女帝の手記

女帝の手記

孝謙天皇、称徳天皇として知られる実在の人物である阿倍を主人公にした歴史ドラマ。当時権力を掌握していた藤原一族に生まれたがゆえに、女性でありながら皇太子となった阿倍は、宮廷での苛烈な権力闘争に巻き込まれていく。そんな彼女の、女性として満たされずに葛藤する姿と、仲麻呂や道鏡との恋を描く。

正式名称
女帝の手記
ふりがな
じょていのしゅき
作者
ジャンル
奈良時代
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
全5巻
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あらすじ

第1巻

太政大臣、藤原不比等の血を引く安宿の娘、阿倍は、生まれた時から藤原一族の広大な館で育ち、藤原一族の娘としてその正義を信じていた。しかし、同腹の弟で皇太子だった 基を呪い殺したとして左大臣の長屋王が逮捕され、自殺した際に長屋王の妻、長蛾子が藤原一族を非難したのを聞き、一族に疑惑が芽生える。安宿はその後、子宝に恵まれなかった。首には県犬養広刀自が生んだ安積がいたが、男子である彼を差し置いて、安倍が藤原一族の権力を守るために、女性として初めての皇太子となった。

第2巻

は何度も遷都を行い、国分寺創建、さらに大仏建立を画策しており、国庫を危機に陥らせている。首の前の天皇である氷高はその状況を憂いており、阿倍を天皇にするのに反対だった。そこで、首を退位させて自分が天皇に復帰し、安積を皇太子にしようと画策する。しかし、安積は若くして謎の死を遂げる。首と安宿に重用されていた仲麻呂によって殺されたと多くの者が疑っていたが追究できなかった。母の安宿と仲麻呂の親密な様子に嫉妬を感じていた阿倍だが、彼と一線を越え、恋人関係になる。その後、政治よりも仏教に没頭していた父の首に代わり、阿倍がついに天皇として即位した。

第3巻

仲麻呂は自分よりも地位が高く、邪魔な左大臣の橘諸兄を策略によって廃し、自分の息のかかった皇族、大炊王を皇太子にするなど、権力の掌握を進めている。遂に橘奈良麻呂の乱によって兄の藤原豊成まで廃し、独裁政治を行うようになる。天皇でいたら愛する仲麻呂と結婚できないと、阿倍は大炊王に天皇の地位を譲って退位したが、仲麻呂は一向に結婚しようとせず、阿倍は失意の中、重い病になってしまう。

第4巻

病を癒し、生きる気力を与えてくれた新しい恋人の道鏡を得て、自分の愛を利用していた仲麻呂から解放された阿倍は、出家して決意を新たにし、上皇として政治を自分で執り行う事を宣言する。仲麻呂との確執は決定的なものになったので、恵美押勝の乱に発展し、戦に敗れた仲麻呂は討ち死にする。さらに大炊王は天皇の地位をはく奪されて流罪となり、暗殺される事となった。一方、道鏡は天皇と同等である法王の地位を与えられた。阿倍が道鏡を重用したのは、彼への愛だけでなく、藤原一族の野望を断ち切りたいという願望によるものでもあった。阿倍は、藤原一族でない彼を天皇にしようと考えていたのである。

登場人物・キャラクター

主人公

首と安宿の娘。女性として初めて立太子し、「孝謙天皇」「称徳天皇」として二度天皇として即位した。両親共に藤原一族の出身で、祖父である太政大臣、藤原不比等の広大な館で育つ。弟の基が早世したため、女性であり... 関連ページ:阿倍

阿倍の母親で、首の妻。太政大臣の藤原不比等と県犬養橘三千代の娘であり、藤原一族の人間としての自覚は夫以上で、一族の中で発言権も強い。本来皇族の女性しか資格のない皇后の地位に就き、「光明皇后」と呼ばれた... 関連ページ:安宿

阿倍の父親で、安宿の夫。「聖武天皇」であり、退位してからは「上皇」と呼ばれていた。太政大臣、藤原不比等の孫で、妻の安宿と娘の安倍と同じく、不比等の館で育った。毅然とした性格の安宿とは違い、優しいが繊細... 関連ページ:

太政大臣、藤原不比等の孫にあたる男性。藤原一族の中で最も頭がよく、勤勉で天才といわれていた。藤原一族が起こした乱である広嗣の乱の頃から頭角を現す。安宿に重用されるようになり、大仏建立に、民衆から人気の... 関連ページ:仲麻呂

県犬養橘三千代

太政大臣の藤原不比等の妻で、安宿の母親。藤原一族の中で実権を握っており、娘の安宿を支えていた。孫である阿倍に藤原一族としての価値観を植え付ける。実在の人物、県犬養橘三千代がモデル。

長屋王

文武天皇時代の左大臣の男性。吉備内親王と長蛾子を妻に持つ。「長屋王の変」を起こしたといわれる人物。「長屋王の変」とは、首の息子であった基を呪い殺したとされる事柄で、この件についての真偽は定かではないものの死罪となった。実在した人物、長屋王をモデルにしている。

首の前の天皇である「元正天皇」。首の叔母にあたり、内親王である。藤原一族によって廃された長屋王の正妃、吉備内親王の姉であっため、長屋王を助けるように首に願い出た。女性である阿倍が藤原一族の権力保持のた... 関連ページ:氷高

安積

首と県犬養広刀自の息子。通称「安積親王」。基亡き後は唯一の首の親王だった。首の前の天皇だった氷高によって、阿倍に代わって彼を皇太子にする動きがあったが、仲麻呂に先手を打たれて殺害された。実在の人物、安積親王がモデル。

県犬養広刀自

首の妻であり、安積の母。元々政治の中枢にいたが、一族の県犬養橘三千代、次期皇太子と目されていた安積が相次いで亡くなったため、急速に影響力を失い、表舞台から姿を消した。実在した人物、県犬養広刀自をモデルにしている。

長蛾子

太政大臣、藤原不比等の娘で、左大臣、長屋王の妻。夫である長屋王は、安宿が皇后になる事に反対したため、長屋王の変により自殺してしまった。藤原一族の娘であったため、長蛾子は罪に問われずにすんだが、心正しかった夫を慕っており、一族を恨んでいた。実在の人物、藤原長蛾子がモデル。

宮子

太政大臣、藤原不比等の娘で、文武天皇の妻。首の母親だが、出産後、気を病んでしまい、息子である首にも会いたがらず、不比等の館の自室に閉じこもっていた。玄昉の治療により正気に戻った。実在の人物、藤原宮子がモデル。

元遣唐使で学識に定評のある人物。まじめな性格で穏やかな男性。皇太子であった阿倍の教育係も務めていて、彼女からの信頼は厚かった。仲麻呂によって一時期的に左遷されて都を追われ、再び遣唐使として派遣された。... 関連ページ:下道 真備

安宿と首が重用した僧侶。皇太子であった阿倍の教育係も務めていた。安宿と男女の仲であると噂されていた。出産以来気の病だった宮子を回復させる。国分寺政策、大仏建立にも尽力するが、最終的にはその立場を仲麻呂... 関連ページ:玄昉

舎人親王の息子。のちに天皇となり、作中でも「淳仁天皇」を名乗った。仲麻呂の息子の未亡人であった粟田諸姉と結婚し、妻と共に仲麻呂の館に住んでいる。入り婿のような形になっており、公式にも仲麻呂を父親と呼ん... 関連ページ:大炊王

僧侶の男性。恋人であった仲麻呂との関係に傷つき、失意のために病の床に臥していた阿倍を暖かく励まし、回復させた。心優しく素直な性格の持ち主。阿倍と道鏡の恋はかつての恋人、仲麻呂との対決に発展し、恵美押勝... 関連ページ:道鏡

場所

平城京

古くから奈良にある都。都としての機能は盤石であり、天皇がここで政治を行ってきた。首の遷都によって阿倍もしばらくは恭仁京で暮らしていたが、後に都を再び平城京へ戻した。

恭仁京

首が作った新しい都で、都としての機能はまったくない状況から急に遷都が行われたため、大急ぎで宮や各省庁の建物を作ることになった。のちに阿倍によって恭仁京から平城京へ遷都することになる。

その他キーワード

大仏

首が熱心になって作らせたもの。大仏像は金銅製であり、銅を流し込み、その上から金でメッキをする。首は大仏建造を生きがいとし、国中のお金を集め、大仏を創らせることに晩年注力したが、大仏完成を見ることなく亡くなる。

書誌情報

女帝の手記 全5巻 講談社〈KCデラックス〉 完結

第1巻 まほろぼ光明皇后

(2015年3月13日発行、 978-4063771596)

第2巻

(2015年3月13日発行、 978-4063771602)

第3巻

(2015年4月13日発行、 978-4063771701)

第4巻

(2015年4月13日発行、 978-4063771718)

第5巻

(2015年5月13日発行、 978-4063771916)

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