蹴撃手マモル

蹴撃手マモル

『キン肉マン』を世に送り出したゆでたまごが放つ、ムエタイに魅せられた天才ジャンパーの少年蹴田マモルが、数々の試練を乗り越えつつ、ムエタイの真髄へと迫る姿を描く格闘アクション漫画。「週刊少年ジャンプ」平成2年33号から平成3年13号にかけて連載された。巻末には前身となる読切りの短編『Kick Boxer マモル』が収録されている。こちらは「週刊少年ジャンプ」平成2年12号に掲載。

正式名称
蹴撃手マモル
ふりがな
きっくぼくさーまもる
作者
ジャンル
バトル
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概要・あらすじ

タイで行われた陸上競技大会に参加した走り高跳びの天才・蹴田マモルは、並外れたジャンプ力で他の選手を圧倒する。決勝大会までの息抜きにバンコク市内を観光していたマモル一行が見たのは、道場から脱走したムエタイの選手に制裁を加えるムエタイのチャンピオン、キング・パイソンの姿だった。パイソンが放ったムエタイの妙技に魅せられ、大会に身が入らなくなってしまったマモルは、一計を案じた現地ガイドのプーアンとともにバンコク市内を観光する。

プーアンの計らいで一時はムエタイのことを忘れかけたマモルだったが、ひょんなことからムエタイの試合が行われるスタジアムを発見し、我慢できずに中へ入り込んでしまう。そこでマモルが見たのは、大観衆の声援を受けてリングに立つチャンピオンのパイソンと、3年前に最強の格闘家を目指して放浪の旅に出たマモルの兄、蹴田イサオの姿だった。

パイソンの持つ圧倒的な力に叩きのめされ、半ば勝負が決しているにも関わらず痛めつけられるイサオを見て激昂したマモルはリングへと乱入。走り高跳びで鍛えた健脚を駆使した蹴り技をパイソンへと見舞うのだった。

登場人物・キャラクター

蹴田 マモル (しゅうた まもる)

走り高跳びに情熱を燃やす、抜群の運動神経と驚異的なジャンプ力を持った男子中学生。3歳の頃からはじめた走り高跳びの実力は中学生世界一を誇り、ジュニアのレベルを超越したその才能から、100年に1人の逸材とも称されている天才ジャンパー。キックボクシングのアマチュアチャンピオンであった兄の蹴田イサオからは「俺を遥かに上回る才能を持っている」として、格闘技の習得を勧められていたが、生来の優しい性格からこれを断り、走り高跳び一本に集中していた。 タイで開催された陸上競技大会に出場した際、ムエタイのチャンピオンであるキング・パイソンとイサオの戦いに乱入したことで、パイソン率いるムエタイ戦士の組織「ニシキ蛇会」と対立。イサオに刻まれた九十日殺し蛇刻印を解くため、3か月という短期間でムエタイを会得することを約束し、ニシキ蛇会のムエタイ戦士と戦うことになった。 その後、ムエタイと似た格闘技バツヤリの達人であるゼペット・チャンガーの元で過酷な修行の日々を送ることになり、己の中に眠っていた格闘家としての優れた才能を徐々に開花させていく。明るく元気なうえ、思いやりのある性格だが、やや調子に乗りやすいところと、格闘家としては優しすぎるのが弱点。 得意技はジャンプ力を活かした「ベリーロールソバット」。

キング・パイソン (きんぐぱいそん)

若くしてチャンピオンとなった、ムエタイの戦士にしてタイの英雄である男性。相手を徐々に痛めつけ、動きが鈍ったところで一気にトドメを刺すファイティングスタイルを野生のニシキヘビになぞらえ、キング・パイソンというリングネームで呼ばれている。強靭な肉体と高い技術を持つ天才格闘家で、蹴田マモルの兄である格闘家蹴田イサオの挑戦も軽く一蹴していた。 自らが興したムエタイ戦士の組織「ニシキ蛇会」の総帥を務め、道場で後進を育成しているが、練習のあまりの過酷さゆえに脱走者が出ることもしばしば。脱走者に対してはパイソンがじきじきに制裁を加えていた。冷徹かつ誇り高い性格で、イサオとの試合中、素人にも関わらずリングにあがったマモルに激怒。 「ニシキ蛇会」への対立の意思を明確にしたマモルの逃亡を阻止するため、3か月後に死をもたらす九十日殺し蛇刻印をイサオに施していた。

ゼペット・チャンガー (ぜぺっとちゃんがー)

ストープ山に住んでいる男性。一見するとごく普通の小柄な老人だが、実はムエタイの兄弟格闘技であるバツヤリの達人で、その身のこなしは人間とは思えないほど素早い。空中に投げた皿を渡って椰子の木のてっぺんに登ったり、椰子の実に一瞬で複数の穴を穿つ蹴りを放つなど、超人的な能力を備えている。かつては数々の優秀な格闘家を輩出していたバツヤリ道場の優秀な師範だったが、人を叩き潰すための道具に成り下がったムエタイの現状を憂い、バツヤリの格闘術を封印。 当初は弟子入りを志願する蹴田マモルを歯牙にもかけていなかった。しかし、兄を救おうとするマモルの命を賭した情熱に心を打たれ、マモルを弟子として認めたあとは、自らが持つバツヤリの技術を惜しみなく授けていく。

タノン

ゼペット・チャンガーの身の回りを世話をしている使用人の少年。ゼペットを導師と呼んでおり、空いた時間にバツヤリの稽古もつけてもらっていたため、10歳にして格闘家としてかなりの実力を備えている。ゼペットに弟子入りした蹴田マモルのことをライバル視し、スパーリングで打ちのめして追い出そうとしたが敗北。以後はマモルを慕い、良きパートナーとしてともに修行を積むようになった。 礼儀正しいうえに、よく気がつくできた性格。

蹴田 イサオ (しゅうた いさお)

蹴田マモルの兄。キックボクシングの日本アマチュアチャンピオンだったが、世界最強格闘技であるムエタイの魅力に心を奪われ、あらゆる格闘技を習得するために、3年前に放浪の旅へと出てしまった。ムエタイ戦士となってキング・パイソンに挑むもまったく歯が立たず、3か月で死に至る九十日殺し蛇刻印をその体に刻まれてしまう。 格闘家としてのマモルの才能を早い段階で見抜いていた。

ヒガンテ

ストープ山の麓にあるムエタイ道場、エレファント会に所属するムエタイの戦士。蹴田マモルが見上げるほどの大男で、手足も非常に長い。麓に使いに来ていたマモルと手合わせすることになり、巨体を活かして完勝するも、それ以降何度も挑戦状を送ってくるマモルのガッツに対し、呆れつつも感銘を受けていた。バナナが大好物で、食事を邪魔されることを何より嫌う。 実在したプロレスラー、エル・ヒガンテがモデル。

スコルピオン

「ニシキ蛇会」に所属するサソリの頭飾りを付けたムエタイ戦士。柔軟な体を活かしたキックを得意としており、対戦相手を曲げた片ヒザで左右から延々と蹴り続ける「ティムティム人形の舞い」を必殺技として使う。流血を見るとより燃える性質。

マンティス・ボーイ (まんてぃすぼーい)

「ニシキ蛇会」に所属するカマキリの頭飾りを付けたムエタイ戦士。「ゴム人間」の異名を持ち、直立したままグニャリと体を曲げて攻撃を避けたり、体に突き刺さったビール瓶を弾き返す能力を持つ。以前は高い実力を誇ったクリーンなファイターだったが、不正を続ける対戦相手に負け続けたことで何でもありの残虐ファイターへと転進。兄弟を食べさせるためにニシキ蛇会へと入門した。

バカンボ

ゼペット・チャンガーの友人で、ムエタイ戦士が足に巻く包帯「ラァン・ティン」を扱う名人。試合に臨む選手の足に包帯を巻きながら心理状態を一瞬にして把握し、選手の恐怖心を取り除いて、リラックスさせる天才。ゼペットからは「心のドクター」と呼ばれている。

プーアン

陸上競技大会に出場するためにタイを訪問した蹴田マモルをはじめとする日本選手団の観光ガイドを務めていた女性。面倒見が良い性格で、ムエタイに心を奪われかけていたマモルとバンコク市内で共に遊び、ムエタイのことを忘れさせようとしていた。

その他キーワード

バツヤリ

ムエタイの兄弟格闘技。500年前にタイの国王であったナレスワンが生み出した体術を護身術として大きく発展させたもの。ゼペット・チャンガーいわく、人気ではムエタイに大きく劣るが、格闘技としての強さは五分とのこと。

ムエタイ

地上最強と謳われるタイの格闘技。500年前のタイの国王ナレスワンが生み出した体術を、ルールあるリング上のスポーツとして発展させたもの。キング・パイソンを筆頭とする格闘家たちが扱い、作中では最強の格闘技とされている。ボクシングに蹴りを追加したようなスタイルで、防具は用いず、グローブも素手同様の薄手のものを採用した実戦的な格闘技となっている。

九十日殺し蛇刻印 (きゅうじゅうにちごろしへびこくいん)

キング・パイソンが使う必殺技で、人間の足の骨を折り取って、その骨片を体内で自由に動かす秘術。骨片のある場所の皮膚には蛇の刻印が現れ、たっぷり90日をかけて骨片が心臓まで到達するようになっている。

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