韃靼タイフーン

韃靼タイフーン

不良高校生とその幼なじみが、謎のロシア人少女との出会いを機に、国家レベルの謀略に巻き込まれていく冒険アクション。二部構成になっていて、函館を舞台にした第一部は、主人公の荒脇卓馬、5年後のロシアに舞台が移る第二部は、ヒロインの近藤日出子の視点から、物語が展開される。

正式名称
韃靼タイフーン
ふりがな
だったんたいふーん
作者
ジャンル
アドベンチャー
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

200X年、北海道の函館港に侵入してきたロシア船が、タンカーと衝突して炎上する事件が発生。有毒ガスが流出したという知らせに函館市内は騒然となる。同じ頃、高校生の荒脇卓馬は、亀甲組のヤクザたちによって、卓馬の父親の会社が所有する浮きドックに連れていかれる。そこには父親である荒脇道真が手に入れたロシア軍艦があった。

亀甲組は卓馬を人質に軍艦の引き渡しを迫るが、なんと道真はマシンガンで応戦し、ヤクザたちを蹴散らす。驚きつつも隙を見て逃走した卓馬は、父親に会おうと、幼なじみのデコこと近藤日出子と共に軍艦に忍び込むが、2人はそこでロシア人と思しき謎の少女と出会う。

登場人物・キャラクター

荒脇 卓馬 (あらわき たくま)

ホストクラブでアルバイトをしていた不良高校生の男子。実は太古より続く集団「アラハバキ党」の頭領を代々務めてきた血筋の者。父親の荒脇道真が死亡した後、訳の分からぬまま第272代頭領に就任。父親が保護していたロシア人少女・アナスタシアを守るべく、幼なじみの近藤日出子や仲間たちと共に、日本政府やザバイカル拡大自治共和国軍を相手に激闘を繰り広げることになる。 国家に反逆したとしてテロリストに認定されるが、騒動が終結した後、事なかれ主義の政府によって超法規的措置で国外へ追放。日出子と別れて大陸に渡り、やがてロシアで韃靼騎兵隊と呼ばれるゲリラ組織の頭目「サヤンの狼」として知られるようになる。敵を平然と殺める非情な男に変貌しており、再会した日出子を当惑させる。

近藤 日出子 (こんどう ひでこ)

荒脇卓馬の幼なじみの眼鏡っ娘。通称「デコ」。高校で風紀厚生委員をしている普通の女子高生だったが、卓馬と一緒に忍び込んだロシア軍艦の中で謎の少女・アナスタシアに遭遇。彼女をめぐるザバイカル拡大自治共和国と日本政府の陰謀に巻き込まれることになる。自分になつくアナスタシアの世話役を買って出るが、彼女がザバイカル拡大自治共和国に奪取され、卓馬もテロリストとして国外追放となったことからジャーナリストを志望。 大学を卒業後、共合通信という小さな通信社の記者になり、大陸に渡った卓馬を探すべく、取材を名目にロシアに向かう。

アナスタシア

荒脇卓馬と近藤日出子が出会ったロシア人の少女。手錠によって、左手に小型のアタッシュケースが繋がれている。ロシアのロマノフ王朝最後の皇帝・ニコライ二世の第四皇女・アナスタシアの再来とされている。ロシアのザバイカル拡大自治共和国の大統領・アルクスニスに追われていたが、卓馬の父親の荒脇道真によって保護され、函館港の浮きドックにあるロシア軍艦内でかくまわれていた。 その正体は、アルクスニスが自身の野望実現のために作らせたアナスタシアのクローン。彼女の身柄を巡って卓馬らアラハバキ党は、ザバイカル拡大自治共和国と密約を結んだ日本政府と争うことになる。

八幡田 正 (はちまんだ ただし)

函館中央署の警備部長の男性。正義感あふれる熱血漢で、ロシア船の衝突による有毒ガスの流出事件に裏があることに気付くが、中央から派遣された美坂泰三の命令で一切の干渉を禁じられる。上のやり方に嫌気がさして一時は退職を決意するが、近藤日出子の母親から娘の捜索を依頼され捜査を続行。その過程で荒脇卓馬をテロリストの首領と誤解し、逮捕しようと執拗に後を追う。 その後、「サヤンの狼」と呼ばれるようになった卓馬の捜査のため、国際刑事警察機構(ICPO)の警部としてロシアに派遣され、取材のため同地を訪れていた日出子と再会することになる。

セルゲイ・アルクスニス (せるげいあるくすにす)

ロシア内にあるザバイカル拡大自治共和国の大統領の男性。ニコライ二世の第四皇女・アナスタシアのクローンを作り出した人物。彼女を利用してロシア全土を手中に収めようと目論んでいる。荒脇道真によって函館でかくまわれていたアナスタシアを奪回すべく、北方領土をエサに日本政府と秘密裏に交渉。 函館に軍艦を派遣し、自衛隊と協力してアナスタシアを奪い返す。その後、反乱を起こされて一時イルクーツクに逃れるが、ロシア大統領選挙に出馬し当選。アナスタシアを帝位につけて帝政ロシア復活を宣言し、ロシア国内を二分する内戦を引き起こす。

ミスカシ

アラハバキ党の副頭領を務める老人。頭領の血筋である荒脇家の後見の任を、代々受け継いできた家柄の長。新たな頭領となった荒脇卓馬に、アラハバキ党の使命と頭領の果たすべき役割を説いた。日本を追放されてロシアに渡った後も、アルクスニスの野望を挫くべく戦う卓馬を副頭領として補佐する。

店長 (てんちょう)

荒脇卓馬がアルバイトをしていたホストクラブのオカマ店長の男性。卓馬に惚れていて、アラハバキ党の当主となった彼に無理矢理ついていく。その真の目的は情報の横流しであり、アナスタシアに関する情報を売って大儲けしようとしていた。函館での事件の後、卓馬らと同じく日本を出てロシアのウスチ・アカンにホスト店を出店。 町にやってきた近藤日出子や八幡田正と再会を果たす。

見坂 泰三 (みさか たいぞう)

警察庁警備局次長の男性。出世欲旺盛なバリバリのキャリア。日本政府とザバイカル拡大自治共和国が密約を結んだことを受け、アナスタシアの身柄を確保すべく自衛隊を動かすが、騒動が大きくなりすぎたため事件後に左遷される。出世の道を断たれ、家族からも見捨てられるが、開き直って大陸に渡り、大物武器マフィアとして暗躍。アルクスニスが起こしたロシアの内戦に深く関わることになる。

姐さん (あねさん)

和服姿の女性。関西のヤクザ組織・亀甲組の組員たちから「姐さん」と呼ばれ慕われている。実は荒脇卓馬の生き別れの姉。卓馬が赤ん坊の時に母親に連れられ荒脇の家を出て、亀甲組に拾われたという過去を持つ。荒脇の家のことはよく承知していて、亀甲組組員を率いて卓馬とアラハバキ党を陰から助ける。

荒脇 道真 (あらわき みちまさ)

荒脇卓馬の父親。表向きは「丸あ鉄工」という鉄工所の社長だが、実はアラハバキ党271代目の頭領である。道真(ミチマサ)の名は代々の頭領の名乗りで本当の名前は不明。ロシアでアナスタシアを保護し、所有する浮きドックでかくまっていたが、彼女の居場所が露見。襲撃してきた敵部隊と銃撃戦になり、頭部に銃弾を受けて死亡する。

鳥居 庸介 (とりい ようすけ)

大手マスコミである六本木テレビのディレクターの男性。「サヤンの狼」の独占インタビューを企画。人気キャスターを伴ってロシア入りするが、内戦に巻き込まれてクルーが全滅。帰国を願い出るが許されず、近藤日出子と三上にくっついて取材を続けることになる。エリート意識が鼻につく優男だが正義感は強く、戦場でもまれることで人間的に成長していく。

三上 (みかみ)

共合通信社のカメラマンの男性。近藤日出子のロシア取材に同行する。出身は青森県の五所川原。大相撲から誘われたこともあるという大柄のマッチョで、ジープにひかれてもピンピンしている。柔道の経験もあり、日出子に暴力を振るおうとしたウスチ・アカンの署長に、素手でのタイマンを挑んだ。日出子のことを密かに想っている。

署長 (しょちょう)

ウスチ・アカンの警察署長。立派な髭を蓄えた大男。レスリングの経験者で、アレキセイ・カレリンなる人物をニアフォールまで追い込んだということが自慢。曾祖父が日露戦争で戦死し、祖母もシベリアで日本軍に強姦されて死亡。そのため、日本人のことを極端に嫌っている。近藤日出子と口論になった際、彼女に暴力を振るおうとした。

集団・組織

アラハバキ党 (あらはばきとう)

三千年の歴史を持つ集団。世に顕れず、密かに義を尽くすことを務めとしている。代々頭領を務めてきた荒脇家は、日本が「邪馬台(ヤマト)」と呼ばれていた時代から続く、天皇よりも旧い家柄。当主となった者は道真(ミチマサ)を名乗るしきたりになっている。荒脇卓馬の父親である先代の荒脇道真が経営していた丸あ鉄工の社員も、すべてアラハバキ党の者で、いずれも武器の扱いに長けた一騎当千のつわもの揃いである。

丸あ鉄工 (まるあてっこう)

荒脇道真が経営していた小さな鉄工所。ロシアで不要になった軍艦などを買い取ってバラし、クズ鉄にして販売するという業務を手掛ける。ただしそれは対外的な顔であり、実は従業員はいずれもアラハバキ党の者で、手に入れたロシア軍艦を会社の所有する浮きドックで改修し、来たるべき決戦に備えていた。

亀甲組 (かめのこぐみ)

関西のヤクザ組織。先代組長の時に丸あ鉄工の社長でアラハバキ党頭領の荒脇道真と組んで、ロシア相手に商売を始めた。組の実質的なリーダーである「姐さん」は荒脇道真の娘。彼女に率いられて、日本政府とザバイカル拡大自治共和国を相手に一戦交えることになる。

韃靼騎兵隊 (だったんきへいたい)

遊撃部隊。テロリストと認定され日本から追放となった荒脇卓馬とアラハバキ党の者たちが組織した。ウスチ・アカンという町を本拠にロシアとモンゴルの国境付近で活動している。指揮官の卓馬は「サヤンの狼」の名で恐れられている。

場所

ザバイカル拡大自治共和国 (ざばいかるかくだいじちきょうわこく)

ロシアのイルクーツクに位置する自治共和国。略して「ザバイカル共和国」とも呼ばれる。大統領のアルクスニスがアナスタシアを奪還しようと、秘密裡に日本政府の承認を得て函館市内で戦闘行為を行った。しかし、ウラジオストーク滞在中に反乱を起こされてアルクスニスが逃亡し、ロシア内戦へと発展したため、その存在意義を失い消滅した。

ウスチ・アカン (うすちあかん)

ロシアのトゥーバ共和国内にあるさびれた町。韃靼騎兵隊が本拠にしている。元は鉱山の町だったが鉱脈が枯れ、ほぼゴースト・タウンと化している辺ぴな田舎だが、ある秘密が隠されていて、ロシア内戦の最大の激戦地になる。

SHARE
EC
Amazon
logo