概要・あらすじ
定食屋「食事処ゆきひら」の跡取り息子・幸平創真は、父の幸平城一郎から遠月茶寮料理學園に入学するよう言い渡された。遠月学園は優れた料理人を作り上げるための超エリート校で、入学した創真は場違いな存在として周囲の生徒たちから反感を買う。しかし、遠月学園の厳しい課題や、「食戟」と呼ばれる料理勝負を乗り越えながら、創真は頭角を現していく。
登場人物・キャラクター
幸平 創真 (ゆきひら そうま)
大衆食堂「ゆきひら」で幼少期から料理の腕を奮ってきた。父の城一郎によって料理人を育成する遠月学園に編入し、そこで料理人としての腕を磨く。マイペースな性格で誰にでも気がねなく接するが、料理勝負においては好戦的。特にゆきひらや、自分が認めた者のためには積極的に戦おうとする。 得意ジャンルは大衆料理で、ゆきひらで培われた状況対応能力や、あらゆる経験を生かそうとする吸収力を武器とする。
薙切えりな (なきりえりな)
『食戟のソーマ』のヒロインの一人。遠月学園の高等部一年生であり、総帥・薙切仙左衛門の孫娘。十傑に遠月学園史上最年少で入り、席次は第十席。鋭敏な味覚と感性は「神の舌」とまで呼ばれており、日本中の名店から味見役を依頼されている。遠月学園の編入試験を任され、そこで出会った幸平創真を敵視するようになるが、内心その料理を認めてもいる。 過去に幸平城一郎と出会った事があり、その素性も知らぬまま一方的な憧れを抱いている。
幸平 城一郎 (ゆきひら じょういちろう)
大衆食堂「ゆきひら」の店主で幸平創真の父。かつては世界中を股にかけた流浪の料理人として世界に名を知られていた。創真に広い世界を見せようと、遠月学園へ編入させる。創真とは500近い料理勝負を行っており、全勝。親子揃って新作料理への探究心が旺盛で、失敗を恐れないため結果としてゲテモノ料理を作ることとなる。 城一郎も、かつて遠月学園に在籍しており、堂島銀に次ぐ第二席だった。当時の姓は「才波(さいば)」。
薙切 仙左衛門 (なきり せんざえもん)
遠月学園の総帥にして、薙切えりなと薙切アリスの祖父。「日本の料理界を牛耳る首領」「食の魔王」などと呼ばれる威厳に満ちた老人で、遠月学園生の大部分を「1%の玉を磨くための捨て石」と言い放つ。料理の評価は公正で、一方が自分の孫娘であっても公平な評価を下している。また、えりなが私情で編入試験で不合格にした幸平創真の料理を食べ、独断で合格させた。 優れた料理を食べた時は上半身の服を脱ぎポージングする癖があり、この癖は周囲からは「おはだけ」と呼ばれている。
田所 恵 (たどころ めぐみ)
東北の小さな港町から遠月学園へ、中等部から入学した女生徒。極星寮に入っている。気が弱くあがり症で、料理の実力は他の生徒にひけを取らないが、試験の成績が悪く、高等部ではたびたび落第の危機に晒される。幸平創真の協力で危機を脱するうち、次第に創真へ恋心を抱くようになった。 特技は卓球で、「東北の跳び兎」と呼ばれた天才卓球少女でもある。郷土料理研究会に所属している。
大御堂 ふみ緒 (だいみどうふみお)
遠月学園内にある、極星寮の寮母を務める老婆。「極星の聖母」を自称するが、学園の古株の事務員には「極星の鬼婆」と呼ばれている。入寮希望者には料理を作らせ、それを彼女が認めて初めて寮生になるとされている。寮生だった堂島清と、才波城一郎とは、現在も交流がある。
丸井 善二 (まるい ぜんじ)
遠月学園の高等部一年生で、極星寮の寮生。眼鏡をかけた大人しい少年で、極星寮では彼の部屋が広く、常に片付いている事から、他の寮生が勝手に集い、宴会を開いている。ずばぬけた料理センスは無く、体力も人並み以下。だが料理の古典文献を研究する「宮里ゼミ」で頭角を現し、ゼミのエースとして「味の物知り博士」と呼ばれている。
吉野 悠姫 (よしの ゆうき)
遠月学園の高等部一年生で、極星寮の寮生。髪をおだんご状にまとめた、快活な少女。寮の自室で無断のままジビエ(野生の鳥や獣)を飼い、育てている。将来の夢は、新しいブランド鶏を作り出すこと。
榊 涼子 (さかき りょうこ)
遠月学園の高等部一年生で、極星寮の寮生。落ち着いた雰囲気を持つ、長髪でグラマーな体型の少女。発酵食品に関する知識が豊富で、極星寮の近くに自分専用の塩麹作業所を構えている。
伊武崎 峻 (いぶさき しゅん)
遠月学園の高等部一年生で、極星寮の寮生。前髪で目が隠れた、寡黙な少年。燻製料理を得意とする。他の寮生にも積極的には関わろうとせず、クールに振舞っているが、自分の料理に対する自身は強く、不本意な結果には感情を露にする事もある。
一色 慧 (いっしき けい)
現在の極星寮では唯一の高等部二年生であり、後輩たちとの仲が良く創真ともすぐに打ち解けた。現役の十傑でもあり、席次は第七席。極星寮では裸エプロンや褌一丁といった服装を好み、寮の裏庭では野菜作りに精を出す。端正な容姿が年上の女性に好まれ、寮で作った野菜を御婦人に提供するビジネスにも着手している。
水戸 郁魅 (みと いくみ)
遠月学園の高等部一年生で、薙切えりなの部下として登場した高等部一年生。中等部では常に上位の成績を修め、特に肉料理を得意とするため「ミートマスター」と呼ばれる。また、「肉魅」と陰口で呼ばれることもあるが、本人がこの呼び名を嫌っており、耳に入ると激怒する。えりなの命で丼物研を食戟で潰そうとするが、助っ人となった幸平創真に敗れ、逆に丼物研へ入部した。 創真との食戟以後、彼に好意を抱いている。
ローラン・シャペル
遠月学園のフランス料理部門主任講師。遠月学園でも特に評価が厳しい講師として知られ、「笑わない料理人」と呼ばれる。しかし、幸平創真・田所恵ペアのアクシデントを克服した料理に笑顔を見せ、A判定を出した。四宮小次郎ら卒業生も教えており、現在も彼らから畏敬の念を持たれている。
堂島 銀 (どうじま ぎん)
遠月学園の卒業生であり、現・遠月リゾート総料理長兼取締役会役員。筋骨逞しく、威厳と温かい人情を兼ね備えた人物。幸平創真の父・城一郎とは同期で、在校時代は極星寮に入っており、城一郎と共に度重なる食戟で寮の黄金期を築いた。
四宮 小次郎 (しのみや こじろう)
遠月学園の卒業生であり、在学中は十傑の第一席だった。パリでフランス料理店を開き、野菜(レギュム)に新しい光を当てた事から「レギュムの魔術師」と呼ばれ、フランス料理の発展に貢献した料理人に与えられる勲章を日本人で初めて受章した。受賞後は伸び悩んでいたが、日本で田所恵、幸平創真との非公式な食戟をしたことで、新たな目標を見出す。
乾 日向子 (いぬい ひなこ)
遠月学園の卒業生であり、四宮小次郎の1年後輩。高名な日本料理店の女将を務める。おっとりした女性だが、宿泊研修ではゲスト講師として、厳しい課題で生徒たちをふるい落とした。課題中に幸平創真・田所恵ペアとタクミ・イサミペアの料理勝負の判定役となるが、悩んだ末に勝負預かりとした。 宿泊合宿で出会って以来、田所恵を気に入っており、以後、彼女を贔屓する言動が目立つ。
タクミ・アルディーニ
日本人の父とイタリア人の母を持つハーフの少年で、イサミ・アルディーニの双子の兄。幼少期から弟と共にイタリアのトラットリア(大衆食堂)で料理の腕を磨いてきた。叔父の勧めで中等部2年から遠月学園に編入。容姿は端麗で、学園内に彼のファンクラブが存在する。 高等部から編入した幸平創真にライバル意識を抱き、宿泊研修以降、張り合おうとしているが空回りする事が多い。秋の選抜では本選トーナメントに進出するが、美作昴に敗れベスト8に留まった。
イサミ・アルディーニ
日本人の父とイタリア人の母を持つハーフの少年で、タクミ・アルディーニの双子の弟。幼少期から兄と共にイタリアのトラットリア(大衆食堂)で料理の腕を磨いてきた。叔父の勧めで中等部2年から遠月学園に編入。タクミと双子とは思えない太った大柄の少年だが、毎年夏には夏バテで痩せ、別人のように変貌する。 タクミを尊敬し慕っているが、追いつき追い越したいという対抗意識も持ち続けている。
薙切 アリス (なきり ありす)
日本人の父とデンマーク人の母を持つ、ハーフの美少女で、遠月学園の高等部一年生。遠月学園の総帥・薙切仙左衛門の孫娘。側近として黒木場リョウを常に従えている。幼少期から料理を科学的に分析する「分子ガストロノミー」を修め、既に多数の特許を取得する天才少女。 薙切えりなの従姉妹にあたるが、幼少期にえりなにいじめられたと主張しており、何かと対抗心を見せる事が多い。科学的調理と整った容姿で一見するとクールな印象を与えるが、実際は感情豊かでわがままな性格。
黒木場 リョウ (くろきば りょう)
遠月学園の高等部一年生で、薙切アリスの側近を務める黒髪の少年。アリスの後ろでボーッとしている事が多いが、頭にバンダナを巻くと一転して荒々しい性格となる。元は北欧の港町にあるレストランを仕切っていたが、彼を気に入ったアリスに料理勝負を持ちかけられる。2年間アリスに負け続けたが、初勝利をする頃には彼女を認めていた。 幼い頃から修羅場のような厨房で戦い続けた経験から、「料理は力」として相手を屈服させようとする意識が強い。得意な料理は海鮮。
新戸 緋沙子 (あらと ひさこ)
遠月学園の高等部一年生で、薙切えりなの側近を務めている少女。えりなの秘書のように見えることから、「秘書子」という通称が一般生徒にも浸透している。古くから続く漢方医の家系に生まれ、その知識を昇華させた薬膳料理を得意とする。秋の選抜では本選トーナメントに進出するが葉山アキラに敗れ、えりなに見せる顔がないとして一時はえりなの下を離れた。 世間知らずで恋愛に奥手なえりなが少女漫画を読みたがった際、とびきりプラトニックな作品を厳選して与えた。
倉瀬 真由美 (くらせ まゆみ)
幼稚園から中学校まで幸平創真と同じクラスだった少女。創真を異性として意識していたが、自分に自信がなく、告白に至れないでいる。商店街と駅ナカの唐揚げ勝負では、創真に協力して商店街の側に立ちアイデアを出す。
叡山 枝津也 (えいざん えつや)
遠月学園の高等部二年生で、十傑の第九席。鋭い目つきで眼鏡をかけ、インテリヤクザと例えられる風貌をしている。中等部では武闘派で知られ、負かした相手を従えて一大勢力を築いてきた。自ら料理を作るようりもフードコンサルティングを得意とし、老舗旅館の経営立て直しや高級料亭の新メニュー開発などの事業で実績を積んでいる。 商店街と駅ナカの唐揚げ勝負で幸平創真に注目し、自分の傘下に入れようとしたが断わられ、一転して創真潰しに取り掛かった。
汐見 潤 (しおみ じゅん)
遠月学園の女教師だが、一見女子中学生に見間違えられるほど小柄で童顔な34歳。スパイスの権威で、遠月学園史上最年少で教授に抜擢されている。学生時代は極星寮におり、4年先輩である才波城一郎のゲテモノ料理の実験台にされ続け、彼に深い恨みを残している。日常生活では何もできずミスも多いため、スパイス研究や講義以外の一切を助手の葉山アキラに仕切られており、彼に頭が上がらない。
葉山 アキラ (はやま あきら)
遠月学園の高等部一年生にして、汐見潤教授の助手。非常に鋭い嗅覚を持ち、配合されたスパイスをも正確に嗅ぎ分ける程。汐見教授の助手ゆえ、カレーやスパイスの知識も豊富。香りを重視した料理を得意とし、その味と香りは料理勝負の審査員ばかりか会場全体を魅了する。 熱帯の国にあるスラムの生まれで自分の名すら持たなかったが、汐見潤に見出され生きる意味を与えられた事で、彼女に深い感謝と愛情を抱き、胸に秘めている。秋の選抜では幸平創真、黒木場リョウを僅かに抑え、優勝した。
美作 昴 (みまさか すばる)
巨体とドレッドヘアーが特徴の、遠月学園の高等部一年生男子。体格と粗暴そうな雰囲気に似合わず、繊細で入念な作業を得意とする。狙いをつけた相手をストーカー紛いの追跡で入念に調べ上げ、あらゆる手段で挑発し、食戟を受けさせ、勝利して相手の包丁を奪ってきた。相手が作る料理についても完璧に調べて完成形を予想し、そこにオリジナルの要素を加えることで相手を上回る料理を作るという手法を取る。 叡山枝津也の命で幸平創真に食戟を持ちかけたが、敗れる。
集団・組織
遠月十傑評議会 (とおつきじゅっけつひょうぎかい)
『食戟のソーマ』に登場する組織。遠月学園の学内評価が上位10名の生徒たちによる委員会で、いわゆる生徒会に近いが、組織図的には総帥の直下にあり講師陣ですら十傑の総意には従わざるを得ない。十傑個々人にも強い権限が与えられ、料理の研究のためであれば莫大な資産を独断で動かすことも可能とされる。
場所
遠月茶寮料理學園 (とおつきさりょうりょうりがくえん)
『食戟のソーマ』の主な舞台となる学校。優れた料理人を育成することを目的とした中高一貫校であり、殆どは中等部からの内部進学者が占め、幸平創真のような高等部からの編入はまれ。一流レストランや高級料亭の子息・令嬢が多く在籍するが、少数精鋭主義による厳しいふるい落としにより、高等部2年に進級する者は1割足らず、卒業できる者は1%に満たないと言われる。 そのため在籍していたというだけでも料理界で箔がつき、卒業すれば一生料理界のスターダムを歩めるとされている。
極星寮 (きょくせいりょう)
『食戟のソーマ』の舞台のひとつ。遠月学園の敷地内にある瀟洒な洋館で、幸平創真や田所恵などが住む学生寮。大御堂ふみ緒が寮母を務める。変わり者の学生たちが入寮しており、自分たちの料理を持ち寄った宴会が頻繁に、夜遅くまで開かれる。20年以上前の黄金期には、入寮していた堂島銀と才波城一郎が食戟で敷地や設備資金を得て、やがて独立採算制を取るようになった。 そのため遠月学園の管理から外れており、学園の事務員にはその存在さえ知らない者がいる。
イベント・出来事
食戟 (しょくげき)
『食戟のソーマ』の舞台である遠月学園でしばしば開催されるイベント。遠月学園内での争いを解決するための、料理による決闘であり、双方が求めるものに見合った対価を賭け、双方の合意などの条件を満たすことで成立する。食戟と認定された勝負は学園内の食戟管理局によって、日時や結果、互いが賭けた条件などが公式に記録される。
クレジット
- 原作
- 協力
-
森崎 友紀
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