あらすじ
神が記述した歴史書・神の書物に反したという理由で、高嶺竜児、小次郎、星矢やその仲間達は、それぞれ別の世界からアトランティスへと引き込まれた。本来あるべき歴史を歪めた罪で存在を消滅させられる運命に抗うため、各自はそれぞれ、かつて倒したはずのライバル達と再び戦いを繰り広げる事となる。そんな中、城戸沙織は最も罪が重く、そして聖闘士達の希望である事から、神の書物に吸収されてしまう。
関連作品
本作『車田水滸伝』は、『聖闘士星矢』をはじめとして、『リングにかけろ』『風魔の小次郎』『雷鳴のZAJI』『男坂』など、車田正美の代表作のキャラクター達が登場するクロスオーバー作品となっている。また各作品のストーリー展開や基本的な用語についても、読者が原作を読んで理解している事を前提条件として執筆されている。
登場人物・キャラクター
高嶺 竜児 (たかね りゅうじ)
車田正美の『リングにかけろ』の世界からやって来た、ボクシング世界チャンピオンの少年。剣崎菊の弟で、剣崎順の義弟、ライバルでもある。神々が作り出した神器カイザーナックルの主人でありながら、それを放棄した事が神の書物を書き換える所業だったとして、大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。 アトランティスでは小次郎と行動を共にしながら、同じくアトランティスに引き込まれた菊を探している。
小次郎 (こじろう)
車田正美の『風魔の小次郎』の世界からやって来た、風魔忍軍の末裔の少年。名乗る際には出自と合わせ、「風魔の小次郎」と名乗る。戦士達を輪廻転生させて、4000年続けられていた聖剣戦争を終結させた事が、神の書物を書き換える所業だったとして、大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。アトランティスでは、高嶺竜児と行動を共にしている。
星矢 (せいや)
車田正美の『聖闘士星矢』の世界からやって来た、聖闘士の少年。紫龍、瞬、氷河、一輝とは異母兄弟の関係。まとう聖衣から「天馬星座の星矢」と名乗る事もある。城戸沙織と共に多くの神々を打ち倒して神話を歪めた事が、神の書物を書き換える所業だったとして、大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。 アトランティスでは単独で沙織の捜索をしていたが、のちに紫龍、瞬、氷河と合流。一度は生死の狭間をさまよったが、竜魔の協力を得て生還し、デスマスクに対峙する。
ザジ
車田正美の『雷鳴のZAJI』の世界からやって来た、人間兵器として訓練を受けていた少年。左目の下に三日月型の傷痕がある。アトランティスに引き込まれた理由は不明だが、菊川仁義と共に行動している。自己紹介の際、「雷鳴のザジ」とも名乗っている。
菊川 仁義 (きくかわ じんぎ)
車田正美の『男坂』の世界からやって来た、いずれ世界を変えるといわれている少年。右の頰と左目の下に大きな傷痕がある。アトランティスに引き込まれた理由は不明だが、ザジと共に行動している。
剣崎 菊 (けんざき きく)
車田正美の『リングにかけろ』の世界からやって来た若い女性。高嶺竜児の姉。剣崎順の妻であり、剣崎麟童の母親。竜児のボクシングの才能を引き出した事が、神の書物を書き換える一因となったとして、大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。アトランティスでは城戸沙織と行動を共にしており、レコラによって沙織が神の書物に吸収されるのを目の当たりにした。 また、沙織と初めて対面した際は誤って旧姓の「高嶺菊」と名乗り、訂正している。
城戸 沙織 (きど さおり)
車田正美の『聖闘士星矢』の世界からやって来た少女。ギリシャ神話の女神「アテナ」の化身であり、地上の平和と生命を守護する役目を持つ。神の一柱でありながら人間に加担し、多くの神々を打ち倒して神話を歪めた事が、神の書物を書き換える所業だったとして、大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。 アトランティスでは剣崎菊と行動を共にしながらも、星矢ら聖闘士達の小宇宙を察知してはその動向を心配していた。また菊の眼前でレコラによって、神の書物の中に吸収されてしまう。
剣崎 順 (けんざき じゅん)
車田正美の『リングにかけろ』の世界からやって来た、元ボクシング世界チャンピオン。剣崎菊の夫であり、剣崎麟童の父親。「スーパースター」と呼ばれており、高嶺竜児のライバルとして世界チャンピオンの座を争っていた。竜児のボクシングの才能を引き出した事が、神の書物を書き換える一因となったとして、大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。 妻である菊もまた、同じ理由でアトランティスに引き込まれた事を知り、探している。
紫龍 (しりゅう)
車田正美の『聖闘士星矢』の世界からやって来た、聖闘士の少年。まとう聖衣から「龍星座の紫龍」と名乗る事もある。星矢、瞬、氷河、一輝とは異母兄弟の関係にある。長い黒髪で、中華装束を身にまとっている。城戸沙織と共に多くの神々を打ち倒して神話を歪めた事が、神の書物を書き換える所業だったとして、氷河、瞬と共に大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。 星矢が華悪崇に苦戦している所に駆けつけ、星矢に代わり華悪崇と戦った。その際、聖剣を使う華悪崇に対し、山羊座のシュラから受け継いだエクスカリバーを使っている。
瞬 (しゅん)
車田正美の『聖闘士星矢』の世界からやって来た、聖闘士の少年で、一輝の弟。星矢、紫龍、氷河とも異母兄弟の関係にある。まとう聖衣から「アンドロメダ星座の瞬」と名乗る事もある。城戸沙織と共に多くの神々を打ち倒して神話を歪めた事が、神の書物を書き換える所業だったとして、紫龍、氷河と共に大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。 星矢が華悪崇に苦戦しているところに駆けつけ、紫龍にあとを任せて先へと進んでいる。
氷河 (ひょうが)
車田正美の『聖闘士星矢』の世界からやって来た、聖闘士の少年。星矢、紫龍、瞬、一輝とは異母兄弟の関係にある。まとう聖衣から「白鳥星座の氷河」と名乗る事もある。城戸沙織と共に多くの神々を打ち倒して神話を歪めた事が、神の書物を書き換える所業だったとして、紫龍、瞬と共に大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。 アトランティス到着直後、黄金聖闘士カミュに師事した頃の兄弟子アイザックと戦った。
一輝 (いっき)
車田正美の『聖闘士星矢』の世界からやって来た、聖闘士の少年で、瞬の兄。星矢、紫龍、氷河とも異母兄弟の関係にある。まとう聖衣から「鳳凰星座の一輝」と名乗る事もある。城戸沙織と共に多くの神々を打ち倒して神話を歪めた事が、神の書物を書き換える所業だったとして、大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。 アトランティス到着後、直接レコラのもとへ乗り込んでいる。
竜魔 (りょうま)
車田正美の『風魔の小次郎』の世界からやって来た、風魔忍軍の末裔にして、サイキックを用いて戦う事ができる少年。長い黒髪と左目を大きく縦に裂く傷痕があり、隻眼。名乗りの際には「独眼竜竜魔」とも名乗る。小次郎を探していたところ、大いなる揺り戻しによってアトランティスに引き込まれた。アトランティス到着直後、デスマスクと交戦。 積尸気冥界波を受けて死の世界の入り口に吸い込まれそうになるが、星矢の協力を得て踏みとどまり、生還した。
アイザック
車田正美の『聖闘士星矢』の世界で、氷河に倒され息絶えたはずの少年。ポセイドンに仕える「海闘士(マリーナ)」で、「クラーケンのアイザック」とも呼ばれる。左目を大きく縦に裂く傷痕があり、隻眼。アトランティス到着直後の氷河に、氷河の存在自体が神の書物を歪めているとして戦いを挑んだ。しかしその本心は、今後も神々の怒りが降りかかる事を踏まえて、それでも氷河が自分の信じる道を突き進めるのかという覚悟を確かめるためだった。
ゼウス
車田正美の『リングにかけろ』の世界で、高嶺竜児に倒されたはずの少年。アトランティスで剣崎順の前に現れ、竜児の才能を引き出した罪の告知と、同罪で剣崎菊も存在を消滅させられるためにアトランティスに引き込まれている事を告げる。
華悪崇 (かおす)
車田正美の『風魔の小次郎』の世界で小次郎に倒され、息絶えたはずの少年。白い長ランを身につけ、主に鳳凰天舞を武器に戦う。10本の聖剣を用いて星矢を追い詰めたが、助けに現れた紫龍と対決する。名乗りの際には「皇帝華悪崇」とも名乗る。
ヒュプノス
車田正美の『聖闘士星矢』の世界で、紫龍と氷河に倒されたはずの青年。額に六芒星が描かれている。カイザーナックルを手に高嶺竜児と小次郎の前に現れ、催眠術で小次郎を眠らせた。
タナトス
車田正美の『聖闘士星矢』の世界で、星矢に倒されたはずの青年。額に黒い五芒星が描かれている。カイザーナックルを手に高嶺竜児と小次郎の前に現れ、竜児に戦いを挑んだ。
デスマスク
車田正美の『聖闘士星矢』の世界で、紫龍に倒されたはずの黄金聖闘士の青年。まとった聖衣から「蟹星座のデスマスク」とも名乗る。カニを模したヘッドギアを付け、金色の鎧をまとっている。サイキック能力を持っており、アトランティス到着直後の竜魔を、積尸気冥界波を使って死の世界の入り口へ送った。
剣崎 麟童 (けんざき りんどう)
高嶺竜児の甥で、剣崎順、剣崎菊の息子。まだ言葉も話せない赤ん坊で、三人がアトランティスに引き込まれてしまってからは志那虎一城の実家である志那虎陰流道場に身を寄せており、香取石松が面倒を見ている。
志那虎 一城 (しなとら かずき)
志那虎陰流道場の道場主を務める男性。かつて高嶺竜児や剣崎順と共に世界の強豪ボクサーと戦い、「日本の黄金Jr.」と呼ばれた一人。竜児、順、剣崎菊がアトランティスに引き込まれてしまってからは、香取石松と剣崎麟童の拠り所となっている。
香取 石松 (かとり いしまつ)
かつて高嶺竜児や剣崎順と共に世界の強豪ボクサーと戦い、「日本の黄金Jr.」と呼ばれた一人。竜児、順、剣崎菊がアトランティスに引き込まれてしまってからは、剣崎麟童を保護し、志那虎一城の実家である志那虎陰流道場に身を寄せている。
スコルピオン
かつて高嶺竜児や剣崎順ら「日本の黄金Jr.」と戦った、ドイツ・ボクシングのJr.チャンピオン。世界各地で観測された時空の歪みと竜児らの関係について志那虎一城達に報告するため、ヘルガと共に来日した。
ヘルガ
かつて高嶺竜児や剣崎順ら「日本の黄金Jr.」と戦った、スコルピオンの参謀。IQは300を誇っている。世界各地で観測された時空の歪みと竜児らの関係について志那虎一城達に報告するため、スコルピオンと共に来日した。
レコラ
神の書物を管理している謎の女性。つねに目を閉じており、翼のような形をした長い耳を持つ。神が定めた運命の記述を歪めた罪人である高嶺竜児らに対し、それぞれに因縁のある人物を復活させ、大いなる揺り戻しを完遂するために存在を抹消しようとしている。星矢をはじめとした聖闘士が運命を切り開く希望を抱かないようにと、城戸沙織を神の書物へと吸収した。
集団・組織
聖闘士 (せいんと)
女神「アテナ」こと城戸沙織を守るために戦う戦士達の総称。守護星座をモチーフとした聖衣と呼ばれる鎧をまとっており、その種別によって黄金(ゴールド)聖闘士、白銀(シルバー)聖闘士、青銅(ブロンズ)聖闘士に階級付けられる。その拳は空を裂き、蹴りは大地を割るといわれている。
場所
アトランティス
大いなる揺り戻しによって、高嶺竜児らが引き込まれた世界。かつて世界の覇権を握ったとされる伝説の大陸だが実際の土地ではなく、怒れる神の記憶の中にある場所であり、時空の狭間に存在している。時空が歪んだアトランティスでは聖衣の材料の一つであるオリハルコンが存在していないため、聖衣自体が消失している。
志那虎陰流道場 (しなとらかげりゅうどうじょう)
京都にある志那虎一城の実家であり、彼が道場主を務めている剣術道場。剣崎麟童と香取石松が身を寄せている。また世界各地で観測された時空の歪みと高嶺竜児らの関係について報告するため、スコルピオンとヘルガが訪れた場所。
イベント・出来事
大いなる揺り戻し (あふたーくらっしゅ)
神の書物の記述に反する歴史が作られると引き起こされる事象。歴史を改竄し運命を切り開いた人物や、その影響を及ぼした人物を抹消し、本来記述されていた歴史へ修正するために起こる。
聖剣戦争 (せいけんせんそう)
4000年続けられて来た、大地と聖剣をめぐる戦い。決戦は月で行われるが、神によって意図的に、両者死亡の引き分けという結果を維持されていた。小次郎はこれを強引にねじ曲げ、聖剣すべてを破壊する事で終結させた。
その他キーワード
カイザーナックル
高嶺竜児が海に沈めた、オリハルコン製のメリケンサック。かつてアトランティスにおいて神々によって作られ、皇帝から代々、知恵と勇気を備えた人物に与えられてきたとされる。真の主が所持し、正義の戦いをする限り真紅に輝き、閃光を放つといわれている。竜児からは「カイザー」と略称されている。
聖剣 (せいけん)
大地の守護を目的として、月で神の手によって作られたとされる10本の剣。神が認めた戦士が手にして振るうと、神と同等の力を使う事ができるとされる。
神の書物 (かみのくろにっく)
レコラが所持・管理している、神が記述した歴史書。運命を切り開く者が現れると内容が書き換えられるが、その結果、歴史を修正する大いなる揺り戻しが発生する。デスマスクからは「クロニクル」とも呼ばれている。
聖衣 (くろす)
本来、聖闘士が身にまとう鎧。オリハルコン、ガマニオン、銀星砂でできているが、アトランティスにおいては時空が歪められており、オリハルコンが存在しないため、存在が消失している。
鳳凰天舞 (ほうおうてんぶ)
華悪崇が所持している、聖剣の一本。聖闘士が身にまとっている聖衣と同じくオリハルコンでできているが、鳳凰天舞は消失していない。また、生身の聖闘士達の攻撃をすべて弾く事ができる。
小宇宙 (こすも)
人間の体内に存在する宇宙的エネルギーの呼称。聖闘士は小宇宙を燃焼させる事で、常人では成し得ない威力の攻撃を繰り出す事ができる。また聖闘士が傷ついたり瀕死になると、小宇宙は弱まる。
エクスカリバー
紫龍が、黄金聖闘士である山羊座のシュラから受け継いだ技。手刀による攻撃だが、黄金聖闘士中でも最強の技と謳われており、いかなる物でも切り裂く事から「聖剣」を意味する「エクスカリバー」と称される。紫龍はこの技で、華悪崇の使用する聖剣と互角以上に戦った。
積尸気冥界波 (せきしきめいかいは)
デスマスクが使用する技。痛みも衝撃も与える事なく、魂だけを抜け出させ、死の世界の入り口である「黄泉比良坂(よもつひらさか)」に送る事ができる。
クレジット
- 原作