概要・あらすじ
女性に無縁な橘則光がお見合いした相手は、清原諾子というツンデレ気味な少女だった。お見合い自体は破談となるが、諾子が宮中での則光のピンチを救ったことをきっかけに、彼女は中宮定子に招かれて梅壺所属の女房になる。生来の暴れん坊な性格とここぞというときに働く機転を武器に、後に清少納言を名乗る諾子は、則光や先輩女房の和泉式部、ライバルとなる紫式部や中宮彰子らと数々の騒動を引き起こす。
登場人物・キャラクター
清 少納言 (せい しょうなごん)
本名の「清原諾子」は親兄弟や夫となる相手にしか明かせないが、橘則光はしばしば彼女を「諾子」と呼ぶ。歌人で中流貴族の清原元輔の娘。貴族の娘であるものの、和歌や風流ごとや恋愛ごとよりも漢籍を読んだり野山を駆けまわったり虫で遊ぶ方が好きな暴れん坊である。橘則光との見合いが破談になった後、彼を助けたことがきっかけで中宮定子の女房として中宮御所の梅壺の一員として宮仕えすることになる。 梅壺では先輩の宰相の君にいびられたりもしたが、持ち前の明るさと機転で少納言は宮中の様々な騒動を解決していった。後に源氏物語にあこがれて物語の創作をするも失敗。しかし、則光の勧めで日々思ったことを随筆にした枕草子を書き表すと、これが大いに評判となる。 その則光との仲は破談後も腐れ縁のように続いていたが、鈍感な則光とツンデレな少納言では友達以上恋人未満からなかなか進むことができずじまい。だが、定子の出家した際に少納言は内裏を辞め、東北に赴任する則光と行動をともにした。 実在の人物清少納言がモデル。史実では橘則光とは結婚しているが、宮中入りする前に離婚している。
橘 則光 (たちばな のりみつ)
名門貴族である橘家の長男だが、生来の無骨者で和歌や酒、風流ごとが大の苦手。逆に体を鍛えることや武芸が好みで、木刀で丸太を折ったり、引いた弓をへし折ったりするほどの剛の者である。当初は宮中の大工仕事を管理する従五位下・修理亮の職だったが、後に大内裏全体を警護する従六位下・左衛門尉へと異動する。 そのことから少納言に「のスケ」の名で呼ばれる。清少納言と出会う前は母親のような清楚な女性を好んでいたようだが、少納言との見合いが破談になってからは、諾子こと少納言に振り回される日々を過ごす。しかし、そんな少納言のことを徐々に女性として意識するようになり、やがては彼女に愛を告白する。 告白の答えは当初保留だったが、則光が東北への異動する際に少納言がついていくことで両思いになったことが分かった。実在の人物橘則光がモデル。史実では清少納言と結婚しており、離婚してからも仲は良かったと伝えられている。
定子 (ていし)
関白藤原道隆の娘で、一条天皇の第一皇妃。彰子が入内した際には中宮から皇后宮に奉り上げられた。自身が退屈しのぎで催した歌会にて、風流の素養が皆無の橘則光に見せ場を作った清少納言の機知を買い、彼女を自身の女房として登用した。梅壺と呼ばれる女房のサロンも主宰しており、清少納言を始め、宰相の君、和泉式部ら女房たちが宮中文化の栄華を咲かせた。 風流人で人としての度量が大きく、少納言たちがやらかした失敗も大抵は大目に見てくれる。しかし、怒らせると宮中で一番恐ろしい人でもある。夫の一条天皇との仲はむつまじく、娘の脩子内親王と息子の敦康親王をもうけた。 自分に成り代わろうとする彰子や藤原道長らとも渡り合っていたが、兄の藤原伊周が不祥事を起こした際に責任を取って皇后宮を退位して出家した。実在の人物定子がモデル。
紫式部 (むらさきしきぶ)
源氏物語の作者であり、清少納言の良きライバル。父親は藤原為時で、当初は家に引きこもって「源氏物語」を書き記していたが、やがて藤原道長に招かれて、彰子の女房として宮仕えをすることに。当初はわがままな彰子に手を焼いていたが、彼女の性格を知ってからは教育係兼相談役として活躍する。 性格はマイペースかつ冷静沈着で、勢いに任せて行動する清少納言とは水と油の仲。定子派と彰子派が争うときには、式部と少納言が対決することもよく見られたが、共通の敵と対決するときは手を組んで事に当たっていた。ちなみに酒を飲むと性格が一変し、相手に愚痴をずっと言い続ける絡み酒となる。 ライフワークの源氏物語は女遊びの激しい藤原宣孝の行動を観察し、それをもとに物語を書き進めていた。しかし、スランプに陥った式部を宣孝が須磨の海に連れ出したのをきっかけに、彼のことを物語のモデルではなく一人の男性として好意を抱くようになる。後に宣孝がある騒動の責任を取って都落ちすることになった際には、泣きながら愛を告白した。 実在の人物紫式部がモデル。史実では藤原宣孝と結婚している。
和泉式部 (いずみしきぶ)
定子と彰子の両方に仕える女房。金髪巨乳という派手な見てくれで、胸の露出が多いヒョウ柄の着物を愛用している。教養もセンスも高い大人の女性だが性格は自由奔放でほれっぽく、男性遍歴も多い。ただし、その恋は悲恋も多い。一度は橘則光にもアプローチしたことがあるが、堅物で少納言一筋の彼は全くなびかなかった。 すれっからしで気分が乗らないと「物忌み」と称して引きこもることも多々あるが、清少納言の才能を当初から買っており、少納言が起こしたトラブルを陰から解決することも多かった。当初は定子にだけ仕えていたが、彰子の秘めたる思いを知ってからは梅壺と藤壺を掛け持ちをするようになった。 実在の人物和泉式部がモデル。実在した和泉式部も恋多き女性として知られていた。
宰相の君 (さいしょうのきみ)
定子に仕える女房。ジャージのような着物を着用し、手にはいつも「急急如律令」という陰陽道の呪文が書かれた笏を手にしている。梅壺では最古参の女房で、当初は破天荒な清少納言のことをうとましく思っており、隙あらば追い出そうとしていた。その後は少納言を認めるようになったが、彼女が何かしでかすとよく笏でツッコミのようにひっぱたいていた。 表向きは堅物な性格だが「ひいな遊び」というひな人形の家を2年かけて作製したり、「源氏物語」を愛読したり、藤原斉信に想いを寄せたりと、乙女チックな一面も見られる。実在した定子の女房である宰相の君と、彰子に仕えた女房の藤原豊子を意図的にミックスしている。
彰子 (しょうし)
藤原道長の娘で定子の従姉妹。後に定子に代わって中宮の座に就く。銀髪のポニーテールに西洋風の着物という独特のファッションで、入内から3年後には和泉式部にも負けない巨乳に成長した。12歳の頃から定子を押しのけて中宮の座に就こうと様々な策を弄するが、その多くは清少納言に打ち砕かれる。 「九条の鬼姫」というあだ名があるくらいわがままな娘で、少納言には「バカ姫」と呼ばれていた。とにかく負けず嫌いだが、その真意は子供すら政争の道具としか思わない父親の道長に認めてもらいたいという純粋な思いであった。その心意気に打たれて和泉式部は彰子派の藤壺にも掛け持ちで入っている。 紫式部のことは当初、煙たがっていたが、やがて自分の右腕として重用するようになる。後に定子が出家する際は、彼女の息子の敦康親王の義母になると宣言し、梅壺の女房たちも引き受けるだけの度量の大きさを見せるまでに成長した。実在の人物彰子がモデル。
藤原 宣孝 (ふじわら の のぶたか)
内裏の警護を担当する従五位上・右衛門権佐の職に就いている。その役職から清少納言から「ゴンスケ」と呼ばれているが、宣孝は少納言のことを「ブス」と言い返している。橘則光の友人だが、風流ごとや色恋に無縁の則光とは正反対に、女遊びの激しいプレイボーイ。宣孝が則光をからかうため、彼を定子の句会に呼んだのが、少納言の宮中入りのきっかけとなった。 一見するとただの遊び人に見えるが女にモテるための努力は惜しまず、和歌と弓に関してはかなりの腕前を誇る。女遊びの様子は紫式部に「源氏物語」の取材と称してストーキングされているが、「ガキんちょ」のすることと黙認していた。 だが、式部が雑事に追われて執筆活動がスランプになったときに彼女を須磨の海に連れ出してからは、式部を女として意識するようになる。後にある事件の責任を取って九州に左遷させられたときには式部から愛の告白をされ、それを受け入れた。実在の人物で紫式部の夫でもある藤原宣孝がモデル。
藤原 斉信 (ふじわら の ただのぶ)
内裏外周の警護を行う正四位下・右近衛中将の職に就いている。後に参議を兼ねて宰相中将(さいしょうのちゅうじょう)とも呼ばれる。橘則光と藤原宣孝の友人で、しばしば3人で行動を共にしている。藤原氏の嫡流である北家でしかも嫡男というエリート貴族だが、本人はそういうことを鼻にかけない自然体の好人物。 かなりの美男子でもあり、宰相の君からは「光源氏が実体化したみたい」とまで言われ想いを寄せられていたが、当の斉信自身はまだ特定の女性とつきあう意思は持っていなかった。実在の人物である藤原斉信がモデル。
赤染衛門 (あかぞめえもん)
元々は藤原道長の妻に仕えていたが、彰子の女房となる。物語や詩の筆写、お香の扱いに長けている。愛読書は枕草子と源氏物語で、それぞれの作者である清少納言と紫式部の親友になりたいと思っている。しかし、その思いはヤンデレと言ってもいいくらいのレベルで歪んでおり、少納言と式部の一番の友人になるためと称しては、強引かつ自作自演の策をもって二人をたびたび振り回していた。 実在の人物・赤染衛門がモデル。
一条天皇 (いちじょうてんのう)
『暴れん坊少納言』の登場人物で第66代天皇。定子と彰子の夫でもある。気は弱いが心優しい好人物で、定子とは相思相愛の仲。定子のためなら桃の花を用意し、出産の際には身分を偽って会いに行くほどの行動力もみせる。定子との間に娘の脩子内親王と息子の敦康親王をもうけたが、藤原道長の手配によって彰子を中宮、定子を皇后宮とすることになる。 母親の詮子には頭が上がらずにいたが、定子が出家を決めてからは詮子にもその弟で関白の藤原道長にも好き勝手はさせないことを誓う。特技は笛で、彰子もその音色に魅せられていた。実在の人物である一条天皇がモデル。
藤原 道長 (ふじわら の みちなが)
当初は正三位・中宮大夫で、後に左大臣に昇進した。定子の父親である藤原道隆と一条天皇の母親である詮子の弟で、兄の血を引く勢力を追い落とすことにやっきとなる。和泉式部には「ショッパイ親父」と呼ばれるなど権力にしか興味の無い人物で、実の娘の彰子ですら、彼には政争の駒でしかない。 表情を全く変えない能面のような人物だが、政治の裏工作には長けており、道隆の死後は権力争いに勝利して宮中の実権を握る。さらに道隆の子である藤原伊周が不祥事を起こしたのを見逃さず、これを太宰府送りにして道隆派の排除に成功。我が世の春を謳歌するが、それを不服とする清少納言に赤っ恥をかかされた。 実在の人物である藤原道長がモデル。
藤原 伊周 (ふじわら の これちか)
関白・藤原道隆の嫡男で従二位・内大臣。一見すると弓に優れて容姿にも恵まれた天才貴公子だが、実は平凡な能力で自己暗示をかけないとプレッシャーに負けてしまうヘタレ。妹の定子にもたびたび泣きつき、清少納言にも叱咤激励されたが、父の道隆が亡くなった後は失言を繰り返した挙げ句、藤原道長との権力争いにも負けてしまう。 その後、出家した花山天皇を間男と間違えて弓矢を射かけるという不祥事をしでかしてしまい、その罪を咎められて太宰府送りとなってしまう。実在の人物である藤原伊周がモデル。
藤原 行成 (ふじわら の ゆきなり)
従四位相当で、天皇の秘書官である蔵人頭と太政官である権左大弁を兼任する頭弁。清少納言には役職の頭弁から「弁ちゃん」と呼ばれている。後世に三蹟の一人と呼ばれるほどの能書家で、その達筆さは字の汚い少納言が手習いに選んだほどである。だが、当の行成は少納言の乱筆を自由で可憐な書と勘違いし、すっかり惚れ込んでしまう。 ついには恋文をしたためて夜這いに及ぶが、少納言に送った和歌が下品だと怒られて失敗。その上、少納言本人を侍女だと勘違いしてしまう。この件をきっかけに行成は少納言に頭が上がらなくなり、何かと無茶振りを押しつけられてしまう。実在の人物である藤原行成がモデル。
安倍 晴明 (あべ の せいめい)
清少納言からは「ハカセ」と呼ばれている。元は天文博士として宮中にて働いていたが、空気になじめず辞めてしまい、今は山歩きをしながら自然観察にいそしんでいる。少納言ならびに橘則光とは、少納言が仕掛けた落とし穴に晴明が落ちたのをきっかけに知り合いになった。考え方が理系でちょっと呑気なところもあるが、山火事に遭ったときは唐みやげの爆弾で火を消すなど、なかなかにあなどれない人物である。 その後も少納言が何か企むときに、陰ながら手助けさせられている。実在の人物である安倍晴明がモデル。
蔦 (つた)
清原家に仕える侍女で、いつも清少納言のお世話をしている。後に「長女」と呼ばれる、宮中の雑用をする下位の女官となる。さばけた性格で、語尾は「~っす」というもの。少納言のことは「お嬢」と呼んでいる。左目を前髪で隠したショートカットで、巨乳の持ち主。
集団・組織
梅壺 (うめつぼ)
『暴れん坊少納言』に出てくる舞台または組織。定子の住まう後宮で、庭に紅白の梅が植えられていたことからが梅壺と称された。定子に仕える女房たちのサロンも梅壺と呼ばれており、作中では清少納言、宰相の君、和泉式部らが所属していた。和泉式部は後に藤壺と兼任になる。
藤壺 (ふじつぼ)
『暴れん坊少納言』に出てくる舞台または組織。彰子の住まう後宮で、庭に藤が植えられていたことからが藤壺と称された。彰子に仕える女房たちのサロンも藤壺と呼ばれており、作中では紫式部、和泉式部、赤染衛門らが所属していた。和泉式部は梅壺と兼任している。