転生したら剣でした

転生したら剣でした

棚架ユウの小説『転生したら剣でした』のコミカライズ作品。異世界に剣の姿で転生してしまった男は、奴隷の少女、フランに助けられ、彼女の剣として生きることを決める。奴隷少女の剣となった男が、異世界を生き抜くために冒険する姿を描く冒険活劇。コミックスには棚架ユウ書き下ろしの小説も収録されている。「デンシバーズ」で2016年12月から2018年12月まで配信されたあと、「comicブースト」で2019年1月から配信の作品。

正式名称
転生したら剣でした
ふりがな
てんせいしたらけんでした
原作者
棚架 ユウ
作画
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

剣でした

その黒猫族の少女は「名無し」の奴隷だった。両親と死別して奴隷商人に捕まった少女は、名と自由を奪われ、逃げ出すこともできずに虐げられる日々を送っていた。ある日、奴隷商人たちは取り締まりを逃れ、危険な枯渇の森を通過する。しかし巨大な熊の魔獣「ツインヘッド・ベア」に襲われ、奴隷商人たちは危機に陥る。彼らが選択したのは奴隷たちを囮(おとり)にして逃げ出すことで、少女はほかの奴隷と共に凶暴な魔獣の前に強制的に身をさらすこととなる。奴隷たちが次々と死んでいく中、少女は偶然にも森の中に放置されていた不思議な剣を手にする。剣は意思を持ち、剣の声に従うことで少女は大きな力を手に入れ、魔獣を倒すことに成功する。魔獣が倒されたことで、奴隷商人は奴隷から剣を奪おうとするも、怒った剣は逆に奴隷商人を殺し、同時に彼が持っていた契約書を破ったことで少女を奴隷の身分から解放する。そして名無しの少女と剣はそれぞれ「フラン」と「師匠」と新たな名を付け合い、共に旅することを決める。師匠は実は前世日本人で、異世界に剣として転生するも、調子に乗って戦っていたら身動きできない状態となっていたのだ。フランに助けられた師匠は、強くなって種族を復興したいという彼女の夢を手伝う決心をする。そして二人はアレッサの街へたどり着き、旅の資金を稼ぐため冒険者となることを決める。幼すぎるフランは冒険者ギルドから難色を示されるが、フランは実力を見せつけみごと試験に合格し、冒険者としての一歩を歩み出すのだった。

ゴブリン迷宮攻略戦

フランは防具も新調し、駆け出し冒険者として働くようになる。しかし実力はあるものの冒険者としては最下位のフランは、雑用のような仕事を地道にやっていた。今日も森で薬草の採取をやっていたフランだったが、そんな中、冒険者がゴブリンと戦っているのに遭遇する。ゴブリンに苦戦する冒険者を助けたフランだが、フランは倒したゴブリンの特異性から、そこでゴブリンが大量繁殖しているのではないかという話を聞く。ゴブリンは魔獣としては最下位ながら、時おり生まれる上位種「ゴブリンキング」が率いるとたちまち群れは脅威度を増す。そして王のもとで数を増やしたゴブリンは、周囲の街に襲い回る「スタンピード」を引き起こしてしまうため、一刻も早くこの情報を冒険者ギルドに報告しなければならなくなる。しかし、フランたちはすでに新たなゴブリンに目を付けられ、フランは冒険者たちを逃がすため、単独でゴブリンの群れに襲い掛かる。100を越えるゴブリンを倒し、巣を見つけたフランは一度帰還。ゴブリンキングが住まう「ゴブリン迷宮」が存在することを知った冒険者ギルドは、フランを特例で昇級させ、彼女を含めた冒険者たちで迷宮の攻略を決める。強い冒険者が出払っているため、ゴブリンの大群に苦戦するアレッサの冒険者たちであったが、フランが素早く駆け回り、ゴブリンキングを打ち倒すことに成功する。だがゴブリン迷宮はゴブリンキングを倒してもなお奥に続いており、フランはその奥でさらなる強敵、スキルテイカーの悪魔と遭遇する。

虚言の理

スキルテイカーの悪魔は、ゴブリン迷宮の迷宮管理者、レアゴブリンが偶然、召喚に成功したものだった。フランにとっては圧倒的な格上で、何度もピンチに陥る。また、悪魔は「スキルテイカー」と呼ばれるスキルを奪うスキルを持っており、フランは悪魔にスキルを奪われそうになるも、師匠の持つ力が偶然かみ合い、運よくその力を防ぐことに成功する。そして悪魔は圧倒的な力を持つも、迷宮とは一心同体の関係で、レアゴブリンを打ち倒せば消え去ることに師匠は気づき、師匠は捨て身の攻撃で悪魔を打ち倒すことに成功するのだった。師匠は悪魔の魔石を吸収することでスキルテイカーの能力を獲得。フランたちは無事に迷宮攻略を成し遂げ、アレッサの街へ凱旋(がいせん)し、冒険者ランクもDへと昇格する。しかし貴族のオーギュスト・アルサンドは、フランが上級悪魔の魔石を手に入れたことを聞きつけ、フランから取り上げようと難癖をつけ始める。通常であれは一笑に付す難癖も、オーギュストはユニークスキル「虚言の理」を悪用して、周囲に信じ込ませようとしていた。フランと師匠はオーギュストの態度に激怒し、スキルテイカーを使って彼から虚言の理を奪い、難を逃れることに成功する。しかし後日、それを逆恨みしたオーギュストは復讐のため、フランに襲い掛かる。大量の資金を使って黒猫族に因縁のある青猫族のギュランを雇うも、それがかえってフランの覚悟を決めさせる結果となり、彼らは手ひどい返り討ちに遭う。

蜘蛛の巣

フランは順調に冒険者として成長しているものの、幼さ故に、その実力を疑問視するものは未だに多かった。あらぬ悪評すら立ち始めたため、ギルドマスターのクリムトはフランの実力を証明するため、特別な依頼を彼女にお願いする。そして依頼を受諾したフランは、アレッサ近郊の「蜘蛛の巣」と呼ばれる迷宮の調査に赴くこととなるが、そこで不在だったランクA冒険者のアマンダが帰還。フランを一目見て気に入ったアマンダは、強引に彼女の依頼に同行することを決める。蜘蛛の巣は冒険者ギルドの管理下にある特別な迷宮で、冒険者の昇級試験の場にもなっていた。昇級を間近に控えたフリーオンクラッドたち冒険者と共に、フランは蜘蛛の巣の調査を始める。蜘蛛の巣はすでに冒険者ギルドの管理下にあるため、攻略する必要はなく、異変がないか見て回るだけだったが、蜘蛛の巣には本来存在しえない、進化した魔獣が紛れ込んでいた。フランは上位種の登場に混乱した冒険者たちに巻き込まれ、迷宮の転移のワナに引っ掛かり行方不明となってしまう。さらに転移のワナには、武器を手放し本人のみ転移させる効果があったため、師匠はフランと離れ離れとなってしまう。ただならぬ状況に、アマンダは上位種からさらに進化した最上位種がいることを確信し、フランたちを助けるため手分けして彼女たちの捜査に向かう。

行ってらっしゃい

フラン師匠と離れ離れとなり、最上位種であるトリックスター・スパイダーと対峙することとなる。師匠の力を失い、フランはほとんど無抵抗な状態となるも、絶望から奮起して全身全霊を賭して戦い抜く。一方、フランを見失って錯乱した師匠は、探索に使える眷属(けんぞく)の召喚を試みる。しかし焦った師匠は眷属召喚に失敗して、召喚したオニキスウルフを暴走させてしまう。アマンダにその行いがバレるも、師匠はアマンダに事情を説明し、アマンダから助言をもらうことで召喚したオニキスウルフに「ウルシ」の名づけを行い、制御に成功する。そして師匠とアマンダはウルシの力を利用することでフランの居場所を探り当て、彼女と合流することに成功するが、不利を悟ったトリックスター・スパイダーを取り逃してしまう。そして、はぐれた仲間との合流を目指すフランたちは、そこでフリーオンの精霊と出会い、精霊の案内でフリーオンたちを見つける。フリーオンとクラッドたちはトリックスター・スパイダーに襲われ危機に陥っていたが、アマンダの一撃でトリックスター・スパイダーは吹き飛ばされ消滅。フランたちは依頼を完了し、街へと帰還するのだった。そしてフランはさらなる成長のため新たな街、ウルムットを目指すことを決意し、親しくなった者たちに別れを告げ、アレッサの街を発(た)つのだった。一方、クリムトは実はひそかにフリーオンに陰から調査することを依頼しており、蜘蛛の巣の異変には他国の思惑が絡んでいると推測する。フランのことも怪しんでいたが、調査の結果、彼女は潔白と判断し、クリムトはフランの旅立ちに寂寥(せきりょう)感を抱きつつ見送る。

空を征く

アレッサの街を旅立ったフランは、気ままな道中を楽しんでいた。フランと師匠はふと空を見上げると、空に浮かぶ島「浮遊島」を発見する。好奇心を刺激されたフランと師匠は、習得したスキルを応用して空を飛び、浮遊島を目指そうとする。浮遊島の目前までせまるフランたちであったが、浮遊島の守護者「英傑級骸骨暗黒騎士」に阻まれ、フランたちは墜落。フランが落下速度を殺し、偶然下にあった民家をクッションにすることで、フランたちは辛うじて助かることに成功する。しかし、その家はランクB冒険者であるジャン・ドゥービーの薬草園で、フランたちはジャンが育てていた高価な薬草を大量にダメにしてしまう。フランはジャンに不埒者(ふらちもの)として成敗されそうになるも、交渉を開始。ジャンは浮遊島の攻略を目指しており、フランは薬草の弁償のため、ジャンの浮遊島攻略を手伝うこととなる。不審者であるが、悪人ではなく、確かな実力を持つジャンは、師匠の存在にも気づき、彼らと交友を育む。そしてフランとジャンは力を合わせることで、浮遊島の守りを突破し、内部の迷宮へと侵入を果たすことに成功する。ジャンは浮遊島への侵入は2度目で、かつて侵入した際に戦った「死霊喰(く)らい」と呼ばれる強力な魔獣を捕獲して支配することを目的にしていた。そのため一行は迷宮を探索し、死霊喰らいを探し回る。迷宮の探索はフランの糧にもなり、道中、師匠は多くの新たな力を手に入れ、確かな成長を果たす。そして順調に探索を進める一行はついに死霊喰らいと遭遇する。

死霊の王

フランたちは死霊喰らいと遭遇するも、死霊喰らいは様子がおかしく、いきなりジャン・ドゥービーに懐き始める。実は前回、ジャンが死霊喰らいと遭遇時、彼の身代わりとなって死霊喰らいに喰(く)われた死霊魔獣のステファンが、死霊喰らいと融合し、逆に乗っ取っていたのだ。フランたちはステファンを新たな仲間に加え、迷宮探索を再開する。そしてフランたちは破竹の勢いで攻略を進め、迷宮深部に到達。ステファンはジャンの命令で別行動し、フランたちは英傑級骸骨暗黒騎士をはじめとした強力な迷宮の守護者たちと戦う。フランは今までにない強敵に苦戦しつつも、己の殻を打ち破り、新たな力を習得することで勝利を得る。強敵との戦いを終え一息つく一行であったが、そこに迷宮管理者の声が響き、フランたちは消耗した状態で迷宮の主、リッチとの戦いを強いられる。リッチは圧倒的な力を持ち、フランたちは逃げることすらできない絶望的な状況に陥る。ジャンが切り札を使うことで辛うじて耐え忍ぶが、リッチにはフランの攻撃が効かず、次第にフランたちは劣勢となっていく。もはや勝ち目がないと思われたフランたちであったが、そこでステファンがリッチの力の源となっていた「怨念炉」を破壊。リッチは大きく弱体化するのだった。

ハローグッバイ

ジャン・ドゥービーは、かつて浮遊島に来た際に「名無しの奴隷」の日記を回収していた。日記から浮遊島では非道な人体実験が行われており、名無しの奴隷は実験で死に瀕(ひん)した際、虚空に現れた迷宮核に手を伸ばし、迷宮管理者となっていたのだ。実験の内容を推測したジャンは、あらかじめステファンに怨念炉の破壊を指示し、逆転へとつなげた。そして怨念炉の破壊によってリッチの言動が不安定となり、そこでフランは彼が自分と同じ「名無しの奴隷」であったことに気づく。リッチを自分と重ね合わせて見たフランはなんとか彼を助けようとするも、もはや、心まで化け物と化したリッチはフランの手を振り払う。そしてリッチは怨念炉の破壊によって噴き出した怨念を吸収し始める。新たな攻撃かとフランたちは警戒するが、実は怨念は生者にとって猛毒そのもので、リッチは最後の力を振り絞ってフランたちを守るため、怨念をその身に吸収し、彼らが逃げる時間を稼いでいた。化け物として死ぬことを選んだリッチの意思を尊重し、逃げ始めるフランたちであったが、リッチが吸収してもなお怨念は周囲をうず巻き、フランたちを蝕んでいく。八方ふさがりと思われたが、師匠が英傑級骸骨暗黒騎士から吸収した「潜在能力解放」を使用したことで、師匠の秘められた力が解放される。師匠の中で眠っていたアナウンスさんは潜在能力解放の力で一時的に活性化し、彼らを窮地から救うが、その代償としてその機能を停止してしまう。そして無事に脱出した師匠は、そこでステファンから「名無しの奴隷」の真実を聞き、ステファンの最期を看取(みと)るのだった。冒険のあと、休息を終えたフランは、ジャンとの別れを惜しみつつ、再びウルムットを目指し始める。

フランと双子

フランはウルムットを目指すため、港町、ダーズを訪れたものの、ダーズは南の大都市で行わる「月宴祭」に向かう人がいっぱいで船も宿も取れない状況だった。思わぬトラブルに意気消沈するフランであったが、そこでフランは青猫族に絡まれ、この街にも奴隷商人がいることに気づく。種族復興を目指すフランにとって、黒猫族を奴隷にする奴隷商人は不倶戴天(ふぐたいてん)の敵で、青猫族を返り討ちにしたフランはそのまま奴隷商人を壊滅させる。フランは捕まっていた奴隷たちを解放していくも、その中にはフィリアース王国の王族であるフルト・フィリアースサティア・フィリアースがいた。偶然、お忍びで過ごしていたところ、奴隷商人に捕まった双子の王族は、自分たちを助けてくれたフランに深く感謝し、彼女を館に招いて歓待する。双子の護衛役のサルート・オーランディはフランに好意的であるものの、侍従のセリド・ディニアスはフランを怪しみ、辛らつな態度でフランに接する。そしてフランは館に滞在中、またしても双子を狙う暗殺者を捕える。双子はフランに深く感謝すると共に、彼女に自分たちの護衛を引き受けて欲しいとお願いする。双子たちは船に乗り、次の港町、バルボラに向かうつもりだったため、フランは渡りに船と護衛依頼を引き受ける。海での旅路も波瀾(はらん)万丈で、フランは巨大魔獣、ミドガルズオルムや海賊たちと次々戦い、これらを退けていく。しかし度重なる襲撃で船は損傷。一行は船の修理のためシードラン海国にある海賊のアジトに立ち寄るも、そこにシードラン海軍が現れるのだった。

関連作品

小説

本作『転生したら剣でした』は、棚架ユウの小説『転生したら剣でした』を原作としている。原作小説版はマイクロマガジン社GCノベルズより刊行され、イラストはるろおが担当している。小説版も本作と同じで、剣の姿で異世界に転生した師匠が、奴隷の少女、フランと出会い、旅を始める物語となっている。

登場人物・キャラクター

フラン

黒猫族の少女。年齢は12歳で、黒髪をショートカットにし、猫耳と尻尾が生えている。不遇な自らの種族を救うため、進化の手がかりを求めて両親と旅していたが、志半ばで両親は死亡。その後、自らも奴隷商人に捕まり、名前を取り上げられて「名無し」の奴隷となる。半ば違法に近い奴隷だったようで、奴隷商人が取り締まりを逃れるため、危険な枯渇の森を通っていた際に凶暴な魔獣「ツインヘッド・ベア」と遭遇。奴隷商人に捨て駒にされるが、そこで偶然、師匠と出会い、彼の所有者となることで大きな力を手にする。その後、奴隷商人に師匠を取り上げられそうになるも、暴力を振るった奴隷商人に師匠が激情し、反撃によって死亡。その際に契約書が破棄されたことで奴隷から解放される。奴隷から解放されたあとは、「フラン」と名乗り、再び種族復興を夢見て旅を始める。過酷な身の上なため、かなりシビアな性格をしており、警戒心が強いのもあって口数も少ない。ただおいしいものには目がなく、好物を前にすると年相応の子供っぽい様子を見せる。師匠が作ったパンケーキとカレーが大好物で、特にカレーは次元収納で出来立てを収納し、つねに持ち歩くほど気に入っている。師匠を持つことで「スキル共有」をして、師匠の持つ莫大(ばくだい)なスキルを使うことができる。剣も魔術も自在にあやつることができるため、冒険者になったあとは、それらに補正が入る「魔剣士」の職業に就いている。ただ師匠の力を借りるだけではなく、師匠を振るうに相応(ふさわ)しい存在になりたいと、つねに努力を続けている。そのため、師匠の思いもよらないスキルの使い方を独自に考え出したり、鋭い身のこなしをしたりなど、戦闘に関してはずば抜けたセンスを見せている。ガルスの好意で、格安で白いドレスアーマーを譲ってもらい、当初はそれを使っていたが、のちにフランがガルスに提供した素材でさらに強力な「黒猫装束」シリーズと呼ばれる強力な防具を作ってもらい、以降、黒い軽装の鎧(よろい)姿となる。

師匠 (ししょう)

「知性を持つ武器(インテリジェンス・ウェポン)」に転生した日本人の中年男性。前世はラノベ読書やゲームプレイを趣味とするオタクで、よそ見運転していた車にはねられ死亡し、気づいたら剣となって異世界に転生する。鍔(つば)の部分に狼のレリーフが飾られた剣で、魔狼の平原の真ん中にある平原に放置されていたが、「念動」の力で自分で動けることに気づき、周囲の魔獣を倒して回る。魔獣の持つ魔石を刀身で斬って、吸収することでその魔獣の持つスキルを吸収することができる。また、魔石を吸収すると「魔石値」と呼ばれるものが溜まり、これを溜めることで「自己進化(ランクアップ)」が可能。自己進化すると「自己進化ポイント」を獲得することができ、これを消費することでも任意のスキルを習得することができる。戦えば戦うほど強くなる「成長する剣」で、強敵に対しては敵の能力や弱点を分析し、対策スキルを取得することで格上との戦いにも勝利している。ある程度の損傷は「自己修復」スキルで復元することができ、刀身が折れても自力で修復している。必殺技は念動の力を溜めることで、自らの刀身を高速射出する「念動カタパルト」で、溜めに時間が必要だが強力な威力を誇る。当初は自らの力だけで魔狼の平原の魔獣を狩り、着実に成長していたが、調子に乗って枯渇の森に足を踏み入れてしまう。魔力を吸収する枯渇の森は魔力で動く剣にとっては天敵で、あらゆる能力を封じられ、1か月間置き去りにされる。身動きできず、孤独に苛(さいな)まれていたが、フランと出会って彼女の所有物となる。前世の本名などは不明で、フランと出会って彼女に「師匠」と名づけられて以降、それが名前となる。フランに対しては孤独を救ってもらったことで多大な恩を感じており、「親バカ」といえるほどの過保護っぷりを見せる。森の孤独時代に、半ば錯乱してさまざまなスキルを取得したため、剣にもかかわらず料理のスキルが異常に高い。このためカレーやパンケーキなどを作った結果、フランの好物となる。「分体創造」のスキルで生前の自分の姿の分身を生み出すことができる。

ウルシ

フランの従魔「暗黒魔狼(ダークネスウルフ)」と呼ばれる狼系の魔獣。黒い毛並みを持つ大きな黒い狼の姿をしている。性別は雄。迷宮「蜘蛛の巣」で、危機に陥ったフランを助けるため、師匠が召喚する。師匠が召喚したのは「黒石魔狼(オニキスウルフ)」だったが、フランの危機に焦った師匠が過剰に魔力を込めて召喚したため、暴走を開始。師匠が「名付け」の儀式によって「ウルシ」の名を与えたことで、暴走した魔力を取り込み、暗黒魔狼へと進化した。狼だけあって嗅覚に優れ、動きも俊敏。スキルによって短時間だけなら空中での活動もでき、「暗黒魔術」をはじめ魔術による遠距離攻撃もできる。非常に優秀な魔獣であるため、蜘蛛の巣攻略後もフランの従魔として行動を共にしている。ふだんはフランを軽々乗せるほど大きいが、スキルによって大型犬程度の大きさまで小さくなることもできる。また「影潜み」という影の中に潜り込むスキルも持ち、街中ではフランの影の中に入っていることも多い。フランと同じく師匠が作ったカレーが大好物だが、フランが甘口を好むのに対し、ウルシは辛口のカレーを好む。

アナウンスさん

師匠が宿るインテリジェンス・ウェポンの機能の一つ。師匠が異世界で目覚めた直後から声のみ存在し、スキルの解説や自己進化のアナウンス、言語翻訳をしている。そのため、師匠が「アナウンスさん」と名づけた。人格がなく、ただの機能と思われていたが、リッチとの戦いで師匠が「潜在能力解放」を使用したことで意識が覚醒。女性の顔と羽を象(かたど)ったレリーフのような姿をしており、スキルの最適化や使用の補助を行う。師匠の宿る剣の本来の機能だったが、何者かが抹消したらしく、本来の名前はなく、師匠の付けた「アナウンスさん」を名乗る。リッチとの戦いでは絶望的な状況から逃れるため、師匠のスキルの統廃合を行い最適化。さらに「神域」と呼ばれる場所にアクセスして新スキル「天眼」を習得している。しかし、本来破棄されていた機能であるにもかかわらず、その権限を超えた力を振るったため、その代償として機能の大部分を破損してしまう。「神に存在を許されなかった存在」らしく、長らく自分の存在意義を果たせずにいたが、師匠のお陰で己の役割を果たせたことに感謝をし、彼らの旅路を祝福してアナウンスさんの人格は消滅する。消滅後も一部機能は残っており、翻訳機能などは変わらず機能している。またアナウンスさん消滅時、黒い影が現れて師匠と言葉を交わし、剣には師匠やアナウンスさん以外にも「何か」が宿っている模様。

アマンダ

ランクAの女性冒険者。種族はハーフエルフで、年齢は56歳だが、エルフの血を引いているため非常に若々しい見た目をしている。艶やかな黒髪を長く伸ばした美女で、グラマラスなスタイルをしている。冒険者の中でも指折りの実力者の一人で、個人でありながら存在するだけで他国の軍への抑止力となる猛者。アレッサの冒険者で、他国からの侵略を防ぐため、ギルドの許可なく街から出られない立場に就いている。鞭(むち)と風の魔術を武器とする「嵐闘士」で、多彩かつ強力な技を使いこなす。一方で子供には甘く、身寄りのない子供を保護したり、孤児院の運営をしたりと、慈善活動を精力的に行っているため、実力の高さと子供への優しさから「鬼子母神」の異名を与えれている。フランはアマンダにとってドストライクともいえる存在で、初対面で彼女の「ママ」を自称し、何かとつきまとってはフランを困らせている。模擬戦でもフランをほぼ一方的に打ち倒しており、実力でも敵(かな)わない相手であるためフランからは苦手意識を持たれているが、一方で彼女が成長できるように何かと気にかけており、スキルや魔術の手ほどきもしている。実はフランの両親、キナンとフラメアは彼女が世話をした孤児。アマンダは孤児の中でも素質のある者には戦闘の訓練をつけていたが、キナンとフラメアは素質がなかったため、彼らの命を守るべくあえて訓練に参加させず、無謀な戦いの道をあきらめさせようとしていた。しかしそれが裏目に出て、種族の進化を目指すキナンとフラメアは書置きを残して行方不明となる。その後、キナンとフラメアは一度だけ二人の娘を見せにアマンダのもとに戻ったが、それを最期に彼らとは死に別れてしまう。そのことがアマンダの中で深い心残りとなり、フランを一目見て二人の子供と察する。フランを何かと気づかっていたのはこれが理由で、本心から彼女の母替わりになろうとしていた。フランからもなんだかんだ言われているが、本心では信頼されており、師匠のことを打ち明けられている。一部の孤児からは親しみを込めて「ママンダ」と呼ばれ、フランからも別れの際にそう呼ばれている。

ジャン・ドゥービー

ランクBの男性冒険者。種族は魔族で、年齢は49歳だが、魔族であるため青年くらいの若い見た目をしている。黒い眼球に赤い瞳、肌も髪も白く、頭からは大きな角が生えており、つねに骸骨の飾りが施された黒いローブを身にまとっている。一人称は「我」で、難解な言い回しを好む。アレッサの街付近の冒険者の中ではアマンダにせまる実力を誇り、対人対軍戦闘に限ればアマンダとほぼ同等の力を持つ。そのためアマンダの代わりにアレッサの街で他国への牽制(けんせい)を任されることがあり、自分を便利に使うアマンダのことを苦手に思っている。クラスは死霊をあやつる「冥導師」で、死霊をあやつるイメージの悪さと、物騒な評判、怪しい身なりでの仰々しい言動から、周囲からは完全に不審者扱いされている。アマンダもフォローできない怪しい人物だが、ただ単に突出して怪しいだけで邪悪な人物ではない。好奇心と向上心が強く、探究を目的として活動している。現在は大量の死霊魔獣が発生している浮遊島の迷宮攻略を目的としており、そのための準備を整えていたが、そこにフランが乱入。魔術に使う高価な薬草をフランにダメにされたため、その代償として彼女に迷宮攻略の助太刀を求める。「魂魄眼」と呼ばれるユニークスキルを持つため、鑑定関係の能力が高く、師匠の正体にも一瞬で気づいた。また協力の見返りとして、師匠に正体を隠すため、師匠が「鑑定偽装」のスキルを覚えるのを手伝っている。死霊に対しては独特の価値観を見せ、まるで使役した死霊を使いつぶすような戦い方をする。一方で全力を尽くした死霊を労(いたわ)ったり、死霊は笑って成仏するのが一番だと語ったり、ジャン・ドゥービーなりの優しさを見せることがあるため、ステファンたち死霊からも慕われている。多彩な死霊をあやつり、軍隊に対しては倒した兵士を新たな死霊にして、無限に増える不死の軍勢を率いて戦う。その戦いぶりから「皆殺」の異名を持つが、ジャン自身はこの異名は気に入っていない。切り札は冠名武具の魔杖「冥王の祝福」で、杖(つえ)の力で高位死霊魔術すら一撃で昇天させることができる。ただし杖は生命力を代償とするため多用はできない。

ガルス

アレッサで鍛冶師として働く男性。種族はドワーフで、年齢は82歳。ヒゲを生やし、背が低く筋骨隆々とした体格をしている。職業は「魔法鍛冶師」で、その腕前はかなりのもの。グランゼル王国から「名誉鍛冶師」の称号を与えられており、その筋では有名人となっている。エクストラスキル「神眼」を持ち、剣の目利きに関しては右に出る者がいないほどの眼力を持つ。そのため、師匠がインテリジェンス・ウェポンだとすぐに気づいた。フランも幼いながら非常に才能があることに気づき、彼ら二人を気に入って、フランに自作の防具をかなり格安で譲っている。また師匠にも、彼を納める鞘(さや)を作って渡している。師匠に頼まれ、彼が狩った強力な魔獣の素材を作って、さらに強力な防具を作成。作成した防具は「獣蟲の神」に祝福され、「黒猫装束」シリーズと呼ばれる冠名装備へとなった。もともと放浪しながら各地で鍛冶師として働いており、フランに黒猫装束を手渡したことで、アレッサの仕事をやり終えて新たに旅立つ。フランがウルムットに行くのを聞き、自分もウルムットに向かうことを決めるが、海路が苦手なため、フランとは別のルートで進むと告げて別れた。

クリムト

アレッサの冒険者ギルドで、ギルドマスターを務める男性。種族はウッドエルフで、年齢は136歳。髪を長く伸ばし、エルフであるため非常に若々しい見た目をしている。顔立ちは整っているが苦労人で、いつもトラブルに頭を悩まし、眉をひそめた表情でいることが多い。年齢の割に不自然なほど高い実力を持つフランのことを怪しみつつも、その実力を認め、さまざまな依頼を彼女にお願いしている。ゴブリン迷宮攻略の際には、高ランク冒険者がアレッサから出払って人手不足だったため、特例としてフランを昇格させる。その後、フランがスキルテイカーの悪魔を討伐した功績を認め、彼女をD級へと昇格するが、フランをとんとん拍子で昇格させたため、事情を知らぬ冒険者たちからはえこひいきに取られてしまう。ロリコンではないかと悪評まで立ち始めたため、汚名を払しょくするために奔走し、さらに苦労を抱えてしまう。権謀術数うず巻くアレッサの街のギルドマスターであるため、フランを怪しんでいるのも立場ゆえの部分が強い。そのため、何かとトラブルを起こすフランに頭を抱えつつも、一方で親しみも感じており、彼女がアレッサを旅立つ際には別れを惜しんでいる。

ネル

アレッサの冒険者ギルドで受付嬢として働く女性。眼鏡をかけている。仕事中はいつも人当りのいい笑顔を浮かべている。態度も丁寧で、受付嬢の仕事をまじめにこなしているが、内心では粗野な冒険者にストレスを溜めており、時おり暗い表情で毒舌を吐いている。フランのことを当初は見た目どおりの幼子と判断して、冒険者の道をあきらめさせようとドナドロンドの試験を受けさせた。しかし彼女の実力と人となりを知ったことで、フランのことを信頼するようになり、友情関係を築くようになる。受付嬢としてはかなり有能で、素材のよし悪しをすぐに見抜き、チンピラ冒険者からの脅しも笑顔で流す肝が据わった人物。

ドナドロンド

男性冒険者。種族は鬼人で、年齢は46歳。頭から2本の角が生えた筋骨隆々とした大男の姿をしている。職業は「大戦士」で、鎧を身にまとい、巨大な斧(おの)を武器として戦う。ランクCのベテラン冒険者で、アレッサの冒険者ギルドで冒険者として働きつつ、新人冒険者の実力を見極める試験官として働いている。試験官だが、実質的には見込みのない新人をあきらめさせるのを目的として雇われている。獰猛(どうもう)な顔つきで、スキル「威圧」で相手を怯(おび)えさせるため、ふつうの新米冒険者では対峙しただけで戦意喪失する。フランの冒険者認定試験を担当して、彼女の合格を認めた。試験の際にはあえて厳格な雰囲気を漂わせているが、素は豪快ながら面倒見のいいところがある。ゴブリン迷宮攻略の際には指揮官を担当し、冒険者を率いてゴブリンたちと戦った。フランのことを気にかけており、フランが独断専行してゴブリン迷宮を攻略しにいった際には、無事を労いつつもその行動を説教した。

フリーオン

ランクE冒険者パーティー「樹海の目」のリーダーを務める男性。種族はウッドエルフで、年齢は49歳。糸目で、つねに優しい表情で微笑(ほほえ)んでいるが、地味な雰囲気を漂わせている。職業は「精霊使い」で、戦闘ではさまざまな精霊を臨機応変に使役して戦う。低ランクで地味な冒険者だが、実はギルドマスターであるクリムトの親戚で、懐刀ともいうべき存在。フリーオン自身も優秀な精霊使いで、切り札として精神精霊「タルゥア」と契約している。タルゥアはフクロウの姿をした精霊で、人語をあやつり意思疎通が可能。またタルゥアは人の精神の機微に敏いため、邪心を持つか見極めるのに長けている。ふつうの冒険者として活動しつつ、タルゥアの力を使って情報収集しており、蜘蛛の巣の異変の調査とフランを見極めることを目的として、蜘蛛の巣の攻略に同行する。

クルス・リューゼル

ランクC冒険者パーティー「紺碧の守り手」のリーダーを務める男性。種族は人間で、年齢は28歳。まじめな性格で、さわやかな雰囲気を漂わせている。その働きぶりはアレッサの冒険者ギルドからも信頼されており、昇格試験の試験官として雇われ、フランたちの蜘蛛の巣調査に同行する。職業は「瞬剣士」で、剣を武器として戦う。冒険者としては中堅どころの実力を持つが、フランとアマンダの模擬戦を見て触発される。またフランに対しても、幼いながらも実力を認めている。

クラッド

ランクE冒険者パーティー「竜の咆哮」のリーダーを務める男性。種族は人間で、年齢は23歳。褐色の肌をした青年で、顔に刺青(いれずみ)を入れている。中身も見た目どおりのチンピラで、特例で昇格したフランを気に入っておらず、何かとフランに因縁をつけている。職業は「戦士」で、槍(やり)を武器にして戦う。フランと模擬戦をするも敗北を喫する。蜘蛛の巣では、仲間をフランに救ってもらったことで、フランの実力を認めて態度が軟化する。ランクEの中ではかなりの実力者で、異常が起きた蜘蛛の巣でも無事に生き残る。しかし協調性に欠けることから、昇格試験には落ちている。

ランデル

商人の男性。種族は人間で、年齢は39歳。おとなしそうな顔立ちで、律儀な性格をしている。師匠とフランが旅を始めて、最初に会った人物。ゴブリンに襲われていたところをフランに助けられ、お礼に彼女たちをアレッサまで送った。フランたちに簡単な常識を教え、アレッサの街に入るための入場料も、フランの手持ちの素材を買い取って都合してくれた。フランがうすうす訳ありだと気づいているが、恩人であるため事情に踏み込まず、街まで丁寧に面倒を見ている。

ベルナルド

ジャン・ドゥービーの使役する死霊魔獣の一体。スケルトンでマントを羽織った骸骨の姿をしている。ジャンに名づけられた特殊なスケルトンで、死霊魔獣では珍しく理性的で会話もできる。まじめだが臆病な性格で、薬草園の管理や家事など、ジャンの身の回りの世話をしている。料理もできるため、ジャンが師匠のカレーを気に入ったのこともあり、師匠から料理を習っている。

ステファン

ジャン・ドゥービーの使役する死霊魔獣の一体。少年の姿をしている。元は「飛霊(レイス)」で、足のない幽霊の姿をしていたが、数年前、ジャンが初めて浮遊島に来た際に、彼を逃がすため「死霊喰らい」に喰われてしまう。しかし、ステファンは「侵食融合」「吸収耐性」「死霊耐性」のスキルを持っていたため、逆に死霊喰らいを吸収し始める。吸収は数年かけて行い、最終的に死霊喰らいの意思とステファンが融合し、一つの存在として自我を確立している。ジャンが再び浮遊島に来たのをきっかけに、彼らに合流する。見た目相応の無邪気な明るい性格で、ジャンを慕い、フランたちとの冒険を純粋に楽しんでいる。死霊喰らいの力もそのまま持つため、死霊魔獣を吸収することができ、死霊に対しては圧倒的なアドバンテージを持つ。リッチとの戦いでは、あらかじめジャンから指示されて単独行動で、リッチの力の源となっていた怨念炉を破壊し、フランたちの勝利に大きく貢献している。実は死霊喰らい時代に、リッチの中にあった人間であった頃の残滓(ざんし)「名無しの奴隷の少年」を喰らっている。それは化け物に変貌しつつあったリッチの必死の抵抗で、「自由に生きたい」という彼の願いを託されたものでもあった。しかしリッチの願いも空しく、化け物のまま迷宮をさまよっていたが、ステファンを吸収。彼の中にあったジャンへのあこがれに共感したことで、名無しの少年の思いを受け継ぐ存在へと変化した。リッチはジャンが初めて浮遊島を訪れた際、同じ死霊魔術師ということで彼に注目し、彼の言動を見てファンとなる。リッチの一人称の「吾輩」や言動も彼の影響を色濃く受けたもので、彼にあこがれているあいだは少年の一面が強く出ていた。フランたちとの冒険を楽しんだりしていたのは少年の影響を色濃く受けていたためで、フランとジャンには強い感謝の念を抱いている。最期はリッチの消滅後にジャンを助けるが、迷宮が崩壊したため、迷宮に召喚されたステファンも消滅の運命にあり、師匠たちに感謝を告げて消え去った。

セルカン

ジャン・ドゥービーの使役する死霊魔獣の一体。紳士服を身にまとった筋骨隆々としたゾンビの姿をしている。種族はレブナント。言葉をしゃべれず、「ヴァー」とうめき声をあげて意思疎通する。迷宮での探索に特化した死霊魔獣で、知能は低く、戦闘能力はないもののワナ察知能力と再生能力が高く、そのタフさを活かしてワナをワザと発動させて、ワナを無力化するのを得意とする。浮遊島での探索ではワナ解除で活躍したが、リッチによる転移ワナで分断され、そのまま置き去りとなってしまう。浮遊島から脱出する際も全員からその存在を忘れ去られていたが、後日、ジャンのもとにちゃっかり帰還している。

フルト・フィリアース

フィリアース王国の王子。金髪の美少年で、サティア・フィリアースとは双子の関係。それぞれ第6位と第7位の王位継承権を持つ。王族として教育を受けているため聡明だが、年相応に好奇心が強い部分があり、サティアと共に市井にお忍びで紛れ込んで遊んでいる。しかしある日、その行為が祟(たた)って奴隷商人に捕まってしまう。牢屋(ろうや)に捕まっていたところを偶然、フランに助けられる。以降、フランのことを気に入り、彼女に護衛を依頼している。また奴隷商人に捕まっていた子供たちを雇い入れており、子供たちからも慕われている。

サティア・フィリアース

フィリアース王国の王女。金髪を長く伸ばした美少女で、フルト・フィリアースとは双子の関係。それぞれ第6位と第7位の王位継承権を持つ。王族として教育を受けているため聡明だが、年相応に好奇心が強い部分があり、フルトと共に市井にお忍びで紛れ込んで遊んでいる。しかしある日、その行為が祟って奴隷商人に捕まってしまう。牢屋に捕まっていたところを、偶然、フランに助けられる。以降、フランのことを気に入り、彼女に護衛を依頼している。実は匂いフェチ。フランとは同性であるため、ボディタッチなどがかなり露骨で、抱き着いて匂いを嗅ぐなどやりたい放題。そのためフランからは苦手意識を持たれている。

セリド・ディニアス

フィリアース王国の王族に付き従う侍従の男性。かなり高齢で、王族に対しても物怖(お)じせず諫言(かんげん)する厳格な性格をしている。幼いフルト・フィリアースとサティア・フィリアースの世話係で、奔放な彼らをよく諫(いさ)めている。口が悪く、王族への忠誠心が強いあまり、彼らに近づく人間に対しては辛らつな物言いとなる。そのためフルトたちが連れて来たフランに対しても厳しい物言いが目立ち、フランから嫌われている。

レアゴブリン

ゴブリン迷宮の迷宮管理者。見た目はほかのゴブリンと変わらないが、知能が高く、言葉を流ちょうにあやつる。ゴブリンであることに誇りを持っており、自らの軍勢を「ゴブリン帝国」と称し、ゴブリンを鍛えて人間の街を征服することを目的としている。偶然、スキルテイカーの悪魔を召喚できたため、気が大きくなっているが、スキルテイカーの悪魔は支配を無効するスキルを持つため、従わせることはできずにいる。また迷宮管理者としてもあまり強くはなく、スキルテイカーの悪魔からは足手まとい扱いされている。「身代わりの腕輪」を持ち保身には長けているが、スキルテイカーの悪魔を倒したフランと師匠には成す術がなく、あっさり倒されて死亡した。

スキルテイカーの悪魔 (すきるていかーのあくま)

ゴブリン迷宮の守護者。種族は「上級悪魔(グレーターデーモン)」。頭から2本の角が生え、赤銅色の肌を持つ筋骨隆々とした大男の姿をしている。個体名はない。迷宮管理者のレアゴブリンが偶然呼び出した上級悪魔で、ゴブリン迷宮はできたばかりの迷宮にもかかわらず、非常に高い戦闘能力を持つ。レアゴブリンより圧倒的に強く、支配を無効化するスキルを持つため、主に対しても反抗的な態度を見せる。ただし迷宮に召喚されたため、被召喚物として迷宮に縛られており、迷宮とは一心同体の関係。そのためレアゴブリンを倒されると自らも消滅するため、不本意ながらレアゴブリンを守る関係となっている。人を殺すことに喜びを覚える好戦的で残忍な性格をしている。スキルを奪うエクストラスキル「スキルテイカー」を持つ。フランとの戦いでは、フランの剣術スキルが自らよりも高いことに気づき、スキルテイカーを発動する。しかし、師匠の「スキル共有」がスキルテイカーとは相性が悪く、本来のスキル所持者である師匠ではなく、フランを対象としたのが仇(あだ)となり、借り物のスキルは奪えず不発となってしまう。フランを追い詰めるが、師匠の捨て身の念動カタパルトで心臓の魔石を貫かれて死亡する。スキルテイカーの悪魔の持っていたスキルテイカーのスキルは師匠が吸収し、持っていた剣「魔影鋼の長剣」はフランが回収し、活用している。冒険者による脅威度はB相当で、フランはこの悪魔を倒した功績から、ランクDに昇格している。上級悪魔を倒せれば本来であればランクCに昇格してもおかしくないが、フランの場合は活動実績の短さに難色を示され、D止まりとなっている。

オーギュスト・アルサンド

アレッサ騎士団の副団長を務める男性。年齢は29歳。ヒゲを生やし、恰幅のよい体型をしており、年齢の割に老けて見える。アレッサの領主、オルクス伯爵の息子で、金と権力を乱用して好き勝手する典型的な悪党。ゴブリンのスタンピードが発覚した際も、「冒険者が嫌い」というだけで情報を握りつぶし、騎士団の出動を妨害して街を危機に陥れるほど。そのため、あらゆる方面から嫌われているが、相手のウソを見抜く「虚言の理」というユニークスキルを持っているため、このためだけにその存在を重宝されている。しかし実は虚言の理には「自分のウソを相手に信じやすくする」というもう一つの効果がある。相手がウソをついていなくても自分がウソをついたと言えば、周囲にそれを信じこませることができるため、その力を悪用して証言を都合のいいように偽造して、私腹を肥やしていた。スキルテイカーの悪魔が討伐後、悪魔の魔石を欲してフランに難癖をつける。しかしその時の態度がフランと師匠の逆鱗に触れたため、スキルテイカーによって「虚言の理」と「宮廷作法」のスキルを奪われてしまう。オーギュスト・アルサンド自体は奪われているのに気づかず、後日、王族相手に大きな失態を犯して失脚する。父親の伯爵によって軟禁されていたが、フランが自分に呪いをかけたせいと考え、伯爵の館から大量の資金を奪ってギュランを雇い、フランに襲い掛かる。復讐の際には、すべてを失ったため見る影もないほど無惨な姿となっており、フランからはゾンビ呼ばわりされていた。フランに返り討ちに遭ったあとは、冒険者に捕まって伯爵によって内密に処分された。

ギュラン

傭兵の男性。青猫族で、獣人の中でも獣の特徴を色濃く持つため、青い毛並みの猫の頭を持つ姿をしている。歴戦の傭兵で、「ルーズ戦役の英雄」「千人斬り」の異名を自称する。オーギュスト・アルサンドに雇われ、フランに襲い掛かる。青猫族は過去の因縁から黒猫族を敵視しており、ギュランも黒猫族をいたぶることに喜びを覚える残虐な性格をしている。黒猫族を20人以上奴隷にしたと語ってフランを脅すが、その言動が逆にフランに覚悟を決めさせ、フランに体を切り刻まれて死亡するという悲惨な最期を遂げる。実は「強者察知」というスキルを持っており、それを使って強い者から逃げ、弱い者を倒し回っていただけ。フランはレベルは低いものの、数多くのスキルを自在に使いこなすため、あっさり返り討ちとなった。師匠はあまりに弱かったため、異名も自称しているだけで、ほとんどウソではないかと思っている。「幻輝石の魔剣」と呼ばれる強力な魔剣を持っていたが、結局使いこなすことはできず、死んだあとはフランに奪われ彼女の武器となっている。

トリックスター・スパイダー

蜘蛛の巣に現れた蜘蛛系の魔獣。蜘蛛の頭から人間の女性の上半身が生える異形の姿をしている。蜘蛛の巣に現れる「トラップ・スパイダー」が進化した上位種「トリック・スパイダー」、それがさらに進化した最上位種で、魔獣の中では珍しくワナをあやつる力に長けている。非常に知能が高く、迷宮内部のトラップをより上位のものに作り替えることすらできる。敵を強制的にほかの場所に転移させる「転移罠」を武器のみ転移しないように改造して、武装解除のワナを作り、フランを絶体絶命の危機に陥れた。またワナだけではなく、本体も多種多様な毒をあやつる力を持つ非常に強力な存在となっている。不利を悟るとすぐに逃げ出す慎重な性格で、フランとの戦いでも、師匠が合流したらすぐに引いている。蜘蛛の巣でフランたちを苦しめたが、最期はアマンダの魔術で跡形もなく吹き飛ばされた。実は攻略済みの蜘蛛の巣には出現しない魔獣で、トリックスター・スパイダーの出現は完全なイレギュラー。何者かが希少な「進化魔力薬」を魔獣に投与して故意に生み出した存在で、クリムトは他国の謀略の一環だと推測している。

英傑級骸骨暗黒騎士 (れじぇんだりーすけるとん だーくないと)

浮遊島の守護者。黒い鎧を身にまとった骸骨騎士で、漆黒の魔剣「死の眼差(デスゲイズ)」を携えている。骸骨の騎馬に乗ることで空中戦もでき、浮遊島に侵入しようとする冒険者を次々血祭にあげている。高い剣術のスキルを持ち、死の眼差はかすっただけで相手を殺す凶悪な力を持つ。魔術防御力も高く、ランクB冒険者のジャン・ドゥービーの魔術すらほとんど効果なく、攻防スキのない非常に強力な死霊魔獣となっている。浮遊島に入ろうとしたフランの前に立ちふさがり、彼女を撃墜するが、師匠の一撃を受け手傷を負う。その後、迷宮の奥地で再び侵入して来たフランの前に立ちふさがる。高いレベルの剣の腕に、自動でカウンターをする「自動魔力弾」でフランを苦しめた。また奥の手でエクストラスキル「潜在能力解放」を持ち、フランを後一歩のところまで追い詰めるが、フランと師匠の捨て身の連携によって辛うじて倒された。死後、魔石は吸収され、潜在能力解放は師匠に取り込まれている。遺骸は素材としてジャンに回収され、死の眼差はフランが回収して使っている。実はリッチが、かつての仲間の遺骸とレイドス王国が残した「英雄の骨」を使って生み出した死霊魔獣。リッチはかつての仲間を復活することを期待していたが、結果はただの死霊魔獣となり大きく落胆した。

リッチ

浮遊島の迷宮管理者。豪華なローブを身にまとった骸骨で、強力な死霊魔術をあやつる。レイドス王国に侵略するため、強力な死霊魔獣を集めており、その素材となる強い戦士を求めている。フランたちが戦ってきた魔獣の中でもダントツの強さを誇り、しかも非常に狡猾(こうかつ)。怨念を吸収する「不浄の理」と「怨念吸収」を持ち、「怨念炉」と呼ばれる巨大な魔術装置を利用することで無尽蔵ともいえる魔力をあやつる。これによって時空魔術「ディメイション・シフト」の連続使用で敵の攻撃を無効化するという戦法を編み出し、本来は死霊魔術にとって天敵である浄化すらいっさい効果がない。このほかにも数々のからめ手でフランたちを窮地に追い込む。その正体はかつて浮遊島でレイドス王国が行った人体実験の犠牲となった「名無しの奴隷の少年」。研究員たちによって無理やり死霊魔術師とさせられ、同じ境遇の仲間たちが次々殺され、自らも体をバラバラに切り裂かれていくのを見て、心は絶望と憎悪に染まってしまう。そして死に瀕した際、迷宮核を手にして当時行っていた怨念を注入する儀式の影響もあって、最終的にリッチと呼ばれる死霊魔獣へと進化してしまう。実験の際に注入された怨念のせいで自我が侵食されており、レイドス王国への憎しみから、身も心も邪悪な存在へと徐々に変貌していく。しかし少年だった頃の自我はそれを拒絶し、復讐(ふくしゅう)を止めて仲間たちと自由に世界を冒険したいという気持ちが芽生え始める。そのため少年は、己の自我を召喚した死霊喰らいに喰わせるという賭けに出て、何とか自分の意識を世界に遺(のこ)そうとする。この試みは半ば失敗していたが、偶然、ステファンを喰らったことで自我が再形成され、彼の遺志を継ぐ存在が生まれる。フランたちと激闘の末に、ステファンに怨念炉を破壊され、フランに敗北。境遇に共感したフランに手を差し伸べられるも、怨念炉の破壊によって暴走した怨念からフランたちを守るべく、あえてその手を振り払い、怨念吸収を使ってフランたちが逃げる時間稼ぎを行い、最期は崩壊する浮遊島と運命を共にした。

サルート・オーランディ

フィリアース王国に所属する男性騎士。種族は人間で、年齢は55歳。黒い髪に、黒いヒゲを生やしている。気さくで実直な性格なため、周囲からの信頼も厚い。フルト・フィリアースとサティア・フィリアースからも信頼されており、彼らの護衛も務めている。元は他国の騎士で、フィリアース王国の王妃が族に襲われているのを助けたのをきっかけに取り立てられる。そのため、セリド・ディニアスからはよそ者として警戒されて仲が悪い。

ミドガルズオルム

海に住まう大魔獣。船を丸のみできるサイズの巨大ミミズで、船乗りたちからは「海の厄介者」として恐れられている。知能は低いが、本能で生きているため、一度獲物を見定めると一直線に追いかける。体が巨大で再生能力を持つため、倒すのは非常に困難。その厄介さから冒険者ギルドからは脅威度Aと認定されている。フランたちが船旅をした際に遭遇。師匠の全力念動カタパルトを食らっても全然平気で、頭が吹き飛ばされても死亡しなかった。またミミズであるため心臓が複数あり、死の眼差による即死攻撃も効果がない。師匠も倒す方法がないと匙(さじ)を投げ、ミドガルズオルムの腹の中に浮遊島の残骸を放り込み、それを重しとすることで動きを鈍らせて逃走した。

集団・組織

冒険者ギルド (ぼうけんしゃぎるど)

冒険者たちの互助組織。冒険者は主に魔獣の討伐や、迷宮の攻略で金銭を得ている仕事で、実力さえあれば誰でもなることができる。逆に言えば求められる実力は非常に高いため、冒険者になるには試験で合格する必要があり、明らかな実力不足の場合は門前払いを食らうこともある。また冒険者となったあとも、昇格試験が存在し、こちらも高い実力を示さなければ合格することはできない。冒険者のランクは最上位に「S」があり、それから「A」から「G」までの併せて全部で8等級が存在する。また、冒険者ギルドは魔獣の脅威度も同じくSとAからGの8等級で認定しており、最下級のG級でも成人男性が苦戦するレベルで、必然的に求められる冒険者の素質も厳しいものとなっている。冒険者の実力には単純な強さだけではなく、活動実績も重要視されるため、ただ単に強いからといって簡単にランクが上がることはない。冒険者ギルドは世界各地に存在するため、高ランクになると便宜を図ってもらったり、冒険者ギルドが立ち入りを禁じている特別な場所への立ち入り許可をもらえたりする。

場所

アレッサ

城塞都市。クランゼル王国の国境近くに存在し、近くには蜘蛛の巣など有益な資源を産出する地域が隣接している。そのため、隣国「レイドス王国」から虎視眈々(たんたん)とその地を狙われており、アレッサの冒険者ギルドは自衛するため、高ランクの冒険者に常駐してもらっている。

魔狼の平原 (まろうのへいげん)

アレッサの街の東にある平原。かつて伝説の魔獣「フェンリル」が死んだとされる平原で、死してなおフェンリルの魔力の名残が平原の中央に残り、平原の魔獣たちはその魔力を避けるようにして住んでいる。そのため、平原の中央に行けば行くほど魔獣は弱くなり、逆に外縁部になればなるほど魔獣が強くなる魔境となっている。冒険者ギルドはA級の脅威度と認定している。平原の中央には奇妙な遺跡があり、師匠はこの遺跡にあった祭壇に安置されていた。東西南北には主ともいえる強力な魔獣がいたが、師匠によって打ち倒されている。

蜘蛛の巣 (くものす)

アレッサ近郊にある迷宮。通常の迷宮と違って攻略済みの迷宮で、迷宮管理者は死亡し、冒険者ギルドが管理している。アマンダが駆け出しだった頃は攻略中だったらしく、当時は冒険者たちで賑(にぎ)わっていたが、現在は入り口が封鎖され、冒険者ギルドの許可がなければ立ち入りできない迷宮となっている。蜘蛛の巣の名の通り、蜘蛛をはじめとした昆虫系の魔獣がよく出没する。現在は迷宮管理者がいないため、迷宮の運営はかなり効率が悪くなっているが、それでもそのシステムを活用することで魔鉱石を生み出すことができ、冒険者ギルドは無限に採掘できる鉱山として管理している。このことは貴族や他国に知られれば戦争の引き金にもなるため、冒険者ギルドでも極秘扱いされている。蜘蛛の巣は現在、徘徊(はいかい)する魔獣たちから力を吸い取って活動しているため、冒険者ギルドが迷宮を管理する際もできる限り魔獣を倒さないようにしている。一方で運営効率から強力な魔獣は出現しないように設定されているが、何者かの思惑で蜘蛛の巣の魔獣に手を加えられ、トリックスター・スパイダーが誕生する。

浮遊島 (ふゆうとう)

アレッサ近郊の空に浮かぶ島。空に存在するため、当然ながら空を飛ぶ能力がなければ立ち入ることもできない秘境となっている。かつては人目が付かない立地であることを利用して、レイドス王国が秘密裏に人体実験を行っており、浮遊島に立てた施設に数多くの奴隷を運び込んでいた。現在はその時代に建てられた施設が迷宮化しており、内部は死霊魔獣が跋扈(ばっこ)する危険地帯となっている。迷宮島自体が死霊たちの怨念を受け止める器と化しており、時おり、迷宮島の欠片が地上に落下し、それが死霊魔獣を発生させる原因にもなっている。迷宮管理者はリッチで、かつて浮遊島で人体実験の犠牲になった者の成れの果て。リッチは迷宮に設置した怨念炉によって莫大な力を得ていたが、ステファンによって怨念炉は破壊される。炉から漏れ出た怨念は純粋なエネルギーとなって爆発を巻き起こし、浮遊島は崩壊した。浮遊島の破片が地上に降り注いだため、師匠がさらに破片を細かく破壊して、次元収納で回収している。破片はそれ自体が怨念を吸収して死霊を発生する原因となっているため、師匠はミドガルズオルムの腹の中に捨てることで、周囲に被害をもたらさないようにしている。

その他キーワード

スキル

特殊な技能。神が「世界の根幹に登録した業」で、人間がそのスキルを使うにふさわしい力を持つと世界に判断された場合、その人間の魂に直接「神の技術」が刻まれる。師匠は神がスキルを世界(システム)にアップデートして、人間がそれをダウンロードして使うと解釈している。スキルにはいくつかカテゴリーが存在し、武器を使うための「武器戦闘スキル」、武器で強力な技を放つ「戦技スキル」、魔術をあやつる「魔術スキル」などが存在する。武器戦闘スキルと戦技スキルは似ているが別物で、剣をあやつる「剣術」スキルは武器戦闘スキル、剣で技を放つ「剣技」スキルが戦技スキルとなっている。スキルにはレベルが存在し、レベルを上げていくことでより上位のスキルを習得できる。またスキルにはレアリティ(希少度)が存在し、「レア」「ユニーク(固有)」「エクストラ(特殊)」の順にレアリティが上がっていく。基本的にレアなものほど強力で、神々の気まぐれで魔獣などに強力なスキルが与えられることもある。

魔術 (まじゅつ)

特殊な現象を引き起こす術。分類的にはスキルの一種で、さまざまな属性の術が存在する。属性の基本は「火」「水」「風」「土」の4種で、これらを極めることで上位の「火炎」「大海」「暴風」「大地」属性をあやつることができる。また2種類以上の属性を極めることで、「複合属性」と呼ばれる特殊な属性に目覚めることもある。複合属性は一部の特殊な種族以外では適性が低く、簡単には習得できないが、その分強力となっている。また、基本4属性以外に「光」と「闇」と呼ばれる属性が存在するが、これらの属性は非常に貴重で、使い手は複合属性以上に稀(まれ)。属性の中には特定の用途に特化した「派生属性」と呼ばれるものも存在し、ジャン・ドゥービーの「死霊魔術」も闇属性の派生属性となっている。このほかにも大別された属性以外にも細かな属性は数多く存在し、それらは「特殊属性」と呼ばれている。人間よりも魔獣の方が魔術との親和性が高いため、魔獣であれば複合属性などの貴重な属性を持っている者は数多くいる。また魔獣でなければ習得できない特殊属性も存在する。師匠は魔石から直接スキルを吸収できるという特性を持つため、効率よく魔術を習得しており、希少属性である「闇魔術」も身につけている。また魔術スキルに自己進化ポイントを割り振ることであっさり魔術のレベルを上げているが、人間であれば適性がある人が長い時間厳しい修行をしてやっとレベルが上がるというもので、師匠の成長速度は目を見張るものだとされている。

職業 (くらす)

ふつうの職業とは違い、ステータスに刻印された理。スキルと同じく「世界の根幹に登録された理」をその身に宿すことで、さまざまな恩恵を受けることができる。職業の登録は冒険者ギルドなどが所有する大きな水晶に触れることで行える。利用者は己に適性にあった職業に就くことができ、その職業になることで職業に応じて能力が成長しやすくなったり、スキルの効果が上がったりする。また職業は育てていくことで、より上位の職業にすることができる。

黒猫族 (くろねこぞく)

人の体に獣の特徴を持つ「獣人族」の一つ。黒猫のように、黒い毛並みに猫の耳と尻尾を持つのが特徴。獣人族は己を鍛え、強さを極めると「進化」と呼ばれる力を手にし、さらに大きな力を手にすることができる。進化は獣人にとって大変誇らしいものであり、その力を持つ者は尊敬される。しかし、黒猫族は過去に何らかの大罪を犯したため、神によってその進化を著しく制限され、ここ数百年一人も進化できずにいる。このためほかの獣人からは風当たりが強く、特に過去に大きな因縁を持つ「青猫族」からは迫害を受けている。奴隷商人に売られ、過酷な環境で死亡する黒猫族も珍しくない。また進化できないため、黒猫族は弱いと思われており、獣人以外の者たちからも不遇な立場に置かれている。

迷宮 (めいきゅう)

混沌の女神の眷属によって生み出される迷宮。「ダンジョン」とも呼ばれている。世界のどこかに「迷宮宝珠(ダンジョンコア)」と呼ばれる宝玉が出現し、その宝玉が一番近い場所にいる人間や魔獣に宿ることで迷宮は生まれる。迷宮を生み出した者は混沌の女神の眷属となり、「迷宮管理者(ダンジョンマスター)」と呼ばれる存在へと変貌する。迷宮管理者はさまざまな知識と権限を与えられ、「混沌力(ゴッデスポイント)」と呼ばれるものを溜めることで、魔獣を召喚したり、アイテムを生み出したりする。迷宮管理者はそれぞれ思惑を抱えており、目的は違うが迷宮は混沌の女神による試練場で、アイテムで人間を呼び寄せ、魔獣で人を鍛えると一般的に解釈されている。迷宮管理者による魔獣の召喚は、「神域」と呼ばれる場所にアクセスし、そこから「魔獣の情報」を読み込んで魔獣の実態を生み出す。ただしこの召喚は無から有を生み出すに等しく、非常に難易度が高い。運よく成功すれば迷宮管理者の能力を超える強力な魔獣すら召喚できるが、ほとんどは失敗に終わるため、迷宮管理者は召喚の成功率を上げるのに「触媒」を使用する。触媒によって成功率は上がるが、召喚する魔獣の種類は偏ることとなり、「ゴブリン迷宮」のように同じ種類ばっかりの迷宮になることもある。召喚された魔獣は基本的に迷宮管理者に絶対服従だが、一部の魔獣は支配を無効化するスキルを持ち、反抗的な態度を取るものもいる。ただし召喚された魔獣は迷宮と一心同体の関係であるため、迷宮管理者を殺されたり、迷宮宝珠を破壊されると消滅してしまう。迷宮管理者が殺され、攻略済みとなった迷宮は、迷宮宝珠さえ無事であれば、大幅な制限が掛かるものの、そのまま迷宮として運営することができる。このため、蜘蛛の巣のような、人間に管理される迷宮も数少ないが存在する。

(かみ)

世界を生み出した10柱の神々。「太陽の神」「銀月の神」「大海の神」「大地の神」「火焔の神」「風雨の神」「獣蟲の神」「森樹の神」の8柱が世界と生命を造り、「冥府の神」が輪廻の輪を作り出したことで、世界は完成される。そして最後に「混沌の女神」が秩序による世界の停滞を招くのを防ぐため、世界に混沌を振りまいた。神々には10柱の神々以外にも、その子や眷属と呼ばれる者たちもおり、彼らは78柱の神々として崇められている。

邪神 (じゃしん)

邪悪な存在へと成り果てた神。かつては「戦いの神」であったが、力に溺れ、邪悪な存在へと堕(お)ちてしまう。邪神は、世界を創造して疲弊していた神々へと襲い掛かり、大きな戦を巻き起こす。しかし最終的に邪神は負け、神々によって体をバラバラに引き裂かれ、それぞれを世界の各地に封じられることとなる。だが、封印しきれなかった肉体から、ゴブリン、オークといった「邪人」と呼ばれる魔獣が生まれてしまう。邪人は人と相いれない邪悪な存在とされているため、冒険者ギルドでも発見次第討伐することが推奨されている。

魔石 (ませき)

魔獣の体内に存在する魔力の宿った石。さまざまな用途に使えるため需要は高く、冒険者ギルドに売り払えば、魔石の種類に応じて金銭がもらえる。強力な魔獣の魔石ほど強い力を宿しており、高価で取引される。師匠は魔石を切り裂くことで、吸収することができ、魔石を斬って「魔石値」を溜めることで自己進化することができる。また師匠は魔石を吸収することで、その魔獣が所持していたスキルを吸収することもできる。

魔獣 (まじゅう)

魔石を体内に持つ生き物の総称。魔石を持つことが野生動物との最大の違いで、種類はさまざま。野生動物に毛が生えたものから、人間が死霊と化して誕生する「死霊魔獣(アンデッド)」や、邪神の眷属である「邪人」も魔獣として分類される。魔獣は魔力との親和性が高いため、基本的に人間より強い者が多い。冒険者ギルドは魔獣を「脅威度」に応じてランク付けしているが、最下級の「G級」でも成人男性と同等レベルとされている。脅威度のランクは冒険者ランクと同じく「S」を頂点に「A」から「G」の併せて全部で8等級が存在するが、脅威度のランクは同ランクの冒険者五人に相当するといわれている。

魔力伝導率 (まりょくでんどうりつ)

物質に魔力が伝わる割合を指す言葉。魔力が宿った武器「魔法武器」によく使われる言葉で、魔力伝導率が高い魔法武器ほど高品質だとされる。魔剣の場合は魔力を込めれば攻撃力を引き上げることができるが、魔力伝導率が高い魔剣ほど、少ない魔力で効率よく攻撃力を上げることができる。師匠の魔力伝導率は200%とされ、これは等級にするとAランクとなり、魔剣の中でもかなり上等の部類に入る。

スキル共有 (すきるきょうゆう)

師匠の持つスキル。師匠を「装備」した者と師匠が、所有スキルを共有することができる。きちんとした意志で師匠を「装備」すると念じなければならず、ただ師匠を持っただけでの人間にはスキル共有することはできない。その性質上、装備を解除する武装解除のワナなどが天敵。共有できるスキルは師匠が「セットスキル」と呼ばれる欄にセットしたスキルで、セットさえすればユニークスキルやエクストラスキルも共有できる。また、スキルの制限も借りた側と師匠でそれぞれ別個の扱いとなるため、その仕組みを応用すれば、再使用に時間の掛かるスキルテイカーを二人で同時に使ったりすることもできる。師匠の持つスキルであればセットすればなんでも共有できたが、SP化したスキルはセットできなくなり、師匠専用スキルと化している。

スキルテイカー

スキルテイカーの悪魔の持つエクストラスキル。対象のスキルを一つ選んで奪うことができる、スキルの強奪ともいうべき能力で、スキルを奪うことで自らを強化し、敵対者を弱体化することができる。ただし同じ対象には1回しか使えず、スキルを使うと再使用に時間がかかる。スキルテイカーは必中であるが、スキルを奪えるかには成功判定があり、スキルテイカーのレベルが上がれば成功率は上がる。ただしスキルレベルを上げると成功率は上がるが、同時にスキルテイカーの再使用時間は増えていく。スキルはあくまで所持している本人しか奪えないため、師匠のスキル共有と相性が悪い。スキルテイカーの悪魔はフランの剣術スキルを奪おうとしたが、フランはあくまで師匠からスキルを借りているだけなため不発に終わった。スキルテイカーの悪魔討伐後、その魔石を師匠が吸収したため、スキルテイカーも師匠に取り込まれる。スキルテイカーはスキル共有できるため、フランと師匠でそれぞれ一度ずつ使うことができる。このためフランと師匠はオーギュスト・アルサンドから、それぞれ「虚言の理」と「宮廷作法」をスキルテイカーで奪っている。師匠はスキルテイカーのレベルを上げたため、100%の確率で奪えるようになり、再使用時間は18日となっている。リッチとの戦いでは、アナウンスさんが自己進化ポイントをつぎ込んで強化し、「スキルテイカー:SP(スペリオル)」とへと変化させた。SP化したことで再使用時間の制限がなくなり使い勝手が向上しているが、スキル共有ができなくなり、師匠専用のスキルと化している。

虚言の理 (きょげんのことわり)

オーギュスト・アルサンドの持つユニークスキル。ウソを自在にあやつれるようになるスキルで、相手のウソを見抜いたり、自分のウソを相手が信じやすくなったりする。その性質上、権謀術数うず巻く貴族社会では重宝された。また詐術としても強力なスキルで、オーギュストは自分の都合のいいように証言を捏造(ねつぞう)して、それを周囲に信じこませることで私腹を肥やしていた。オーギュストがスキルを悪用していたため、師匠とフランがスキルテイカーを使ってスキルを取り上げている。以降、師匠が交渉時の際にスキルを活用している。

潜在能力解放 (せんざいのうりょくかいほう)

英傑級骸骨暗黒騎士の持つエクストラスキル。生命力と代償を支払うことで、スキル所有者の潜在能力を解放する。スキル所有者の種族や、眠っている潜在能力の種類によって効果が変わるスキルで、求められる代償も所有者によって違う。英傑級骸骨暗黒騎士の場合、パワーとスピードを倍近く引き上げるスキルとなっている。同格のエクストラスキルであるためスキルテイカーも効果がなく、大きく引き上げた力でフランたちを苦しめた。英傑級骸骨暗黒騎士撃破後、魔石が師匠に吸収され、潜在能力解放も師匠に取り込まれた。師匠の場合、耐久値と魔石値を代償に捧げることでその力を大きく引き上げる。また師匠の場合はアナウンスさんの意識を覚醒させるなど、思わぬ副次的効果を発揮している。

天眼 (てんがん)

師匠の持つスキル。リッチとの戦いで覚醒したアナウンスさんが神域にアクセスして編み出した新しいスキルで、視覚が関係するスキルに補正を入れることができる。障害物を透過して敵の場所を見抜くこともでき、アナウンスさんは天眼を使って怨念の嵐を見通し、敵の魔石を破壊している。類似効果を持つスキルにガルスの持つエクストラスキル「神眼」が存在する。

次元収納 (じげんしゅうのう)

師匠の持つスキル。異次元の空間に物品を収納するスキルで、無機物であれば大概のものは収納できる。ただし他人が「装備」している武器や防具、生きている生物は収納できない。死体は収納できるため、料理などを作って収納することは可能。内部の時間は停止しているため、うまく活用すればいつでも出来立ての料理を食べることができる。このため師匠はフランの好物のカレーを作り置きして、次元収納で収納している。収納上限はあるが、浮遊島の破片を大量に入れてもまだ余裕があるレベル。非常に珍しいスキルで、師匠は魔狼の平原の主の一体「グラトニー・スライムロード」を倒し、その魔石を吸収して習得した。師匠は無用な注目を集めないよう、街中ではマジックアイテムに偽装した袋を使うことで、その使用をカムフラージュしている。

形態変化 (けいたいへんか)

師匠の持つスキル。師匠が自己進化して手に入れたスキルで、魔力を消耗することで、自らの形を変えることができる。剣のリーチを変えることができ、英傑級骸骨暗黒騎士との戦いではフランの戦技と連携して使うことで勝利の決め手となった。使いどころを見極めれば強力だが、質量は変えられない上に、燃費が悪いため、使い勝手は悪い。リッチとの戦いで覚醒したアナウンスさんによって「形態変形」のスキルに進化する。形態変形になったことで質量も変化できるようになり、使い勝手はかなり向上。鎧の形に変形することで防具としても使えるようになった。また刀や槍など、戦闘状況に応じて臨機応変に形を変えている。

分体創造 (ぶんたいそうぞう)

師匠の持つスキル。魔力を消耗してスキル使用者の分身を生み出すスキルで、師匠が使った場合、生前の姿の分身が生み出される。ただし分身は非常に弱く、制限時間がきたら消滅してしまうため、使い勝手は悪い。師匠は魔狼の平原の主の一体「ドッペル・スネイク」を倒し、その魔石を吸収して習得した。リッチとの戦いで覚醒したアナウンスさんによってSP化され、「複数分体創造SP(スペリオル)」へと進化する。SP化したことでかなり使い勝手が上昇し、分身の戦闘能力はかなり高くなり、さらに同時に5体まで分身を生み出せるようになった。

月宴祭 (げつえんさい)

3か月に1度行われる大きな祭。異世界の月は、大きな一つの「大月」と小さな六つの「小月」が存在し、銀月の神の力によって大月のみが満ち欠けする。六つの小月は7日周期で毎日消え去っていき、最後の日には大月のみとなる。これが異世界では「曜日」扱いとなっており、大月と六つの小月がある日が月曜日となり、大月のみがある日が日曜日のような扱いとなっている。日曜日から月曜日になると、六つの小月は一気に現れる。大月は完全な新月にはならず、少しずつ満ち欠けをするが、3か月に1度、満月となった大月と小月が出そろう日が存在する。この日は銀月の神を讃える特別な日となっており、「月宴祭」と呼ばれる祭が行われる。

クレジット

原作

棚架 ユウ

キャラクター原案

るろお

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