概要・あらすじ
百々武高校で養護教諭を務める順藤櫻子は、相談に来る生徒も少なく、今日も平和な一日を過ごしていた。そこへ、教師であり、櫻子の高校時代の後輩でもある仁科珠月が疲れたから休ませてと保健室にやって来た。ここは生徒のための場所で、先生がサボりに来るところじゃないと櫻子に胸ぐらをつかまれ、すごまれた珠月は「元ヤンは怖ぇ」と憎まれ口を叩く。櫻子も負けずに「あんただって元チャラ男じゃないの」と言うと、「ここでは品行方正の王子様で通っているんだから、そのことは誰にも言わないで」と櫻子に口止めをする。しかしその時、1年C組の賢木春が保健室のベッドで休んでいたことを知り、慌てる珠月。廊下を歩きながら、どこまで話を聞いていたか賢木から聞き出してくれと珠月から頼まれ、面倒くさいと断る櫻子だったが、気になる生徒ではあるという話をしていると、通りがかった校長から「保健の先生になら言えることがあるかも。ぜひ話を聞いてあげてください」と声をかけられる。大好きな校長に声をかけられた櫻子の表情は一変。乙女のような顔になり、積極的に賢木にかかわることに決めた。賢木は声も顔も頭もよく、スポーツ万能で男女ともに好かれ、当り前のように人助けができる優等生。誰に聞いても完璧な王子様だったが、逆に優等生すぎてうさんくさいと思った櫻子が賢木本人から話を聞くと、恋愛や勉強、スポーツなどなんにも興味がなく、趣味もないと言う。櫻子が校長を好きだということは賢木にはお見通しで、小学生レベルの片思いをしている櫻子が逆にうらやましいとまで言われてしまう。櫻子は恥ずかしすぎてもう賢木にかかわるのはやめようと思ったが、珠月から歓楽街で賢木を目撃したという情報があるから、いっしょに見回りに行ってほしいと頼まれる。二人は歓楽街で賢木を見つけ、彼が封筒を受け取り、中のお金を見て揉めているシーンを目撃する。その後、店からヤクザのような人々が複数出てきたため、櫻子が飛び出していき、賢木につかみかかる。「カツアゲなんて100万年早い」と賢木から封筒を取り上げ、お金を返して今回は勘弁してほしいと頭を下げた。ところが、話を聞くと賢木に払ったのは家庭教師代で、金額が多すぎるから返すと揉めていただけだった。そしてヤクザのような人々は櫻子、珠月たちの後輩だった。大きなカンちがいをして、またもや賢木に声を殺して笑われてしまう櫻子。これまでなんにも興味のなかった賢木は青春をひきずりまくっている大人の櫻子に興味を持ち始め、自分自身も少しずつ変わっていくのだった。
登場人物・キャラクター
順藤 櫻子 (じゅんどう さくらこ)
百々武高校の養護教諭で、甘酸っぱい青春が大好きな熱血女性教師。竹を割ったような性格をしており、元ヤンで、怒らせると怖い。生徒の力になりたいとこの職業を選び、カウンセラーの資格を持っているが、すごみがあるからか、あまり生徒は相談に来てくれない。髪型は横分けのロングストレートで、仕事中は髪を後ろに束ねている。美人だが、あまり色気がない。校長先生に片思いをしており、校長の前では乙女の顔になる。怖い話や幽霊は苦手。
仁科 珠月 (にしな みつき)
百々武高校で人気のイケメン教師。高校時代の後輩で同僚の順藤櫻子とは腐れ縁で、疲れたと言っては、保健室に休みに来る。以前はチャラ男だったが、学校ではそのことを隠している。生徒から好かれており、よく相談を受けている。王子様のような風貌で女子人気が高い。やんちゃで素直な性格の持ち主。櫻子からは「たま」と呼ばれている。
賢木 春 (さかき はる)
百々武高校1年C組の男子生徒。成績もよく、スポーツ万能。さりげなく人助けもできて、声も顔もよい。なんでもできるのに本人は恋愛も勉強もスポーツも興味がなく、趣味もない。周りから完璧な王子様と呼ばれている。自分が恋愛に興味がないので、小学生のような片思いをしている順藤櫻子に興味を持つ。
場所
百々武高校 (ももたけこうこう)
順藤櫻子、仁科珠月が勤務している都内の高校。自由な校風で素直な生徒が多いのんびりとした高校。紳士で優しい校長先生が生徒たちを見守っており、櫻子はそんな校長先生に片思いをしている。顔よし、声よし、成績よし、運動神経も性格もよしという完璧な生徒、賢木春も通っている。