギーもちで、菱川に化けたゲバラがいるとくしゃみが止まらなくなる。社員ひとりひとりの状況や心もちに気を配っている。
鳴海 彼方 (なるみ かなた)
高野白湯子の小学校時代の同級生。人目を引く美人。両親を亡くし、兄の鳴海羽流化と二人暮らしをしている。大学を卒業した後、兄と共に白湯子の住む街に再び引っ越してきた。兄に深い愛情を抱き、篭りがちになってしまった彼を心配している。
鳴海 羽流化 (なるみ はるか)
鳴海彼方の兄。熱帯魚飼育が趣味。昔は海が好きな明るい青年だったが、精神不安を抱え、海や魚に対して焦がれる思いを抱く。ゲバラにとっては理性を失うほどの「うまそうな匂い」がするらしい。
須々木 秀一郎 (すすき しゅういちろう)
サラリーマンの青年。妻・美夜香の出産に立ち会うため病院に向かう途中で、空間の虫喰い穴に迷い込み、ゲバラとシマ吉に出会う。幼い頃こっそり飼っていた猫ベロニカを、母のいいつけで勉強に専念するために捨てたことを後悔している。
美夜香 (みやか)
須々木秀一郎の妻。おっとりして見えるが、しっかり者の性格。出産のため入院中。須々木が病院に来てくれるのを待っている。
シマ吉 (しまきち)
屋台のマタタビ酒専門飲み屋をやっている化け猫。おつまみは「冷奴のトーフ抜き」や「猫マンマのご飯抜き」など。ゲバラの行きつけの店でもある。迷い込んできた須々木秀一郎がベロニカを捨てたことを知り、怒る。
ベロニカ
須々木秀一郎が昔こっそり飼っていたノラ猫。歯が一本も無く、舌がいつも口からはみ出していた。須々木になついていたが、彼に捨てられてから半年後公園で死んでしまった。
クレジット
- 原作
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田中アコ