踏んだり、蹴ったり、愛したり

本作は他人を寄せ付けないバリキャリOLと、イケメンながら付き合ったら危険な要素満載のクズ男の恋愛を描いている。ひょんなことから体の関係を持った二人が、表向きは友達以上恋人未満の関係のままでストーリーが展開される。一線を越えたことで距離感が一気に縮まり、お互いに恋愛対象として意識するようになるが、なかなか素直になれずにもどかしい関係が描かれる。

クズ男の五百森泰は30歳に見えないほど若々しい顔立ちで、物腰も柔らかく誠実そうな雰囲気を醸し出している。しかし、実際は酒とタバコをこよなく愛し、さらに女性にだらしないクズ男。一方、久栖佳帆は凛とした知的な雰囲気を漂わせたバリキャリOLで、弱い部分を決して人に見せようとはしない。そんな二人の出会いはとある繁華街にあるバーで、常連の二人はここで意気投合していっしょに酒を飲むようになる。佳帆は毎週金曜日に泰とバーで顔を合わせ、友達にも見せたことのない本心を打ち明け、軽口を叩き合うのが習慣になっていた。あくまで気の合う友達関係だった二人が、ある日酔った勢いで体の関係を持ったことをきっかけに、お互いが特別な存在へと変わっていく。

ふだんの佳帆は仕事に真摯に向き合い、恋愛とは無縁の人生を送っていた。しかし、実際には佳帆に思いを寄せる男性もおり、佳帆の同僚でエリートの加瀬は、これまで仕事を優先する彼女の邪魔をしたくない思いから、遠慮して感情を抑えていた。そんな中、佳帆が泰といっしょにいる場面を目撃し、誰にも奪われたくないという気持ちが高まり、彼女にアプローチを開始する。加瀬は穏やかな性格の誠実な男性で、クズ男の泰とは正反対の人物。佳帆は自分に一途な思いを寄せてくれる加瀬を選んだ方が、みんなから祝福されて幸せになれると考えつつも、泰と離れられないでいた。