概要・あらすじ
律儀で真面目な皇族の長屋王は、元正天皇や元明天皇と共に皇族主導の政治を目指して執務をとるが、実力主義の藤原不比等と対立していく。平城京遷都や貨幣制度の構築など、奈良時代の政治の流れを、長屋王の生涯を通して描いていく。
登場人物・キャラクター
長屋王 (ながやおう)
祖父は天武天皇で、皇族としての誇りを持っている。正義感が強く真面目な性格。妃は吉備皇女、藤原不比等の娘藤原長娥子ほか。皇族主導の政治を目指すため、実力主義の藤原不比等と対立していく。後に強大な権力を握ったため藤原宇合の陰謀により破滅する。歴史上の実在の人物で皇族の長屋王がモデル。
吉備皇女 (きびのひめみこ)
長屋王の妻で元明天皇の妹。明るい性格で、長屋王の愛と信頼を受け、また自身も夫を信頼し尽くしている。
氷高皇女 (ひだかのひめみこ)
阿閇皇女(即位後は元明天皇)の娘で長屋王の義姉。藤原不比等の力をそぐため即位し、元正天皇となる。長屋王を強力な味方として、皇族主導型の政治を目指す。
藤原 不比等 (ふじわら の ふひと)
平城京遷都を主導し、自身の地位を確立していく。藤原鎌足の息子。藤原氏の繁栄という野望もあり、皇室との関係も深め勢力を拡大する。死後は、藤原不比等の子らが父の意志を継ぎ、やがて長屋王を追い込む事となる。
文武天皇 (もんむてんのう)
病弱であったため天皇の位を母、元明天皇に譲った。藤原不比等に提案された遷都を許可し、彼に莫大な食封を与えて24歳で崩御。
宮子 (みやこ)
藤原不比等の娘。首皇子を出産後、神経に異常をきたし、我が子と1度も会わずに過ごしている。
元明天皇 (げんめいてんのう)
文武天皇の母親。文武天皇に位を譲られ、次の天皇までの中継ぎとして即位した。平城京遷都を実施するために貨幣制度を確立させた。藤原不比等の野望を見抜き、対抗するために氷高皇女に位を譲り、自らは上皇として実権を握ろうとした。
首皇子 (おびとのみこ)
文武天皇と宮子の息子。病弱で気弱、幼い頃は乳母である県犬養橘三千代を母と慕い、後に彼女の娘である安宿を盲信する。元正天皇の上位後、聖武天皇として即位した。
県 犬養 橘 三千代 (あがた いぬかい たちばな の みちよ)
文武天皇の乳母として宮中に入り、それをきっかけに藤原不比等と通じて妻となった。首皇子の乳母も務めており元明天皇から「橘」の姓を賜った。藤原不比等の野望を陰から支えている。
県 犬養 広刀自 (あがた いぬかい の ひろとじ)
県犬養橘三千代の親戚筋で、彼女の計らいにより、首皇子の権威を盛り立てるため、安宿の地位を脅かさない妻として首皇子へと嫁いだ。
藤原 長娥子 (ふじわらの ながこ)
藤原不比等の娘で、父のすすめにより長屋王の妃となる。心根が大人しく、おっとりしている。
安宿 (あすかべ)
藤原不比等と県犬養橘三千代の娘。父の野望のため、幼い頃から首皇子と一緒に育てられ、後に妃となった。聡明ではきはきした性格で、首皇子に多大なる影響を与えた。
藤原 武智麻呂 (ふじわら の むちまろ)
藤原不比等の長男で藤原四兄妹の一人。長男ではあるが、弟の藤原房前に先に出世され不満を抱く。
藤原 房前 (ふじわら の ふささき)
藤原不比等の次男で藤原四兄妹の一人。藤原不比等に実力をつけろと言われ、手本となる人物として長屋王からさまざまなことを学び取ろうとするが、自分との格の違いを突きつけられ、長屋王を陥れる陰謀を企てた。
藤原 宇合 (ふじわら の うまかい)
藤原不比等の三男で藤原四兄妹の一人。遣唐使の副使として唐へ出立した。
藤原 麻呂 (ふじわら の まろ)
藤原不比等の四男で藤原四兄妹の一人。凡庸で目立つ出世はしていない。