やじきた学園道中記

やじきた学園道中記

作者、市東亮子の代表作。ケンカの腕と頭のキレを買われ、トラブルを抱える学校へと転校しては解決のために奔走する女子高生二人。日本各地の歴史や文化に触れながら、さまざまな武術集団や組織までが絡み合い、武闘派の不良たちやヤクザを相手に大立ち回りの大乱闘のアクションコメディ。秋田書店「月刊ボニータ」1982年9月号から連載を開始し、途中休載期間や掲載誌の移動がありながらも、シリーズ化され長期連載となる。2022年4月、シリーズ40周年を迎え『やじきた学園道中記F』が完結。

正式名称
やじきた学園道中記
ふりがな
やじきたがくえんどうちゅうき
作者
ジャンル
アクション
 
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

ケンカの腕はめっぽう強い、やじさんこと矢島順子キタさんこと篠北礼子の二人は、理事長から関東番長連合の解体を依頼され三葉学園へとやってくる。関東番長連合の総長徳成雪也が、影の権力者による献金集めから、大手企業の裏金作りに絡んだ暴力団の銃の密売との関わり探っていた事を知った二人も協力し、大捕物の末に事件を解決へと導いた。

それをきっかけにやじさんキタさんに助っ人依頼が舞い込むみ、全国各地を飛び回る。二人の預かり知らぬところで糸を引く人物に翻弄されながら、さまざまな武術集団やプロのヤクザたちを相手に、女子高生とは思えぬ大立ち回りの大活躍を繰り広げるるのだった。

登場人物・キャラクター

矢島 順子 (やじま じゅんこ)

『やじきた学園道中記』の主人公の1人。長い黒髪と大きな瞳が特徴の高校2年生。男兄妹の中で育ちケンカの腕はめっぽう強い。曲がった事が嫌いで情にもろい江戸っ子気質の姉御肌。理事長に招かれキタさんとともに関東番長連合解体のため三葉学園に転入。総長・徳成雪也の本意を知り協力。以後は三葉学園をベースに、各地の高校へトラブル解決の助っ人に出向いては、女子高生とは思えぬ大立ち回りを繰り広げる。 光徳学院高校の姫御前に気に入られて以来、執拗に狙われる。

篠北 礼子 (しのきた れいこ)

『やじきた学園道中記』の主人公の1人。成績優秀で頭脳明晰な眼鏡が特徴の高校2年生。細身の体型からは想像できないほどの大食い。理事長に招かれやじさんとともに関東番長連合解体のため三葉学園に転入。総長・徳成雪也の本意を知り協力。以後は三葉学園をベースに、各地の高校へトラブル解決の助っ人に出向き、夢想神伝流剣術や舞踏などの武術の基本から自分に合わせた独自の戦法で闘う。 緑川新三郎からは出会った時から好敵手として意識される。やたらと女生徒にモテる。竜神高校で松阪に迫られて以来、男性アレルギーを発症した模様。

徳成 雪也 (とくなり ゆきや)

三葉学園高等部1年生。父は三葉学園理事長。長い髪で一見ひ弱な容姿とは裏腹に、ケンカにはめっぽう強く頭も切れる。影の指導者の野望を阻止しようと、関東番長連合の総長となり、副長の田沼、柳沢と、無敵の四天王と暴走族の紅林、拳闘部主将の青谷、剣道部主将の緑川新三郎、女暴走族の桃山を従え、次々と番長グループを傘下におさめる。 主従関係にある各雲斎小鉄の身に危険が及ぶと我を忘れる。祖父である宮脇産業グループの社長に気に入られ、後継者にと目されている。

各雲斉 小鉄 (かくうんさい こてつ)

三葉学園高等部2年生。一見気弱で真面目な優等生だが、甲賀流忍術の他各種の武術に通じ、情報収集を得意とする徳成雪也のお庭番。三葉学園に転校してきて以来やじさん、キタさんを影から手助けする。徳成雪也とは主従関係にあるが、時にはその行動を諫めるなど深い信頼関係で結ばれている。 乳兄弟である剣望狭霧に対しては、守るのは自分の役目と少々過保護にその身を案じる。

松平 貴子 (まつだいら たかこ)

三葉学園高等部2年生。理事長の姪で、徳成雪也の従姉妹。真面目で大人しいお嬢様だが、乱暴者の不良達にも言い返す気丈さも持ち合わせている。姉のように、時には母親のように徳成雪也を叱ったり、やじさん、キタさんを気にかける徳成雪也をそれとなくサポートする。 各雲斎小鉄に次ぐ情報収集能力と分析力を持る。

大日崎 佐門 (おおひざき さもん)

八丁堀高校の生徒。各地を巡り武勇を誇る相手に戦いを挑むため、「道場破りの大門」と呼ばれている。やじさん、キタさんとは顔なじみ。キタさんと同じ夢想神伝流剣術道場の門下生で、大門、萩間剛、津浜小次郎の三人は秘剣青龍剣の継承権を争った間柄。 行く先々で偶然に現れてはやじさん、キタさんを助けてくれる、頼もしい友人。あちこちを尋ね歩く本当の目的は、ご当地弁当を食べるのためという弁当マニア。

剣望 狭霧 (けんもち さぎり)

甲賀流忍者であり、甲賀、望月家の末裔で、各雲斎小鉄の乳兄弟。桜華台第二高校では数学教師の中村朔左の指示のもと、勝取詮公とともに闇の仕置き人として活動していた。竜神高校でやじさん、キタさんと出会い、各雲斎小鉄と再会したものの、背中に彫られた刺青を巡るトラブルから逃亡。 紫室一之介と坂口の事件とも絡み、ハーディ・レニアートンに助けられ深く関わり、瀧上高校では重要な情報をもたらすなど、要所で地味に活躍。各雲斎小鉄にはめっぽう弱い。

ハーディ・レニアートン

アメリカンスクールに通う、暴走族ブラック・セレクトのヘッドとして登場。やじさん、キタさんの行く先々で遭遇し、敵対することもあれば剣望狭霧を助けるなど、協力することもある謎を秘めた外国人。葵上総介の親友で、宮脇産業とは取引関係にあるウエスト・ロイドバーグ社の若き社長でもある。 貴多神真吾(ダニエル・ローズ)の能力を見込み、を片腕に迎えようと日本に捜しに来たが、振られ続けている。

葵 上総介 (あおい かずさのすけ)

三葉学園高等部OB。ハーディ・レニアートンとは留学先のアメリカで知り合った親友。留学中も緑川新三郎、草薙樹里杏、姫御前など配下を使って影の軍団を動かし、帰国に合わせ代議士の父に関東一円の番長グループの制圧を強請った。興味のあるモノを手に入れるためには手段を選ばぬ非情さをもつが、人望の厚い影の権力者。 瀧上高校での騒動の際には謎の拳法でやじさんを助けるが、姫御前とともに深く関わる。

緑川 新三郎 (みどりかわ しんざぶろう)

三葉学園高等部では剣道部主将をつとめ、関東番長連合の四天王の1人だった。葵上総介の指示で三葉学園を去り長野の高校へ転校し、影の軍団の幹部となる。すれ違っただけでキタさんを好敵手と見てとり、正々堂々との勝負を挑む。許嫁だった桜華台第二高校生徒会長の姉小路白妙は三葉学園を去った緑川新三郎が、兄の不祥事のせいで桜華台高校に入れなかったため、代わって学園を制覇しようとしていた。

早乙女 数馬 (さおとめ かずま)

青菱高校の男気あふれる番長。当初は対立していたものの、対決を利用し銃の密売を暴いた際の徳成雪也の采配と人柄に惚れ込み、関東番長連合の傘下となることを決意。青菱高校の番長に代々伝わる帽子とマントを徳成雪也に託した。大門とは旧知の仲。参謀の錦郡菊千代と、鳶丸を使い、あちこちから情報収集をしている。

紫室 一乃介 (しむろ いちのすけ)

元竜神高校3年生。親友の優等生、池上芳樹の罪を被り武蔵野少年院にて服役し、貴多神真吾、萩間剛と知り合った。仮出所中に勤務先のオーナーとともにヤクザ絡みの事件に巻き込まれ、学生を使った竜牙会の密売に池上芳樹も関わっていた事実を知る。竜牙会に拉致されたところを弟の紫室千之介と竜神高校の同級生となったやじさんとキタさんに助けられ、以後もたびたび二人と協力関係となる。 腕っ節も強く、行きがかり上、剣望狭霧と深く関わり、紫室千之介を拉致し拷問した雨宮右京三とは壮絶な対決を何度も繰り広げる。

草薙 樹里杏 (くさなぎ じゅりあん)

柔らかな容姿ゆえにいじめられ、いつもやじさんに助けられていた幼なじみ。その容姿と闘志を気に入られ、葵上総介の配下となる。影の軍団の一員として潜入していた駿河北高校でやじさんと再会し、時に敵対関係となるなど複雑な立場となる。暴力で押さえつける雨宮右京三に屈していたが、対抗するための武術を身につけようと奮闘。 雨宮右京三を追い続ける姿勢に、影の軍団仲間の泊、堤、津田の三名が付き従う。

蜻蛉羽 呉葉 (あきづば くれは)

緑川新三郎、雨宮右京三などを従える、戸隠の影の軍団の総監督。忍法、修験道などの体術をこなし、妖術すら操り深山の如天狗と呼ばれる。姫御前を天女と崇拝し、やじさんを仇として狙うが、その腕に惚れ込み本気の勝負を挑む。負傷している佳那克巳を、勝手な動機から襲った雨宮右京三に怒り、妖術で懲らしめた。

不道明院 妖女 (ふどうみょういん あやめ)

光徳学院高校の姫御前と呼ばれる、不思議な魅力で学園を仕切る和装の美女。美貌の弟、不道明院桂丸を女のように着飾らせかつ姫と呼んで愛でている。ハーディ・レニアートンに促される形で犬猿の仲の太郎山高校に転入してきたやじさん、キタさんの二人を見物。やじさんを気に入り手に入れようと画策し、その行動は想像の遙か上を行き、無関係な者を巻き込みながらどこまでも翻弄し続ける。 瀧上高校での騒動の際も、葵上総介とともに深く関わる。松虫・鈴虫という双子姉妹が腰元のように付き従っている。

風祭 玉彦 (かざまつり たまひこ)

神戸の財閥の御曹司。憧れのハーディ・レニアートンへのプレゼントの別荘建設のため、瀧上高校に立ち退きを要求するが応じないため、フェンシングで負けた恨みを晴らすべく徳成雪也を拉致監禁し、瀧上高校に罪を着せ関東番長連合に潰させようと画策。しかしやじさんとキタさんが瀧上高校に転入し、それぞれに思惑を抱えた、各務沼瑠璃子、姫御前、葵上総介、ハーディ・レニアートン、雨宮右京三、高峰櫂、草薙樹里杏が絡み、紫室一之介、紫室千之介、大門、津浜小次郎、各雲斎小鉄、剣望狭霧までも巻き込んだ大騒動へと発展する。

各務沼 瑠璃子 (かがみぬま るりこ)

風祭玉彦の従姉妹。ホストクラブでアルバイトをしていたキタさんに一目惚れ。瀧上高校に転入してきたキタさんを手に入れようと風祭玉彦をそそのかし、騒動を巻き起こした張本人。どこまでも我が儘なお嬢様。汚いモノにはめっぽう弱い。

貴多神 真吾 (きたかみ しんご)

情報処理能力に長けた天才で、ハーディ・レニアートンからブレインにと執拗に狙われている。武蔵野少年院で服役中に萩間剛、紫室一之介と出会った。出所し紫室一之介を訪れた際、ハーディ・レニアートンの強引な迎えから徳成雪也に救われる。ヤクザ絡みの一件で追われる紫室一之介や剣望狭霧、やじさん、キタさんを最新技術のパソコンを駆使して手助けするなど、思わぬところで本領発揮する。

萩間 剛 (はぎま ごう)

キタさん、大門と同じ夢想神伝流剣術道場の門下生だったが、キタさんが最後の勝負を挑んだ際、真剣での立合を申し出て片眼に傷を負い、破門された。大門とは青龍剣の継承権を争った間柄。武蔵野少年院で服役中に、貴多神真吾、紫室一之介と出会った。出所後、邪剣と呼ばれる対心影流門下となり、次期総帥となるため、過去の因縁を断ち切ろうとキタさんと対決するために宝生高校へ招いた。 視力を取り戻すため、貴多神真吾の協力でカナダへと渡る。

片桐 達人 (かたぎり たつと)

キタさんの父の部下の刑事。鹿児島の由緒ある舞の家柄の長男。さまざまな事件の捜査に奔走しながら、なぜかそこに関わっているらしいやじさん、キタさんの身を案じる。女系家族で育ったため、時々言葉遣いが女性っぽくなる。

雨宮 右京三 (あまみや うきょうざ)

影の軍団の幹部の一人だったが、勝手な行動から総監督・蜻蛉羽呉葉に破門される。武力こそ最大の権力と信じ、全てを力でねじ伏せる傍若無人な男。ことごとくやじさん、キタさんと敵対し、紫室一之介、大門、徳成雪也とたびたび手合わせする。手下を力でねじ伏せるため人望は余り無く、誰にも負けない武力を追い求めるあまり、真偽不明な情報に翻弄され続ける残念な武闘派。 白虎拳の会得を目指し、やじさん、キタさん、大門とは因縁めいた関係となる。

佳那 克巳 (かな かつみ)

駿河北高校の番長。伊豆の総番。竜神高校の南田隼人とは小学校時代からの友人。副官の桃井と共に箱根での紫室一之介の一件に巻き込まれ、大けがを負う。その隙に影の軍団による伊豆連合の取り崩しに合うが、やじさん、キタさん、紫室一之介たちの協力で事なきを得る。 雨宮右京三に勝負を挑まれた際には、関東番長連合を引き連れた徳成雪也や横浜のクィーン、箱根の南田隼人も駆けつける。

不動明院 桂丸 (ふどうみょういん かつらまる)

日光の姫御前の弟。男とは思えぬほどの美貌から、姫御前には女のように飾り立てられてきた。大門に戦いを挑むが、『花』に剣は向けられないと断られ、真の『剣鬼』となった暁には手合わせすると約束。それを期に姫御前のもとを離れ、本来の姿に戻り己の剣の道へと進む。萩間剛とともに対心影流道場の門下生となり、宝生高校でやじさん、キタさんと男の姿で再会。 錦郡菊千代と瓜二つ。

高峰 櫂 (たかみね かい)

丸全製鉄から竜牙会へ潜入していたスパイで、紫室一之介や徳成雪也、やじさん、キタさんと遭遇。宮脇産業との関係から瀧上高校での風祭玉彦の企みに協力するも、途中からはキタさんに情報を流すなどその行動は謎。ハーディ・レニアートンに助けられた際、老ロイドバーグへの恨みを晴らそうという思惑を明かす。 夢想神伝流剣術の青龍剣の師匠、玄幽斎のもとに身を寄せる、盲目の鍼灸師、翡翠は弟。

錦郡 菊千代 (にしきこおり きくちよ)

青菱高校番長グループ幹部。番長、早乙女数馬の参謀。鳶丸を使い各地の情報収集をしている。大門に焦がれ、姿をみるとすぐ抱きつく。見た目は女の子のように可愛いが、剣の腕と気はめっぽう強い。たまたま大門を追いかけて日光を訪れた際、姫御前の一件に巻き込まれ、瓜二つの不動明院桂丸と出会う。

影の仕置き人 (かげのしおきにん)

『やじきた学園道中記』に登場する、桜華台高校に伝わる、晴らせぬ恨みを代わって晴らしてくれるという必殺伝説で、必殺仕事人よろしく、人知れず仕置きを行う謎の人物たち。やじさん、キタさんが理事長の要請で転入した際は、桜華台高校OBで数学教師の中村朔左と、桜華台第一高校の生徒、勝取詮公、剣望狭霧がその役を負っていた。 必殺伝説の発端となった事件には緑川新三郎の兄と、仕置き人の元締・本田太郎坊が関わり、第二の事件では勝取詮公の姉が関わっていた。

集団・組織

関東番長連合 (かんとうばんちょうれんごう)

『やじきた学園道中記』に登場する学生組織。関東一帯の番長グループを傘下におさめ、三葉学園の徳成雪也が総長を務める。影の指導者による不正な献金集めを探るうち、大企業の裏金作りのための暴力団による銃の密売にが絡んでいることを突き止めた徳成雪也は、やじさん、キタさんと、敵対していた青菱学園の早乙女数馬の配下たちの協力を得て解決。 総長の地位を不動のものとする。

三葉学園 (みつばがくえん)

『やじきた学園道中記』に登場する名門高等学校。理事長の徳成武三から関東番長連合解体の依頼を請け、主人公やじさんこと矢島順子と、キタさんこと篠北礼子の二人が転入する。以降、二人は同校をベースに全国各地へと飛び回る。関東番長連合総長徳成雪也は理事長の一人息子。影の総番と噂される葵上総介は、三葉学園始まって依頼の模範生と言われていた。

影の軍団 (かげのぐんだん)

『やじきた学園道中記』に登場する、長野の高校を拠点に、蜻蛉羽呉葉が総監督を務める謎の戦闘集団。葵上総介が認めた武術の腕を持つ雨宮右京三や、草薙樹里杏が所属し、三葉学園を去った緑川新三郎が身を寄せている。葵上総介の指令の下、さまざまなところで暗躍し、随所でやじさん、キタさんと遭遇し戦いを繰り広げる。

宮脇産業グループ (みやわきさんぎょうぐるーぷ)

『やじきた学園道中記』に登場する大手企業グループ。風祭グループ、ウェスト・ロイドバーグ社などと取引がある。仏像集めが趣味の社長・宮脇老が、太郎山高校地下に秘仏があるという情報を信じ、孫の宮脇馬王麿の心配通り騒動に発展した。宮脇馬王麿の母で社長の娘宮脇八雲は、徳成雪也の伯母にあたり、光徳学院理事長を務めていたことから、姫御前のもとへやじさんを取り返しに乗り込んだ。

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