ナナマル サンバツ

ナナマル サンバツ

夢、希望、未来。そんな前向きなこととは無縁の生活を送ってきた越山識が、クイズ研究会、そして深見真理との出会いを通して青春を謳歌していく姿を描く、文系スポ根クイズ漫画。「ヤングエース」2010年12月号から連載中。

正式名称
ナナマル サンバツ
ふりがな
ななまる さんばつ
作者
ジャンル
青春
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
全20巻完結
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

文蔵早押しクイズ大会編(第1巻)

文蔵高校に入学したばかりの越山識は、怪しげな先輩・笹島学人が会長を務める同好会「クイズ研究会」に勧誘される。さらに識は、新入生向けの部活動説明会で開催された、学人主催の早押しクイズ大会に参加する事になった。本の虫で知識量こそあるもののクイズに関する経験を持たない識は、クラスメイトのクイズ好きな深見真理の解答スピードに圧倒されつつも、彼女を見ている内に早押しクイズのコツをつかんでいく。自らの文学知識を活かし見事難問に正解した識は、正解の瞬間に浴びた歓声と注目に喜び、次第にクイズに夢中になっていく。大会終了後、真理に知識量を見込まれた識は、いっしょにクイズ研究会に入るよう強く勧誘され、彼女と入会を目指す事になった。クイズ大会への参加や、真理や学人との出会いをきっかけに競技クイズの面白さを知った識は、今までにない経験や出会いを通して、さまざまなルールやお約束を知りながら成長を重ねていく。

合同新歓クイズ大会編(第2巻)

赤河田高校、宮浦高校、麻ヶ丘女子高校、文蔵高校による、4校合同新歓クイズ大会が開催される事になり、越山識笹島学人深見真理井上大将と共に参加する事になる。1ラウンドが開始後、識は「ベタ問」と呼ばれるクイズの定番問題に、早くも苦戦を強いられる。御来屋千智が正解し続ける中、ベタ問の問題文が予想できずにいた識は、来場前に交わしていた真理とのやり取りに偶然救われ、苦手ジャンルの問題を乗り越えて2ラウンドに進出。勝ち抜けた事に安堵しつつも、ベタ問の存在を知った事でクイズのあり方に疑問を抱いた識は、2ラウンドを前にやる気をなくしてしまう。一方、識を心配しつつも彼をフォローしようと決心した真理は、中学時代からの親友・上月由貴と改めて再会し、互いに励まし合う。そして2ラウンド「早押しボードクイズ」が開始されるが、識は自信があった問題でも問題文を予想しきれず、惜しい誤答を繰り返してしまう。知識だけでは勝てない競技クイズの厳しさを知り、識は今までにない悔しさを覚えるのだった。

文蔵クイ研始動編(第3巻~第4巻)

文蔵高校クイズ研究会は、ついに本格的に始動。越山識はいっしょに入会した深見真理井上大将と共に、笹島学人の指導や助言を受けながら、競技クイズの世界にさらにのめり込んでいく。そんな中、いつものように図書室で昼食をとっていた識は、学人と共に登校していた、謎の少女に遭遇する。空腹で倒れていたその少女は、識の弁当を半分食べてその場を去るが、彼女が忘れていった本には「早押しクイズランプ表示回路」のページに付箋が貼られていた。少女がクイズ関係者であると識が推測する中、その日の放課後はクイズ研究会の合同練習が開催される事となった。合同練習の相手に選ばれたのは、強敵・御来屋千智も在籍する強豪校の宮浦高校で、ルールはチーム戦での早押しクイズとなった。御来屋と再会した識は真理、井上とチームを組み、宮浦の新入生チームに挑むが惜しくも敗北。後日、井上と共に秋葉原のゲームセンターを訪れていた識は、そこで遭遇した御来屋から、ライバル宣言を受ける。初めて誰かに認められライバルができた事を喜び、いっそう奮い立った識は、御来屋に負けぬようさらなる特訓に励むようになる。強豪校が集まるクイズ大会「例会」への参加も決定し、始動したばかりのクイズ研究会の活動は、徐々に盛んになっていった。

麻ヶ丘例会編(第5巻~第6巻)

越山識達が例会に向けて特訓に励む中、深見真理がクイズを始めるきっかけとなった、兄の深見誠司との過去が明らかになる。しかし真理に影響を与えた誠司はすでにクイズから離れ、勉強に力を入れていた。一方、今年の例会の主催を務める麻ヶ丘女子高校クイズ研究部は、強豪校をゲストとして迎えるべく、例会の準備を進めていた。そして、麻ヶ丘の礼拝堂を舞台とする「麻ヶ丘例会」が開幕となった。しかしこの例会では、ミッションスクールならではの意外なルールが採用されていた。識達は独特のルールにとまどいながらも、初めての例会を果敢に戦う。2ラウンドでは、クイズ初心者の苑原明良と識がペアを組む事になるが、彼はルールのスキを突いた奇策を繰り出す。違反ギリギリの行為を繰り返し、会場を混乱させる明良に対し、識は複雑な感情を抱く。そして3ラウンドの早押しボードクイズでは、真理と笹島学人が同じ一組目となる。しかし、点を獲得した者が他者から減点できる特殊ルールに加え、学人と誠司の過去を耳にした真理は、混乱から集中できなくなってしまう。二組目では識と御来屋千智がぶつかるが、そこに女装した明良が乱入。問題つぶしなどで場を荒らす明良に、会場は再び困惑する。そして、最後の勝ち抜け枠を巡る勝負の直前、識は御来屋にリベンジを宣言するのだった。

麻ヶ丘例会最終ラウンド編(第6巻~第7巻)

怒涛の敗者復活戦を終え、麻ヶ丘例会はクライマックスへ向かっていた。準決勝ラウンドでは封鎖式ルールによって、同じ宮浦高校の御来屋千智芦屋洋介による同校対決が実現された。しかし、激戦続きだった御来屋は集中力を落とし、準決勝の途中で体調を崩してしまう。準決勝ラウンド最終セットでは、優勝候補でもある大蔵邦光笹島学人の一騎打ちとなった。学人との一騎打ちに燃える大蔵だったが、凡ミスを犯し敗退となってしまう。そしてすべての難関を突破した芦屋、花房ミノル、学人の三人が決勝ラウンドに進出となる。後輩達が見守る中、学人達は麻ヶ丘例会の頂点を目指し、最終戦で激突するのだった。

深見兄妹対決編(第7巻~第8巻)

例会を終え、越山識は新たな目標を胸に再出発する。同じく例会で濃厚な一日を体験した深見真理も、変わらずクイズの特訓を続けていた。そんな中、井上大将は例会で周囲に圧倒された事に悩み始める。もともと真理に近づくためにクイズ研究会に入った井上は、識や真理とクイズへの熱意に差がある事を、以前から自覚していた。一時的に部活を離れてオタク仲間と過ごすものの、識達とクイズへの思いが捨て切れない井上は、再びクイズ研究会に顔を出すのだった。一方、開城学園では全国大会「SQUARE」関東予選に向け、大蔵邦光深見誠司をクイズの世界に呼び戻そうとしていた。文蔵高校でも「SQUARE」予選に向けて夏の強化合宿が計画される中、真理はカゼで倒れて学校を休んでしまう。心配した識は笹島学人達と共に真理の見舞いに向かうが、真理がクイズに熱中するのをよく思わない誠司が現れ、識達を追い返そうとする。見かねた真理は誠司に反抗し、彼に一対一の早押しクイズ勝負を申し込むのだった。

文蔵クイ研夏合宿編(第8巻~第9巻)

全国大会「SQUARE」関東予選に向け、文蔵高校クイズ研究会では夏休み合宿が開始される。ライバルとの約束、そしてまだ見ぬ全国のプレイヤーが集う大事な大会に向け、個々の実力を強化するべく越山識達が向かった先は、「クイズの都」とも呼ばれる京都であった。京都で林田耕助大槻凛子に合流した識達は、社会人クイズサークル「近畿クイズ愛好会」との合同練習をする事となる。合宿所に到着した識達は近畿クイズ愛好会の面々と知り合い、京都出身である笹島学人の過去も少しずつ明かされていった。さっそく合同練習が開始されるが、緊張から調子が出せない識達に、徳間は百人一首でのかるた勝負を提案。識達は早押しクイズと似た性質を持つかるたを楽しんで緊張をほぐしつつ、徳間から「楽しむために強くなる事」を学ぶのだった。一方、開城高校や宮浦高校などの強豪校も、「SQUARE」予選に向けてチーム決めや特訓を開始していた。合宿二日目、学人の帰郷を知った大阪帝山高校の天満竜壱天満虎壱が合宿に乱入。識と学人は天満兄弟から、学人が大切にしている白い早押し端子をかけた「二人羽織クイズ」を挑まれる。新たな強敵の出現に識が戸惑う中、「竜虎」の異名を持つ天満兄弟は、それぞれの特技を活かした猛攻を仕掛けるのだった。

SQUARE関東予選編(第9巻~第11巻)

全国大会「SQUARE」関東予選も目前となり、夏合宿を終えた越山識達は、さらなる追い込み練習に励んでいた。クイズ界を離れていた深見誠司が開城学園のチームで出場する事になり、関東ブロックはさらなる激戦区となる。そんな中、朝練習で識が井上大将に放った何気ない一言で、文蔵高校チームには小さな亀裂が生じる。微妙なすれ違いからチームに危機が発生したものの、識は黒田の励ましを受け井上と仲直りする。そして、全国大会「SQUARE」関東予選がついに開幕し、関東ブロックには例会でしのぎを削った強豪校のチームも登場。しかし、1ラウンドでは「多答マイノリティダービー」と「択一スライダー」という対策不能ルールが飛び出し、運と知力の両方を持つ者にしか突破できない厳しい戦いとなった。さらに、応援ゲストとして登場したアイドルユニット「ぷらねっと」も伏兵として電撃参戦が決定。運要素が大きく絡むルールに識達が苦戦する中、焦らずいつも通りに対応した花房ミノルのチームが、早々に1位勝ち抜けを決める。

SQUARE関東予選準決勝~決勝編(第12巻~第14巻)

全国大会「SQUARE」関東予選の準決勝となる2ラウンドのルールは、チーム対抗の早押し・早抜けのタイマンクイズに決定。全国への切符を手にする事ができるのは、16チーム中8チームのみとなった。強豪校同士がぶつかる中、文蔵高校チームはアイドルユニット「ぷらねっと」と戦う事になった。一方、レオニール高校は神南大付属高校と宿命のライバル対決を繰り広げる。第5試合では宮浦高校は開城高校とぶつかり、追い込まれた御来屋千智の「フロー」と深見誠司の「スイッチ」が炸裂する。二強対決に決着がつく中、識達文蔵高校チームもいよいよ出陣。新生チームである文蔵高校チームVS実力未知数の「ぷらねっと」という、前代未聞の組み合わせによる戦いが始まった。実力も行動も予測不能の「ぷらねっと」が繰り出す奇策に次々と翻弄される識達だったが、熱闘の末にギリギリ勝利となり、越山識達は決勝進出を決める。ほかの関東チームも決勝に名乗りを上げ、関東予選最後の戦いが幕を上げる。全国大会に進めるのは8チーム中4チームのみで、決勝ラウンドは各チームのメンバーがペアに分かれて交互にボタンに付く、変則早押しクイズとなった。そんな中、笹島学人笹島迅子が抱える事情を偶然知ってしまった識と深見真理は、大事な決勝の場面で集中力を欠いてしまう。

敗者復活スマホ予選編(第14巻~第15巻)

全国大会「SQUARE」関東予選決勝において、越山識深見真理は互いの長所を活かしながら正解に辿り着き、文蔵高校チームは全国大会への出場が決定した。その後、決勝を勝ち抜いた関東代表が出揃う中、敗者復活のチャンスとなる「全国一斉スマホ予選」の開催が発表される。スマホ予選を通過できるのは全国の敗退チーム1000の内、わずか3チームのみ。スピードだけでなく解答の精度も求められる厳しいルールの中、準決勝で敗退した宮浦高校と赤河田高校は、復活を目指して必死にもがくのだった。怒涛のスマホ予選を終え、「SQUARE」全国大会出場チームが最終決定する。3位を獲得したライバルの御来屋千智の全国大会出場も決まり、識は御来屋と再び戦える事に安堵するのだった。関東予選から一週間後、全国大会を控えた全21チームは、都内のホテルに召集され、大会事前番組も放送される事になった。歓迎と激励を受けた識達は全国大会前日の最後の晩餐を楽しむが、夜には「SQUARE」から出された抜き打ちの謎解きクイズが実施される。この謎解きクイズの成績上位チームには、明日の全国大会1ラウンドにおいて、有利になるアドバンテージを得られると判明。識達はチームで協力しながら、本戦につながる謎解きに奮闘するのだった。

登場人物・キャラクター

越山 識 (こしやま しき)

文蔵高校に通う1年生の男子。小柄な体型で、メガネをかけている。おとなしく内向的なうえに、地味で存在感が薄い事がコンプレックスになっている。幼少期から友達と遊ぶよりも読書を好み、夢や希望、未来や目的といった、前向きな事とは無縁な生活を送っていた。部活にも興味を持たなかったが、笹島学人にクイズ研究会に勧誘されたのをきっかけに、クイズに興味を持つ。また、学人主催の早押しクイズ大会に参加し難問に正解したことから、競技クイズの世界にのめり込むようになる。当初はクイズ研究会への入会は断っていたが、豊富な知識量をクラスメイトの深見真理に見込まれ、彼女に強引に誘われる形で入会する。以降、新たな出会いや経験を重ねながら、少しずつクイズの才能を開花させていく。クイズにおいてはまったくの素人だったが、幼少期から識の母が勤めている図書館でさまざまな本を読んでいた本の虫であるため、文学や歴史分野の知識量は特に豊富。文蔵高校でも図書室に通い、特にクラシカルな文芸作品やノンフィクション作品を好んで読んでいる。反対に芸能、漫画、ゲームなどのジャンルは苦手としている。引っ込み思案で周囲に流されやすいが、追い詰められた時ほど集中力が高まる。

深見 真理 (ふかみ まり)

文蔵高校に通う1年生の女子で、越山識のクラスメイト。クラスでは図書委員を務め、部活はクイズ研究会に所属している。おとなしく可憐な見た目で同級生からの人気も高いが、実は競技クイズの経験者で、昔からのクイズマニア。クイズの話になると我を忘れて周りが見えなくなり、時おり暴走する事もある。特に定番問題(ベタ問)の早押しを得意としているが、クイズ以外の事は不器用で、料理も苦手。少々天然気味でクラスから浮く事もあるが、明るい性格で誰とでも気さくに話す。図書室で知り合った識と共に早押しクイズ大会に参加後、彼の知識量を見込んで強引に誘い、共にクイズ研究会に入会する。上月由貴とは中学時代からの親友で、互いにあだ名で呼び合う仲。別々の高校に通うようになってからは、由貴とはよきライバル関係にもなっている。クイズ大会の名門・開城学園に通う兄の深見誠司の影響を受け、小学校6年生の頃にクイズに興味を持つ。のちに学園祭のクイズ大会に参加し、1問だけ正解したのをきっかけにクイズの楽しさを知り、クイズに熱中する兄の姿を見て、由貴と共にクイズを始めた。知識量は決して幅広くないが、競技終盤や勝負時に見せる集中力と天性の直感力は、笹島学人からも高く評価される。

井上 大将 (いのうえ だいすけ)

文蔵高校の1年生で、越山識のクラスメイトの男子。深見真理に近づく目的で図書委員になり、クイズ研究会にも入会した。アイドルやライトノベルが好きで、高校1年生にもかかわらずメイドカフェや地下ライブに通うなどヲタ活動を満喫している。最近の悩みは真理か笹島迅子のどちらと付き合うか。ゲームで使うハンドルネームは「TAISHO」。

黒田 (くろだ)

文蔵高校の1年生で、越山識のクラスメイトの男子。バスケットボール部に所属している。クラスでは識の前の席に座っており、自然と会話をすることが多い。何かと識をからかう言動が目立つが、嫌味のない好印象の人物。

笹島 学人 (ささじま がくと)

文蔵高校に通う2年生の男子で、クイズ研究会の会長を務めている。長身でつねに猫背気味。メガネをかけているが、メガネの下の素顔はどの角度からも見えず謎が多い。超名門高校・開城学園からの転入生。変わり者な性格だが、競技クイズの実力は超高校級。小学生の頃、師の徳間から受け取った白い早押し端子を、コードが切れて壊れてしまった今も大切にしている。また、その端子をつねにポケットに忍ばせており、ボタンの感触を確かめるほどのクイズマニア。ふだんは冷静だが競技クイズへの熱意は人一倍強く、高校1年生の秋に文蔵高校に転入したあとは、一人でクイズ研究会を発足させた。新入生早押しクイズ大会に参加した越山識の才能を見込み、彼と共に入会した深見真理と井上大将と共にクイズ研究会を始動させ、後輩達を時に厳しく、時に優しく導いている。京都出身だが、関東でクイズをやるために京都弁を矯正したため、妹の笹島迅子とは異なり標準語で話す。価値観が少々異なるものの迅子とは仲がよく、いっしょに登校している。開城学園のクイズ研究部には半年在籍していたが、当時はエースの座を狙って深見誠司と競い合っていた。しかし、誠司がクイズから離れたと同時に、開城学園を去った。

笹島 迅子 (ささじま じんこ)

文蔵高校の1年生で、笹島学人の妹。自称「1人弱電部」の弱電女子。電子工学が得意で、基盤製作などの技術を持ち、兄からクイズ研究会の早押しクイズ用の機械の製作を任された。寡黙な兄とは違ってノリが良く、関西弁を話す。

御来屋 千智 (みくりや ちさと)

宮浦高校1年生の男子で、クイズ研究部に所属している。越山識や深見真理と同じ1年生にもかかわらず、驚異的な早押しのスピードを誇っている。クイズへの姿勢は真摯で、馴れ合いは好まず、識をより強いクイズプレイヤーにするために毒を吐くこともある。理系クイズが得意で、文系クイズが苦手。ゲームで使うハンドルネームは「チサト」。

芦屋 洋介 (あしや ようすけ)

宮浦高校3年生の男子で、クイズ研究部の部長を務める。特に面倒見が良いというわけではないが、御来屋千智などの後輩たちの面倒をみているうちに部長ぶりが板についてきた。他校の部長で、同じく苦労人である新名匠と仲がいい。

大蔵 邦光 (おおくら くにみつ)

開城学園高校2年生の男子で、クイズ研究部の部長を務めている。全国模試文系1位の学力を誇り、ペーパークイズでは大蔵邦光に適うものはいないと言われている。言動は暑苦しくおっさん臭いが、可愛いものに目がなく、なかでも苑原明良のようなタイプにはめっぽう弱い。明良に潤んだ目で見られると、彼に非がある状況でも責めるに責められなくなってしまう。

深見 誠司 (ふかみ せいじ)

開城学園高校2年生の男子で、クイズ研究部に所属している。深見真理の兄で、妹にクイズの楽しさを教えた張本人。男女ともに認める美形だが、プライドが高く、自分で自分の首を絞めてしまう言動が多い。勝利のためなら手段を選ばないクイズ部に嫌気が差し、クイズ部を退部してしまう。

苑原 明良 (そのはら あきら)

赤河田中学校3年生。苑原千明の弟。好戦的な性格のゲーマーで、煽るのも煽りに乗るのも大好き。ルールの裏をかくのが得意で、クイズにおいても反則すれすれのプレイを次々と繰り出しては会場をかき乱す。また女装が好きで、セーラー服を正装としている。

新名 匠 (にいな たくみ)

赤河田高校の3年生の男子で、クイズ研究部部長を務めている。3兄弟の長男で、温和で面倒見のいいお兄ちゃん気質。しっかりしているように見えてドジな面も多く、部員たちからはハラハラとした目で見守られている。マイクを持つとテンションがあがる。

戸塚 光太郎 (とづか こうたろう)

レオニール高校の3年生の男子で、クイズ研究部部長を務めている。真面目で潔癖症の気があり、厳格にして神経質な性格の持ち主。状況把握能力に長けており、複雑なルールにも順応してみせる。

花房 ミノル (はなぶさ みのる)

神南大付属高校の3年生の男子で、クイズ研究部部長を務めている。一見するとチャラいが、普段は能力を隠しているタイプで、勝負所で類まれなる強さを発揮する。「早押しのスピードスター」の異名を持つほど早押しが得意。苑原明良が行う反則すれすれのトリックプレイなども実は大好き。

苑原 千明 (そのはら ちあき)

麻ヶ丘女子高校の3年生の女子で、クイズ研究部の部長。苑原明良の姉で、弟思いではあるが、明良とは違って比較的常識人である。6月例会で大会委員長を務め、独特で凝ったルールや問題を用意するなど、クイズに対する造詣は深い。

上月 由貴 (こうづき ゆき)

麻ヶ丘女子高校1年生の女子で、クイズ研究部に所属している。深見真理の中学時代からの親友で、あだ名で呼び合う仲。真理の影響でクイズをはじめ、今ではライバル関係になっている。腐女子の多い麻ヶ丘女子高校の中で数少ない常識人。周囲との温度差に戸惑うことが多い。

林田 耕助 (はやしだ こうすけ)

笹島学人の地元である京都の東楊高校に通う2年生の男子。自称「噺家見習い」で、高校では落語研究会に所属している。それだけではなく、京都の社会人クイズサークル「近畿クイズ愛好会」にも参加している。普段から和服を着ており、出会い頭になぞなぞを出す奇人。

大槻 凛子 (おおつき りんこ)

笹島学人の地元である京都の東楊高校に通う1年生の女子。笹島迅子の友人で、迅子からは「りんご」と呼ばれている。林田耕助と同じように「近畿クイズ愛好会」に所属している。

天満 竜壱 (てんま りゅういち)

笹島学人と笹島迅子の幼なじみの、帝山高校に通う2年生男子。出身は京都だが、高校入学時に大阪に引っ越している。その影響もあってか、ノリツッコミやボケが激しく、井上大将に「京都で出会った人物の中では一番関西っぽい」と言わしめている。学人と並ぶか、それ以上のクイズの知識を持っている。

天満 虎壱 (てんま とらいち)

笹島学人と笹島迅子の幼なじみの、帝山高校に通う1年生男子。天満竜壱の弟。竜壱とは違って無口だが、プレイスタイルや思考に至るまで、中身は竜壱の完全な模倣となっている。そのせいか、思考や早押しボタンを押すタイミングまで完全に一致している。迅子の作った早押しの機械を気に入るなど、可愛いものが大好き。

古河 珠美 (こがわ たまみ)

麻ヶ丘女子高校に通う2年生の女子。クイズ研究部に所属している。小太りな体型でメガネをかけている。剣持文伽同様、BL妄想を好む腐女子。手先が器用で、例会の企画書を作成した。

八尾 神楽 (はちお かぐら)

京都の東楊高校に通う3年生の女子。笹島学人の幼なじみ。近畿クイズ愛好会の姐さん的な存在で、笹島迅子や林田耕助からは「姐さん」と呼ばれている。思った事は遠慮せず率直に言うタイプだが根は優しく、面倒見もいい。

江住 圭 (えすみ けい)

宮浦高校に通う3年生の男子。クイズ研究部に所属している。愛称は「エスミん」。アイドルユニット「ぷらねっと」の隠れファンで、オタク系や芸能系の問題を得意とする。全国大会「SQUARE」では2年連続、芦屋洋介とチームを組んで出場する。

徳間 (とくま)

近畿クイズ愛好会の会長を務める中年男性。本職は僧侶で、寺で学習塾を開いている。この学習塾には笹島学人も通っていた事があり、彼にとっての師のような人物。若い頃にクイズ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」に出演した経験を持つ、クイズ王でもある。

剣持 文伽 (けんもち ふみか)

麻ヶ丘女子高校1年生の女子。クイズ研究部に所属している。ツインテールのすました顔をした少女だが、実はBL妄想を好む腐女子。

識の母 (しきのはは)

越山識の母親。明るく息子思いの女性で、図書館の司書をしている。夫は識が幼い頃に亡くなっており、一人で識を育てて来た。学校や友達の事をあまり話さない識を心配していたが、クイズ研究会に入って仲間と共にクイズに熱中している様子を見て安心する。

矢木 明日香 (やぎ あすか)

神南大付属高校に通う1年生の女子。クイズ研究部に所属している。神南クイズ研究部の紅一点。穏やかで素朴な雰囲気を漂わせた少女。麻ヶ丘例会では深見真理とペアになり、彼女と意気投合する。

柴田 勝 (しばた まさる)

開城学園高等部に通う2年生の男子。クイズ研究部に所属している。深見誠司の陰に隠れがちだったが、かなりの実力者で、社会・経済を得意としている。かつて、誠司が先輩達に望まぬプレイスタイルを強要されて苦しんでいた際に助けられなかった事を悔やみ、彼の復帰を待ち望んでいた。

渋谷 大樹 (しぶや ひろき)

神南大付属高校に通う3年生の男子。クイズ研究部に所属している。のんびり屋のマイペースな性格で、つねに大らかな雰囲気を漂わせている。似たような性格の花房ミノルとも気が合う。ペーパークイズを得意としており、麻ヶ丘例会では花房よりも上位となった。

中澤 藤一郎 (なかざわ とういちろう)

赤河田高校に通う3年生の男子。クイズ研究部に所属している。問い読み番長を務める。穏やかでまじめな性格で、中学生の頃からクイズ漬けの日々を送っている。部長の新名匠のよき理解者で、気の置けない関係。新名をフォローしつつ部室の整理などの雑務もこなし、赤河田クイズ研究部を陰から支えている。

近衛 春臣 (このえ はるおみ)

開城学園高等部に通う2年生の男子。クイズ研究部に所属している。ピンク色の派手な髪で、チャラついた見た目だが、クイズの実力は確かで、王者、開城の懐刀と評されるほど。特に古典芸能を得意としている。かつて、深見誠司が先輩達に望まぬプレイスタイルを強要されて苦しんでいた際に助けられなかった事を悔やみ、彼の復帰を待ち望んでいた。

金井 晋吾 (かない しんご)

神南大付属高校3年生の男子。クイズ研究部に所属している。早押しクイズにおいては「次期スピードスター」と評されるほどのスピードを誇り、花房ミノルからも期待されている。

鳳 正彦 (おおとり まさひこ)

クイズの全国大会「SQUARE」を中継する動画サイトを運営している企業の社長を務める男性。「SQUARE」の大会長も務めている。東大クイズ研究部OBという経歴を持ち、徳間と並ぶクイズ王として、往年のクイズファンには「東の鳳」の異名で有名。

梅本 佑太朗 (うめもと ゆうたろう)

宮浦高校に通う2年生の男子。クイズ研究部に所属している。愛称は「梅ちん」で、明るく元気な性格の持ち主。宮浦高校2年生の中ではかなりの実力者で、特に短文早押しを得意としている。中学生時代は柔道と卓球をしていた。「SQUARE」では芦屋洋介のチームで出場する。全国大会「SQUARE」を通して御来屋千智ともいいコンビになっていく。

佐々木 一 (ささき はじめ)

赤河田中学校に通う1年生の男子。クイズ研究部に所属している。小柄で素朴な見た目だが、ベタ問の早押しが得意で、中学1年生ながらその実力はあなどれない。面倒見のいい新名匠からはかわいがられている。合同新歓クイズ大会では決勝に進出するが、御来屋千智に敗れた。当初は苑原明良の事をよく思っていなかったが、全国大会「SQUARE」を通して徐々に打ち解けていく。

三咲 (みさき)

クイズの全国大会「SQUARE」のプロデューサーを務める男性。視聴者参加型クイズ番組が激減していた時代を体験した「ロスジェネ世代」であり、テレビクイズにあこがれてクイズの道に進んだ。学生時代からオープン大会を企画しており、現在は企画業兼クイズ作家として活躍している。

向井 亮太 (むかい りょうた)

宮浦高校に通う1年生の男子。クイズ研究部に所属している。タレ目で穏やかそうな顔つきをしているが、意外と毒舌家の一面がある。丸山亘につられて、麻ヶ丘例会に参加した。

丸山 亘 (まるやま わたる)

宮浦高校に通う1年生の男子。クイズ研究部に所属している。小太りな体型でメガネをかけている。美少女オタクで、深見真理のミニスカート姿には目をくらませていた。また、主催が女子校の麻ヶ丘女子だからという理由で、中間試験中にもかかわらず、美少女目当てで麻ヶ丘例会に参加した。

吉 ジョヲジ (きち じょをじ)

お笑いコンビ「オレンジライン」のインテリ芸人の男性。全国大会「SQUARE」で総合司会を務めるているほか、ラジオDJやコメンテーターとしても活躍している。大学時代はクイズ研究部に所属しており、クイズ歴は17年。

はるか

アイドルユニット「ぷらねっと」のリーダーを務める女子高校生。進学校に通いながらアイドル活動をしている。幼少期からキッズモデルと子役を経て、「ぷらねっと」メジャーデビューの際にリーダーに抜擢される。どんな仕事でも持ち前の愛嬌と器用さでこなし、情報収集も得意とする。また、スイーツ好きの「スイーツ系アイドル」としても、お茶の間でも人気を博す。座右の銘は「今は通過点」。

集団・組織

ぷらねっと

売り出し中のアイドルグループ。メンバーは現役女子高校生と現役女子中学生で、リーダーのはるかを中心に、ひかる、きらり、みらいの四人。地下アイドル時代からコアなファンが多い。全国大会「SQUARE」では応援ゲストとして登場するが、ほかの参加チームに混ざってクイズに電撃参戦する。地下アイドル時代から現場で得たさまざまな経験と知識に加え、好奇心と学ぶ姿勢はクイズプレイヤー達にも劣らない。

場所

文蔵高校 (ぶぞうこうこう)

埼玉県にある男女共学の公立高校。越山識が入学した。偏差値は59。クイズ研究会は正式な部活ではなく同好会として発足したばかりで、ほかの生徒達からはあまり認識されていない。

イベント・出来事

SQUARE (すくえあ)

全日本U-18のクイズ大会。略称は「SQ」。毎年8月頃に開催され、同校または同一サークルに在籍する四人1組によるチーム対抗戦。全国7ブロックの予選に勝ち抜いたチームのみが、全国大会に出場できる。関東ブロック予選はお台場で開催された。

例会 (れいかい)

各校の部活動・同好会による校外試合のようなクイズ大会。各校のクイズ研究部が持ち回りで主催を務める。本来はクイズサークルなどがふだんから行っている活動そのものであり、定例会のような行事。

その他キーワード

確定ポイント (かくていぽいんと)

クイズの問題文の中で、「ここまで聞けば答えを特定できる」という、重大な箇所や単語の事。

早押しボードクイズ (はやおしぼーどくいず)

解答をボードに書き込んで提示する形式のクイズ。ボタンを早く押して解答権を得る事も重要だが、誤答した際のペナルティが大きい場合が多く、リスクが高い。

ベタ問 (べたもん)

競技クイズやクイズ番組などにおいて、繰り返し出されている定番問題や頻出問題の総称。問題文が自然で美しく、誰にでも興味を持たれる内容が多い。問題文を丸暗記する事で予想しやすくなり、ある程度は克服できるが、越山識のようなクイズ初心者では問題文が予想できず苦戦する事が多い。

エンドレスチャンス

早押しクイズのオプションルール。略称は「エンチャン」。解答権を得た者が不正解だった場合に、再び早押しが始まる。

多答クイズ (たとうくいず)

一つの問題文に対して、複数の正解が存在するクイズの事。正解の数によってポイントが積み上がるのが一般的だが、山手線ゲームのように参加者が順番に解答していくタイプや、他人と被(かぶ)らない解答を選ばなければならないルールなど、バリエーションが多い。

書誌情報

ナナマル サンバツ 全20巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2011-04-27発行、 978-4047156890)

第2巻

(2011-08-02発行、 978-4047157491)

第3巻

(2012-03-01発行、 978-4041201251)

第4巻

(2012-08-31発行、 978-4041203293)

第5巻

(2013-04-02発行、 978-4041206263)

第6巻

(2013-08-31発行、 978-4041208267)

第7巻

(2013-12-28発行、 978-4041209417)

第8巻

(2014-07-04発行、 978-4041015308)

第9巻

(2014-12-29発行、 978-4041015315)

第10巻

(2015-07-04発行、 978-4041028698)

第11巻

(2015-12-04発行、 978-4041028704)

第12巻

(2016-08-04発行、 978-4041042816)

第13巻

(2016-12-31発行、 978-4041050385)

第14巻

(2017-07-04発行、 978-4041057902)

第15巻

(2018-03-02発行、 978-4041057919)

第16巻

(2018-10-04発行、 978-4041071557)

第17巻

(2019-03-04発行、 978-4041071588)

第18巻

(2019-10-04発行、 978-4041085882)

第19巻

(2020-10-02発行、 978-4041085899)

第20巻

(2020-11-04発行、 978-4041107058)

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