身海魚

身海魚

対ウイルス用の切り札として開発された特殊生命体であるK-1号が、人間の体を蝕む恐ろしいウイルスの数々と戦う姿を描いたアクション作品。「週刊少年ジャンプ」誌上で1999年1号から12号まで連載された。

正式名称
身海魚
ふりがな
しんかいぎょ
作者
ジャンル
アクション
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概要・あらすじ

日々凶暴化するウイルスを地球上から消すために、医学博士の凶嫪范が作り出した特殊な生命体のK-1号。人体の内部に入り込んでウイルスを除去する役割を担っていたK-1号は、しかし、人間に使役され続ける自身の不自由な境遇に対し、強烈な不満を抱いていた。そんなある日、嫪范の作った優れた点滴に目をつけた強盗団の襲撃によって、患者として病院を訪れていた諏訪寿の兄である諏訪大吉が、瀕死の重傷を負ってしまう。

彼を救うため、やむなくK-1号と大吉を合体させた嫪范だったが、念願の自由を得たK-1号はコントロールを失い、嫪范を殺害しようとする。しかし、寿の声を聞いて、「妹を救いたい」という大吉の想いが蘇ったK-1号は、その衝動に突き動かされるがままに強盗団を撃退。

K-1号は自身の心に宿った「思いやり」という感情に戸惑いながらも、寿を守るために凶悪なウイルスとの戦いを続けていく。

登場人物・キャラクター

K-1号 (けいいちごう)

凶嫪范が作り出した「身海魚」と呼ばれる対ウイルス用の超生物。性別は男。半漁人のような姿をしており、体の大きさを10メートルからミクロサイズまで自在に変化させたり、右腕を巨大なサメの姿に変えられるのが特徴。海水とともに人体に入り込み、その高い戦闘力をもって繁殖したウイルスを除去できる。エラ呼吸なため陸上では一切活動できず、水がないと死んでしまうという弱点を持つ。 性格はわがままかつ凶暴で自尊心が高く、創造主である嫪范を含め、常々人類を下等な存在として見下している。嫪范の指示で、患者の体内に巣食うウイルスを除去する任務に従事。ウイルス退治後に患者の体を乗っ取ろうとしては、捕獲されて連れ戻されるという日々を送っていた。病院に潜り込んだ強盗団の襲撃によって重傷を負った諏訪大吉と合体したことにより、陸上で活動できる人間の体を獲得。 念願の自由も得たが、諏訪寿を想う大吉の心に影響され、以降は自身の心境の変化に戸惑いながらも、寿を守るためにウイルスと戦うことになる。実は感染者に特殊な力を与え、化け物に変えてしまうヘドロウイルスである遺恨の遺伝子を改良して作られた生命体であり、遺恨とは親子のような関係の存在でもある。

凶 嫪范 (きょう ろうはん)

IQ840を誇る優秀な医学博士の男性。少年のような風貌をした34歳。凶暴化するウイルスの驚異から人類を守るため、身海魚のK-1号を作り上げた。医師としての志は高く、天才的な能力を持つ名医ではあるが、少し気が弱い面がある。わがまま放題で、身勝手な振る舞いを繰り返すK-1号の制御には手を焼いていた。K-1号が諏訪大吉と合体したあとも、彼に殺されかけたり、ちょっとしたことで脅しじみた悪態を突かれるなど、引き続き悩まされることになる。 散々な目にあってはいるが、それでもK-1号には大きな信頼を寄せていた。

諏訪 大吉 (すわ だいきち)

妹想いの心優しい男子高校性。妹の諏訪寿の病気を治すために、凶嫪范の病院を訪れ、そこで強盗団に撃たれて瀕死の重傷を負う。その際、自らK-1号の提案に乗り、彼と合体することになった。合体後に諏訪大吉としての意思はほとんど消えてしまうことになるが、寿に対する強い想いが、身勝手で凶暴だったK-1号の心にも影響を与えていく。 大人しい性格に似合わず派手な金髪をしているが、これは不良の生木によって無理やり着色させられたもの。

諏訪 寿 (すわ ことぶき)

諏訪大吉の妹。ショートカットの可愛らしい少女。心臓の疾患を治療するために凶嫪范のもとを訪れていた。実は心臓にヘドロウイルスの万枯がとりついている感染者。大吉と合体したK-1号は、彼女を守るために戦うことになった。少々天然な性格をしており、K-1号と合体して別人のように豹変した兄の性格に対しても無頓着だった。

万枯 (ばんこ)

諏訪寿の心臓に巣食っている、ヘドロウイルスの一種。まだ赤ん坊なため、一日の大半を眠って過ごしており、対外的な行動をすることもない。強大な力の持ち主で、寿の体内に潜り込んだK-1号を発見した際には、眠りをさまたげられたことを怒り、K-1号の体を瞬時にしおれさせていた。凶嫪范いわく、「史上最悪の殺人ウイルスかもしれない」とのこと。

遺恨 (いこん)

古代人の化石の中で眠っていたホウジロザメ型のヘドロウイルス。化石掘りをしていた宮本ステオに感染し、依り代を得たことで現代に蘇る。自身の遺伝子を利用して作られたK-1号のことを「息子」と呼んでいた。強大な万枯を目覚めさせ、地球を再びヘドロウイルスの天下にしようと目論み、K-1号を万枯に捧げるイケニエにするために倒そうとする。 戦闘力はK-1号よりも遥かに上。

宮本 ステオ (みやもと すてお)

凶嫪范の甥っ子。年齢は10歳。化石いじりを愛する明るい少年だったが、その過程でヘドロウイルスに感染してしまい、治療してもらうために嫪范のもとを訪れた。実はヘドロウイルスの遺恨によって心を制御されており、一連の行動も、同じヘドロウイルスから作られたK-1号をおびき寄せるためのものだった。

月野 幸一 (つきの こういち)

諏訪大吉の同級生である男子高校性。風紀委員を務める優秀な生徒で、全国模試トップの成績を誇る。面倒見も良く、大人しい大吉のこともよくかばっていた。しかし、内心では「いい人」としての自分、そして無力な人間を嫌悪しており、生木をけしかけて大吉のことをいじめさせようとしていた。実はヘドロウイルスの感染者で、毒針を含んだクラゲに似た触手を自在に操り、敵を攻撃する能力を会得している。 諏訪寿を特別視しており、我が物にしようと執着を見せていた。

生木 (なまき)

腕にミミズのようなタトゥーを入れた不良の男子高校性。諏訪大吉の頭を無理やり金髪にした張本人。裏で幼なじみの月野幸一に命令され、ことあるごとに大吉にちょっかいを出していじめていたが、大吉と合体したK-1号にコテンパンにされてしまう。

その他キーワード

ヘドロウイルス

感染者に特殊な力を与え、心ごと化け物へと変貌させる強大なウイルス。ウイルスの型により、発現する能力は異なる。ネズミのような小動物が感染すると、体がその力に耐え切れず、突然死してしまうこともある。

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