概要・あらすじ
門倉高校の漫研で部長を務める井之上広海は、自分勝手でまとまりのない部員たちに手を焼いていたが、ある日保健室で出逢った美少女・青木杏のアドバイスによって、部誌を作るという目標を立てる。同時に、井之上広海は青木杏に強く惹かれていく。しかし、その裏では、部員たちの甘い考えが許せない青木杏の巧みな誘導によって、漫研の人間関係は徐々に崩壊していくのであった。
登場人物・キャラクター
井之上 広海 (いのうえ ひろみ)
門倉高校漫研の部長。子供の頃はサッカー少年だったが、漫画に感銘を受け、自分も漫画に携わりたいと漫研に入部し部長となる。自身は漫画を描けないため、編集者としてのポジションにいる。理想が高く現実が見えていない部分も多い。また、部員に対して強く言えないところが、部員たちをつけ上がらせている要因にもなっている。
青木 杏 (あおき あんず)
門倉高校の生徒。保健室で井之上広海と知り合い、漫研で部誌を作ることを提案した。母は漫画家、父は漫画編集者で、子供の時から漫画の才能を見せていたが、現在は父の命令で強制的に新人賞の賞金狙いの漫画を書かされており、漫画に対して複雑な感情を抱いている。それゆえ、井之上広海をはじめとする部員たちの漫画制作に対する考えの甘さに苛立ち、漫研ごと壊してしまおうと画策する。 井之上広海に対しては気があるような素振りを見せたり、素っ気なく振る舞ったりして翻弄。ほかの部員たちも言葉巧みに誘導し、その関係を崩壊させていく。
平松 かの子 (ひらまつ かのこ)
門倉高校漫研部員。典型的な「腐女子」であり、オカルト好き少女。しばしば自分の妄想の世界に入り浸って、脳内にいる「ミロフェル王子」と会話する。思い込みの強さから、同人作家の羅☆ガッシュにストーカー紛いのつきまとい行為を行い警察沙汰になったこともある。有栖川萌絵とは小さい時からの友達で、一緒に漫画家を目指していたが、内心では萌絵を少なからず見下している。 井之上広海のことが好きで、告白してつきあい始める。
有栖川 萌絵 (ありすがわ もえ)
門倉高校漫研部員。非常に太っており、そのことでひねくれてはいるが、図太い性格をしている。平松かの子とは幼馴染みで、ともに漫画家を目指している。口だけで実力の伴わない漫研部員の中にあって、絵描きとしての資質を持ち、かつ努力を怠らなかったこともあって、本格的に漫画家を目指すこととなる。
天原 強 (あまはら つよし)
門倉高校漫研部員。うぬぼれの強い自称評論家。評論家を気取ってはいるが、実際は感想文レベルの意見しか言えない薄っぺらな人物である。典型的な「口だけで何もできない」タイプ。1号目の部誌が酷い出来だったことを井之上広海のせいにし、彼に代わって2号目の編集を務めようとする。 ネット上のハンドルネームは「ヴィッツヤージ=天原三世」。
大門 夕子 (だいもん ゆうこ)
門倉高校漫研部員。かわいらしい見た目と、それに見合ったキャラ作りをしているが、実際の性格は悪い。また、キャラ作りを周囲に見透かされている上に、周りの人間を見下しているので、学校では孤立気味。唯一、夕子に精神的に依存している桂坂詩織だけが友達という状況である。衣笠兄弟の弟・瞬に気がある。
桂坂 詩織 (かつらざか しおり)
門倉高校漫研部員。ショートカットの美少女で、一人称は「ボク」。以前は文芸部にいたが、他の部員と対立して退部した際、夕子に誘われて漫研に入る。自傷癖があり、時々、校舎屋上など人目に付かない場所でリストカットを行っている。
内田 直 (うちだ なお)
門倉高校漫研部員。容姿も性格も地味で暗く目立たない。大門夕子に屈折した感情を持ち、コラージュ写真を送りつけたり、あとをつけ回したりのストーカー行為を行っている。衣笠兄弟の同人誌の売り子として2人を手伝っている。
衣笠 瞬 (きぬがさ しゅん)
門倉高校漫研部員。漫研部員ではあるが、同人作家として成功しており、部活にはほとんど出ずに同人活動に専念している。軽薄で軟派だが、創作に関しては、井之上広海に対し経験者として意見するなど、真摯な一面を見せる。
衣笠 一輝 (きぬがさ いっき)
門倉高校漫研部員。衣笠瞬の双子の兄。瞬と同じく同人活動をしているが、瞬ほど人気作家ではない。両親がコミケで知り合ったオタク夫婦だったため、兄弟にはお気に入りの漫画の登場人物の名がつけられている。また、両親が兄弟の創作活動の協力をするなど、親子仲は良い。
青木 和馬 (あおき かずま)
青木杏の弟。父の命令で姉の漫画を手伝っている。姉の計画に従い、男性に免疫のない有栖川萌絵に近づいて仲良くなる。はじめは計画のためだけに偽りの友人を演じていたが、やがて萌絵の創作に対するひたむきな態度に惹かれていく。
羅☆ガッシュ (らがっしゅ)
同人作家。まだ駆け出しだった頃に平松かの子と有栖川萌絵と知り合う。やがて平松かの子のストーカーまがいのつきまとい行為に悩まされるようになり、ノイローゼ状態に追い込まれる。
集団・組織
門倉高校漫画研究部 (かどくらこうこうまんがけんきゅうぶ)
代々「まんぷく」という部誌を発行してきたが、現行の部員たちは集まって雑談に興じるだけのやる気のない生徒が多く、部誌作りは放置されていた。1年生の井之上広海が、押しつけられる形で部長に就任している。