谷仮面

谷仮面

作者・柴田ヨクサルの連載デビュー作であり、一部のキャラクターは後の作品『エアマスター』『ハチワンダイバー』にも登場する。仮面をつけた高校生・谷は島リホコに恋をして悩ましい日々を送るが、その人間離れした強さが不良たちの目に留まり、不良校同士の抗争に巻き込まれていく。白泉社「ヤングアニマル」にて連載。

正式名称
谷仮面
ふりがな
たにかめん
作者
ジャンル
バトル
 
ラブコメ
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概要・あらすじ

鳥山高校の生徒で常に仮面をつけた男・は同級生の島リホコに恋をしており、彼女を思うあまり傍から見れば挙動不審な学校生活を送っていた。一方、その目立つ風貌から校内の不良に目をつけられた谷は、人間離れした力と頑丈さで不良たちを易々と撃退していく。その強さを鳥山高校伝説の不良・中岡に見込まれた谷は、島リホコとの仲を取り持つという約束を受け、中岡の野望である「不良校統一」の戦いに引き込まれていく。

登場人物・キャラクター

(たに)

鳥山高校に通う高校生男子。初登場時は一年生ですぐに二年に進級した。フルネームは不明。目にあたる部分にスリットが入っただけのシンプルな仮面を常時着用し、なぜかそのままでの学校生活を周囲から容認されている。普段は物静かで読書を趣味としているが、片思いの相手・島リホコのことになると冷静さを失い、奇行に走る癖がある。 素手でコンクリート壁を陥没させる力と、バットで殴打されても意に介さない頑強さを持っており、その目立つ容姿ゆえしばしば絡んでくる校内外の不良を、難なく撃退している。ケンカを売られる事は多いが好戦的でなく、椎名彩にセンスを評価されているが、格闘技の経験もないようで、戦闘では力任せの大雑把な打撃や投げを使う。そのため、スピードのある相手、カウンターを得意とする相手は苦手。 精神的状態が強さに大きく影響し、島リホコの声援を受けた時は百キロ以上の巨漢を片手で数十m投げ飛ばすなど、非常識な力を発揮する。その強さを中岡に注目され、不良校統一の野望に組み込まれた。仮面を着用したのは幼稚園の頃で、周囲の人間と接する事が楽しくなく、仮面で精神的に閉じこもり、落ち着く事を覚えて以来の習慣としていた。 新撰高校との抗争の中で島リホコと相思相愛であることを確認し、清河との戦いの最中に仮面が割れる。

島 リホコ (しま りほこ)

鳥山高校に通う高校生女子で、谷の同級生。バレーボール部員で、部の練習中に谷からひと目ぼれされる。当初は谷の奇行に困惑しがちだったが、次第に好感を抱き、相思相愛となった。ロングヘアの清楚な美少女だが、吊り気味の目を幼少期から「目つきが悪い」と言われてきた経験が、内向的で恥ずかしがり屋な性格の一因となっている。 受動的な性格を自分でも変えたいと思っており、突然大胆な行動に出ることもある。かなりの近視でコンタクトレンズを使用しており、まれにメガネを着用する。戦闘への志向は全くなくケンカを嫌っているが、バレーボールでの得意技「殺人アタック」の威力は並外れており、谷の仮面を割れる寸前まで破壊する。市民大会をスパイクだけで優勝、応用して己の手首を縛る革ベルトを自力で引きちぎる、といった成果を見せた。 後日談では谷と結婚し、一女を儲けている。

中岡 (なかおか)

不良たちの間では弱小校とされていた鳥山高校の中で、唯一強いと言われていた伝説の不良。本来なら卒業している年齢だが、留年のため三年生として在籍中。高い集中力で瞬間的かつ爆発的な力を発揮することができ、谷とも互角以上に渡り合う。この強さを連続で発揮できるのはおよそ20秒ほどで、それを過ぎるとほぼ行動不能に陥ってしまうが、攻撃や防御の瞬間だけ力を高めるスタイルなら5分ほどは戦える。 中学時代は久坂とのコンビで「不良校統一」の目標を立てていたが、清河に敗れて一時は諦めていた。谷の強さを認め、島リホコとの仲を取り持つ約束で引き込み、再び不良校統一に乗り出す。戦い方が派手で風貌が目立つ谷に「ダーティマスク」という異名を与え、鳥山高校のシンボルとするよう戦略を立てた。 谷には友情を感じながらも、新撰高校へ谷を攻め込ませるため、本間の島リホコ拉致を見逃すという非情さも備える。恋愛に関しては、面倒という理由で興味を抱いていなかったが、皆口美紀に好意を寄せられているうちに彼女への好意が芽生え、やがて相思相愛となった。

皆口 美紀 (みなぐち みき)

双子の姉の皆口由紀と共に鳥山高校へ転校してきた、ショートカットの女生徒。幼少期から空手を嗜んでおり、強い相手と戦うことを求めていた。好戦的で、腕試しにいきなり不良生徒を蹴り倒したり、無関係なケンカに介入することが多い。恋愛には興味を持たなかったが、中岡と出会ってから恋心を自覚し、近づこうとする。しかし恋愛には奥手なため挙動不審になり、当初は中岡に迷惑がられることも多かった。 自分より強い由紀に憧れ、常に一緒に行動したがっていたが、椎名彩と対決を経て仲良くなり二人で行動することが多くなる。

皆口 由紀 (みなぐち ゆき)

双子の妹の皆口美紀と共に鳥山高校へ転校してきた、黒いロングヘアをリボンで結わえた女生徒。性格は穏やかで戦いを嫌い、美紀とはファッションや恋愛の話をしたいと常々願っている。しかし格闘技の才能は美紀以上で、一年遅れで始めた空手でたちまち美紀を追い越すも、気を遣って合気道に転向した。普段は自分や美紀など身を守る時に合気道の技を振るうが、本気で戦う時はリボンを解き、打撃技も使用する。 美紀の中岡への恋に気づいて応援するほか、島リホコの恋愛相談にも乗り、谷との仲を後押しする。同じ作者の『エアマスター』『ハチワンダイバー』にも登場。

久坂 (くさか)

鳥山高校でアマレス部に所属する高校三年生男子。中学時代は中岡の弟分で、二人で近隣の不良たちと渡り合っていた。中岡が鳥山高校を離れている間にアマレスに打ち込み、全国レベルの選手に成長していた。中岡から不良校統一への協力を持ちかけられるが、アマレスの大会が終わるまでの猶予と、団体戦に選手を貸すことを条件にする。 中岡から借りた谷や田島らの奮闘で地区大会の団体戦に優勝し、個人でも全国大会の決勝戦まで進む。試合を見た笠原静菜に目をつけられシズナマンのコスプレを強要され迷惑するが、そのコスチュームが実戦でも使えることに感心し、徐々に静菜を気に入っていく。

椎名 彩 (しいな あや)

中岡の異父兄妹を名乗る少女。母から格闘技を習っており、中岡と同様、集中力で瞬間的に力を高めることができる。腕を交差させた構えから肘打ちなどの連続攻撃が得意。才能を持ちながら我流の戦いぶりで窮地に陥った兄へ厳しい言葉を投げかけ、その場に居合わせた皆口美紀と仲良くなろうとした。通う学校や学年は不明だが、中岡や美紀から中学生と呼ばれ、否定はしていない。

田島 (たじま)

第一話から谷を敵視していた、鳥山高校の男子生徒。よく三人の取り巻きを連れ歩いている。当初はすぐ谷に倒されていたが、自宅に小さなジムを作りボクシングを特訓する。ボクシングに打ち込みすぎて一時は谷への敵対心を無くしていたが、島リホコに恋をしてしまい、再び谷をライバル視する。ボクシングを始めてからはスピード重視の戦闘スタイルをとり、谷や中岡のレベルには及ばないが普通の不良生徒たちなら簡単に倒す実力を身につけている。 久坂への助っ人で出たアマレスの試合でも、スピードを生かした奇襲やボクシング技術の応用で勝ち星を得て、団体戦優勝に貢献した。

村田 (むらた)

鳥山高校に通う、谷と同級の男子生徒。リーゼントが目立つ不良で、二年生のとき同学年の不良たちのトップに立ったが、谷には歯が立たないでいた。それでも普通の不良生徒たちなら簡単に倒す実力がある。同校の伝説的不良である中岡を尊敬しており、中岡の要請で久坂のアマレス部に助っ人として参加。アマレスの技術は拙いが、根性で団体戦優勝に貢献した。

マスダ 淳 (ますだ じゅん)

鳥山高校に通う、谷と同級の虚弱な男子生徒。谷と友達になりたいと願っており、多少打ち解けてからはバイトに誘う程度には仲良くなる。しばしば谷によって迷惑を被るが、結果的に谷が級友たちから人気を得たり、島リホコとの距離が縮まったりすると我が事のように喜ぶ。

笠原 静菜 (かさはら しずな)

鳥山高校の漫画研究会に所属する女生徒。自分が理想のヒーローとしてデザインした「シズナマン」のコスチュームを、体型がぴったりな久坂に強引に着用させる。小学生のような小柄な体型で性格も幼く、自らもシズナマンの相棒「キューティーシズナ」として戦闘の場にもしゃしゃり出る。しかしシズナマンのコスチュームに投入した技術力は高く、攻防共に戦闘で有用な機能も搭載、バージョンアップも度々行っている。 当初は久坂から迷惑がられていたが、次第に相思相愛に発展していく。同じ作者の『エアマスター』にも登場しており、そこでは久坂姓になっていた事から、後に久坂と結婚したと思われる。

千葉 (ちば)

ツギハギだらけの学ランにゲタ履き、葉っぱを咥えるといった古風な番長スタイルの男。29歳。十年以上も不良を続けており、用心棒として生活している。中岡の不良校統一を警戒する学校の生徒に雇われ、谷を倒すべく鳥山高校へ乗り込む。だが鳥山高校で島リホコにひと目ぼれしてしまい、谷とは恋敵となる。谷と互角に戦えるほど強く、武器の木刀は谷の力をもってしても折ることができない。 鳥山高校での戦いは島リホコの介入で中断されたが、その後も島リホコの事は諦めず谷と決着をつけようとする。当人同士は覚えていないが、実は11年前、6歳だった島リホコと出会っており、当時の宿敵を破る必殺技のヒントを彼女から受けるという因縁があった。

清河 (きよかわ)

新撰高校を支配する男。かつて、久坂と共に不良校統一に乗り出した中岡の前に現れて二人を倒し、不良校統一を勝手に引き継いだ。その後は組織作りに力を注いでおり、新撰高校で多数の部下を従えている。手から衝撃波のような攻撃を飛ばし、体を宙に浮かせるなど、超能力を持っていると思しき描写はあるが、その正体は不明。自分を、将来多くの人間の上に立つ人物と確信している。 中岡を自分に近い力を持つ人物と認めており、彼を倒すことで不良校統一を完成させようと、新撰高校へ呼び寄せた。しかし、人質として島リホコを拉致したことで谷を呼び込んでしまい、島リホコとの愛の力を得た谷に敗れる。

板垣 (いたがき)

巨大な怪獣の着ぐるみを常時着用しているコスプレイヤー。不良たちに雇われ、街中で谷や島リホコを襲った。着ぐるみが分厚いためか打撃には非常に強く、千葉の木刀も効かない。鳥山高校で村田を倒したが、谷・中岡・シズナマンの連係攻撃に敗れる。コミケにも参加しているが、素行が悪い悪質コスプレイヤーとして知られており、居合わせたシズナマンに関節技で倒された。 後にパワーアップして新撰高校に雇われ谷たちを迎え撃ったが、島リホコを救うため気を昂ぶらせた谷のパンチ一発で倒され、その体を他の戦闘員を蹴散らす武器として使われた。

集団・組織

鳥山高校 (とりやまこうこう)

『谷仮面』の主な舞台となる、架空の高等高校。男女共学。不良がかった学生はいるものの大半は真面目そうな生徒で、周辺にある他校の不良たちからは弱い学校と見られていた。しかしそれも谷や田島、村田らの強さがあまり知られていなかった頃の評価で、伝説的不良である中岡の存在だけは恐れられていた。中岡の不良校統一によって、周辺の学校の不良たちを制圧する。

新撰高校 (しんせんこうこう)

鳥山高校と同じ地区にあると思われる、架空の高等学校。鳥山高校が周辺近隣の高校を制圧した時、その範囲を覆うかのように外側のエリアを支配していた。清河が番長として君臨しており、忍者や特殊部隊のような出で立ちの戦闘員多数と、何らかの格闘技を身につけたと思しき幹部らが、強力な武力をもって谷ら鳥山高校勢に襲い掛かった。

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