幼なじみの魔法で変身する銀盤騎士
男子フィギュアのエース候補、雉子波心と雑誌編集者の猪狩千登勢は、地元福島県で同じスケート教室に通っていた幼なじみである。心は東京でスケーターとして期待されながらも、メンタルが弱く成果が出せないでいた。そんなとき、千登勢が上京し二人は再会する。そして千登勢は、子供の頃と同じように、心に魔法の呪文をかけてやる。それは二人が大好きだった「魔法の姫君レディ・ララ」というアニメの呪文であり、緊張しやすい心を、「ペガサス騎士」に変身させるという遊びだった。魔法をかけられた心は、無理だと思っていた4回転トウにあっさり成功。それ以来千登勢は、心に魔法をかける役目を担うことになる。また、アニメの設定に倣(なら)い、魔法少女が一度だけ使える魔法として、マスク越しながら二人がキスをするエピソードも登場。「魔法の姫君レディ・ララ」という架空アニメは、二人を繫ぐ大切な思い出であり、本作でたびたび重要な役割を果たす。
想いを秘めたコンプレックス女子×一途なヘタレ男子
千登勢は背が低く、小学生に間違われることもある23歳の女性。中学生のとき「千登勢は、心に似合わない」という同級生の陰口に傷つき、それ以来、心への気持ちを封印していた。しかし、子供の頃にプレゼントされたアニメグッズの中に「ずっときみのことがすきです」と書かれた紙を発見し、気持ちを抑えきれなくなる。心は才能があるイケメンだが、メンタルが弱すぎるヘタレな男子。いまだにいわき弁が抜けない朴訥(ぼくとつ)な21歳の青年である。また、精神的に幼く、子供の頃から一途(いちず)に想いを寄せる千登勢に「弟のような存在」と公言されたことを気に病んでしまう。本作は、そんな純粋で不器用な二人の可愛らしい恋を描いたラブコメディである。
波乱を呼ぶ、ライバル(?)の出現
心の熱烈なファンに、二人でいられるところを見られてしまい、心の不調は謎の女が原因という噂が、SNSで炎上してしまう。イメージダウンを避けるため、心のマネージャーの画策で、千登勢は専属トレーナーという肩書で、自社の雑誌でリポートすることになった。堂々と側にいられるようになった千登勢だが、心が成長していくにつれ、自分とのギャップを感じることになる。一方心は、乱暴な口を利きながらも、何かと千登勢を気遣う上司、沢田功一の存在に、嫉妬心を覚えてしまう。また、そんな心にも、過去にCMで共演したモデルの柴田リーザが近づき、二人の恋は波乱含みの展開になっていく。
登場人物・キャラクター
猪狩 千登勢 (いがり ちとせ)
健康情報誌「SASSO」の女性編集者。福島県出身の23歳で、お団子ヘアが特徴。身長は146センチメートルと小柄で、小学生に間違えられることもある。雉子波心(きじなみこころ)とは幼なじみで、同じスケート教室に通っていた。二人とも魔女っ子アニメ『魔法の姫君レディ・ララ』が好きで、試合前に緊張しやすい心に、遊びで呪文をかけてあげていた。就職のために上京した際、心と久しぶりに再会。4回転ジャンプができずに練習から逃げていた心を元気づけようと、『魔法の姫君レディ・ララ』の魔法の呪文を詠唱。すると、心は4回転ジャンプに成功する。それ以来、大きな試合のたびに心のマネージャーに呼び出され、心に呪文をかけることになる。心からは「せーちゃん」と呼ばれている。
雉子波 心 (きじなみ こころ)
男子フィギュアのエース候補No.1。身長179センチメートルで、サラサラヘアのイケメン。福島県出身の21歳。小心者で繊細な性格をしている。長く話すと方言が出るため、インタビューではあまり話さないように指導されている。なお英語は堪能。高級旅館を複数経営する「雉子波グループ」社長の御曹司(おんぞうし)で、美しい双子の妹がいる。穴のないジャンプ構成と長身から繰り出す美しい4回転が武器。猪狩千登勢(いがりちとせ)とは幼なじみで、同じスケート教室に通っていた。千登勢が上京してきた頃は、成績が安定していなかったが、『魔法の姫君レディ・ララ』の魔法の呪文を、千登勢に唱えてもらうと、4回転ジャンプに難なく成功。それ以来、大きな試合のたびに、千登勢に呪文を唱えてもらうようになる。なお、今でも『魔法の姫君レディ・ララ』のファンで、部屋にはフィギュアやポスターなどがたくさんある。ララのイラストを描いてネットにアップしているガチオタである。千登勢からは「ここっぺ」と呼ばれている。名前は、フィギュアスケート・アイスダンス選手の水谷心に由来する。また、身長は、プロフィギュアスケート選手・小林宏一と同じ179センチメートルに設定された。
書誌情報
銀盤騎士 11巻 講談社〈KC KISS〉
第1巻
(2013-03-13発行、 978-4063409048)
第2巻
(2013-07-12発行、 978-4063409147)
第3巻
(2014-02-13発行、 978-4063409253)
第4巻
(2014-07-11発行、 978-4063409307)
第5巻
(2015-02-13発行、 978-4063409468)
第6巻
(2015-07-13発行、 978-4063409604)
第7巻
(2015-12-11発行、 978-4063409758)
第8巻
(2016-04-13発行、 978-4063409833)
第9巻
(2016-09-13発行、 978-4063409963)
第10巻
(2017-02-13発行、 978-4063980127)
第11巻
(2017-08-10発行、 978-4063980295)