概要・あらすじ
昭和38年。西子が5歳の時、母は家出をしてしまった。残された西子は、長野県の平山次郎・花子夫妻に引き取られることになる。義母は溺愛してくれたが、がさつな義父母を、西子はどうしても好きになれなかった。西子が中学生の頃、パチンコや麻雀に溺れる義父母は給食代すら払えず、一家は貧困にあえいでいた。学校の教師が家にやってきたその夜、西子は夜道で声をかけられた中年に体を売り、その金で実の母親がいるはずの福知山に向かった。
登場人物・キャラクター
西子 (にしこ)
大金持ちになる夢を抱きながら、麻雀と売春に手を染めていく女性。5歳の時に母親が家出してしまい、長野県の平山次郎・花子夫妻に引き取られる。乱暴者の義父と、がさつな義母を好きになれず、実の母を想い続ける。中学生の時に、初めて体を売ってから、売春と麻雀打ちの生活を始める。ギャンブルに天性の才能があり、女雀師として成長していく。
民子 (たみこ)
西子の実の母親。西子が5歳のとき、彼女を捨てて家を出て、福知山の実家に戻る。その後、城崎の小さな商店に嫁ぎ、子どもをもうけて平凡に暮らす。中学生になった西子が会いに来たときは、涙一つ流さずに二度と来ては駄目だと言い放ち、西子を失望させた。
平山 次郎 (ひらやま じろう)
身寄りの無い5歳の西子を引き取った義父。長野県在住。運動会や祭のときに露店を出すテキヤ。暇な時は、家で町内の人間と花札や麻雀を打っているろくでなし。大柄な乱暴者で、妻や西子にすぐに手を挙げる。
平山 花子 (ひらやま はなこ)
平山次郎の妻。身寄りの無い5歳の西子を引き取った義母。大柄で逞しい外見。西子を溺愛するが、彼女に愛されずに落ち込むこともしばしば。パチンコが趣味。西子のために借りた修学旅行のお金を、パチンコで増やそうとしてスってしまうダメ人間。
映画館 (えいがかん)
西子が住む町にある映画館のオーナー。「映画館」とあだ名される。近隣の町にも映画館を持っており、一本のフィルムをピストン上映して稼いでいる。メガネにハゲ頭のセクハラおやじ。西子が初めて体を売った相手。
室生 (むろう)
映画館オーナーの小学校時代の同級生。旅館経営者。映画館オーナーに置き去りにされた西子を雇い入れ、女中仕事のかたわら、売春を斡旋する。
佐加本 スミ子 (さかもと すみこ)
西子が雀荘で出会った64歳の老婆。出て行った夫を待って、12年間毎日雀荘に通い続ける。かつては美人の雀師で、ツミコミもできる。雀荘でイカサマ師たちにお金を巻き上げられる西子を見かねて、助け舟を出す。
中里 静夫 (なかざと しずお)
町で偶然再会した、西子の小学校時代の同級生。旅館で働きながら売春をしていた西子にとって、初めての恋愛相手となる。西子と一緒に東京で暮らすが、ひょんなことからすれ違い、西子と別れることになる。
接待部長 (せったいぶちょう)
暴力団である株式会社三鬼の会の接待部長。高レート麻雀で一文無しになった西子を100万円で買い、月々10万円の手当で接待麻雀と売春をさせる。西子が大石技研の会長と結婚するまで、関係を持ち続ける。
会長 (かいちょう)
大石技研という大企業の社長。西子の接待麻雀を受け、肉体関係をもつ。高齢のため性行為もままならなかったが、西子相手だとうまくいくため、結婚する。男の子を授かるが、西子が放置したため子どもは死亡。そのことを許せずに西子と離婚する。