概要・あらすじ
えらい強いと評判の殺し屋神森神介は、大物政治家の依頼で仕事をこなすが、いつもその後の麻雀で報酬を失っていた。そのため生活は困窮し、妻子は次々と病死してしまう。神森は五年の修業で凄まじい麻雀の腕を身に着け、政治家たちを負かす。神森は莫大な金を得たが心は晴れず、殺し屋、そして麻雀名人として様々な人間模様に関わっていく。
登場人物・キャラクター
神森 神介
居合い刀を武器とする殺し屋で、その腕前は標的の首を一瞬で飛ばし、銃弾を軽々と払うほど。「えらい強い殺し屋」という意味で「エラヅヨの殺し屋」と呼ばれている。妻子を病死させて以来、凄腕の雀士として各地を転々としているが、殺し屋として腕を振るうこともあり、いずれにも高いプライドを持つ。 非常識な打ち手にも「うむ」とだけ呟く寡黙な男。しばしば情が深い一面を覗かせている。
神森 由起子
神介の妻。夫が殺し屋の報酬を麻雀で失って帰るため、内職で生活するも貧困生活が続き、三人の子を栄養失調で失う。自らも病に倒れ、何度約束しても麻雀を辞められなかった神介を罵りながら死んだ。
神森 源太郎
神介の息子。父が殺し屋の報酬を麻雀で失って帰るため貧困生活が続き、学校に通えず医者に診られることもなく栄養失調からくる病気で「一度バナナというものを食ってみたかった」と言い残して死亡する。三人目の子だったが、先に死んだ二人の兄は「源次郎」と「源三郎」。
田中 (たなか)
神森に殺し屋の仕事を依頼していた政治家。報酬として神森に大金を渡すが、その後麻雀に誘って仲間の「児玉」や「大平」と組んだイカサマで大金を回収していた。後に総理大臣になったが、五年の修業で凄まじい腕を身に着けた神森に三人揃って敗れ、大金を渡して総理を辞任する。
フカシイモナマニエ
プロ野球球団東京ミネラルに助っ人外国人として雇われた大リーガーの強打者。麻雀を好み、球団内の規則を曲げさせて連日徹マンをしたがる。麻雀かセックスをしていれば練習をしなくてもホームランを打ち、東京ミネラルを優勝に導く。しかしチームメイトやオーナーが連日の徹マンで体調を崩すため、一年でトレードに出された。
大関 奈津子
『エラヅヨの殺し屋』「負けずの雀狼」に登場する女性雀士。父は関西一とも日本一とも言われる雀士だったが、大勝負で神森のイカサマを指摘するも証拠を暴けず、責任を取って自殺した。父の敵をとるため麻雀の腕を磨き、関東に名を広めるが、神森には及ばないことを悟る。しかし漫画家二人を雇った勝負で神森に負けを認めさせる。
葉原 アキ (はばらあき)
奈津子に雇われて神森と麻雀を打った漫画家。そそっかしく、ハデに鳴くが少牌になることがある。徹夜慣れしているため、神森が根を上げるような長丁場でも平気で麻雀を続けることができる。
山松 (やままつ)
奈津子に雇われて神森と麻雀を打った漫画家で、作者の山松ゆうきちがモデルと思われる。頭が大きい。どれだけ負けていても、逆転の可能性を信じて平然と大物手狙いの麻雀を続ける。徹夜慣れしているため、神森が根を上げるような長丁場でも平気で麻雀を続けることができる。
明松一族当主
明松一族の二十三代目当主を決める囲碁の勝負で勝ち、当主となった。名前は不明。頭はいいが虚弱な息子のため、二十四代目決定戦に麻雀を選ぶ。山で神森と出会い、彼が雀士と知って審判を依頼する。
明松 当
明松一族当主の息子。賢く素直な子だが体力がなく、全身の関節が外れやすい。次期当主を決定する麻雀では、事前に勉強していたため他二人より上手だが、驚くと全身の骨が外れるという弱みを見せた。神森の麻雀に魅せられ弟子入りを希望するが、断わられる。
明松 子朝
明松一族第二分家の子。気が高ぶりやすく、刃物を持つと顔色が変わる。刀傷で顔が縦に裂けており、普段はファスナーで繋いでいるが興奮すると開く。麻雀歴は一週間ほどで、異様に長考したがった。神森の居合に魅せられ弟子入りを希望するが、断わられる。
明松 下多
明松一族第一分家の子。根性のある頑張り屋で、考えにふける時は頭に石を乗せる。麻雀歴は一週間ほどで、手積にも苦労した。麻雀勝負では頭を使い続け、次々と乗せる石が大きくなっていった。神森が持つ金に魅せられ、弟子入りを希望するが断わられる。
集団・組織
東京ミネラル (とうきょうみねらる)
『エラヅヨの殺し屋』「赤鬼」に登場するプロ野球球団。ナマニエを助っ人外国人として雇った。その年、ナマニエの活躍で優勝するが彼の素行に業を煮やし、好成績にも関わらず「成績が悪い」といってトレード放出した。
明松一族
『エラヅヨの殺し屋』「平家の末裔たち」に登場する組織。九州に逃れた平家の落武者を起源とする、山奥に住む一族。三十年に一度、何らかの勝負事で当主と本家を決め、敗れた者の家は分家として本家に絶対服従を強いられる。二十四代目の当主決定戦には麻雀が選ばれた。