概要・あらすじ
日本中華料理界の頂点を決める料理大会ビッグ大谷日堂杯に出場した天才料理人秋山醤。醤の目的は、大会を陰で操るアメリカの新興チェーン店十三龍(サーティーンドラゴン)の元締めエリザ・バートリーによって奪われた、秋山家に伝わるレシピ帳、秋山ノオトを取り戻すこと。しかし、大会に出場しているのは十三龍(サーティーンドラゴン)に所属するブルー・メナールをはじめ、腕利きの料理人ばかり。
さらに醤と確執のある審査員の大谷日堂やその娘の大谷水月、そしてエリザの秘書佐藤田十三など、さまざまな人物の思惑が錯綜する中で、醤はエリザによって受けた大怪我を隠しながら、強敵との料理勝負に挑むのだった。
登場人物・キャラクター
秋山 醤 (あきやま じゃん)
「中華の覇王」という異名を持つ祖父の秋山階一郎に英才教育を受けて育てられ、天才的な腕前を持つ料理人。しかし「料理は勝負!」を信条とし、勝つためには手段を選ばない姿勢から、「腕前は一流だが性格は最悪」と評されることが多い。前作では坊主頭だったが、今作では髪の毛が伸びている。中国に住む祖母の桃明輝の店で五番町霧子と共に三年間の修行を終えて五番町飯店に戻った直後に行方をくらませる。 アメリカで放浪していたところを、エリザ・バートリーにスカウトされるが、それを断ったためエリザに秘伝のレシピ帳、秋山ノオトを奪われ、さらに車にはねられて大怪我を負っている。秋山ノオトを取り戻すため、ビッグ大谷日堂杯に出場して、大会を陰で操っている十三龍(サーティーンドラゴン)の元締めエリザとその秘書の佐藤田十三を倒そうとしている。
五番町 霧子 (ごばんちょう きりこ)
中華料理店の五番町飯店に所属する。「料理は心」が信条の料理人で、食べた人を喜ばせるための料理を心がけている。そのため秋山醤とは反発しあっているが、醤の腕前は誰よりも評価している。祖父であり五番町飯店の前オーナー五番町睦十が死去したことをきっかけに、醤と共に中国で料理修行をしていたが、帰国後、五番町飯店のオーナーになる。 五番町飯店を去った醤がビッグ大谷日堂杯に出場していることを偶然知り、会場に駆けつける。大会後は五番町飯店のカンフル剤として醤を店に雇い入れるなど、料理人としてだけではなく、経営者としても才覚を表す。
エリザ・バートリー (えりざばーとりー)
ティーンエイジャーの少女だが、アメリカの新興チェーン店十三龍(サーティーンドラゴン)の元締めバークリー・フーズの社長。自分の執事兼食育係である佐藤田十三には複雑な感情を抱いている。十三龍(サーティーンドラゴン)への勧誘を断った秋山醤をトラックで跳ね飛ばし、調理器具や秋山ノオトの入った醤のカバンを拾ったことで、醤から狙われるようになる。
佐藤田 十三 (さとうだ じゅうぞう)
「厨房の魔法使い」を自称する料理人で、栄養学以外にもありとあらゆる学問に精通し、豊富な知識を活かした料理を得意とする。その才能を見込まれてエリザ・バートリーの執事兼食育係としてバートリーフーズに雇われている。十三龍(サーティーンドラゴン)の責任者も務め、ビッグ大谷日堂杯をサポートしていたが、秋山醤の活躍を目の当たりにしたことで料理人に復帰することを望むようになる。 そしてビッグ大谷日堂杯で優勝した秋山醤に対し、エリザの盗んだ秋山ノオトをかけての料理勝負を申し込む。
大谷 日堂 (おおたに にちどう)
「神の舌」と呼ばれるほど優れた味覚を持つ料理評論家で、ビッグ大谷日堂杯審査員のひとり。日本の中華料理界を支配するという野望を持っている。秋山醤と確執があり、料理大会で審査を行うたびに難解な課題を提示し、醤の料理が失敗するように仕向けるが、人並み外れて優れた味覚を持つために誰よりも醤の料理に感動してしまうという苦悩を持つ。
大谷 水月 (おおたに みずき)
ビッグ大谷日堂杯に出場した料理人のひとり。極東中華厨房(ファーイーストチャイニーズキッチン)に所属する16歳の少女。メイド服やナース服、スクール水着などのコスプレで出場し観客を沸かせるが、料理の腕前は確か。「料理は腕力」が信条で、調理中にまな板を切断するほどの怪力を持ち、「神の腕力」を自称。 怪力を活かした調理法を得意とする。実の父親は腕の良い中華料理人で、自分の店を持っていたが、借金を残して死去。遠い親戚だった大谷日堂に引き取られ、大谷の養子になっている。
ブルー・メナール (ぶるーめなーる)
ビッグ大谷日堂杯に出場した料理人のひとり。十三龍(サーティーンドラゴン)に所属する料理人の中でもトップクラスの実力を持つ。筋肉質で長身の男性だが、メイド服を着用し、女口調で話す。かつてはニューヨークのホテル・B(ブルックリン)に勤める料理人だったが、周囲に腕前を評価されず、鬱々とした毎日を過ごしていた。 そんななかで唯一佐藤田十三にだけ腕前を評価され十三龍(サーティーンドラゴン)に引きぬかれたという経歴を持つ。そのため佐藤田に対して恩義を感じており、佐藤田を狙う秋山醤を危険視している。
小此木 タカオ (おこのぎ たかお)
五番町飯店に勤める料理人。秋山醤が心を許す数少ない人物で、醤とは親友同士。前作では料理の腕前は素人同然だったが、醤や五番町霧子を驚かせるような料理を作るほどに成長している。一時期は五番町飯店の二番鍋に任命されていたが、帰国した醤のサポートをするため、わざと失敗し続けて再び見習いに降格している。
蟇目 檀 (ひきめ だん)
かつて五番町飯店に所属していた料理人。「料理は才能」が信条で、野心にあふれた性格。秋山醤を自分の手下にしようとして失敗したことがある。桃明輝の店で修行をした後、湯水グループに招聘され冷凍食品の開発を担当。醤を湯水グループに引き入れるよう湯水スグルに命令される。 湯水グループをスポンサーとして、自分の店を日本一にするという野望を持ち、あわよくば醤を引き抜こうとしている。
五行道士 (ごぎょうどうし)
「裏食医」と呼ばれる、料理を介して人体を操る術を身につけた人物。「料理は成仏」が信条。料理勝負で秋山醤に敗北した経験を持つ。桃明輝の店で修行をした後、湯水グループに招聘され冷凍食品の開発を担当。醤を湯水グループに引き入れるよう湯水スグルに命令される。 命令には従いながらも、醤を倒そうと企んでいる。
尾藤 竜二 (びとう りゅうじ)
XO醤に絶対の信頼を置く料理人。料理勝負で秋山醤に敗北した経験を持つ。湯水グループに招聘され冷凍食品の開発を担当。醤を湯水グループに引き入れるよう湯水スグルに命令される。大谷日堂を崇拝しており、日本の料理界は大谷が取り仕切るべきと考えている。
湯水 スグル (ゆみず すぐる)
巨大企業湯水グループの若き社長。料理勝負が好きで、素人ながらプロ並みの料理の腕前を持ち、秋山醤たちとも渡り合った経験を持つ。現在は社長業が多忙なため、料理勝負をすることができないことが悩み。ビッグ大谷日堂杯では仮面をかぶり、甘えん坊将軍を名乗って審査員を務める。 ビッグ大谷日堂杯終了後は、湯水グループが冷凍食品部門に参入するため、開発担当として醤を引き入れようと計画する。
秋山 爆 (あきやま ばく)
秋山醤の父親。醤が赤ん坊のころに、醤の母親とともに死去している。醤の祖父の秋山階一郎と同じく、優れた中華料理人であったらしく、階一郎のレシピに自分の改良を加えたレシピ集、秋山ノオトを残す。
淫井 妖蔵 (みだらい ようぞう)
日本バンカーズクラブ会長で、日本経済界のトップが集結した経済団体同盟(経同盟)メンバーのひとり。湯水スグルの能力を評価し、湯水グループのバックアップをしているが、内心では湯水グループを乗っ取ろうとしている。五番町飯店で行われた秋山醤、蟇目檀、伍行懐、尾藤竜二たちのフカヒレ料理勝負の場にあらわれ、「一人前の材料費が千円」という課題を提案する。
クレジット
- 監修
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おやまけいこ
前作
鉄鍋のジャン! (てつなべのじゃん)
料理を勝負と考え、勝つためには手段を選ばない極悪非道な中華料理人の主人公秋山醤が、ライバルの料理人たちと繰り広げる料理勝負を描く。料理描写の監修はフード・コーディネーターのおやまけいこ。 関連ページ:鉄鍋のジャン!
続編
鉄鍋のジャン!!2nd (てつなべのじゃん せかんど)
西条真二による漫画作品『鉄鍋のジャン!』及び『鉄鍋のジャン!R 頂上作戦』の続編。天才的な腕前を持つが、勝負に勝つためなら手段を選ばない極悪非道な料理人・秋山醤の活躍を描いた作品。ジャンの息子で、同じ... 関連ページ:鉄鍋のジャン!!2nd