野人転生

野人転生

現実世界で死を迎えた野崎人志は、面倒くさがりの神の導きで、全裸で異世界の森の中に転生した。レベル1でチートなし、あるのはこの肉体と、元の人生で培った空手だけ。そんな「異世界転生もの」の定石に反する厳しい状況の中、彼はヤジンとして異世界で生き抜くことを決意し、サバイバルを開始する。何をするにも命懸けの過酷な異世界に転生したヤジンが、生きるために奮闘する姿を描く、極限異世界サバイバル。「月刊コミック電撃大王」2019年7月から掲載の作品。各話の最後には、原作者の野人による描き下ろしコラムが収録されている。

正式名称
野人転生
ふりがな
やじんてんせい
原作者
野人
作画
ジャンル
サバイバル
 
転生
レーベル
電撃コミックスNEXT(KADOKAWA)
巻数
既刊8巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

転生

ある日、34歳の野崎人志は人助けをしたものの、自らが車に轢かれて死んでしまう。その直後、彼はのもとで目を覚まし、自分が異世界に転生したことを知る。面倒くさがりの神から詳細を説明されないまま、転生先の異世界で全裸で目を覚ました彼は、自分がレベル1、スキルは空手だけといういっさいのチートがない状態であることを知り、むしろ自分らしくていいと潔くサバイバル生活を開始する。頼れるものは己の知識と空手だけという状況の中、彼は生きるために必要なものを次々に確保し、時にはゴブリンと戦って自らのレベルを上げていく。そして彼は、この見知らぬ異世界で「野崎人志」の名前を捨て、新たに「ヤジン」として生きていくことを決意。それから3か月が過ぎ、レベルが8まで上昇したヤジンは、自分がまるで密林の王にでもなったような気分でいた。しかし、そんなヤジンの浮わついた気持ちを一気に奈落に落としたのは、ゴブリンの上位種ホブゴブリンの存在だった。今までとは比較にならない強さのモンスターに遭遇し、初めて自分が狩られる側になったことで命の危険を感じたヤジンは、この森を出ると決め、新たな冒険への一歩を踏み出す。しかし、ヤジンは安眠できない状況が続き、肉体だけでなく精神的な疲労も蓄積されていた。また、人と会話することもなく過ごしてきたことで、人恋しさを極限まで募らせていたヤジンの前に、人間の女性マリアベルが姿を現す。思い切って声をかけるが、泥にまみれたヤジンの姿を見たマリアベルは、彼をゴブリンとカンちがいし、逃げ出してしまう。動揺するヤジンだったが、次の瞬間、マリアベルが逃げた方向から女性の悲鳴とホブゴブリンの咆哮を耳にする。この声はまちがいなく自分を襲ったあのホブゴブリンであると察したヤジンは、ホブゴブリンに捕まってしまったマリアベルを助けるため、無謀にもたった一人で戦いを挑む。

マリアベル

ホブゴブリンとの戦闘で大ケガを負い、意識を失ったヤジンが目を覚ますと、自分がベッドの上に寝かされていることに気づく。そこはまぎれもなく異世界の住居だった。自分が薬師のマリアベルに助けられ、保護されてケガの治療を受けたことを知るが、目の前に姿を現したマリアベルは、ヤジンが目を覚ましたことを確認すると、今すぐ逃げるようにうながす。マリアベルが住む村の村長Aの息子フィリッポは、ヤジンがホブゴブリンを倒し、希少な素材を手に入れたことを知っており、それを奪おうと仲間を引き連れて殺しにやって来たのだ。マリアベルが身を挺してヤジンを森へと逃がしたため、窮地を脱するが、ヤジンは自分のせいで捕われてしまったマリアベルを助けるために、いったん森で拠点を確保。ケガを治して体力を取り戻し、態勢を整えることを決めた。それから1週間後、覚悟を決めてヤジンが再び村へと戻ると、そこには手足を拘束されて痛々しい姿で監禁されたマリアベルの姿があった。ヤジンは無残なマリアベルの姿を見て怒り、自分に襲い掛かろうとするフィリッポと彼の手下たちを次々に殺害。その後、姿を現した村長Aと、その用心棒ヘーガルトをも殺害する。この状況下で、この村にとどまることはできないと考えたマリアベルの決断により、ヤジンとマリアベルは二人で村を出ることを決める。その行き先は、マリアベルの姉弟子クレイアーヌが住むロック・クリフだった。

冒険者ギルド

ロック・クリフに到着後、マリアベルと別れを告げたヤジンは、クレイアーヌのもとにマリアベルを送り届けたのち、一人で冒険者ギルドへと向かう。ギルドといえばRPGの世界のように、キレイな女性が受付をしているはずと期待を胸に冒険者ギルドの扉を開けると、ヤジンを迎えたのはゴツイ顔のギルドの受付の親父だった。冒険者として登録したいと告げるヤジンは、静かに周囲の様子をうかがっていると、人一倍大きく威圧感のある冒険者ゴンズから目をつけられ、ケンカを売られそうになる。しかし、ヤジンはこれまで学んだことを生かし、あからさまにゴマをすることでゴンズを懐柔。ゴンズの仲間であるアルブレヒト・カウフマンや、キモンとも知り合いになり、酒を酌み交わして親しくなることに成功する。この際に異世界や、ロック・クリフについて知識を習得したヤジンは、翌日ゴンズたちのパーティに参加させてもらえないかと打診する。ゴンズからは、実力のない者は必要ないと拒絶されそうになるが、彼らのパーティが必要としている斥候系スキルをヤジンが持っていることで、事態は一変。ヤジンは三人と行動を共にして、その実力とスキルをテストされることになる。

討伐依頼

冒険者として初めての依頼を無事終えたヤジンは、斥候系スキルを持つ者として、アルブレヒト・カウフマンゴンズキモンが組むロック・クリフでは最強のパーティに迎え入れてもらうことになった。そんなある日、前回と同じ内容のモンスター討伐依頼を受けることにした一行は、依頼主村長Bのもとへと向かい、詳しい話を聞く。討伐対象のグレイ・ウルフは五匹。前回の経験を生かし、ヤジンは自分が囮になっておびき出す重要な役割を自ら志願する。事は順調に進み、予定どおり討伐が終わると思われた矢先、ヤジンは新たに現れた10匹の敵の気配を察知する。その中には、グレイ・ウルフの上位種であるブラック・ウルフも確認できた。まずは五匹を倒したものの退却するには時間がなく、一行は新たに10匹と戦う覚悟を決める。ヤジンは傷だらけになり、出血で視界を塞がれながらも一匹ずつ着実にグレイ・ウルフを仕留めていく。その時、ヤジンに襲い掛かってきたのは、敵のボス的存在のブラック・ウルフだった。グレイ・ウルフとは比較にならない大きさと強さに圧倒され、ブラック・ウルフの爪が鎧の中の鉄板をも貫通した時、ヤジンは命の危険すら感じることとなる。そこで一か八か、服の内側に忍ばせておいた香辛料を使い、相手が怯んだところで首を羽交い絞めにして、ヤジンはなんとか勝利する。一行が九死に一生を得て村へと戻り、虚偽の依頼内容で自分たちを危険にさらした村長Bを問い詰める。

狙われる日々

ロック・クリフでの冒険者稼業も板についてきたヤジンは、採取した薬草で傷薬を調合したり、あいた時間を利用してギルドの受付の親父から情報収集したりと、ひとときの安らぎを手に入れた。しかしそれもつかの間、ヤジンはほかの冒険者たちから命を狙われているという不穏な噂を、受付の親父から聞くことになる。ヤジンは新参者でありながら、実力者であるゴンズアルブレヒト・カウフマンキモンと共にパーティを組んでいることで、実力者に取り入って金をため込んでいるとひそかに噂されていたのだ。命を狙われていることを知ったヤジンは、警戒しながら町中を歩いていると、見知らぬ三人組が自分をつけ狙っていることに気づく。生きるためには戦うしかないと覚悟を決め、三人を迎え撃つことにしたヤジンは、彼らを森におびき出して声をかける。多勢に無勢とはいえ、経験を積んでスキルの発動を習得したヤジンにとって、もはや彼らは敵ではなかった。しかし三人を倒してもなお、日々入れ替わりで刺客が押し寄せ、ヤジンに安寧が戻ることはなかった。そんな日々にヤジンは辟易し、短期間のうちにやつれて次第に心も荒んでいく。そんなある日、特に治安の悪いスラムで最大限の警戒をしながら用を済ませたあと、町に戻ろうとしたヤジンは、スラムの出口で気を緩めた瞬間に新たな刺客に襲われてしまう。短剣で腹部を刺されてしまったヤジンは、相手を返り討ちにするが診療所に向かう道中、毒が回ったことで気を失って倒れてしまう。

登場人物・キャラクター

主人公

現実世界では「野崎人志」という名前の独身男性で、年齢は34歳。ある日の通勤途中、車に轢かれそうになった学生を身を挺して助けた結果、自分が車に轢かれて死亡した。直後、神のもとで目を覚まし、異世界に転生す... 関連ページ:ヤジン

(かみ)

ヤジンが「野崎人志」として生きていた現実世界を統べる神。ヤジンの死後、一方的に異世界での転生を決め、人志に反論の余地を与えないまま強引に実行した。もともと先代の神が、転生先の神と定期的に魂を交換する契約を行ったため、神が代替わりしてもその契約が生き続けており、地球から転生先の異世界へと魂を送らなければならない状況が続いている。神という立場にあるにもかかわらず、何かと面倒くさがる。ヤジンから突然の異世界転生に対する詳細な説明を求められたが、それすらも面倒くさがり、最低限しか説明しないまま、転生先に合わせてヤジンを作り直し、チートはいっさいなしで異世界へと強引に送り出した。

マリアベル

ヤジンが初めて異世界で出会った人間。森の中で偶然ヤジンと遭遇し、ヤジンをゴブリンと見まちがえ、その場から逃げた。直後にホブゴブリンから襲われるが、間一髪のところをヤジンに助けられ、ホブゴブリンと対峙して大ケガをしたヤジンを保護し、自分の家に連れ帰った。その後、ヤジンに目をつけたフィリッポたちからの襲撃に遭い、自分の身を挺してヤジンを逃したのち、フィリッポに手足を縛られて監禁されることになるが、1週間後、力を蓄えて戻ってきたヤジンに助けられた。だが、ヤジンが村長Aやフィリッポ、ヘーガルトを殺したことにより、マリアベル自身も村にいられなくなり、ヤジンと共に村を出る決意をする。それから、姉弟子のクレイアーヌがいるロック・クリフを目指してヤジンと二人で旅をすることになった。実は幼い頃に流行り病で両親を失い、孤児となった。その際、村に派遣された薬師の女性によって病は収束し、マリアベルは薬師の女性に弟子として引き取られ、村で隠居生活を送るその女性に薬師として育ててもらった。当初は両親が死ぬ前に来てくれなかった彼女のことを責めることもあったが、人の命を助ける仕事をする女性を次第に尊敬するようになり、自分を育ててくれたことに感謝するようになった。優秀な薬師に英才教育を受けただけあって、薬師としては非常に優秀。博愛主義者で天然なところもあるが、芯の強い性格をしている。ヤジンを慕っており、通常であれば何年も連れ添った弟子以外絶対に教えない傷薬の配合を教えた。

村長A (そんちょうえー)

異世界の村で村長を務める男性。先祖代々領主を務めていた親から厄介払いされた庶子で、小悪党ながら、村の運営はそつなくこなしていた。ずっと子宝に恵まれなかったため、年齢を重ねてからできた息子のフィリッポを溺愛している。そのため、村にとって貴重な存在である薬師のマリアベルをダメにしかねない息子の行動を止めることができなかった。その後、フィリッポがヤジンに殺されたことを知った際には、逆上して自分の用心棒である騎士くずれの流れ者ヘーガルトをヤジンに刺し向け、殺すように命じた。しかし、結局ヘーガルトもヤジンに返り討ちに遭い、ヤジンが自分のもとへと来た時、命乞いをした。だが聞き入れられず、自分を殺せば地獄まで道連れだとヤジンを脅し、その責任をマリアベルに向けようとしたため、ヤジンによって命を絶たれた。

フィリッポ

異世界の村で暮らす村長Aの息子。左目の横に特徴的な模様が掘り込まれている。父親である村長Aからは甘やかされて育ったため、暴力的で傲慢な性格をしている。後先考えず、目先の欲望を満たすことしか考えていない短絡的な思考の持ち主。この世界では貴重で高価な素材を持つホブゴブリンを倒したヤジンに目をつけ、殺害をもくろむ。またヤジンを保護し、匿ったマリアベルを、監禁して薬づけにしようと企んでいたが、のちにヤジンからの襲撃に遭う。その際、ブラジリアンハイキックをもろに食らって即死した。

ヘーガルト

全身をプレートアーマーで覆った騎士姿の用心棒の男性。異世界の村で暮らしている。正式な騎士ではなく、見習いの段階でケガをしてしまい、ケガが原因で騎士団を解雇される。荒れて町でケンカを繰り返していたある日、ケンカ相手を殺してしまい、領主だった父親からロック・クリフを追放されたのち、流れ流れて村長Aに用心棒として雇われることとなった。本格的な対人剣術を学んでいたため、村の自警団に剣を教えながら、村長Aにあてがわれた未亡人とうまくやっていた。その後、村長Aから呼び出され、ヤジンと戦うことになるが、その戦闘の最中に足関節を破壊され、首の骨を折られて死亡する。

ゴンズ

スキンヘッドの巨漢な男性。もともとは異世界にあるとある村の村長の次男として生まれ、何不自由なく暮らしていた。だが、優秀な兄と比べられることに辟易していた時、商人に騙されて勝手に契約書にサインしたことで村に損失を出してしまう。それがきっかけで父親から見限られてしまい、12歳という若さで村を飛び出し、それ以来冒険者として生活を続けている。ある時、ロック・クリフの冒険者ギルドに姿を現したヤジンに、気に入らないという理由だけでケンカを売ろうとしたが、全力でゴマをすられ、あっけなく懐柔されてしまう。その後、ヤジンが斥候スキルを持っていることを知り、同じ冒険者のアルブレヒト・カウフマンとキモンのパーティにヤジンを参加させることを決めた。その体格に似つかわしくない俊敏性を持っており、肉体のポテンシャルだけなら人族の中でも上位レベルに位置している。しかし優れた肉体に比べて頭が悪く、指の本数を超える数は数えられない。また、頭に血がのぼりやすく、言葉よりも手が先に出る単純なタイプ。人を殺すことにまったく躊躇がなく、気に入らないとすぐに愛用の斧を相手に振り下ろそうとする。その強さと凶暴性から、ロック・クリフの冒険者たちに恐れられている。頭髪は剃れるときには毎日剃ってスキンヘッドを維持している。武器はモンスター退治用には鉄製の戦斧を、町中での装備用には細工入りの片手斧を使用している。ロック・クリフでは、冒険者のあいだでゴンズにカツアゲされると、戦神の加護を得るという噂が流れているため、カツアゲしてもありがたがられるという不思議な現象が起きている。

アルブレヒト・カウフマン

メガド帝国の男爵家三男として生を受けた元貴族。学校を優秀な成績で卒業し、官僚としてエリートの道を進んでいたが、とあるトラブルから死を偽装して小国家群へと逃げることになった。メガド帝国と比較して、あまりにも野蛮な小国家群の暮らしに苦労していた時、ゴンズと出会った。戦闘能力は高いが、頭が悪く交渉力に乏しいゴンズと、頭がよくて交渉力は高いが戦闘能力の低い自分で、互いに足りないものを補い合ってパーティを組むことになり、信頼できる冒険者のパートナーとして共に歩むことになった。物腰が柔らかいイケメンで、肩にかかるくらいの金髪をいつも後ろで束ねている。荒くれ者の多い冒険者たちになめられそうな外見だが、女性を籠絡して手に入れた情報や、スラムの裏ギルドとのつながりを利用して敵対者を排除している。そんなアルブレヒト・カウフマンのやり方は、ゴンズよりも恐ろしいとして一部から認識されており、一部からは恐れられている。現在活動の中心となっているロック・クリフの冒険者ギルドでは、新参者のヤジンを警戒するものの、酒を酌み交わしたり、話をしたりしたことである程度受け入れる姿勢を見せる。翌日、ヤジンが斥候スキルを持っていることを知り、ゴンズやキモンと組んでいる自分たちのパーティに参加させることを決めた。その後は、ヤジンをフォローして気遣いながら、慎重に依頼をこなそうとする彼を仲間として認めていく。武器はナイトソードを愛用している。ロック・クリフでは、冒険者のあいだでゴンズにカツアゲされると、戦神の加護を得るという噂が流れているため、カツアゲされてもありがたがるという不思議な現象が起きているが、この噂のもとはアルブレヒト自身であり、裏で情報操作を行っている。

キモン

ボサボサ髪をしている狩人の男性。二人パーティでの限界を感じたアルブレヒト・カウフマンにより、新たにパーティに誘われた。弓の腕は確かで、障害物の多い森でも木々の合間を縫うように、動くターゲットを正確に射ることができる。一方で、斥候技術については最低限にとどまる。弓の腕が良過ぎるため、適当に森に入って獲物を遠距離から仕留めるだけで仕事を終わるため、斥候技術を磨く機会があまりなかった。ふだんはほとんどしゃべらないが、実は昔はかなりのおしゃべりだった。自分のおしゃべりのせいで、狩人の師匠が命を落として以来、自分の口は災いを呼ぶと思い込み、しゃべるのを控えている。本当は頭の中で、たくさんの言葉が浮かんでいるが、それを表情や口に出すことはない。キモン自身が活動するロック・クリフの冒険者ギルドでは、新参者のヤジンを警戒するものの、酒を酌み交わしたり、話をしたりしたことである程度受け入れる姿勢を見せる。翌日、ヤジンが斥候スキルを持っていることを知り、アルブレヒトやゴンズと組んでいるパーティに参加させることを了承した。その後は、これまで自らが兼務していた斥候役をヤジンに頼み、フォローし合いながらも慎重に、かつ着実に依頼をこなすヤジンを仲間として認めていく。武器はロングボウを愛用しており、背中にはつねに近接戦闘用の短剣を二本装備している。なじみの娼婦がいるが抱くことはない。金を払って彼女との時間を買い、食料を渡して経済面で支えることで彼女を守ろうとしていた。それはその娼婦が自分の妹に似ていたためで、妹は幼少期に奴隷として売られてしまった。当時泣き叫ぶ妹の声や自分の無力さが心に焼き付いており、その娼婦を大切にすることで、何もできなかった自分の罪滅ぼしと考えている。

クレイアーヌ

マリアベルの姉弟子。独り立ちしてロック・クリフに診療所を構えている。非常に優秀な薬師で、その存在はかなり希少なものとして扱われており、領主のミーガン伯爵に養女に迎え入れられた。貧しい人たちも差別することなく治療を行うため、町の人々から尊敬を集めている。居場所をなくして自分を訪ねてきたマリアベルを歓迎して保護し、マリアベルを連れてきてくれたヤジンに対しては、感謝を伝えるにとどめた。彼の存在がマリアベルの今後に悪影響を及ぼすことを心配し、ヤジンを警戒していたが、それを察してマリアベルの前から自主的に去っていったヤジンの行動を受け入れ、彼の身を案じた。

村長B (そんちょうびー)

小さな村の村長を務める男性。ロック・クリフの冒険者ギルドに、家畜を襲う五匹のグレイ・ウルフの討伐を依頼した。依頼を受けてくれたアルブレヒト・カウフマン、キモン、ゴンズ、ヤジンたち四人の冒険者パーティを歓迎し、正式に討伐を頼むことにした。しかしグレイ・ウルフだけにとどまらず、その上位種であるブラック・ウルフもいたため、ヤジンたちを命の危険にさらすことになった。実は初めからグレイ・ウルフが五匹以上存在する可能性に気づいていたが、依頼料を安くするために黙っていた。一般的に一つのパーティで対応できるのは五匹が限度だが、依頼を引き受けたパーティの生死で討伐数を判断すればいいと考えていた。結局依頼を遂行したパーティが帰還したことで、すべてのウソは公になり、怒り狂ったゴンズからは頭を叩き割られそうになり、アルブレヒトからは、容赦のない賠償交渉が行われた。

ギルドの受付の親父 (ぎるどのうけつけのおやじ)

ロック・クリフの冒険者ギルドで受付を務める男性。右頰に十字の傷痕があり、かつては名うての冒険者だった。ヒマがあるとすぐに自分の所にやって来るヤジンを、面倒くさいと思いながら相手し、ギルドの受付の親父自身の冒険者としての経験を話して聞かせ、自分が知っているさまざまな情報を教えた。不穏な噂を聞きつけた時には、ヤジンが狙われていることを報せた。

三人組 (さんにんぐみ)

ロック・クリフでヤジンの命を狙っている三人組の男性。新参者の冒険者が実力者パーティに取り入り、稼いだ金を散財せずにため込んでいるという噂を聞き、ヤジンを殺して財産を奪おうと画策している。しかし、町中から尾けていたのをヤジンに気づかれ、森までおびき出された上に大敗を喫し、全員ヤジンに殺されることとなった。

場所

異世界 (いせかい)

ヤジンが転生した先の世界。モンスターや魔法が存在し、大きな森の周辺に大小さまざまな町や村が点在している。住人にはレベルやスキルが存在し、経験を積むことでレベルが上昇し、新たなスキルを獲得することができる。ただし、同種族の殺し合いでは経験値がほぼ入らないシステムとなっている。自らの状態は、町にある教会の魔法具で確認することができるが、ヤジンだけはステータスボードを見ると確認することができる。

ロック・クリフ

異世界にある小国家群の一つ。領主はミーガン伯爵が務める。蛮族との戦いのために作られた城塞都市というだけあって、高い壁に囲まれており、威容を誇る。現在は前線基地としての役割を終え、交易都市として栄えている。外から町の中に入るには審査があり、通行手形が必要となる。北側には聖域の森を擁する小国家群の盟主フォーレスト聖森国が、西にはアスラート王国、東にはクレイザー王国、南にはマリアーノ王国などがあり、北側を森で、ほか三方を海で囲まれた陸の孤島に存在している。小国家群の外堀に位置するリーガム王国や、メガド帝国で居場所を失った犯罪者たちが最後に流れ着く場所の一つでもあり、治安はあまりよくない。

その他キーワード

魔石 (ませき)

魔道具の燃料や、錬金術の触媒として使用される道具。長く生きたモンスターの体内で生成され、上位種のモンスターが持っていることが多い。ダンジョンのような魔素が高濃度な場所では、比較的短時間で作られるが、質が悪くなるために価値はかなり下がる。消耗品のため、つねに需要があり高値で取り引きされる。

クレジット

原作

野人

書誌情報

野人転生 8巻 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉

第1巻

(2020-01-27発行、 978-4049129670)

第2巻

(2020-07-22発行、 978-4049132823)

第3巻

(2021-02-27発行、 978-4049136692)

第4巻

(2021-09-27発行、 978-4049139860)

第5巻

(2022-07-27発行、 978-4049145151)

第6巻

(2023-02-25発行、 978-4049149180)

第7巻

(2023-08-24発行、 978-4049151947)

第8巻

(2024-03-27発行、 978-4049156690)

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