邪眼は月輪に飛ぶ

邪眼は月輪に飛ぶ

藤田和日郎の短期連載作品。超自然の力を持つフクロウに挑む、老猟師・鵜平の戦いを描いた伝奇アクション。見た物を殺すという能力の前に、最新鋭の兵器は役に立たず、鵜平の経験と、その娘で巫女の輪の祓いの力で戦っていく。

正式名称
邪眼は月輪に飛ぶ
ふりがな
じゃがんはがちりんにとぶ
作者
ジャンル
アクション
 
怪談・伝奇
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
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概要・あらすじ

見た物全てを死に至らしめる鳥。フクロウにも似たその鳥を追った老猟師、杣口鵜平は止めを刺す直前に力尽き、鳥は米軍が持ち去った。13年後、アメリカの空母が東京湾で岸壁に激突。乗員は全て死亡していた。空母で運ばれていたのは「ミネルヴァ」と名付けられたあの凶鳥で、東京を大混乱に陥れた。アメリカ国務省のケビンとマイケルは鵜平に「ミネルヴァ」を殺す助言を求めてやってくるが、人嫌いのため娘のを介してようやく助力を得た。

鵜平は、死の街となった東京でミネルヴァと再び対峙することになる。

登場人物・キャラクター

杣口 鵜平 (そまぐち うへい)

信州地方に住む老猟師。周囲の猟師からは、尊敬を込めて「仙人」と呼ばれている。智恵子とは輪を養女にするかで揉め、離婚。その後智恵子と共にミネルヴァを追い詰めるが、止めを刺す前に米軍に持ち去られた。智恵子の死後、自分だけ生き残った事に恥じて常に鳥の面を付けており、その両眼は潰れている。 偏屈だが、輪の言う事には従う。村田銃28番口径を愛用しており、日常会話の中にも山言葉が混じる。

智恵子 (ちえこ)

鵜平の元妻で輪の母。「圓市(えんいち)」、または「えんちさん」と呼ばれる巫女で、呪いの類を祓うことができる。鵜平と結婚したが、子供に恵まれなかったため、輪を養女として迎えようとするが、鵜平と意見が対立し離婚。その後鵜平がミネルヴァを撃つ際に、邪眼の呪毒を散らすために「荒神祓い」で助けた。 しかし、眼からの呪毒は防げたが、耳から体内に侵入され死亡。

(りん)

鵜平の元妻、智恵子の養女。離婚後に養子に入ったため、鵜平とは血は繋がっていない。母を死に至らしめた鵜平のことを憎んでいる。特殊な能力を持ち、祈祷師、拝み屋、地元では「圓市(えんいち)」、または「えんちさん」と呼ばれる巫女で、呪いの類を祓うことができる。地元でも、人々を祓うことで医学では治せない治療をしてきた。 母の智恵子と同じく、身体接触によって相手の心を読むという特殊能力を持つ。「荒神祓い」でミネルヴァの持つ呪いを一瞬だけ「散らす」ことができるが、散った毒は耳から入りこもうとする。大学では英文科を専攻し、ケビンたちの英語を理解できる。

ケビン

CIA職員。マイケルと共に国務省の書記官と身分を偽り、鵜平にミネルヴァ駆除を依頼しにやってくる。来日の際に愛車・フェラーリF50を持ち込む程のスピードマニア。実はホワイトハウスから大統領の命令で直接送り込まれた特殊工作員で、リードたちの狙撃が失敗した後に周囲の被害を問わずにミネルヴァにミサイル攻撃を仕掛けようとした。 元アメリカ空軍アクロバットチーム、サンダーバーズのメンバーだったが、「何があっても隊長機を信頼し付き従う」という不文律を守れず、隊長機が地面に激突した際にただ一人生き残った事を悔やんでいる。劇中では複座のハリアーに鵜平を乗せてミネルヴァの狙撃に協力した。

マイケル・リード

陸軍第一特殊部隊分遣隊、通称「デルタフォース」所属。階級は准尉。ケビンと共に国務省の書記官と身分を偽り、鵜平にミネルヴァ駆除を依頼しにやってくる。

グリースン

警察対テロ部隊(SWAT)のメトロポリタン競技大会・狙撃部門優勝。アメリカ特殊作戦チームの一人だが、トワイライト・フライト作戦の際にミネルヴァの邪眼によって死亡。配置後のコードネームはブラボー。

ドーキンズ

海兵隊武装偵察チーム・フォース・リーコンの狙撃手。アメリカ特殊作戦チームの一人だが、トワイライト・フライト作戦の際にミネルヴァの邪眼によって死亡。配置後のコードネームはチャーリー。

メドウズ

ロッキーのベテランハンターでマスターシューター。アメリカ特殊作戦チームの一人だが、トワイライト・フライト作戦の際にミネルヴァの邪眼によって死亡。配置後のコードネームはフォックストロット。

モーガン

オリンピックスキート射撃の金メダリスト。アメリカ特殊作戦チームの一人だが、トワイライト・フライト作戦の際にミネルヴァの邪眼によって死亡。配置後のコードネームはエコー。

フランク

アメリカ海軍の特殊部隊・Navy SEALs所属の狙撃手。150メートル離れた標的のピアスを撃ち抜く腕前。愛銃はレミントンのボルトアクション・スナイパーライフル。アメリカ特殊作戦チームの一人だが、トワイライト・フライト作戦の際にミネルヴァの邪眼によって死亡。配置後のコードネームはデルタ。

ミネルヴァ

外見は小型のフクロウだが、その正体は不明。その眼に見られた生物を殺すという特殊な能力を持ち、その能力を兵器として使おうと、鵜平が止めを刺すところを、米軍が保護。彼らによって「ミネルヴァ」の名が付けられた。13年後に空母ジョン・スチュールで中東へと移送中、空母の乗員を皆殺しにして東京に上陸。 繁華街で大量の死者を出した後、その姿がテレビで放送され、総理大臣はじめ首都圏を中心に全国で400万人以上が死ぬという異常事態となる。輪によると眼から「呪毒」を放ち、見たときには呪いの毒が届き、眼から身体に入って死に至る。見た物全て死に至るため、同じフクロウと一緒にいることもなく、見ることでも死なない彫像のフクロウに異様な執着を見せ、鵜平はそれを囮にする。

その他キーワード

ジョン・スチュール (じょんすちゅーる)

『邪眼は月輪に飛ぶ』に登場する艦船。アメリカ海軍の最新鋭空母。ミネルヴァを輸送していたが、脱走により乗員は全員死亡。コントロールを失った空母は東京湾の岸壁に激突する。

書誌情報

邪眼は月輪に飛ぶ 小学館〈ビッグ コミックス〉

(2007-04-27発行、 978-4091811974)

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