概要・あらすじ
第二次世界大戦中のヨーロッパで、ドイツ軍の進攻を食い止めるために、アメリカ陸軍の日系二世で編成された442部隊の中で、ハワイ出身者による特別隊・第100大隊としてマイケル佐藤軍曹をはじめ、サム・雷田軍曹、チャーリー一の瀬、浅井、ガマらは戦っていた。彼らはみな日本軍の真珠湾攻撃によってアメリカ国民から敵扱いされている家族を迫害から守り、土地を取り上げられないために、アメリカ人として忠誠を証明するべく集まった志願兵。
多くの日系二世の青年達が高校や大学を辞め軍隊に入隊していた。彼らは上官からも人間扱いされず、多くの犠牲を出しながら、味方陣地を狙う高射砲からの攻撃を打ち砕き、山の上に築かれた古城を戦車隊の襲撃から守るといった過酷な戦闘を続けていく。
さらにマイケル佐藤軍曹は、武器を持たせた先住民族によるドイツ軍の支配が進み混乱していたアフリカで、浅井、ガマらを率いて救出作戦に参加。しかし、仲間に見放され置き去りとなり、訪れた村の人々と共に敵の襲撃を逃れながらジャングルを進む事になる。
登場人物・キャラクター
マイケル佐藤 (まいけるさとう)
階級は軍曹。開戦前は父親がハワイでは名の通ったパイナップル農園を経営する裕福な家庭で育ち、優等生で高校代表に選ばれるアメフトの選手だった。分隊長として二世全体のため、白人将校に目を付けられるような部下達の素行の悪さには厳しい態度を取るが、遅れた仲間のために命令違反をして単身で捜索に戻るような、自らを犠牲にした行動も多い。 サム・雷田からはおせっかいが過ぎる性格と言われている。恋人の時田ゆかりがハワイで高校の女王に選ばれるが、翌日開戦となり一転して迫害を受け、自身も大佐の娘が準ミスとなった逆恨みから、訓練所で教官達から目の敵にされる。味方であっても汚いやり口は決して許さず、たとえドイツ兵でも状況に応じて無用な戦いを避ける事もある。 アメフトのコーチの言葉を胸に、試合終了のホイッスルが鳴るまでは決して諦めない不屈の精神の持ち主。
サム・雷田 (さむ・らいだ)
スタート時の階級は二等軍曹で、作中で少尉へと昇格、ハワイ訓練所時代の白人教官を部下にする。参謀第2部の情報担当。ハイスクール時代は1年3組で、モトクロスが得意。開戦時に密輸屋としてイタリア系マフィアの片目のバッタの縄張りを荒らし捕らえられていた所を、間一髪ガマ達第100大隊の有志に救われ、追っ手を逃れ入隊する。 頬の傷はこの時用心棒に斬り付けられたもの。生き残る事への執念が強く、目的を達するまでは死ねないというチャーリー一の瀬には、その目的を果たした後も今日を精一杯生き続けろと訴えた。また他人に何を言われても気にせず、死んでヒーローになるよりも生きて教室に戻れと毒づいているが、熊川には、その仲間への言葉は自分に言い聞かせているようだと見抜かれている。 密輸屋の経験から、物を隠したり奇抜な作戦を立てる事に優れている。お坊ちゃんのマイケル佐藤に比べて割り切って物事を考えるタイプだが、嫌いな上官を敵の手に掛け仲間の敵を討つといった熱い部分も持っている。祖国は日本だと思っている。
ラッキー浅井 (らっきーあさい)
第100大隊所属。ハワイのハイスクール時代はサム・雷田と同じ1年3組。クラスメイト達がサム・雷田の事を煙草の密輸屋をしていると噂し、日本の恥と軽蔑する中で唯一人かばった。面構えを買われて密輸の時に用心棒として雇われると、煙草と一緒にさらに大きな取引をしている事を嗅ぎつけ、サム・雷田に足を洗うように忠告している。 開戦から半年して、アメリカへの忠誠を示す道として二世部隊に志願。縄張りを荒らしてイタリア人ボスの片目のバッタに捕えられたサム・雷田を、部隊の有志達と救出した。その後マイケル佐藤に同行し、アフリカ戦線に参加。浅井とお互いに、どちらかが愚痴をこぼし、それをなだめる役回りをする。 船を奪うためにシスターの扮装で潜入し、気に入ったのかその後もしばらくその服装のまま行動していた。逃亡中に5名の死亡で済んだ被害を悪い数字じゃないと発した事で、ヨーロッパの市民達から、日本人は切腹、心中と死を軽く見ていると誤解されてしまう。
浅井 (あさい)
第100大隊所属。ハワイのハイスクール時代はサム・雷田と同じ1年3組。眼鏡を掛けて小柄な体格。授業にも出ず密輸屋をしているサム・雷田の事を日本の恥と罵る。入隊後、ハワイの訓練所で教官達からのしごきに耐え続けるマイケル佐藤の根性に感心し、父親が名の知れたパイナップル農園主でお坊ちゃんのマイケル佐藤ばかりを目の敵にする教官たちの行動に、何か裏があると感づいた。 山の上の古城に補給に向かうも、砲弾と間違えて爆弾を持ってきてしまう失敗をして、隊を危険な目に遭わせてしまったことがある。その後マイケル佐藤に同行し、アフリカ戦線に参加。ガマとお互いに、どちらかが愚痴をこぼし、それをなだめる役回りをする。 ジャングルを逃亡中、二世達に満足な食事を与えてくれない市民を守ってやる必要はないといきり立つ。
チャーリー一の瀬 (ちゃーりーいちのせ)
第100大隊所属。ハワイのハイスクール時代はサム・雷田と同じ1年3組。ハーバード大学を目指していた秀才。ドイツ兵の死体から時計を奪い、仲間達に売りつけている事から、「戦場のハゲタカ」と呼ばれる。年老いた両親が毎日畑まで8キロの道を歩いて往復している事から、自動車を買う金が貯まるまで送金を続けている。
熊川 (くまかわ)
第100大隊所属。ハワイのハイスクール時代はサム・雷田と同じ1年3組。チャーリー一の瀬を戦場のハゲタカ、サム・雷田を冷血な情報屋と呼び、マイケル佐藤のまともな生き方が好きだと応援する。一方で、仲間に毒づくサム・雷田の発言を自分に言い聞かせた言葉だと見抜いて温かく見守ったり、テストでカンニングさせてくれたお礼として、チャーリー一の瀬がドイツ兵の死体から奪った時計を買い、国に送る金を作らせるなど、クラスメイトには分け隔てなく接する仲間思いな性格。 弾薬が尽きてきた古城に敵が攻め込んできた時は、城の中で見つけた古い兵器や鎧で戦おうとした。窮地に陥り逃げようとする仲間には、国で虐げられている家族のためにも、作戦上重要な場所を何時間かでも守り抜いたという手柄を立てて自分達は死のうと呼びかける。
早見 (はやみ)
高校の同級生3人と共にドイツ軍の高射砲に責め続けられ苦戦する第100大隊に補充されてきた新兵。サム・雷田の部隊に兄のジム早見がいると聞き、1年ぶりの再会を夢見て好物の固焼き煎餅を持参してきたが、その日の朝に見張りをしていた兄は脱走を企てた捕虜のドイツ兵に殺されていた。 その後、そのドイツ兵を連れ出したサム・雷田に白人将校のレーサー少尉とともに、ドイツ軍の砲兵陣地で捕虜となる。非情で裏切り者のサム・雷田を軽蔑している。
時田 (ときた)
入隊後マイケル佐藤、サム・雷田らと一緒にハワイで訓練をする。姉はマイケル佐藤の恋人で、ハリウッドスターの登竜門と言われるムーンビーチ四高校のコンテストでナンバーワンの女王に選ばれた美女。外出禁止の中、度々見張りを志願して柵に開けた穴から抜け出し、近くのホテルでご馳走を用意している姉に会いに行っていた。 可愛がられていた教官のキーラー伍長を穴から外に出した晩、居眠りをして無断外出がばれ、その時の恨みで執拗なしごきを受けるようになってしまう。
カーター
二世に冷酷な態度を取る白人将校。階級は少尉。ドイツ軍に占領されていた村を奪い返し、歓迎ムードの中で羽を伸ばす二世達に、負傷者の手当てや弾薬、食料の補給も済まない内から次の戦地へ向かう指示を出した。兵隊は戦うマシーンだと、マイケル佐藤達を人間扱いしていない。陸軍士官学校を出たにも関わらず、高校生集団の二世達のお守りをさせられている事が気に入らないでいる。 アイルランド出身で、二世部隊を高く評価し、アメリカは移民の国なので白人も東洋人も関係なく一丸とならなくてはならないと主張する大佐の事を、陰で理想家と罵っている。
片目のバッタ (かためのばった)
ハワイで密輸組織を牛耳るイタリア人ボス。サム・雷田が密かに行っている大口の取引に勘付き探っていた。開戦の日、真珠湾が攻撃される中、目の不自由な老人に成りすましてサム・雷田に近付き、救出してもらいながら香水の匂いを嗅ぎつけ手口の見当を付けた。さらにサム・雷田の取引相手で、日本軍に占領され日系二世にも恨みを持っているフィリピン人を裏切らせ情報を得る。 シンジケートの掟に従い、縄張りを荒らしたサム・雷田の足をコンクリートで固めて海に沈めようとした。
シスター
アフリカ戦線でジャングルをさまよったマイケル佐藤達が辿り着いたカフカ族の襲撃が迫る村で暮らし、数人の修道女の仲間と共に行動している。スパイとして捕われた兵隊達の前に現れ、「悪人とは思えないので全住民が公平に船で乗れるように」と、裕福な人間しか乗船させない船長を説得して欲しいと頼んだ。 鍵と銃を渡すと、イギリス人の逃亡兵は自分達だけで逃げようとするが、マイケル佐藤がこれを阻止、船員達10人と戦う事を決める。船を奪う際、マイケル佐藤達が修道女に変装して潜入するために自分達の服を貸した。
大農園主 (だいのうえんしゅ)
アフリカ戦線でジャングルをさまよったマイケル佐藤達が辿り着いたカフカ族の襲撃が迫る村で、一番の資産家。ダイヤの鉱山を持っていると言われる。村では民間人が治安を任されており、守備隊長をしている。日系人である事からマイケル佐藤達をスパイ扱いし、イギリス軍の脱走兵とともに檻の中に閉じ込めた。 逃亡中もダイヤを持ち歩き、豊富な金を使って一人贅沢な食事にありついていた。身勝手な性格で、貧しい村に着くとマイケル佐藤の忠告も聞かず現地の人間を奴隷として狩り、ドイツ兵が現れると責任者としてマイケル佐藤を差出す。元イギリス軍大尉。
マーダー
SS親衛隊軍曹。負傷兵として捕らえられた後、アフリカ戦線を逃げ延びたマイケル佐藤と同じ傷病兵輸送機に乗り合わせる。トブルクからマルタに向かう途中で迎撃され、墜落したのを機に仲間と脱走。ドイツ軍が補給基地として使っていた村にマイケル佐藤を連れて逃げ込む。 好戦的でいつでも原隊に戻れるように、常に軍服を着用している。親衛隊としてのプライドが高く、上官でも年齢や出身で良し悪しを計り、国防軍の兵士を下に見ている。襲撃をしたパルチザンの居場所を村人たちに白状させるため、ナチス流のやり方として、家に火を付けて見せしめにした。国防省少尉が発作で倒れると薬を与えず、自分が代わりとなって指揮を執った。
シカゴ
イタリアの農民に成りすまし、ドイツ軍への反抗の準備を進めてきたパルチザンの1人。味方は村人の他に、イタリア将校や連合軍兵士の中にも紛れている。移民としてシカゴでホテルのボーイをしていたと語る。捕虜のイギリス兵やマイケル佐藤にも料理を振舞った。会話の中に地名を言わせて現在地を探ろうとする狙いを見抜き、物腰や服のセンスから諜報部員ではないかとマイケル佐藤に疑われる。